ゼミナール発表

日時: 11月18日(水)3限 (13:30-15:00)


会場: L1

司会:高橋 弘喜
間島 慶 計算神経科学(論理生命学) 池田 和司
発表題目:脳情報解読からせまる人の物体認識
発表概要:「計測された脳活動からそれに含まれている情報を読み出す」技術は脳情報デコーディングとよばれ盛んに研究がなされている。例えば過去の研究ではfMRIという脳活動計測装置を用い、そのデータから人が見ている視覚画像、行っている運動の予測などが可能となっている。私はこの脳情報デコーディングの技術を応用し、人間の脳活動(ECoG)から見ている画像内に含まれる物体についてどれだけの情報を読み出すことができるか?ということを試みた。今回の発表ではその結果を報告し、今後どう人間の物体認識のメカニズムに迫っていくか、またそれをどう応用できるかという展望についてお話する予定である。
 
貞島 祥平 生命機能計測学 湊 小太郎
発表題目:全反射顕微鏡による一粒子追跡法
発表概要:一粒子追跡法により、一分子レベルで挙動計測が行えるようになってきた。しかし、一粒子追跡で用いられる金コロイド粒子は標的タンパク質を変性させるなどの欠点を持つ。本研究では、金コロイドの代わりに半導体量子ドット(Quantum Dot, QD)を用いて、一分子レベルでの挙動計測を目指す。量子ドットは粒径によって蛍光波長が異なり、且つ蛍光退色しにくいなど、一粒子追跡法にとって利点が多い。この量子ドットによる全反射蛍光顕微鏡下での一粒子追跡法を開発し、膜タンパク質の機能解析を行う。
 
鶴田 諒介 生命機能計測学 湊 小太郎
発表題目:細胞の駆動力計測システム
発表概要:細胞・細胞外マトリックス間で形成される細胞接着や、接着構造形成後に起こる細胞移動は、細胞増殖やガン化細胞の転移メカニズムといった細胞レベルで起こる重要な現象に関わる因子の一つである。そのため、細胞接着や移動に関する分子的メカニズム解明の為の研究が行われてきているが、力学的応答については未だ解明されていない部分が多い。そこで本研究では、細胞接着と細胞移動に関する力学的メカニズムを解明するため、細胞が接着構造を介して発生させる駆動力を計測するシステムを開発し、薬物応答や細胞の種類による特徴を調べることを目的とする。本発表では、駆動力計測に関する先行研究を紹介し、今後の研究計画を述べる。
 
中川 雅啓 構造生物学 箱嶋 敏雄
題目:植物ホルモン アブシジン酸新規受容体のホルモン認識機構の構造研究

題目:植物ホルモン アブシジン酸新規受容体のホルモン認識機構の構造研究

概要:植物ホルモンの一種であるアブシジン酸(ABA)は、乾燥、低温、塩ストレスに応答して合成されることからストレスホルモンと呼ばれている。ABAの作用機構を明らかにすることは、植物の環境応答メカニズムの理解につながり、ひいては耐性作物開発のための基盤になると期待されている。現在まで、ABAシグナル伝達に関するタンパク質が既に複数同定されており、また、ABAの受容体の研究も多くなされてきた中で、今年に入り、新規のABA受容体が報告された。これは、シロイヌナズナでは14種からなるファミリーで、さらにそれらは3種類のサブファミリーに分けられる。この受容体はABA依存的に、以前からABAシグナル伝達に関わることが知られているプロテインホスファターゼ2C(PP2C)と結合し、その活性を阻害することでABA応答を活性化するが、詳細な作用機構は明らかとなっていない。本研究では、サブファミリー�気紡阿垢觴�容体について、ABA受容体の構造、ABA認識機構、PP2C活性阻害機構を構造生物学的アプローチにより解明することを目的としている。本発表では、研究の進捗状況と、先行研究との比較、今後の研究方針について述べる。

 
西尾 徹 生命機能計測学 湊 小太郎
発表題目:超解像技術を利用した光学顕微鏡による画像取得
発表内容:光学顕微鏡は細胞生物学において重要な技術である。近年、細胞内の分子動態の可視化や分子間相互作用の計測、細胞内信号伝達の研究では、より高分解な光学顕微鏡が求められている。しかし分解能は光の波長で制限されており、より高分解な像を得るために画像取得方法に特別の工夫を加えた顕微鏡法が開発されている。光学活性化局所顕微鏡法(PALM)、誘導放射抑制顕微鏡法(STED)、構造化照明顕微鏡法(SIM)、といった手法があり、可視光源を利用しながらも分解能を向上させることに成功している。本研究では、さらなる分解能向上と簡便な画像取得実現を目的として、超解像法の開発を行っている。本発表では、これまでの超解像顕微鏡法の中からPALMについて紹介し、本研究の今後の進め方についての展望を示す。
 
