ゼミナール発表

日時: 10月3日(金)3限 (13:30-15:00)


会場: L1

司会:小林
鈴木 健太朗 M2 湊 小太郎 小笠原 直毅 杉浦 忠男
発表題目:エバネッセント顕微鏡を用いた細胞内蛍光分子の三次元分布計測システムの開発
発表概要:エバネッセント顕微鏡は、全反射時に生じるエバネッセント場を用いて基板面近傍の蛍光分子を選択的に励起することで、背景光を抑えることが出来るため、一分子計測で多く用いられている。しかし、蛍光分子の三次元分布を計測することはできなかった。この様な背景から先行研究で蛍光分子の三次元分布計測システムが開発されたが、二次元面内の同一箇所に2つ以上の蛍光物体が存在すると解析できないという問題点があった。そこで本研究では、重なりあった物体を分離して計測できる三次元再構成法の開発を行っている。まず、先行研究で開発された最小二乗法による三次元再構成法で分子の基板面からの高さを計測した際の高さと計測誤差の関係についてシミュレーション実験で調べた。さらに、この三次元再構成法での条件であった二次元面内の同一箇所に存在する蛍光体は高々1個であるという条件で制約されずに三次元再構成可能なアルゴリズムを考察し、シミュレーション実験を行った。
 
深田 幹保 M2 湊 小太郎 小笠原 直毅 杉浦 忠男
発表題目:光ピンセットを用いたDNA結合タンパク質とDNAの相互作用の計測
発表概要:近年バイオテクノロジー分野では、ナノテクノロジー、情報技術を取り入れナノバイオと言われる分野が確立してきている。生命活動をナノメトリックな世界で起こる現象と捉えて生命の神秘を解き明かそうとする生物分野のナノバイオである。本研究では、大腸菌のヒストン様核様体構造タンパク質のH-NSとの相互作用に注目し転写におけるH-NSの振る舞いをピンセットを用いて力学的に計測し解明することを目的とする。本発表では、現在までの取り組みと今後の研究方針について報告する。
 
松田かおり M1 金谷 重彦 湊 小太郎 川端 猛
発表題目:KrevelenPlotの拡張による悉皆的な代謝物質の経路推定
発表概要:近年、代謝物質の研究が進み多くの代謝物質の化学式が判明している。しかし代謝物質同士の関連、つまりどのような反応経路を経て合成されるのかは未だ多くが解明されていない。より多くの代謝反応経路を推定できる手法の1つとして、代謝物質の化学式に着目し、その主要成分比率による2次元の散布図グラフを描くKrevelenPlotがある。KrevelenPlotでは化学反応を複数の物質間における原子の存在比率の変化で表せる。そこでKrevelenPlotを拡張した代謝反応の記述法を研究する。まず、化学式が特定されている既知の代謝物質のデータを用い、主要成分C、H、OのO/C比をX軸にH/C比をY軸に取りプロットする。化学式が類似である物質の点と点を線で結ぶことにより代謝反応として主要な反応を悉皆的に解析することを目指す。次に、質量分析計によって得られた未知の代謝物質の質量値から理論的に取りうる化学式を算出し、同様にプロットし線を結ぶことで、その代謝物質間で起こりうる反応経路を示す。
 
RETNO SUPRIYANTI D2 木戸出 正繼 湊 小太郎 波部 斉
Title:
Using Specular Reflection Appearance Inside the Pupil for Cataract Screening System to Handle Problems in the Developing Countries
Abstract
The high prevalance of cataracts is still a serious public health problems as a leading causes of blindness especially in developing countries with limited health facilities. In this research we propose a new cataract screening system by an easy-to-use and low-cost imaging equipment such as commercially digital cameras. But this equipments have some limitations such as image quality is not sufficient and illumination is not controlled. A sign of cataracts is a whitish color inside the pupil, but it's difficult to employ color information method under uncontrolled illumination. To solve this problems, we propose specular reflection analysis by image processing techniques. When a light hits the frontal surface of lens it will make a reflection called frontside reflection. Light also hits the rear side of the lens. For normal eye, because there is no whitish color inside the lens so it will be reflected again called backside reflection, while for cataract eye because there is a lot of whitish color inside the lens it will not reflected again so there is no bakcside reflection. Using these two types of reflections, it is possible to distinguish between normal and cataract eye image. Also we will discuss about our considerations during taking photographs. It"s an important part of our system. System performance shows that our system is better than straightforward systems using the color information analysis.
 

