ゼミナール発表

日時: 9月27日(月) 5限


会場:L1

司会:松原 崇充
首藤 将貴 M1 小笠原 司 西谷 紘一 高松 淳 栗田 雄一
発表題目:主成分分析を用いた多指ハンドのための操作システム
発表概要:近年,多指ハンドの研究が盛んに行われており,数多くの多指ハンドが開発されている.これらの多指ハンドは自由度が多く,その操作にはデータグローブを利用した制御システムがよく用いられる.しかし,これらの制御システムは,制御対象となる多指ハンドとデータグローブ間の構造の違いがあり,それぞれに専用の変換を施したり学習によって対応したりするため,目的に応じて多指ハンドを切り換えて使用したい場合に柔軟に対応できない.そこで本研究では,この問題を解決するため主成分分析を用いて多指ハンドを制御することを試みている. 本発表では,その進捗と今後の課題について述べる.
 
桑原 潤一郎 M2 小笠原 司 木戸出 正繼 高松 淳 竹村 憲太郎
発表題目:汎用三次元環境地図を用いた異種ロボットにおける位置情報共有
発表概要:近年,ロボットの多様化が進んでおり,様々なロボットが協調して作業を行う ことが想定される.協調作業には位置情報共有が必要不可欠であるが,異種ロ ボットが保有している地図の形式は異なり,メトリックな地図を持つロボット とトポロジカルな地図を持つロボットの位置情報共有は非常に困難である.そ こで本研究では,パーティクルフィルタを用いてトポロジカルな地図を持つロ ボットの位置を確率的に表現することを提案し,メトリックな地図を持つロボッ トと位置情報共有結果について述べる.
 
霤帖〃 M2 小笠原 司 木戸出 正繼 金出 武雄★ 高松 淳 加賀美 聡
発表題目:人の軌跡の測定に基づく移動ロボットのための環境情報コストマップの作成
発表概要:近年,オフィスや家庭などの人の生活空間で作業を行うサービスロボットの研究がすすめられている.人の生活空間で安全に目的地に移動するためには,障害物の配置だけでなく人が環境をどのように使っているかという環境情報を理解する必要がある.しかし、現在移動ロボットのための環境情報を示すマップの生成手法は確立されていない.そこで,本研究では人の軌道から環境情報マップを生成し,安全な移動ロボットの経路計画を行う手法について述べる.
 

会場:L2

司会:天野 敏之
衛藤 聖 M2 湊 小太郎 加藤 博一 杉浦 忠男 中尾 恵
発表題目:脈管の太さを指標とした ボリューム可視化法
発表概要:近年,様々な撮像機器を用いて,生体の大規模なボリュームデータが取得されるようになった. 医療や生物学の分野では,この膨大なデータの中から有用な情報を効率的に可視化することで,診断や未知構造の観察などへの応用が期待されている. 現在,広く利用されているボリューム可視化方法は,ボリューム全体の輝度値や勾配情報を指標としているため, 血管や神経の走行など複雑な局所構造を効率的に可視化することは困難である. 一方,局所構造に着目した可視化では,局所構造の種類や大きさを考慮した柔軟な可視化が課題となっている. そこで本研究では,局所構造を定量化する可視化手法を発展させ,特に管状構造の太さを指標としたボリューム可視化を実現する. 本手法は,輝度値ボリュームから生成したスケール空間と管状構造に関する固有値データを使用し, 元のボリュームデータに含まれる管状構造の半径と対応するスケールを可視化パラメータとして利用する. 本発表では,提案手法を医用画像データに適用し検証した結果について報告する. また今後の方針として,大規模なボリューム可視化におけるスケール空間の応用についても述べる.
 
坂部 祥貴 M2 湊 小太郎 加藤 博一 杉浦 忠男 中尾 恵
発表題目:内視鏡下切削手術計画支援のための患者個人の医用画像に位置合わせ可能な椎骨テンプレートの開発
発表概要:内視鏡下の整形外科手術は,従来の固定具を用いた脊椎の固定術と異なり, 椎骨の一部のみを切削することで患部へアプローチし, 低侵襲で神経の圧迫を緩和する手術である. 術後の脊椎への負担を最小限に抑えるために,切削範囲の綿密な計画や切削後の強度評価が望まれている.その術前計画を支援するためのシステムにおいて,臨床における実用の際,実測ボリュームデータからの椎骨領域のセグメンテーション,メッシュの作成、境界条件の設定が複雑で時間を要することが問題となる.また,患者個人のデータごとに毎回定義が必要で,セットアップに時間を要している.本研究では患者個人のデータに位置合わせ可能な椎骨テンプレートの開発を目的とする.境界条件をあらかじめ設定した椎骨の四面体メッシュをテンプレートとして作成する.次に患者データから椎骨の解剖学的情報を抽出し位置合わせする際の基準点として与えることで本テンプレートを患者データに位置合わせする.症例ごとに逐次モデルを作成することなく切削,応力解析等のシミュレーションが可能となる方法を提案する.
 
