ゼミナール発表

日時: 10月8日(水)3限 (13:30-15:00)


会場: L1

司会:池田
堀 磨伊也 D2 横矢 直和 千原 國宏 山澤 一誠 神原 誠之
発表題目:全周立体映像と慣性力再現によるテレプレゼンスにおける臨場感向上に関する研究
発表概要:遠隔地の情景を提示し,あたかもその場にいるかのような感覚を与える仮想現実感技術はテレプレゼンスと呼ばれ,いかに臨場感を高めるかが課題となっている.本研究では,全周立体映像の提示および慣性力の再現により,テレプレゼンスにおける臨場感の向上を試みる.立体映像は,ステレオカメラで撮影可能であるが,自由な視線変更を行うためにはカメラを回転させなければならないため,テレプレゼンスには不向きである.そこで任意経路で撮影された全方位動画像から任意視点画像を生成する技術を応用することにより全周ステレオ画像を生成し,自由な視線変更と立体視を同時に実現する.慣性力は一般的に自由度の少ないモーションベースでは再現が困難であるため,本研究では撮影された動画像から慣性力の大きさを推定し,モーションベースを慣性力の働く方向へ傾けることにより擬似的な慣性力をユーザに与える.実験ではテレプレゼンスシステムの構築を行い,提案手法の有効性を述べる.
 
河合 紀彦 D2 横矢 直和 千原 國宏 山澤 一誠 佐藤 智和
発表題目:パターン類似度に基づくエネルギー最小化による二次元画像・三次元モデルの欠損修復
発表概要: 二次元画像において,撮影時に意図しない物体が写りこんでしまい,そのままでの利用が難しい場合がある. また,三次元モデルにおいては,レーザレンジファインダ等を用いた計測時にオクルージョンにより多くの計測漏れが発生し, モデルに欠損が生じる問題がある.そこで,本研究では,二次元静止画像・三次元モデルにおける欠損領域を自動的に違和感なく修復する手法を提案する. 二次元画像の欠損修復では,従来,欠損領域とそれ以外の領域のパターン類似度を用いてエネルギー関数を定義し, それを最小化することで修復している.本研究では,パターン類似度を用いたエネルギー関数を テクスチャの明度変化とテクスチャの局所性を考慮し拡張することで,より多くの画像において高品位な修復を実現する. 三次元モデルの欠損修復では,従来,欠損領域周辺の表面形状と類似した形状を同一物体上の欠損領域以外の領域から探し, 逐次的にコピーすることで修復する手法が提案されている.しかし,逐次的な修復では局所形状の接続部に不連続が現れ, 違和感が生じる可能性がる.そこで,本研究では,欠損領域とそれ以外の領域の局所表面形状の類似度を用いて エネルギー関数を定義し,それを最小化することで違和感なく形状を修復する. 様々な特徴を持つ二次元画像や三次元モデルを用いて修復実験を行い,提案手法の有効性を示す.
 
丁 明 D2 小笠原 司 千原 國宏 高松 淳
発表題目:パワーアシスト装具によるピンポイント筋力制御に関する研究
発表概要: 本研究は,選択された筋肉の負荷のみをパワーアシスト装具を用いて制御することで,局部的なリハビリとトレーニングを可能にするピンポイント筋力制御手法を提案する.本手法は,計測可能な関節トルクから各筋肉の発揮力を推定し,ユーザーから指定された目標筋力との差分を用いてアシスト装具の発揮力を決定する.人間の筋肉は相互カップリングがあるため,ピンポイント筋力制御の実現は容易ではないが,本手法を用いることで目標筋力が実現可能であること判断した上でパワーアシスト装具の出力を計算することが可能である.本発表ではその制御手法について説明し,手法を利用した制御システムの構築について紹介する.実際に,実機実験により本手法の有効性を示す.
 

会場: L2

司会:中村(嘉)
吉川 克正 M1 松本 裕治 関 浩之 乾 健太郎 浅原 正幸
発表題目:推移律を考慮した機械学習手法による時間的順序関係推定
発表概要: 本発表では,英文の新聞記事における時間表現と事象表現を対象として, その時間的な順序関係の推定を機械学習手法を利用して行う手法について述べる. 従来より,時間順序関係の推定は多値分類問題の一つとして定義付けられてきたが,学習に必要な素性が明確とは言えず, 学習データとして利用できる言語資源も限られているため,十分な精度が得られていないのが現状である. 本研究の主旨は,TempEvalで行われた3種類タスクについて再考し,全体の精度を向上させることにある. そのための工夫として,3つのタスク間の関連性に着目し,その関連性を推移律として捉えて新たな学習素性を作り出す手法を考案した. この手法によって得られた結果をTempEvalの最終結果と比較・考察し,素性の有効性を示す.
 
岩立 将和 M2 松本 裕治 関 浩之 乾 健太郎 浅原 正幸
発表題目:トーナメントモデルを用いた日本語係り受け解析
発表概要:日本語係り受け解析においては,工藤らの相対的な係りやすさを考慮した日本語係り受け解析モデルが,決定的解析アルゴリズムや文脈自由文法のパージングアルゴ リズムに基づく手法を上回る精度を示している.決定的解析手法では係り先候補文節を同時に一つしか考慮しないが,工藤らの相対モデルではすべての係り先候補文 節間の選択選好の強さをlog-linear モデルで推定している.これに対し本稿では,同時に対象とする係り先候補文節を二候補に限定し,選択選好を二つの候補同士の対 戦からなるトーナメントで直接表現したモデルを提案する.京大コーパスVersion 4.0 を使用した実験において,提案手法は従来手法を上回る精度を示した.
 
