ゼミナール発表

日時: 10月2日(金)2限 (11:00-12:30)


会場: L1

司会:橋本 健二
石丸 泰大 M2 伊藤 実 山口 英 安本 慶一
発表題目:データの重要度と配送期限を考慮したDTNデータ配送手法の提案と評価
発表概要:本発表では,DTNにおけるユーザ満足度を考慮したコンテンツ配送手法を提案する.提案手法では,観光地などの対象エリア内を移動するユーザ間での口コミ情報の交換をDTNで実現する.対象エリアにはInfoBoxと呼ばれるデータ収集・配信サーバが複数設置されており,各ユーザはInfoBoxへのクエリの送付,InfoBoxからのデータの受信のみが行えるとする.その際,各クエリにユーザが一定の満足度を付与するものと考え,ユーザ満足度の総和をできるだけ大きくするクエリ/データの経路制御法を提案する.提案手法では,InfoBox間のユーザの移動確率に応じてデータの複製数を調整する,配送期限に間に合わないデータを途中で廃棄するなどの方法により,効率の良いデータ配送を実現する.このようにして高いメッセージ到達率を実現し,満足度の最大化を目指す.奈良公園近辺の観光環境を想定したシミュレーション実験を行った結果,提案手法が他の手法と比較してより満足度の高いデータ配送を実現することを確認した.
 
松本 啓司 M2 伊藤 実 関 浩之 安本 慶一
発表題目:水中センサネットワークにおける水面を移動可能なアンカーノードを用いたノード位置推定手法の提案
近年,海洋調査などの目的のため,広範囲の海域に情報収集のための水中センサネットワークを構築する技術が注目を集めている. センサネットワークではイベントの発生場所や故障機器の場所を特定するため,各センサノードの位置情報を求めることは重要である. しかし,水中センサネットワークでは電波の減衰によりGPSが使用不可能なため,各センサノードが自身で位置情報を知ることは困難である. 本発表では,水中センサネットワークにおいてすべてのセンサノードの位置を低コストで正確に推定するため, 水面を移動可能な船型のアンカノードを用いた位置推定手法を提案する. 提案手法では,まず海底のセンサノードと通信可能な海面上の領域からアンカノードがセンサノードと信号の送受信を行い, 信号の到着時間差から各センサノードまでの距離を測定する. 1つのセンサノードに対して一次独立な3地点からの距離が分かれば,それらの情報とセンサノードの水圧センサから求めた水深を用いて三辺測量により位置を推定できる. 提案手法では,アンカノードがそれらの地点をすべて回りかつ移動コストが小さくなる経路を導出し,その経路を実際にアンカノードに移動させることで, すべてのセンサノードの位置を推定する.
 
樋口 峰夫 D1 小笠原 司 杉本 謙二 高松 淳
発表題目:人間共存型作業補助アーム
発表概要:生産工程等で人間の作業補助を行う機器として,人間と作業空間を 共有して作業できる人間共存型ロボットの開発が急務である.従来研究されて いるパワーアシストは,サーボモータにより外界に対して駆動力を発生するの で安全性の点で問題を残してい る.そこで,関節を駆動するモータを持たず, アーム先端に任意の受動的な案内面を発生させることで人手による搬送作業等 を補助する「作業補助アーム」を提案している.作業補助アームは3自由度の 垂直多関節型ロボットアームと同様の関節配置を持ち,各関節を無段変速機 (CVT)と差動機構で結合した構成で,CVTの変速比を案内面とアーム姿勢の関 数として制御することで任意の案内面を発生する.本発表では作業補助アーム の原理,機構,試作機による実験結果について述べる.
 

会場: L2

司会:藤澤 誠
松山 拓矢 M2 山口 英 加藤 博一 門林 雄基
発表題目: 特定の状況・状態にある機器を発見出来る地理的領域を広げる為の研究
発表概要: スマート環境では、あらゆる物にデバイスが組み込まれ、情報蓄積、情報処理、ネットワーク通信機能を持つ。このような物をスマート機器と呼ぶ。スマート機器の提供する機能は、ネットワークを通じて他の機器から自由に利用する事が出来る。将来このスマート環境が実現すると、非常に多くのスマート機器が街中に溢れ、機能を提供するようになる。また、スマート機器の状態の変化や移動などによる状況の変化により、人々の利用出来る機器が常に変動する。そのため、市内などの地理的に広範囲な領域から、利用の目的に合った状況・状態にある機器を探し出す事は困難である。本発表では、これまでの研究の取り組みについて説明し、関連研究との比較を行い、進捗を報告する。
 
牧山 彰太 M2 木戸出 正繼 加藤 博一 波部 斉
発表題目:多視点画像からの死角の少ない広範囲合成画像の生成
発表概要:複数の画像を張り合わせる際,投影中心が同一の場合は継ぎ目のない綺麗な画像が生成されるが,そうでない場合はズレや重複して見える部分が生じる.本研究では,未校正カメラで撮影した投影中心が異なる多視点画像から,死角が少なく且つ人が見やすい広視野合成画像を生成する手法を提案する.そこでは陽にシーンの形状を復元せず,画像間の特徴点の対応関係から中間視点での画像を生成し,それらから広視野画像を合成する.本発表では,主に提案手法,予備実験の結果および今後の取り組みについて述べる.
 