今西勁峰 D1 湊 小太郎 加藤 博一 杉浦 忠男 中尾 恵
発表題目:2Dポインティングデバイスを用いたMED法(MicroEndoscopic Discectomy)のための切削計画支援手法
発表概要:低侵襲である後方進入内視鏡下腰部椎間板ヘルニア摘出術(MED法)において,切削対象である腰椎の形状が複雑であるため,オリエンテーションの把握が難しく,術者に高度な技術を要求する.近年では,安全にMED法を実施するため,術中ナビゲーションを用いた手術が行われている.ナビゲーション下の手術を実施する際には,術前において切削対象となる三次元領域を綿密に計画・設定しておくことが望ましく,切削シミュレーションシステムを用いて支援することが有効と考えられる.本研究では,マウスなどの汎用な二次元デバイスを用いた切削計画手法を開発した.本手法では,汎用マウスによる簡便な入力で,ボリュームレンダリング像内の領域に対して直感的かつインタラクティブな領域編集が行える.さらに,GPU上で切削演算・陰影処理を行うことで高速に切削部のレンダリングを行える.また,誤入力によって引き起こされる意図しない領域への切削を軽減するために,本手法では切削点の深度を管理するフレームワークを導入した.本発表では,提案フレームワークの詳細および医用データ等を用いた検証結果について述べる.
 

会場:L3

司会:石川 周
池田 俊 M2 金谷 重彦 小笠原 直毅 Md.Altaf-Ul-Amin 中村 建介 高橋 弘喜
発表題目:枯草菌の縮小ゲノム株の全ゲノム解析
発表概要:生命現象を理解する上で生命維持に必須な最小の遺伝子セットを特定する事は重要である。遺伝子セットを定義するための手法として、ゲノムを漸減させてゆく手法が開発されている。この手法を用いてBacillus subcilisの縮小ゲノム株が作成された。 Bacillus subcilisはグラム陽性菌で低G+C塩基組成の特徴を持つモデル生物であり、既に全ゲノムが解読されている。その縮小ゲノム株R28は、通常の Bacillus subcilisから合計で約130万塩基が削除されている事がPCRによって確認されている。しかし、縮小ゲノム株の全ゲノム解析は今まで行われてこなかった。近年のシーケンス技術の発展によって大量かつ高速に塩基配列が読むことができるようになり、様々な生物のゲノムの解読が容易になってきた。その中の一つであるSolexaテクノロジーを使ったシーケンサーは短い配列を大量に産出することで従来のシーケンサーの数千倍の塩基配列を読むことができる。これを用いてR28株の全ゲノムシーケンスを行った。縮小ゲノム株のような大規模なゲノムの削除といった現実に起こりうる変化を模したゲノムのシークエンスデータの解析手法と解析結果を報告する。 R28株のシーケンスデータを、 Bacillus subcilis str168のゲノムをリファレンスとして、マッピング解析を行った。 この結果から39箇所の削除領域の予測した。その結果はPCRで確認されていた39箇所の削除領域でそれぞれ一致した。その削除領域周辺のシーケンスデータを用いてゲノムが削除領域の全ての箇所で繋がる事を確認した。さらに、全ゲノムシーケンスに対するR28株の変異箇所を統計的な処理を用いた解析行うことにより決定した。そして、これらの結果と合わせて報告されている Bacillus subcilis str168のゲノムの変異と比較を行い変異傾向に基づく最小の遺伝子セットの再定義を行う。
 
