ゼミナール発表

日時: 12月7日(月)3限 (13:30-15:00)


会場: L1

司会:藤澤 誠
中川 達裕 論理生命学 池田 和司
発表題目:ロボットによる道具利用のための自己モデル変換を通じた道具身体化モデル
発表概要: 近年,ロボットの社会進出が目覚しく, 家事ロボットなどの登場により,介護や医療の現場での活躍も期待される. 生活空間においては,ロボットには様々な物体を道具として扱う能力が必要になる. ロボットによる道具利用には, 道具の認識とタスク達成のための動作の生成の二つの問題を解決する必要がある. 人は道具を使うとき,あたかもそれを自身の身体の延長のように感じる 「道具身体化」の能力を持ち, それが道具利用に重要だという生物学的な知見が得られている. このことから, 道具を身体の一部として認識することで, 過去の経験にもとづいて動作が生成可能になると 考えられる. 本発表では, 道具身体化のモデルを構築し, タスク達成のための動作を生成する手法を提案する.
 
畑 丈智 生命機能計測学 湊 小太郎
発表題目:脊椎切削手術を対象としたリアルタイム応力解析

発表概要:脊椎切削術では、背詰や椎間板を部分的に切削・切除することで神経への圧迫を除圧を行う。
切削範囲が大きいほど、術後の脊椎への負担が大きくなるため、綿密な計画や切削後の強度評価が望まれている。
本研究では、日常生活で脊椎生じる応力を手術計画時に応力分布として表示し、医師が切削範囲を計画・評価できるよう支援するためのシステム開発を目指す。
 
濵田 薫 デジタルヒューマン学(ロボティクス) 小笠原 司
発表題目:室内移動ロボットのための環境地図の作成
発表概要:近年家庭やオフィスで案内、警備などのサービスを行うロボットの導入が進められている。そのようなサービスロボットに必要な要素技術として安全な経路計画、歩行者回避等の研究が行われている。従来研究では障害物を回避し目的地を目指す経路計画、衝突しそうになったときの歩行者回避等の研究が行われてきた。本研究では、歩行者の動線から環境中の移動領域や歩行者の移動方向を持った環境地図を作成を提案する。そして、それを元に人の決めた移動可能領域、不可能領域を意識した、安全で人に衝突しにくい経路計画を行うことを目指す。
 
日永田 佑介 ロボティクス 小笠原 司
発表題目:動的環境下に適用可能な地図情報のプリミティブ形状近似によるSLAM
発表概要:近年,人と作業空間を共有するロボットの研究開発が盛んに行われているが,人混みのような変化のめまぐるしい動的環境ではSimultaneous Localization and Mapping(SLAM)を用いた周囲環境のモデル化は困難である.
そこで,本発表では動的環境下でのSLAMに関する研究の紹介を行い,よりセンシングが困難な動的環境下で環境モデルを取得する手法として,地図予測を行うことで問題の解決を目指す,地図情報のプリミティブ形状近似によるSLAMシステムを提案する.
 
平原 裕貴 知能情報処理学 木戸出 正繼
 
福嶋 誠 計算神経科学(論理生命学) 池田 和司
発表題目:時間拘束条件付き脳内電流源推定アルゴリズムの開発
発表概要:ヒト脳活動を非侵襲的な方法で観測する信号の一つとしてMEG(脳磁図)があり,神経活動をミリ秒単位の時間分解能で計測することができる.しかし脳活動をミリメートルの空間分解能で求める場合には,数百個のセンサーから数万個の皮質頂点上の活動強度を推定しなければならず(強い不良設定性),何らかの拘束条件を加えなければ推定解を一意に定めることができない.我々の研究室ではこの問題に対して,近年機械学習の分野で盛んに研究されているベイズ推定を適用し,事前確率の形で空間的な拘束条件を加えた階層ベイズ推定法(Sato et al. 2004)を開発した.ただしこの手法では,観測データおよび脳活動時系列が時間的に独立であることを仮定したモデル化を行っているため,データの時間情報を用いた推定ができない.そこで本研究では,階層ベイズ推定法を状態空間モデルへと拡張し,空間拘束条件のみならず時間拘束条件まで用いた新たな推定アルゴリズムを提案する.なお今回はその第一段階として,時間連続条件を用いた脳活動推定のシミュレーションデータへの適用を試みた.
 

