ゼミナール発表

日時: 12月8日(火)3限 (13:30-15:00)


会場: L1

司会:栗田 雄一
福本 隆弘 ロボティクス 小笠原 司
発表題目:移動体検出可能な俯瞰画像生成
発表概要:ロボットの遠隔操作において広視野画像の取得は重要な要素であり,盛んに研究が行われている.本発表では従来研究として,Ecological Displayと過去画像履歴を用いた方法を紹介する.これらの研究はロボットと周辺環境の位置関係を把握できるものとなっているが,未知環境において現在の状況を提示することは困難である.そこで,これらの問題を解決する手法として過去画像に現在画像を合成する移動体検出可能な俯瞰画像生成法を提案する.
 
堀口 康人 ユニバーサルコミュニケーション(知能情報処理学) 木戸出 正繼
発表題目:特性の変化に適応的なダイナミクスモデルの学習法とその応用
発表概要:現在様々に開発されているロボットの動作において,例えば包丁を切る動作・物を運ぶ動作・卓球を行う動作といった アーム(腕)の動作には,正確でコンプライアンスを有する必要がある.それら動作の実現には 正確なダイナミクスモデルの同定が必要となってくる.その手法としてGaussian Process Regressionなどの「回帰」による同定があるが, 一旦特性が変化(形状の変化・重さの変化)すると,再度一から学習を行う必要がある. 本研究では,如何に特性の変化に適応的にダイナミクスモデルを同定するかについて焦点をあて,そのアプローチ手法と現在の進捗について紹介する.
 
松添 静子 知能情報処理学 木戸出 正繼
発表題目:Wizard of Oz法によるコミュニケーションロボットの個人適応
発表概要:ロボットが人の身体性と大きく異なる場合,適応行動の実現が現状では困難である.そこで本研究では,人とロボットとの円滑なコミュニケーションの実現へ向けWizard of Oz法によって人の知能をロボットに適用し,適切なコミュニケーションを効率的に見出すアプローチを提案する.また,見出されたセンサ・行動間の関係性を解析することで,ロボットの個人適応の実現が期待される.今回は本研究の背景及び目的を述べ,問題解決のためのアプローチについて述べる.
 
松田 昂 知能情報処理学 木戸出 正繼
発表題目:人物動作をクエリとした動画からの類似動作の検索
発表概要:現在,インターネット・テレビ放送などにより, 身の回りに膨大な量の動画が存在している. 目的とする動画を得るために,現在,テキストベースの検索が多く行われているが, タイトルやタグが必ずしも動画の内容を反映しているとはいえない. そのため,動画の内容を考慮した検索が求められている. 本研究では人間の動作に注目し,その動作から動画の検索を行うことを考える. 人間の動作は特徴的であるため,検索の具体的なクエリとして期待される. 今回は関連研究と,所望する機能を実現するためのアプローチについて述べる.
 
光武 雅人 インタラクティブメディア設計学 加藤 博一
発表題目:論文紹介"Super-Helices for Predicting the Dynamics of Natural Hair"
発表概要:バーチャルな人間をCGで描画するとき、髪のアニメーションは最も難しい問題のひとつである。人間の髪は非線形の振る舞いや集団的挙動をもっており、数十万本もの毛で構成され、お互いに相互作用する。流体や固体と異なり、髪のシミュレーションは未だ上手くモデル化されていない問題のひとつである。これまで、いくつかの計算モデルが提案されているが、どれも巻き毛の変形といった非線形の振る舞いを示すことができていない。本論文では計測可能な現実の髪のパラメータに基づき、様々な髪のタイプを表現可能なSuper-Helicesモデルを提案する。
 
三村 豪 インタラクティブメディア設計学 加藤 博一
発表題目:粒子法を用いた流体アニメーションにおける表面生成手法の改良
発表概要:現在、ゲームや映画など様々な場面で流体シミュレーションが用いられている。そのシミュレーション手法の一つとして粒子法がある。粒子法は、流体の挙動を高速に計算できるが、液体表面を描画する際に粒子の情報から表面を生成しなければならないため、表面が凸凹したり、丸くなるなどの欠点がある。本発表では表面生成に関する先行研究を紹介し、さらなる改良に向けての我々の提案手法について述べる。
 

会場: L2

司会:浦西 友樹
是竹 有里 音情報処理学 鹿野 清宏
発表題目:HMMに基づく音声合成におけるモデル学習法の検討
発表概要:任意の文字情報から音声を生成する技術にテキスト音声合成が存在する. その技術の一つとして隠れマルコフモデルに基づく音声合成(HTS)が存在する. HTSは高い柔軟性を持つが, 音声特徴量のモデル化による合成音声の音質は十分でない. そこで, 本研究ではHTSの音質向上を目的として, 今回は現在使われているトラジェクトリ学習に注目した. 本発表では, 従来の学習とトラジェクトリ学習の比較と今後の予定を述べる.
 
