五十嵐 勇太 | ロボティクス | 小笠原 司 |
発表題目:力覚の拡張現実感提示技術を用いた手術シミュレータの開発
発表概要:医師の技術向上を目的とし,手術時の力覚が提示できる手術シミュレータの開発が求められている. リアルタイム性の制約上,従来のシミュレータでは臓器の力覚として,操作量に線形な力覚を近似的に提示するのみであった. そのため粘弾性の力覚提示ができず,訓練に必要なリアリティを提示することが困難であった. 一方,粘弾性物体の力覚を,簡易なモデルでリアルに提示する,ハプティックARと呼ばれる手法が提案されている. これは,従来のハプティック技術によって提示される力覚に,実物体の力覚を加えることで,目的物体の力覚を提示する手法である. 本研究では,粘弾性物体の力覚提示が可能な手術シミュレータの開発を目的とし,ハプティックARを用いた力覚提示手法を提案する. 提案手法では,さらに実物体を能動的に動かすことにより,粘弾性を提示すると共に,心臓の鼓動など操作者にとって受動的な力覚をリアルに提示する. | ||
襟立 真奈 | 生命機能計測学 | 湊 小太郎 |
発表題目:MR拡散テンソル画像を用いた脳白質神経線維束の領域分割 発表概要:近年、MRIの発展に伴い、生体内の水分子の拡散異方性を画像化する拡散テンソルイメージングが研究されている。 中でも、白質神経線維束を追跡するTractographyは、臨床研究への応用が期待されている。 しかし、抽出された大量の神経線維を臨床研究で利用するためには、解剖学的知識に基づく領域分割が必要である。 そこで、Tractographyで抽出した神経線維に対して解剖学的名称をラベリングする、、神経線維の自動領域分割が提案されている。 本発表では、白質線維束の自動領域分割についての論文を紹介するとともに、今後の研究方針について述べる。 | ||
角岡 俊助 | ロボティクス | 小笠原 司 |
発表題目:組立作業における音情報を用いた作業状態判別
発表概要:現在の製品の多様化や短サイクル化によって,工場における多品種少量生産,セル生産方式の採用が進んでいる. しかし,ロボットがセル生産を行うための課題の一つとして作業状態が判別できないという問題がある. 本研究では,ロボットによる汎用的な組立作業の達成に向けて,組立作業中の状態を判別する手法を提案する. 人は視覚,触覚,聴覚などの情報を利用して,さまざまな部品の組立を行うことができる. そこで本手法においては,従来マニピュレーションにあまり利用されていなかった組立作業における音情報に着目し,作業状態判別に利用する. 作業状態を判別することにより,作業が失敗した場合でも元の状態に復帰することが可能になる. 本発表では,マニピュレーションにおける音情報の利用に関する研究を紹介し,音情報を作業状態判別に利用する方法を提案する. | ||
北浦 寛直 | 応用システム科学 | 杉本 謙二 |
発表題目:自転車の総合安定性制御に関する研究
発表概要:環境および健康に対する意識の高まりから,近年,自転車が見直されている. また電動アシスト自転車の普及によって, 自転車に対する制御技術の適用への 機運も高まっている.自転車にはステアリング系・バランス系・駆動系など の制御すべき機能単位があるが, 相互間には複雑な干渉が存在する. これらサブシステムを個別に制御するのではなく, 全体を有機的に統合する 総合安定性制御は, 自動車分野では動的安定制御(DSC)などと呼ばれ, 今日一般的になりつつある技術である. そこでここでは自転車に対する 総合安定性制御を考える. その端緒として本発表では,自転車のダイナミクス と制御理論の関わりについて詳細に述べられた論文"Bicycle Dynamics and Control"を紹介する. | ||
金城 健 | 神経計算学 | 池田 和司 |
発表題目:論文紹介"Parallels between sensory and motor information processing"
発表概要:本論文では,ヒトの脳なかで行われている運動指令系で制御問題と感覚器系での状態推定問題という二つの問題には計算的な類似性があることをこの論文では述べている.この制御と推定の類似性は,Kalman filterと最適レギュレータの双対性として古くから知られているが,この論文では新たなクラスでのBellman方程式の導入により,より一般的な制御と推定の類似性について述べる. | ||
溝口 宜良 | 情報基礎学 | 関 浩之 |
発表題目:Pair-SMCFGに基づくRNA比較2次構造予測