川添 麻衣 M2 金谷 重彦 小笠原 直毅 Md.Altaf-Ul-Amin 中村 建介 高橋 弘喜
発表題目:比較ゲノム学的手法による植物ゲノムの機能推定
発表概要:近年、様々な植物のゲノムプロジェクトの進行により、ゲノム情報を利用できる植物種が増えてきている。モデル植物である双子葉植物のArabidopsis thaliana は他の植物に比べるとゲノム情報だけでなく、タンパク質の機能解析や、遺伝子の発現解析などの面においても情報が豊富であり、植物の中では一番生命現象の理解が進んでいる植物である。しかし、A. thaliana 以外の植物では情報も少なく、植物全体としてみると、微生物や動物等と比較し、研究が遅れているのが現状である。A. thalianaだけでなく、様々な植物の遺伝子機能を整理することは植物研究において重要であると考え、本研究では、比較ゲノム学においてよく使われる遺伝子の関係性の指標であるオーソログ関係を利用して遺伝子セットを抽出し、A. thaliana の機能を元にゲノムデータの出ている4種(Chlamydomonas reinhardtii, Physcomitrella patens, Selaginella moellendorffii, Oryza sativa)の遺伝子機能を推定した。また、抽出された遺伝子セットに対して遺伝子をノード、オーソログ関係をエッジとしてグラフを作成し、形による分類も行った。これによると、5種の植物種による完全グラフにおいては細胞周期やDNAプロセッシング、エネルギー、タンパク質合成など生命維持に関わるような機能を持った遺伝子が多かった。
 
柴田 展行 M2 箱嶋 敏雄 小笠原 直毅
発表題目: 植物ホルモン”サイトカイニン”受容体の構造研究
発表概要: サイトカイニンは植物ホルモンのひとつで, 細胞分裂を促してシュート形成などの植物の重要な生理活性を担っている.現在までにこのサイトカイニンの受容体はCRE1/AHK4, AHK2, AHK3の3種類が報告されている. これらのタンパク質は2回膜貫通型のヒスチジンキナーゼで, 2成分系制御によってシグナルが伝達されていることと, 細胞外ドメインであるCHASEドメインを介してサイトカイニンを認識していることが先行研究で報告されている. しかし, 詳細なサイトカイニンの認識機構や下流へのシグナル伝達機構はいまだ不明である. そこで本研究ではCHASEドメインによるサイトカイニンの認識機構を構造生物学的アプローチによって明らかにすることを目的としている.
本発表では, 研究背景, 進捗状況について説明し, 今後の研究方針について述べる.
 
中川 雅啓 M2 箱嶋 敏雄 小笠原 直毅
発表題目:GRAS family タンパク質による転写制御メカニズムの構造研究
発表概要:植物特有のタンパク質のファミリーに、GRASタンパク質というものがある。GRASはGAI(Gibberellic acid-insensitive), RGA(Repressor of ga1-3) ,SCR(SCARECROW)の文字から名付けられており、シロイヌナズナ、トマト、ペチュニア、ユリ、イネ、オオムギといった多くの高等植物においてホモログが確認されている。現在までの研究で、GRASタンパク質は植物特異的な転写制御タンパク質ということが分かっており、GRASタンパク質は、シグナル伝達や分裂組織の維持管理や成長、ストレス応答といった多岐に渡るプロセスを転写レベルで制御していることが近年明らかとなってきている。そこで本研究では、シロイヌナズナのGRAS タンパク質の構造解析を行うことで、GRASタンパク質が持つ転写制御の詳細なメカニズムを構造生物学的アプローチによって解明することを目的とする。本発表では、先行研究の紹介、研究の進捗状況と、今後の研究方針について述べる。
 
賀儀山 めぐみ M2 箱嶋 敏雄 小笠原 直毅

発表題目:植物の枝分かれ抑制因子シグナル伝達の構造研究

発表概要:植物の枝分かれは,腋芽の形成とその伸長によっておこる.腋芽は常に伸長するとは限らず,茎先端の頂芽が生長している間は,その伸長が抑制される.これは,「頂芽優勢」と呼ばれ,植物ホルモンのオーキシンとサイトカイニンが関与している.この現象は,すでに半世紀も前から知られているが,その分子機構についてはほとんど解明されていない.最近,枝分かれの過剰な変異体(分げつ変異体)の解析から,枝分かれを抑制する第3の因子が明らかになってきた.枝分かれを自由に制御することは,農作物の収量・品質の調節や新品種の育成において重要である.

そこで,本研究では,新規に報告された分げつ変異体に注目して,植物の枝分かれにおける分子機構について構造生物学的なアプローチによって明らかにすることを目的としている.

本発表では,研究背景、進捗状況について説明し,今後の研究方針について述べる.