坂井 鉄男 自然言語処理学 松本 裕治
発表題目:近似近傍探索法の自然言語データへの適用と性能評価
発表概要:自然言語処理の多くのタスクでは構文木などの木構造を扱うことが多い. 近年, カーネル法を用いて木構造同士の類似度を計算する手法が提案されてきたが, 数十万から数百万単位の木構造すべてに対して, これらの手法を用いて類似度計算を行い, 近傍探索を行うことは計算量の問題から非現実的であった. そこで本研究では, 画像検索において有効性が報告されている近似を用いた近傍探索法を木構造データに適用し, その有効性を検証する.
 
出口 大祐 音情報処理学 鹿野 清宏
発表題目:各種NAMマイクロフォンを用いた肉伝導音声変換の評価
発表概要:周囲の人に迷惑をかけずに音声コミュニケーションを実現するために非可聴つぶやき声(Non-Audible-murmur:NAM)の利用が考えられている.NAMは通常のマイクロフォンで録音することが難しい.NAMを体表から収録を行うNAMマイクロフォンが開発されているが,このマイクロフォンで収録される音声は通常音声に比べ音質が劣化している.これを改善するために肉伝導音声変換が提案されている.しかしながらNAMマイクロフォンは,規格が決まっていないためマイクロフォンごとに異なった周波数特性を持ち専用の変換モデルが必要である.本研究では,既存の変換モデルを別のNAMマイクロフォンでも利用できるよう適応処理を行うことで性能の向上を目指す.本発表では,肉伝導音声変換を紹介し,現在の進捗及び今後の方針を述べる.
 
縄田 寛之 音情報処理学 鹿野 清宏
発表題目:オーディオオブジェクトの定位情報に基づく楽曲の自動サムネイル化
発表概要:近年,消費者の購買意欲を促進する楽曲試聴システムを実現するため,楽曲の主要な構成を解析し自動で試聴音源を生成する楽曲サムネイル生成技術が望まれている.本研究では,楽曲を構成する各フレーズと,その各楽器音(オーディオオブジェクト)の定位情報に相関があるという仮説のもとで,オーディオオブジェクト定位情報を利用した楽曲構成解析法を提案する.提案手法では,k-meansクラスタリングによるオーディオオブジェクト符号化において,定位の切り替り時刻を求めることにより,楽曲構成の変位点を推定する.本報告では,客観評価試験により提案法の評価を行い,得られた知見を示す.
 
服部 信彦 音情報処理学 鹿野 清宏
発表題目:一対多固有声変換を用いた音声翻訳システムにおける声質制御
発表概要:言語の壁を越える音声コミュニケーションの1つである音声翻訳システムの研究が注目を集めている.しかし,これまでの音声翻訳システムでは,出力される音声は予め定められた話者の声に固定されている.このため,母国語同士で話すときのような自然で円滑なコミュニケーションはまだ実現できていない. そこで,本研究では入力話者の声による音声出力を可能にするため,音声翻訳システムに,ある入力話者の声質を任意の話者の声質へ変換する一対多声質変換を導入する.本発表では,一対多声質変換の原理と提案する音声翻訳システムの枠組みを紹介し,現在の進捗及び今後の方針を述べる.
 
林部 祐太 自然言語処理学 松本 裕治
発表題目:基本レベルカテゴリによる語義曖昧解消
発表概要:機械翻訳,検索,自動要約など多くの場面で自然言語処理が用いられているが,「語義の曖昧性」が問題となることがある. 語義曖昧性解消のために多くの手法が提案されているが,既存の手法は単語ごとにあらかじめ定義された語義を用いて,与えられた単語の語義を判定する手法がほとんどであるが, 語義区分の粒度が各単語によって統一されておらず,その語義区分での語義曖昧性解消が妥当であるかという問題点がある. そこで,語義区分の粒度を統一するために,辞書の語義ではなく「基本レベルカテゴリ」を用いた手法を提案する.