木村 昌樹 M2 松本 健一 加藤 博一 門田 暁人 大平 雅雄
発表題目:オンライン協調作曲におけるコミュニケーション支援システム
発表概要:本研究は,オンライン協調作曲におけるコミュニケーション支援システムの構築を目指している. DTM(Desktop Music)ソフトウェアを用いた作曲活動が近年盛んに行われている.DTMソフトウェアは,自動演奏,作曲の効率化,不足楽器の補完などを目的として,作曲初学者からプロミュージシャンまで幅広く利用されている.また,ネットワークを介して演奏データをやりとりすることで,場所や時間を越えた共同作曲も可能である. しかしながら,現状のDTMソフトウェアは複数人の作曲活動における編集作業に必要な同期的コミュニケーションを十分に支援していない. 本発表では,作曲理論に基づいて抽出した支援システム構築のための要件と,システム構築及び評価に向けた今後の指針について報告する.
 
山本 瑞起 M2 松本 健一 加藤 博一 門田 暁人 大平 雅雄
発表題目:分散開発における協調作業効率化のためのアウェアネス支援システム
発表概要:近年,複数の拠点を持つソフトウェア開発(分散開発)は,インドや中国を主な委託先として広く普及しつつある.一方で,分散開発を阻害する3つの要因(地理的・時間的・文化的距離の違い)により様々な問題が生じている.地理的距離の違いが対面でのコミュニケーション機会を減少させること,時間的距離の違い(時差)がテレビ会議などのリアルタイムでのコミュニケーション機会を減少させること,文化的距離(文化や商習慣など)の違いがステークホルダ間の相互理解を困難にすることなどである.そこで本研究では,分散開発における協調作業の効率化を目的として,分散開発の3つの阻害要因のうち地理的距離,時間的距離に起因する問題を軽減させためのアウェアネス支援システムを構築する.本発表では,支援システムの概要を述べるとともに,研究進捗状況と今後の方針について報告する.
 

会場: L3

司会:佐藤 哲大
山尾 将隆 D2 石井 信 湊 小太郎 別所 康全(バイオサイエンス研究科) 作村 諭一
発表題目:シミュレーションと実データ解析を用いた細胞移動に関する研究
発表概要:脊椎動物の発生にとって、細胞移動は非常に重要な機能である。しかしながら、細胞集団内における移動が、細胞の揺らぎや固さと言った物理的特徴にどのように影響されるのかはわかっていない。そこで、単純な細胞モデルを用いたシミュレーションを行い、それらについて調べた。また現在、細胞移動に重要な役割を担っているとされる、Racの活性をモニタしたFRET動画の解析も進めている。具体的には、膜端運動とそれに対応するRac活性の局所的な時系列に対して、正準相関解析を行った。本発表では、これらの結果について報告する。
 
青木 孝剛 M2 石井 信 湊 小太郎 作村 諭一 吉本 潤一郎
発表題目:初期視覚野における色情報処理に関する研究
発表概要:自然界から感覚器官に入力される情報は膨大である。そのため、動物や人間の脳は、外界の情報を効率的に伝えるためにスパースコーディングで表現しているという事が示唆されている。特に、視覚系の第一次視覚野(V1)には、線分様の刺激に高い応答を示す受容野が存在し、この受容野が持つ特性とスパースコーディングの関連性がOlshausenらによって示されている。しかし、これまでの研究では、V1にある色受容野の情報表現がスパースであるかは分かっていない。そこで本研究では、Olshausenらのモデルをベースに、V1における色受容野の形状や発火特性がスパースコーディングに与える影響について議論する。
 
今谷 恵理 M2 池田 和司 湊 小太郎 柴田 智広
発表題目:ヒト皮質脳波からの黙読単語推定に関する研究
発表概要:皮質脳波(ECoG)は空間分解能がEEGより優れ、またノイズを受けにくいことからBMIへの応用が期待される.本研究ではECoG電極を装着した被験者に対し2単語の黙読課題を実施し、計測した皮質脳波からそれら黙読された単語の推定を試みた.本発表ではこの進捗状況を報告する.
 
西田 知史 M2 池田 和司 松本 健一 柴田 智広
発表題目:タスク目標が注意の配置と広がりに及ぼす影響
発表概要:複雑な視覚情報から認知・行動に必要な特定の情報に対して計算資源を割り当てるために,ヒトは視覚的注意のメカニズムを有している.タスクの目標や知識などのコンテキストに依存して,注意はその配置や広がりをトップダウン的に変化させる.本研究では,そのような注意の配置や広がりに対してタスク目標がどのように影響を及ぼすかを,3つのアプローチを用いて調査した.1つ目は顔識別タスクにおいて,2つ目は物体知覚との関係について,3つ目は運動物体追跡タスクにおいて,それぞれ心理実験を行い検証を試みた.本発表では,これらのうち運動物体追跡タスクにおける注意の配置と広がりに関する検証の,実験内容および結果について報告する.