瀬戸山 勝義 M2 鹿野 清宏 Nick Campbell 松本 裕治 柏岡 秀紀
発表題目:音響的特徴を用いた統計的手法による断片発話の自動抽出
発表概要:近年,日常会話に近い対話システム開発のために,話し言葉音声合成実現に向けた研究が進められている. その中で問題となっているのが,断片的な発話やフィラーなどの話し言葉特有の表現である. 現在までの音声合成技術は文を一単位として処理することが多かった. しかし,実対話において,人間は長い発話文を一度に処理することは稀であり,ほとんどの場合,短い断片的な発話を多く用いる. このような短い断片的な発話を断片発話とし,音声合成の計算処理単位として用いる事を提案する. 断片発話を用いれば,音声合成の処理単位が短くなるので,音声合成の実時間処理が実現できると考えられる.
本研究では,音響的特徴を用いて統計的手法により,断片発話のモデル化を目的とする. 本発表では,HMMにより断片発話の音響的特徴をモデル化し,そのモデルを用いた断片発話抽出実験を行なった結果を報告する. 実験には,トピックフリーの雑談対話音声を収録したESP-Cコーパスを用いた.
 

会場: L3

司会:竹村
東 良行 M2 池田 和司 小笠原 司 柴田 智広
発表題目:安定性とエネルギー効率を考慮した二足歩行ロボットの強化学習
発表概要:本研究では,エネルギー効率は良いが不安定な準受動歩行と, エネルギー効率は悪いが安定なZMPを規範とする歩行との適切な切り替え 則を,強化学習により適応的に獲得することで,外乱に強くエネルギー 効率にも優れた歩行の実現を目指している.本発表では,その歩行制御器 の切り替えに用いるCPGを基にした準受動歩行の強化学習について報告する. CPG歩行は準受動歩行と比べて歩行期間中にトルクフリーの期間が殆ど 存在せず,準受動歩行よりも頑健な歩行手法であるがエネルギー効率が 悪い.今回は,1) ロボットの歩行中に,股関節と足首関節のトルクをフリーにすることで 準受動歩行と同じ状態を作り出し,エネルギー効率を良くする.2) CPGの周期 運動に正弦波を用いてその内部パラメータを強化学習の枠組みによって最適化 することで,ロボットに頑健性を持たせる.3) 1),2)の結果,ロボットが 頑健でエネルギー効率の良い歩行を行ったことを他の二足歩行ロボットと比較する.以上 の3つの点を主として報告し,最後に今後の課題について述べる.
 
今井 暁 M2 池田 和司 小笠原 司 柴田 智広
発表題目:生体信号を用いたダーツ動作分節化の研究
発表概要:運動学習において,熟達者の運動からスキルを抽出し学習者に伝達することが出来れば、運動学習が加速できると考えられる. 運動制御は,複数の運動プリミティブと呼ばれる要素のスイッチングや重ね合わせで構成されていると考えられており,作業空間や関節角空間, また筋空間など,様々なレベルで運動プリミティブ仮説を検証する研究が進められている. 本研究では,この運動プリミティブ仮説に基づいて,運動する熟達者や未熟達者のモーションや表面筋電位などの生体信号を計測し解析することにより, 運動プリミティブの抽出や,熟達者や未熟達者のプリミティブ比較を行うことが目的である.これにより,運動に何が不足しているか, または余分な動作は何かを未熟者にインストラクションでき,様々な運動においてスムーズな指導が可能になる可能性を拓く事が出来る. 本研究では、出来るだけ単純な運動を伴うゲームとしてダーツ運動を題材として選定した.生体信号からの 具体的なプリミティブ抽出は、多次元短時間データに対する主成分分析を,一連の運動に渡って行い,主成分ベクトルの時間変化が大きい時刻で プリミティブを分節化する. 本発表では,特に表面筋電位信号に対する解析結果の一例を示し,上記手法の妥当性や有効性を議論する.
 
宮野 耕一 M2 加藤 博一 木戸出 正繼 宮崎 純 藤澤 誠
 
松田 侑子 M2 松本 健一 加藤 博一 門田 暁人  大平 雅雄
発表題目:複数ページに渡るWeb検索結果を対象とした視線の計測と分析
発表概要:現在一般に利用されている検索エンジンの多くは同様のインタフェースを用いているが,それらのインタフェースを用いている検索エンジンのユーザの検索行動はまだ詳細にはわかっていない. 従来,検索エンジンの利便性を上げることを目的とし,ユーザの検索行動を分析する研究が行われているが,1ページ目に配置された検索結果を閲覧するユーザの行動を分析したものがほとんどである. 実際のユーザは複数の検索結果ページを検索しているため,複数の検索結果ページを検索するユーザに対する利便性を向上させるためには,複数ページに渡って検索行動を分析する必要がある. そこで,本研究は,複数ページに渡り検索を行うユーザの行動を視線計測に基づいて分析を行う. 本発表では,複数ページに渡る検索結果をユーザがどのように閲覧しているかについて視線計測した結果を報告し,今後の方針について述べる.