会場: L2

司会:孫
木浦 幹雄 M2 松本 健一 関 浩之 門田 暁人 大平 雅雄
発表題目:Webjig:ユーザ行動とユーザ画面の関連付けによる動的Web サイト利用者の行動可視化システムの開発
発表概要:Webjig はサーバサイド/クライアントサイドで動的に処理されるWeb サイトに対応したユーザ の行動を把握するためのシステムである.Web サイトのユーザビリティを向上させる為には,ユー ザがどのようにWeb サイトを利用しているかを把握することが重要である.しかし,従来ツールで はWeb サイト利用時のユーザの行動(マウスカーソルの移動やマウスクリック等)を取得する際に, Web ブラウザに表示されている内容に着目しないため,サーバサイド/クライアントサイドで動的に 処理されるWeb サイトを利用するユーザの行動を把握することが難しい.Webjig は,Web サイト のDOM を解析し,ユーザのWeb ブラウザに表示されている内容と,ユーザ行動を関連付けて記録 する.Webjig を利用することにより,サーバサイド/クライアントサイドで動的に処理される動的な Web サイトを利用するユーザの行動を正確に把握することが可能になり,効率的にWeb サイトの ユーザビリティを改善できる可能性がある.
 
伊原 彰紀 M2 松本 健一 関 浩之 門田 暁人 大平 雅雄
発表題目:OSS開発における障害に関する情報共有による修正時間への影響
発表概要:近年,オープンソースソフトウェア(OSS)は商用ソフトウェアに劣らない品質と機能を備え,中には社会基盤を支えるOSSが存在している.そのため,信頼性の高いOSSの開発が重要である.しかし,OSS開発過程で開発の遅延,障害の修正が不十分という問題が多く発生している.その一つの要因として,開発者間で情報共有が円滑に行われていないことが挙げられる.このような背景から,OSS開発を成功に導くための知見を得ることを目的として,開発者間の情報共有に関する研究が盛んに行われている.これまでの研究で,成功しているOSSにおける開発者間の情報共有についていくつか知見が得られているが,信頼性の高いOSS開発につながる知見は得られていない.信頼性の高いOSSを実現するための知見を得るためには,障害に対する迅速な対応を行うための情報共有の方法について分析する必要がある.本研究では,障害に関する議論を行う人物らのコミュニケーション関係と障害修正にかかる時間との関係を明らかにすることを目的とする.この分析から,信頼性の高いOSSを実現するコミュニティの形成手法を知ることができると期待している.本発表では研究の進捗状況と今後の方針について報告する.
 
亀井 靖高 D2 松本 健一 関 浩之 門田 暁人
発表題目:相関ルール分析とロジスティック回帰分析を組み合わせたfault- proneモジュール判別手法の提案
発表概要:ソフトウェアメトリクスに基づくfault-prone モジュール判別の精度向上を目的と して,相関ルール分析とロジスティック回帰分析を組み合わせたfault-prone モジュー ル判別手法を提案する.提案手法では,与えられたモジュールに対し,重要なルール (支持度,信頼度,または,リフト値の大きなルール)が存在する場合は相関ルール 分析によって判別し,そうでない場合は,ロジスティック回帰分析によって判別する. 適用可能な複数のルールが存在する場合には,判別結果の多数決を行う.提案手法の 判別性能を評価するために,3 つの代表的なfault-prone 判別モデル(ロジスティッ ク回帰分析,線形判別分析,分類木)の性能と提案手法の性能を比較する実験を行っ た.NASA/WVU の公開しているデータセットと,Eclipse プロジェクトから収集した データセットを対象として実験を行った結果,重要とみなすルールの選択にはリフト値が 適していることがわかり,リフト値に閾値を設けてルールを選定することで,判別 精度を表すF1 値が従来手法と比較して0.163 向上した.
 