玉木 聡志 比較ゲノム学 金谷 重彦
発表題目:ゲノム構造とコドン使用頻度における網羅的な解析
発表概要:コドン使用頻度(Codon usage)に関する研究はバイオインフォマティクスの中でも古くから行われている分野の研究であり、現在に続くまで解析が行われている。本ゼミナールにおける発表ではCodon usageに関する最新の論文と、ゲノム構造、主にGC-skewとそれを定量的に評価する指標であるGC Skew Indexを紹介し、ゲノム構造とCodon usageに関する網羅的な解析の展望について議論する。
 

会場: L2

司会:神原 誠之
後藤 憲人 知能情報処理学 木戸出 正繼
発表題目:金魚すくいロボットによるすくい上げ動作の運動学習
発表概要:現在,周囲の状況の変化を認識し,自らの判断で動くことのできる次世代型知能ロボットの研究が2015年の実用化を目指し,活発に行われている.そこで本研究では常に状況の変化する一般環境下で適応的に行動するロボットの一例として,金魚すくいタスクを行うロボットの実現を目指す.この金魚すくいタスクには,「金魚の思考を計測できない」,「使用する道具などに起因する動作の制約」といった一般環境でのロボット全般にも通ずる問題点が多くある.本発表では適用可能な制御手法として,金魚の反応ダイナミクスに基づく運動制御法という手法を提案し,進捗状況と今後の予定について述べる。
 
後藤 隼人 自然言語処理学 松本 裕治
発表題目:含意関係認識のための構造的アラインメント
発表概要:含意関係認識とは,一対のテキスト(T,H)が与えられたときに,1.)TがHを含意している,2.)TとHは矛盾している,または3.)TとHは何の関係も持たない,という3値に分類する問題であり,情報検索や質問応答にとって有用である.先攻研究では,単語もしくは連続した単語列に対して,表層的な類似度や語彙的知識を用いて,TH間で一対一対応(アラインメント)をとり,それを基にした機械学習による3値分類が行われている.しかし,文の構造が複雑になると,非連続な単語組に対してもアラインメントをとる必要が生じてくる.そこで本研究では,文の依存構造と述語項構造を利用することで,非連続な単語組に対するアラインメント手法を提案する.
 
佐々木 智樹 知能情報処理学 木戸出 正繼
発表題目:ステレオビジョンによる全身運動からのタスク関連情報抽出
発表概要:人間の生活環境下で活躍するロボットには,ヒトを含めた動的環境に適応できる機能が必要不可欠である.そのような知的機能の題材として,ロボットによる「卓球タスク」を扱う.卓球タスクでは,ヒトの個性や,状況に応じて切り替わる戦略モデルなどに対してロボットが適応的に振る舞う機能が求められる.まずは相手コートから飛んで来る球の軌道を予測しなければならないが,球を打つ前のスイング動作の中に,球種に対して特徴的な情報が含まれていれば,その情報を球の軌道予測に利用できると考えられる.本研究では,ステレオカメラからの映像から打球位置の変化と相関するスイング動作の特徴量を抽出し,それを利用することで,球の観測情報だけを利用するときよりも高精度な打球予測を実現する.
 
佐藤 和男 インタラクティブメディア設計学 加藤 博一
発表題目:フォトモザイクを応用したコミュニケーション支援
発表概要::写真を一つの要素として構成されるモザイク画としてフォトモザイクがある.それに関する研究として,そのレイアウトアルゴリズムや高速化などフォトモザイクの生成を目的としたものは多くある.しかし,ユーザに対して有意義な情報をタイル画像に提示させる方法やタイル間の接続関係を表現する方法などの応用研究の事例はあまりない. 本研究では指定したタイル画像が再帰的にフォトモザイクになるインタラクティブフォトモザイクをコミュニケーション支援に応用することを目的としている.そうすることで,ユーザが漠然とタイル間の接続関係を考慮して画像を自由に探しつつ辿っていきながら,当初意図していなかった画像を発見できることによって,ユーザ間における会話のきっかけを誘発できるのではないかと考えている.本発表ではフォトモザイクの応用に関する先行研究を紹介し,今後の研究計画を述べる.
 
