ゼミナール発表

日時: 11月16日（月）3限 (13:30-15:00)

会場: L1

司会：浅原正幸

木村　直人	ユニバーサルコミュニケーション（音情報処理学）	鹿野清宏
発表題目：重み付き有限状態トランスデューサに基づく統計的音声対話システムの構築発表概要：近年、ユーザが何らかの目的を持ち、システムがその目的のためのサービスを提供する、さまざまなタスク遂行型の音声対話システムが構築されている。多くの音声対話システムでは、システムがあらかじめ決められた手順でユーザから情報を順次引き出すシステム主導型の対話であるため、ユーザの自由な発話を受理することができない。そこで、本研究ではユーザの発話の自由度の高い音声対話システムの実現を目的として、コーパスより学習した統計的対話制御を用いた重み付き有限状態トランスデューサ(WFST)に基づく対話システムを提案する。本発表では、WFSTに基づく音声対話について説明し、今後の研究方針について述べる。

岡平正照	論理生命学	池田和司
発表題目：能動学習を用いた複数ロボットによる効率的な地図生成発表概要：未知環境でロボットに自律的な移動をさせるためには，地図生成と位置推定を同時に行うSimultaneous Localization And Mapping (SLAM) という問題がある．従来研究の多くは単独のロボットを対象として行われてきたが，大規模な環境において効率的にSLAMを行うには，複数ロボットを用いる必要がある．本発表では単独のロボットで多く用いられているFastSLAMについて説明し，それを複数ロボットに拡張した際の問題点を論じ，能動学習による解法を考察する．

久保　慶伍	音情報処理学	鹿野清宏
発表題目：音声入力型Web検索の研究発表概要：近年，音声入力によるWeb検索サービスの開発が進んでいる．音声入力は小型化したモバイル機器のキータイプよりも入力が容易という利点を持つが，既存の入力方式と比較し，誤る確率が高いという欠点を持っている．この欠点に対し，音声認識の精度を上げるだけではなく，複数の音声認識の候補を用いたり，テキスト入力で修正を行う手法やインタフェイスが考え出されている．よって，音声 Web検索の評価は従来の単語正解率や単語正解精度ではなく，それらの手法やインタフェイスを考慮した上で評価しなければならない．そこで今回，音声Web検索に対して有効だと思われる「ユーザクラスタリングを用いた言語モデル共有・適応」と「仮名・漢字1文字単位の音声認識」を前述した欠点を補う手法やインタフェイスを考慮して評価を行った．本発表では，これらの説明に加え，今後の研究方針について述べる．

桑原　潤一郎	ロボティクス	小笠原司
発表題目：異種ロボット間における相互位置推定発表概要：近年，我々の生活エリアに様々なロボットが存在している．ロボットはそれぞれ異なる形式の地図を保持しており，互いの位置などセンサから得られる情報の共有が困難である．本研究では，異なるセンサを搭載しているロボット間で汎用地図を共有させ，相互認識・協調動作を可能とするシステムの実現を目指す．

呉　将延	音情報処理学	鹿野清宏
発表題目：独立成分分析に基づく雑音推定を用いた平均二乗誤差最小化短時間振幅スペクトル推定法の補聴器への応用発表概要：本研究では，独立成分分析と平均二乗誤差最小化短時間振幅スペクトル推定法を統合した雑音抑圧手法を，両耳補聴器へ応用する．本手法は，非定常かつ非点音源である雑音環境下において，高品質に目的の音声を抽出可能であることが既に示されており，人が聞く技術への応用が期待されている．そこで本発表では，本手法の両耳補聴器における有効性を検討する．実験において，ダミーヘッド及び実環境における雑音を使用し，雑音抑圧性能と処理による歪みの量に関して考察を行う．

小沢哲	論理生命学	池田和司
発表題目：論文紹介"Compressive seinsing for subsurface imaging using ground penetrating radar" 発表概要：今回の発表は論文の紹介とそれを用いて今後どのように研究を進めていくかについて述べる．今後，複数の観測地点から観測された画像を合成することでより解像度の高い画像を得る超解像技術について研究を行う予定である．今回，その関連分野の一つとしてGround penetrating radar(GPR)と呼ばれる，電磁波を地面に放射してその反射波を観測する装置を用いた地中の可視化に着目した．今回紹介する論文は地中における対人地雷の可視化についてのもので，論文中ではGPRを用いて複数の地点から観測したデータからどのように地雷の可視化を行っているかについて述べている．