会場: L3

司会:齋藤
木下 晴雅 M2 杉本 謙二 岡田 実 平田 健太郎 橘 拓至
発表題目:IEEE 802.22 WRANにおける優先度情報を用いたチャネル切り替え方式
発表概要:現在、コグニティブ無線技術を用いたIEEE 802.22 Wireleess Resional Area networks (WRAN)の標準化が行われている。WRANシステムではTV放送などとの電波干渉を防ぐ必要があり、使用するチャネルを効率よく切り替える方式がW.Hu氏らによって提案されている。しかしながら、この方式では基地局間で密接な連携が必要であるため、セル数が多い場合には実現が困難になる。そこで本発表では、各チャネルの優先度情報を基にチャネル切り替えを行う方式を提案する。本方式では、各WRAN基地局がチャネル優先度情報を個別に保持・利用するため、基地局間で密接な連携が不要である。提案手法の性能をシミュレーションによって評価し、提案手法の有効性を示す。最後に修士論文に向けた今後の課題と研究予定について調べる。
 
市來 亮人 M2 中島 康彦 岡田 実 山下 茂 中田 尚
発表題目:プロセッサ評価のためのハイブリッドプラットフォームの提案
発表概要:
新たなアーキテクチャが適応されたプロセッサの性能を評価する際,予算も人手も持たない小さな研究所や学術機関では,多くの場合シミュレータを用いて新しいアーキテクチャの評価を行っている. しかし,シミュレータによる評価の問題点として,シミュレータより得られる値と実際の挙動は必ずしも一致しないこと, 消費電力や回路規模など実際に作ってみなければ得られない値があること,シミュレータの動作速度が遅いことなどが挙げられる. 本来ならば実際のチップを作り,評価するべきであるが,そのためには膨大な予算と人手が必要となる問題がある.
そこで,プロセッサコアのみの実装でプロセッサの評価を行うことが出来るハイブリッドプラットフォームを提案する.
ハイブリッドプラットフォームはシミュレータを上手く使うことで,プロセッサとして実装しなければいけない機能を削減している. また,検証・作製・測定を全てハイブリッドプラットフォーム上で行う事ができ,性能はプロセッサコアのみチップにすれば測定できる. そのため作業量が減少し,より安価に少人数短期間でのプロセッサ開発・評価が可能となる.
 
吉村 和浩 M2 中島 康彦 岡田 実 山下 茂 中田 尚
発表題目:[予備評価]従来手法を用いた命令デコーダの評価(異なる命令セットに適応可能な命令分解手法の提案)
発表概要:近年,ARMやMIPSなどの多くの命令セットが存在しており,今後もSoCを有効活用するために新しい命令セットが登場すると考えられる. しかし,新しい命令セットが登場するたびに,命令デコーダを再設計しなければならないという問題がある. そこで,私は異なる命令セットに適応可能な命令分解手法を提案している. 提案手法では,RAMに命令デコーダ情報を格納することで,LSI作成後もRAMの情報を書き換え,他の命令セットをデコードすることができる. これにより,命令デコーダの開発期間の短縮でき,試作プロセッサ開発や少量多品種のプロセッサ開発に利用することが期待できる. しかし,提案デコーダが従来デコーダと同等の回路規模や遅延時間で実現できるかが問題となる. 本発表では,提案手法を用いた命令デコーダについて説明し,比較対象となる従来手法を用いたARM命令デコーダの回路規模と遅延時間の評価結果を報告する.