ゼミナール発表

日時: 10月28日(水)3限 (13:30-15:00)


会場: L1

司会:北野 健
武 兵 M2 伊藤 実 杉本 謙二 安本 慶一
発表題目:天気変化を考慮した観光スケジュール群の探索アルゴリズム
発表概要:観光では,晴天時と雨天時とでは適した観光のスケジュールが異なり,旅 行者の満足度は天気に大きく左右される.そのため,予め予想された天気に最適 な観光スケジュールを事前に作成しておくことが重要である.しかし,天気予報 が「晴れのち曇り,降水確率30%」など,時間経過に従い天気が確率的に移り変 わる場合,時間経過に伴う天気の変化パターンは多数存在する.これら多数の天 気の変化パターンの全てに適した観光スケジュールの作成は,パターンの多さ, 天気変化の不確実さなどの点で,困難な問題である.本研究では,天気(晴,曇, 雨)が確率的にしか予測できない場合を想定した,任意の天気変化パターンに対 応した観光スケジュール群を算出する問題を取り扱う.このスケジュール群は, 出発地点を根として目的地ごとに分岐する木(スケジュール木と呼ぶ)で表現さ れる.本問題の目的は,スケジュール木によって示された確率的なスケジュール の,ユーザ満足度の期待値の総和を最大化することである.この問題を解くため の欲張り法および局所探索法に基づいた近似アルゴリズムを提案する.
 
長嶋 翔 M2 木戸出 正繼 杉本 謙二 松原 崇充
発表題目:低次元空間における局所最適制御則の合成
発表概要:近年,ロボットは人の生活環境下で活躍することが期待されており,その時には人やものとの物理的な接触を考慮して,コンプライアンスを有する制御を行っていく必要がある. このような課題に対して,最適制御が注目されており,近年その局所的近似解法であるILQGが提案され,実機での有効性も報告されている. しかし,ILQGは計算量が多く,また得られる制御則の次元数が多いため,計算時間が問題となってしまう. 本研究では,ILQGで得られた複数の制御則から特異値分解を用いて低次元空間を抽出し,その空間で考えることにより,制御則を高速かつ高精度に合成する手法を提案する. 本手法は,低次元空間の基底分だけの最適制御則と,低次元空間における制御則である点の位置と目標点との対応関係のみから構成されているため,合成に要する計算量やメモリ量の観点から非常に効率の良い方法となっている. 発表では,実機を用いたILQGの検証結果,及び提案する合成アルゴリズムについて述べる.
 
西田 実加 M2 湊 小太郎 箱嶋 敏雄 杉浦 忠男
発表題目:がん細胞における細胞駆動張力計測システムの開発
発表概要:がん細胞をはじめとして、細胞移動は細胞の持つ基本的な機能の一つである。細胞が移動する際には、駆動するための力を発生させていると考えられ、その駆動力を計測できれば移動に関わる機構が解明されると期待される。また、がんの転移のメカニズムが明らかにされると期待される。本研究では、細胞の駆動力を“細胞が自身で移動するときに発生する力”と定義し、がん細胞の移動時に発生する駆動張力を計測するシステムの開発を目標としている。がん細胞の駆動張力計測システムの開発における現段階までの結果や今後の展望などについて発表する。
 

会場: L2

司会:新保 仁
大林 千尋 M2 池田 和司 小笠原 司 柴田 智広
発表題目:ダーツ投擲運動の学習支援システムの開発
発表概要: 近年,ロボティックデバイスを用いた習字の学習支援システムや拡張現実を用いた歩行学習支援システムなど様々な運動学習支援システムが提案されている. しかし,運動学習の早さや熟達度は個人毎に異なることや同じ情報を提示してもその情報の受け取り方は人それぞれであり,この個人差に対応することが問題とされている. 本研究では,物理的に学習者を補助する場合において学習者の上達促進には熟達度に応じて補助量を減らす必要があるという仮説をたて, 適応的なパラメータチューニングが可能な強化学習を用いて学習者の熟達度に応じた補助量の調整を行う手法を提案する. 実証実験として,対象とする運動をダーツ投擲動作として実験環境を整備した. 次に学習者の熟達度を計る指標として熟達者と非熟達者の動作を比較することで運動のパフォーマンスと相関のある特徴量(肩と肘の試行間のブレの大きさ)を抽出した. この特徴量から学習者を物理的に拘束することで改善がみられると考え,学習者の利き腕を6自由度のロボットによるアクティブな拘束を行うこととした. 実証実験は,以下の3つの条件 1)補助がない場合,2)パッシブな補助がある場合(棒による支持),3)アクティブな補助がある場合(ロボットによる支持)で 同じ学習段階の被験者によって行った.本発表ではこれまでに得られた成果について報告する.
 
滝田 智行 M2 池田 和司 小笠原 司 柴田 智広
発表題目:CPG強化学習により安定性とエネルギ効率をバランスする二足歩行ロボット
発表概要:二足歩行ロボットの制御方法には,いくつかの手法が存在し,その中でどの手法を用いるかは安定性とエネルギ効率によって決められる.一般には,エネルギ効率が高いものは安定性が低く,エネルギ効率の低いものは安定性が高いという相反する関係にある.  それの中間に位置するものとして,中枢パターン発振器(CPG)を用いた歩行がある.これは,単純な目標軌道を生成するものの外部の状態をフィードバック項として用いることができるために,エネルギ効率と安定性がこれらのほぼ中間にあると考えられる. CPGを用いた歩行においてエネルギ効率を高める方法としてトルクフリー期間(CPGから出力に関わらずトルクを出力しない期間)を用い,それの調整に強化学習を用いることで自律的に高める方法がある.  しかし,従来手法ではトルクフリー期間を歩行開始からの時間で設定しているために,外部からの状況の変化に追従させるためには適切ではないという問題がある. そこで,本発表ではその解決手段を提示し,シミュレーション実験と実機への展開について報告する.
 