発表概要:生物配列のひとつであるncRNAの機能はその2次構造と相関を持つと言われている。 しかし、多くのncRNAはその塩基1次元配列である1次構造が知られているものの、その2次構造は未知である。そこで既知の1次構造から2次構造を予測する2次構造予測が重要となる。そのアプローチのひとつとして形式文法の構文解析技術を用いた予測法が提案されている。 確率多重文脈自由文法SMCFGは、規則に確率を付与するとともにシュードノット構造も予測できるよう、文脈自由文法CFGを拡張したものである。 本研究では、複数本の構造予測を同時に行う比較解析法においてSMCFGを用いた手法を提案する。具体的にはSMCFGにおいて終端記号を塩基の2字組に限定したPair-SMCFGを用い、2本のncRNA1次構造配列を1本の配列として構造予測アルゴリズムに入力する。 本発表では以上の方針に基づいて提案した構造予測法を実装し、実データによる構造予測実験によってその予測精度を測定した結果について述べ、提案手法の有効性を示す。 | ||
浅野 耕輔 | 比較ゲノム学 | 金谷 重彦 |
発表題目:モジュール情報に基づいた二次代謝産物の情報学的予想方法
発表概要:近年、有機合成分野では生物の二次代謝物をモデルにした生合成方法の解明によって、その複雑かつ効率的な酵素群を有効に活用しようとした研究が進んできた。特に植物の二次代謝産物でもポリケタイドと呼ばれる化合物と、微生物ではペプチドの生合成経路には、他の二次代謝産物にはない特徴的な複数酵素単位であるモジュールと呼ばれるポリペプチドによって、アセンブリーライン型の生合成が行われる。このモジュールは遺伝子クラスターもしくはオペロンにコードされているため、このモジュールの組み合わせによって最終産物の代謝経路予想が期待される。これらについての先行研究を紹介したのち、今後の方針について述べる。 | ||
池田 俊 | 比較ゲノム学 | 金谷 重彦 |
発表題目:次世代シークエンサーを用いたゲノムマッピングデータに対する統計手法の検討
発表概要:近年、次世代シークエンス技術が開発され、大量のデータが高速に得られるようになった。一般にシークエンスのゲノムマッピングデータには多種のエラーが含まれており、それらを考慮する必要がある。大量のデータに対する統計手法の適用はエラーの除去を可能にし、より信頼性のあるデータを作成できると考えられる。本研究では、次世代シークエンサーデータを用いた統計処理を行った上でのRNA-seqやChIP-seqに関する網羅・定量的解析を検討する。 | ||
賀儀山 めぐみ | 構造生物学 | 箱嶋 敏雄 |
発表題目:環境ストレス耐性に関与する植物ホルモン,アブシジン酸の新規受容体の構造研究 発表概要;植物ホルモンのアブシジン酸(abscisic acid, ABA)は,乾燥耐性などの植物の生理応答において重要な役割を担っており,農業生産や環境保全の観点からも多くの研究がなされている.これまでに主要な植物ホルモンについては,その受容体が次々に同定されて,シグナル伝達経路が明らかになっていく中で,ABA受容体の同定は遅れていた.しかし,今年になって新たなABA受容体が報告された.この受容体は,ABA存在下においてシグナル伝達に関わるプロテインホスファターゼ(PP2C)と結合して,その活性を阻害することで,ABA 応答を活性化する.本研究では,新規に報告されたABA受容体の3つのサブファミリーの中の一つ(Subfamily II)に注目して,ABAの認識機構,および PP2Cの活性阻害機構を構造生物学的アプローチで明らかにすることを目的としている.本発表では,研究背景、進捗状況について説明し,今後の研究方針について述べる. | ||
川添 麻衣 | 比較ゲノム学 | 金谷 重彦 |
発表題目:イヌカタヒバの代謝経路推定
発表概要: 植物が生産する代謝産物は約200,000種以上であると推測され、その中の一部が食用や薬用などに利用されていますが、薬やハーブとして利用されている事例は報告されていてもその有用成分が分かっていない例も多々あります。 近年、イヌカタヒバという植物のゲノムが読まれ進化や発生、代謝などの観点から研究が行われています。そして、この植物と同属である植物にもこのように利用例はありながら、有用成分が分かっておらず研究が進められています。そこで、本研究では代謝に注目し、比較ゲノムの手法を用いてゲノムデータから機能予測を行った上で、イヌカタヒバの代謝経路の全体を推定することを目的としています。 | ||
柴田 展行 | 構造生物学 | 箱嶋 敏雄 |
発表題目:アブシジン酸受容体によるシグナル伝達の構造研究 発表概要:アブシジン酸(ABA)は植物ホルモンの1つであり、種子の休眠や気孔の閉鎖による乾燥耐性応答を誘導している。また乾燥や塩によるストレスに応答して合成されることからストレスホルモンとも呼ばれている。現在までABAのシグナル伝達に関与するタンパクが多く同定されており、受容体に関する研究も行われてきている。そのような中で2009年に新たなABA受容体が報告された。今回報告された受容体は,シロイヌナズナでは14種類ものホモログが存在するが,ABAとの結合依存的に、タンパク質ホスファターゼPP2Cと結合して、その活性を阻害すると考えられている。本研究では今回新しく報告されたABA受容体によるシグナル伝達機構を構造学的手法により解明することを目的としている。本発表では研究の学術的背景、構造学的手法の説明、現在の研究状況、今後の研究計画について述べる。 | ||