会場: L2

司会:大竹 哲史
森 浩大 コンピューティング・アーキテクチャ 中島 康彦
発表題目:論文紹介 “A Coarse-Graind Array Accelerator For Software-Defined Radio Baseband Processing”
発表概要:近年無線規格が多様化している.そこで,ソフトウェアレベルで無線規格を変更可能としつつ,低消費電力を実現するソフトウェア無線のためのプラットフォームの開発が行われている.ソフトウェア無線では,処理時間の大部分を,命令並列性とデータ並列性が高いループ処理が占める.これまでに提案されていた既存プラットフォームは,それぞれ異なった利点を持つとともに異なる欠点が存在した.そこで本論文では,既存プラットフォームのそれぞれの利点を結合したハイブリッドなアクセラレータを提案している. 5種のベンチマークによる本アクセラレータの平均消費電力は225-333mWであり,低消費電力かつ多様な無線規格への対応を実現した.本発表では初めに論文紹介を行い,最後に今後の研究方針を述べる.
 
渡邊 正隆 ソフトウェア工学 松本 健一
発表題目:過去のバージョンのバグの抽象化によるチェックリストの作成
発表概要:ソフトウェアレビューやテストにおいてチェックリストが用いられている.通常,チェックリストは過去の経験にもとづいて,エキスパートが作ることが一般的であるが,作成がエキスパートに限定されるという問題点があった.本研究では,エキスパート以外でも効果的なチェックリストを作成することを目的とし,チェックリストをシステマチックに作成する方法を提案する.
 
渡邊 良二 コンピューティング・アーキテクチャ 中島 康彦
発表題目:多重化度変更可能なパイプラインを利用したスーパスカラ・プロセッサの構成
発表概要:近年,半導体プロセスの微細化によって,回路の一時的な故障であるソフト・エラー,および永久的な故障であるハード・エラーの発生が増大することが懸念されている.そこで,これまでにソフト・エラー,ハード・エラーを回避するために回路を多重化するなどの手法がとられてきたが,回路面積や消費電力オーバヘッドが大きいという問題がある.そこで,要求される信頼性や動作状況において多重化度を変化させ,信頼性を確保した上で,平均の回路面積コストや消費電力コストを削減できるマルチコア・プロセッサが提案されている.本発表では,まず,先行研究として多重化度変更可能な高信頼プロセッサについて紹介する.その後、先行研究のプロセッサにおいて,多重化の実現のために実装されている通信ポートなどの資源を流用することにより,僅かな付加回路でスーパスカラ実行による処理性能の向上が実現可能であることについても紹介する.
 
Oyunbileg Chingun  ソフトウェア設計学 飯田 元

発表題目:論文紹”Design Pattern Density Defined”

発表概要:In this paper, there newly defined the metric ’Design Pattern Density’ and it would measure how much of an object-oriented design can be understood and represented as instances of design patterns. Expert developers have long believed that a high design pattern density implies a high maturity of the design under inspection. This paper presents a quantifiable and observable definition of this metric. The metric is illustrated and qualitatively validated using 4 real-world case studies.  It presents also several hypotheses of the metric’s meaning and their implications, including the one about design maturity. The paper proposes that the design pattern density of a maturing framework has a fixed point and it shows that if software design patterns make learning frameworks easier, a framework’s design pattern density is a measure of how much easier it will become.

 
Marcos Daniel Villagra コンピューティング・アーキテクチャ 中島 康彦
発表題目:Quantum Walks: Introductory Overview and Ongoing Research
発表概要:The design of quantum algorithms is nowadays one of the major problems in the quantum computing community. An emergent alternative for the design of algorithms is quantum walks. A quantum walk is the quantum counter-part of classical random walks. Results in this field showed that quantum walks can outperform its classical counterpart by exploiting quantum effects such as interference and superposition, giving an exponential speedup for certain types of graphs, and polynomial speedup for some practical applications. In this research, a study on quantum walks on the line is presented. The walk is defined using a coin operator with phase parameters. These parameters are in charge of tuning the standard deviation of the walk, this way the walk can be adapted according to the structure of the search space. Closed-form formulas for the state of the quantum walk are deducted using Fourier analysis and the steepest descent method for asymptotic approximation.