会場: L2

司会：中田尚

児玉秀憲	コンピュータ設計学	藤原秀雄
発表題目：論文紹介"Reducing Scan Shift Power at RTL" 発表概要：微細化する近年のLSIのテスト時の消費電力が憂慮すべき問題となっている． LSIの一般的なテスト手法としてスキャンテスト法が用いられているが，この手法における消費電力を削減する方法として，論理合成前に組み合わせ回路にゲートレベルの回路を挿入して解決していたが，追加した論理でタイミングスラックをオーバーしてしまうため，タイミング違反問題を起こす可能性があった．この論文では，タイミング違反，ゲートを挿入することによる面積オーバーヘッドの問題をRTLから合成ツールで自動的に解決する方法を提案している．信号確率伝搬によるアプローチで電力消費に敏感なスキャンセルを特定し，本来ならゲートを挿入することでそのスキャンセルをフリーズしていたが，これを新たなRTLコードとして追加する．このRTLにより，電力に敏感なスキャンセルをフリーズさせし，スキャンシフトにかかる消費電力を削減する．本発表後に自身の今後の研究方針を述べる．

坂口隼	ソフトウェア基礎学	伊藤実
発表題目: 無線センサネットワークにおける電力消費を考慮した自律適応的データ収集木構成手法の提案発表概要: 広域な地理領域をカバーする無線センサネットワーク（WSN）において長時間の稼働を実現するには，センシングデータ収集時の電力消費を抑えることが必須である．また，WSNでは，センサノードの故障や追加に対応できることが求められるため，これらノードの消滅・追加に合わせたデータ収集経路の自動適応が必要となる．一般にWSNでは，センサノード群をシンクに接続するデータ収集木を構成し，その木に沿ってマルチホップ通信によりシンクにセンシングデータを収集する．この際，シンクに近いノードほど，より上流のノードのデータを中継しなければならず，送信データ量の増加によりバッテリの枯渇が早くなる．その結果，WSN全体のライフタイムが短くなるという問題がある．本研究では，データを中継するノードへの通信負荷を分散させるデータ収集木を自律適応的に構築する自己安定アルゴリズムを提案する．提案アルゴリズムは，WSNのトポロジ変化に自動的に適応し，WSNのライフタイムを延ばすことができるデータ収集木を生成する．

佐々木辰也	ソフトウェア工学	松本健一
発表題目：ソフトウェアレビューの指摘記録支援ツール開発に向けた分析発表概要：ソフトウェアの開発において，複数人による設計レビュー会議中の指摘を記録する際に，画像キャプチャ機能を有する専用の記録支援ツールが指摘の記録に与える影響を汎用の記録ツールとの比較実験から分析した結果を報告する．

髙井雄治	ソフトウェア工学	松本健一
発表題目：Webアプリケーションを対象とした故障モード影響解析の有効性の評価発表概要：本研究では，ソフトウェアを対象としてハードウェアと同様の手順で故障モード影響解析を実施し，有益な故障モードの抽出を行った．そして，抽出された故障モードを欠陥発見の指針としてコードレビューを実施した．特に指針を与えずコードレビューした場合と比較して，システム上で影響の大きい欠陥を発見することができるか実験により確かめる．本発表では，その途中経過を報告する．

友谷有希	情報基礎学	関浩之
発表題目：ロールベースアクセス制御におけるユーザ・ロール関係記述の実現について発表概要：アクセス制御において安全で柔軟な方式が求められている．近年までの手法は任意アクセス制御や強制アクセス制御が主流であったが，それぞれ一長一短であった．そんな中，今までのユーザとパーミッションの対応付けの間にロールを割り当てるロールベースアクセス制御が提案された．本発表では，ロールベースアクセス制御におけるユーザ・ロール関係記述について考え，チャレンジレスポンス認証とIDベース暗号を組み合わせてこれを実現する手法について述べる．