篠原 大亮 知能情報処理学 木戸出 正繼
発表題目:双腕ロボットによる着衣スキルの実現
発表概要:近年,ロボットがより一般的な環境で活躍することが期待されている.その中で,歩行や対話など日常生活下での人間の動きをロボットに実現させる研究は数多くなされている.しかしながら,日常生活に不可欠である服を着る動作を実現するロボットは未だない.そこで,本研究では双腕ロボットによる着衣スキルの獲得を目的とする.本発表では着衣スキルを獲得するためのアプローチ方法を提案し,進捗状況と今後の予定について述べる.
 
鈴本 悠輝 像情報処理学 千原 國宏
発表題目:論文紹介"Reconstructing the Surface of Inhomogeneous Transparent Scenes by Scatter-Trace Photography"
発表概要:本論文では、透明物体の表面形状を復元する方法について述べる。本手法ではScatter-Traceと呼ばれる画像を用いて奥行きを求める。この手法は従来の手法とは異なり、透明物体の内部材質が不均一な場合にも適用できる。
 

会場: L3

司会:中村 奈美
久保田 靖之 応用システム科学 杉本 謙二
発表題目:炊飯プロセスのモデルベース制御に関する研究
発表概要:近年, 高機能な炊飯器への需要が高まっており, 温度制御精度向上のためにモデルに基づいた制御の必要性が生じている. 炊飯プロセスには, 予熱工程(約0〜60℃)と炊き上げ工程(約0〜110℃)がある. 従来研究では予熱工程のモデル化にはある程度成功しているものの, 炊き上げ工程は, 米の物理変化や水の蒸発による熱容量等の変化を伴うため, これらの複雑な現象を反映した数理モデルの開発が課題となっている. 本発表では, 米内部の糊化速度および半径の増加速度を拡散方程式から導出することで, 一定温度における米の物理変化を数理モデル化する論文を紹介し, 最後に今後の予定について述べる.
 
坂口 寛史 システム制御・管理 西谷 紘一
発表題目:二輪車両の動的障害物回避制御
発表概要:車両型移動ロボットの動作計画法として最もよく用いられているのがポテンシャル法である.そのポテンシャル作成法のひとつとして最小射影法が提案されている.本発表ではまず,福井らによって提案された最小射影法による既知の障害物回避制御法を紹介する.次に,福井らの手法を未知の障害物に適応できるように拡張した制御法を提案する.最後に,実験により有効性を確認する.
 
寺岡 宏敏 ロボティクス 小笠原 司
発表題目:目的動作に応じて人工筋の配置が変更可能なアシストデバイスの研究
発表概要:近年、高齢化が著しくリハビリを必要とする患者が増大している。 そのため、患者自身でリハビリが可能なウェアラブルアシストデバイスが望まれている。 アシストデバイスのアクチュエータとして、軽量・高出力であることや人体に対しての安全性の面から空気圧人工筋が用いられた研究が行われている。 本研究では、空気圧人工筋を用い、目的の補助動作に応じた人工筋の配置が変更可能なアシストデバイスの提案を行う。
 
富田 麻友美 応用システム科学 杉本 謙二
発表題目:LEGO Mindstormsを用いたアドバンスト制御教育プログラム開 発に関する研究
発表概要:理科離れ抑制, 女性の理系分野への進出促進, プロジェクト型 研究の推進等の観点から, 体験型, Hands-On型実習への関心が 高まっている. 本研究では, 教育用ロボット実験キットであるLEGO Mindstorms を用いて, 制御の初学者から発展的な制御理論を学ぶ人達まで を対象にした, 段階的教育プログラムの開発をめざす. 本発表では, 既存のMindstormsに簡単な改良を施し, 台車‐振 子系の安定化制御実験を行う方法が述べられている論文を紹介 する.
 
中澤 雅志 応用システム科学 杉本 謙二
発表題目:マルチレートビジュアルフィードバック制御に関する研究
発表概要:動的な環境においてロボットなどを制御する場合,視覚情報は非接触で作業環境を認識できるので,ビジュアルフィードバック制御は有効は手法である.その際に問題となるのが,カメラのサンプリング周期がメカトロ系の制御周期に比べて遅いことである.この問題を解決する制御法としてマルチレート制御がある.本発表では,マルチレート制御をハードディスクの制御に用いた論文を紹介する.本論文では,マルチレートサンプリング制御による制御対象の離散化方法とサンプル点間外乱抑制制御について記されている.またマルチレート制御において有効な手法である離散時間リフティングについて説明する.最後に今後の方針について述べる.