長嶋 剛志 M2 湊 小太郎 松本 裕治 杉浦 忠男 佐藤 哲大
発表題目:初期診断支援システムの開発
発表概要:近年,医療知識は医学の進歩に伴い増加しており,医師は内科領域や外科領域などの専門領域に分化することで対応してきた. しかし,初診患者に対する診断(初期診断)には,領域をまたぐ疾患に対する幅広い知識が要求されるため,専門領域に強い医師であっても困難である. そこで,本研究では,初期診断の際に患者から得られる症状・所見を入力することで,候補疾患リストを出力する初期診断支援システムの開発を目指す. 本発表では,初期診断支援システムが推論に用いる知識ベースの構造,及びその構造に適した知識収集システムを開発した結果を示し,今後の課題について述べる.
 
藤木 健史 M2 千原 國宏 横矢 直和 眞鍋 佳嗣 浦西 友樹
発表題目:ウェアラブルコンピュータ操作のための指輪型インタフェース“Ubi-WA”
発表概要: 本研究ではコンピュータの新しい使用方法であるウェアラブルコンピュータのためのフィンガジェスチャ操作インタフェースについて扱う.近年,ウェアラブルコンピュータの基幹技術である装着型ディスプレイや拡張現実技術などの発展が目覚ましい.入力に小型カメラ,出力に装着型ディスプレイを使用するようなウェアラブルコンピュータでは,2Dディスプレイのような表示・操作範囲の制約がなく,自分の周り全てを表示・操作空間とすることができるため,拡張現実技術と組み合わせたアプリケーションが開発できる.例えばショッピングの際に,箱や袋に封入され手に取って確認できない商品を目の前の3次元空間に表示して確認できるようなアプリケーションでは,仮想物体を手で直接「移動」「回転」「拡大」などの操作ができるほうが直感的でよい考えられる.そのためには手の3次元空間での位置・姿勢を推定する必要がある.また,ウェアラブルコンピュータで使用することを考慮すると,最小限の装備であることも望まれる.本研究では最小限の装備で3次元空間中の位置姿勢が推定可能な指輪型インタフェース“Ubi-WA”について提案する.現在のUbi-WAプロトタイプは2色の色情報を持つ形状で,画像処理を用いて抽出した色情報からUbi-WAのエッジ部分の座標値を検出し,最小二乗法を用いて楕円形状を推定することで,装着した指の位置姿勢を推定できる.本発表ではUbi-WAの位置姿勢推定手法およびその推定精度について報告する.
 

会場: L3

司会:小木曽 公尚
奥村 哲也 M2 飯田 元 西谷 紘一 松本 健一
発表題目:ソフトウェアタグでの運用を目的とした可視化ツール
発表概要:ソフトウェア発注者が開発を任せきりにしてしまっているソフトウェア開発では,設計ミスや仕様変更が発生することが多い.そのような事態を防ぎ,ソフトウェア開発データを発注者・受注者間で共有するための基盤技術として,ソフトウェアタグの開発が進められている.ソフトウェアタグには非常に多くの情報が含まれているが,そのままでは開発中に発生したことを読み取るのは難しいため,様々な観点からの可視化を行う必要がある.本研究では,発注者がプロジェクトの進捗状況を把握する際にソフトウェアタグを利用するという状況を想定した可視化ツールを開発した.従来の可視化ツールでは下流工程の可視化に重点を置いていたが,本ツールでは開発工程全体を網羅しているソフトウェアタグを用いているため,上流工程を含めた可視化を行うことが可能である.
 
片山 真一 M2 飯田 元 西谷 紘一 松本 健一
発表題目:ソフトウェアタグ運用基盤のためのプロセスシミュレータ
発表概要:近年,ソフトウェア開発において発注者の参画が重要視されてきている.従来,ソフトウェア開発は受注者任せであるケースが多く,様々なトラブルの原因となっている.そこで,発注者と受注者の橋渡しのための技術として,ソフトウェアタグが研究されている.今後ソフトウェアタグを利用したソフトウェアタグ運用基盤が開発される予定であるが,ソフトウェアタグ運用基盤の設計・検証に必要となるタグデータが現在は十分に収集されていない.そこで,本研究ではソフトウェアタグ運用基盤の設計・検証に用いることの出来るタグデータを擬似的に生成するプロセスシミュレータの開発を行った.本ツールを用いることで従来のシミュレータでは対象としていなかった多くの項目を生成し,仮想タグデータを生成できることを確認した.
 
大貫 良幸 M2 池田 和司 松本 健一 川人 光男★3 神谷 之康
 
堀川 友慈 M2 池田 和司 松本 健一 川人 光男★3 神谷 之康
発表題目:高次脳領域における順応時の情報読み出し過程の変化特性
発表概要:滝の錯視など運動視の錯覚現象において観察されるように、我々の知覚および脳の感覚ニューロンの反応特性は、先行する感覚入力に大きく影響を受けることが知られている。これまでに、脳の視覚野のニューロンが外界の刺激の影響を受けることでどのように情報の符号化特性を変化させるか、という脳の情報エンコーディングの側面に関する研究が多くなされてきた。その一方で、より高次のニューロンによる低次ニューロン集団からの情報読み出し特性が、順応時にどのように変化するか、あるいはそもそも変化するのかという点に関しては未解明の部分が多い。本研究では、運動残効時の脳活動の多変量解析を通して、高次脳領域における情報の読み出し過程のダイナミカルな特性について調べることを目的としている。本発表では、現在の進捗状況について報告する。