西川朋希	ソフトウェア工学	松本健一
発表題目：論文紹介"Software Defect Association Mining and Defect Correction Effort Prediction" 発表概要：現在の多くのソフトウェアのバグ相関予測活動はソフトウェアに残っているバグの数に焦点を当てている．本論文では，バグの相関や修正工数を予測するための手法に基づく相関ルール分析を提案する．これは，開発者がバグを見つけたり，プロジェクトマネージャが効果的にテストリソースを割り当てるのを助けたりすることができる．この提案手法を15年以上で200以上のプロジェクトを含んでいるNASAのSELのバグデータを適用して，実験を行う．本発表では，本論文の紹介を行い，今後の研究方針について述べる．

会場: L3

司会：齋藤将人

阪本　貴大	インターネット工学	山口英
発表題目：論文紹介"Barrier Coverage of Line-Based Deployed Wireless Sensor Networks" 発表概要：近年，広範囲に設置された多数のノードが環境情報を収集し，その場のユーザニーズに即した情報開示あるいはサービスを提供するワイヤレスセンサネットワークが注目されている．本発表では，センサノードの配置において従来のポアソンモデルに代わるLNROモデルを提案し，センサネットワークを用いて侵入物を検知するシステムの確率最適化を目指す論文の紹介を行ったうえで，最後に今後の研究方針を述べる．

髙濱　靖	インターネット・アーキテクチャ	砂原秀樹
発表題目：IKOMA119プロジェクトにおける救急現場を想定した動画配信サービスの実装発表概要：2005年度より開始されたIKOMA119プロジェクトは，生駒市消防本部との共同研究プロジェクトである．本プロジェクトでは，移動体通信技術およびウェアラブルコンピュータを用いた緊急医療活動支援システムを継続的に開発しており，年に一度の頻度で開発したシステムの公開デモンストレーションを実施している．これまでに心電図情報配信，動画配信などのサービスを開発してきた．本年度は，動画配信サービスの利便性および実用性の向上を目的として，救急車の出動を複数の病院へ同報通知する仕組みを開発と狭帯域なデータリンク上での動画配信手段の検討を行った．本発表では，これらの説明に加え，今後の研究方針について述べる．

東　結香	インターネット・アーキテクチャ	砂原秀樹
発表題目：工学的なアプローチを用いた学校現場における情報セキュリティ教育発表概要：現在、インターネットや計算機は生活に欠かせないものとなっている。しかし、それに伴いインターネットを介した犯罪や嫌がらせが増大し、それらに一般の人々が巻き込まれることも起きている。子供も例外ではない。その為、中学や高校では「情報」の授業で情報モラル教育を行っている。しかし、様々な問題により教育の質にかなりのばらつきができており、インターネットについて根拠のない不安を感じている。本発表では現在行われている教育の問題点を洗い出し、諸外国の動向などを紹介し、今後の方針について述べる。

松井元輝	応用システム科学	杉本謙二
発表題目：モデル予測制御を用いた光グリッドの動的資源管理方式発表概要：グリッド環境を光ネットワークで構築する光グリッドでは，計算資源と波長資源の有効利用が必要不可欠である．そこで本研究では，モデル予測制御を用いた動的資源管理方式を提案する．提案方式では，光グリッドを動的な拘束条件を有するシステムとしてモデル化し，モデル予測制御を利用することで計算/波長資源の有効利用を実現する．本発表では，シミュレーション結果により提案方式がPID制御を用いた従来法よりも資源を有効利用できることを示す．

松尾　健司	インターネット・アーキテクチャ	砂原秀樹
発表題目：論文紹介"Emergent Properties: Detection of the Node-capture Attack in Mobile Wireless Sensor Networks" 発表概要：近年無線センサーネットワークは有線のネットワークでのコストと物理的な制限を大幅に減らすことができるため，防犯，防災や医療など様々な分野で利用されている．しかし，悪意を持った第三者がセンサーノードを捕獲し，情報が盗み出すことや，捕獲したノードに悪意を持ったプログラムを施して再びネットワークに参加させてネットワークを乗っ取るような攻撃に対処しなければならない．紹介する研究ではノードの捕獲検出を行うSDDとCDDという二つの手法を提案している．本発表ではSDDとCDD紹介を行い，今後の研究方針について述べる．