大倉 史生 | 視覚情報メディア | 横矢 直和 |
発表題目:無人飛行船の自動操縦による空撮映像の効率的な取得に関する研究
発表概要:従来より,地図アプリケーションやトラッキングといった様々な用途に空撮映像が用いられてきた.しかし,移動体の操縦に必要な技術や人的コスト等の面において問題点も多く存在する.そこで本研究では,空撮映像の取得をより効率化するための,無人飛行船の自動操縦手法を提案する.本研究により,任意地点の空撮映像をユーザが操縦することなく取得可能となり,空撮映像を用いた分野において様々な応用が期待される. 本発表では,空撮映像を用いた応用と飛行船の自動操縦についての従来研究,提案手法の概要と予備実験,および今後の課題について述べる. | ||
小嵜 耕平 | 自然言語処理学 | 松本 裕治 |
発表題目:局所的・大域的な構造を考慮した半教師あり学習による語義曖昧性解消
発表概要:機械翻訳や情報抽出などの応用において, 解析対象となる文中の語に, 語義の曖昧性が発生する場合がある. 例えば, 機械翻訳において翻訳したい文中に「bank」という語が出現したとき, この語を「銀行」と訳すべきか, 「土手」と訳すべきか訳語の選択が必要とされる. この問題は語義曖昧性解消というタスクの中で長年研究されきた. しかしながら大規模なラベルなしデータを用いる研究はまだ初まったばかりである. 本発表では頑健な語義曖昧性解消を目指し, 局所的・大域的な構造を考慮した半教師あり学習による手法を検討する. | ||
長村 一樹 | インタラクティブメディア設計学 | 加藤 博一 |
発表題目:プロジェクタ・カメラによる照明環境制御を用いた画像認識手法の提案
発表概要:従来の画像認識では、屋内や屋外などの照明条件の違いによる画像の変化に対して、あらかじめ全ての変化を網羅学習したり、画像処理で正規化などにより対処してきた。 本研究では、プロジェクタ・カメラシステムを用いた能動的な照明により対象の見えを変化させ、影やハイライトを除去することにより照明環境の変動に対してロバストな画像認識手法を提案する。 本発表では、提案手法の応用として顔画像認識の陰影問題を挙げ、プロジェクタ・カメラシステムによる陰影除去を行った際の照明条件の変動に対する取得画像のロバスト性を示す。また、顔画像認識に対する提案手法の有効性について考察する。 | ||
川戸 一希 | 視覚情報メディア | 横矢 直和 |
発表題目:論文紹介"Image Pre-conditioning for Out-of-focus Projector Blur"
発表概要:本論文ではプロジェクタの焦点ボケを軽減する手法について述べる.カメラの焦点ボケを修復する場合にはボケた後の画像に対して処理を行うが,本手法ではボケる前の画像に対して処理を行いプロジェクタの焦点ボケを軽減する.カメラを用いてボケを近似できるPSF(点拡がり関数)を推定し,推定したPSFを用いることで補正画像の生成を行う.そして本手法を用いることでどの程度ボケが軽減されたかについて述べる. | ||
北裏 龍太 | 自然言語処理学 | 松本 裕治 |
発表題目:辞書引きの難しい言語の学習を支援する言語非依存辞書フレームワークの開発と多言語辞書資源の整備
発表概要:外国語学習者にとって学習辞書は教科書以上に参照回数の多いものであり、それ無しで学習を進めることは困難を極める。ところが世界各地に種々ある言語の中には「辞書が引けたら一人前」といわれる言語が存在する。例えば、語が著しく活用されてしまい文中に現れる形と辞書の見出し語との間に著しい差異が生ずる言語等がこれにあたる。そういった言語の辞書を使いこなすには語の活用規則の把握などのある程度の語学力が要求される。本発表ではそのような辞書引きの難しい言語の学習を支援する方法についての考察を述べる。 | ||
木下 知洋 | 知能情報処理学 | 木戸出 正繼 |
発表題目:ヒューマノイドによる効率的な見まね学習のためのコンパクトな運動表現とその応用
発表概要:近年、ヒューマノイドロボットには人の高度な運動スキルを獲得させることが1つの課題となっている。従来研究の1つとして、人の運動を見まねた学習方法がある。 しかし、一つの見まねる1種類の運動に特化した学習法であり、そこから異なる運動を獲得するには高次元の学習するパラメータを調整する必要があり、効率が悪いと考えられる。 そのため、本研究では表現したい運動に関する様々な運動から、運動の本質をとらえた低次元の基底を考えることにより、効率的なみまね学習を検討していく。 | ||