ゼミナール発表

日時: 10月3日(金)2限 (11:00-12:30)


会場: L2

司会:栗田
田村 晃一 M2 松本 健一 飯田 元 門田 暁人 森崎 修司
発表題目:工数予測における類似性に基づく欠損値補完法の実験的評価
発表概要:ソフトウェア開発において,開発中もしくは将来のプロジェクトの計画立案や管理を目的として,重回帰モデルを利用した開発工数の予測が行われている. 一般に,モデル構築に使用するプロジェクトデータには未記録の値(欠損値)が存在するため,モデル構築を行う前に,欠損値を何らかの値で補完する(欠損値補完法), または,欠損値を含むメトリクスやプロジェクトを削除することで欠損値のないデータセットを作成すること(無欠損データ作成法)が必要となる. ただし,いずれの手法がプロジェクトデータに適しているかは従来明らかにされていない. 本論文では,複数の企業で収集された706件(欠損率47%)のプロジェクトデータに対し,4つの欠損値補完法(平均値挿入法,ペアワイズ除去法,k-nn法,CF応用法)及び,無欠損データ作成法を適用し,重回帰モデルの構築を行った. 各手法の予測精度を評価するために欠損のない143件のプロジェクトの工数予測を行った結果,類似性に基づく欠損値補完手法(k-nn法,CF応用法)を用いる場合に高い精度のモデルが構築されることがわかった.
 
左藤 裕紀 M2 松本 健一 飯田 元 門田 暁人 森崎 修司
発表題目:コードクローンの長さとソフトウェア信頼性の関係の分析
発表概要:ソースコード中の重複コード列であるコードクローンによって,ソフトウェアの保守工数が増大するといわれている.一方で,コードクローンがソフトウェアの信頼性に与える影響については明確にはわかっていない.本稿では,コードクローンとソフトウェアの信頼性の関係を分析するために,コードクローンの長さに着目した.開発プロジェクトのリポジトリを分析し,ソースコードファイルに含まれるコードクローンの長さによってファイルを分類し,それぞれのファイル群のバグ密度を計測した.その結果,短いコードクローンを含んでいるファイル群のバグ密度は大きく,長いコードクローンを含んでいるファイル群のバグ密度は小さいことがわかった.さらに各ソースコードの長さにバグ密度が影響を受けると考え,ソースコード行数にしたがってファイルを分類し,それぞれのファイル群においてバグ密度がどのように変化するのかを調べた.本発表では,短いコードクローンや長いコードクローンがソフトウェアの信頼性に与える影響について現時点でわかったことと,修士論文へ向けての方針を発表する.
 
深坂 紘行 M2 中島 康彦 清水 薫 関 浩之 山下 茂 中西 正樹
発表題目:量子効果を用いたチートセンシティブビットコミットメント・プロトコルの構築
発表概要:ビットコミットメント(BC)とは、ボブが1ビットの情報を秘匿したままアリスに託し、一定時間後になってボブが秘密を公表するさいに、ボブによってビットが不正に変更されていないことをアリスに確信させるためのプロトコルである。それに対してチートセンシティブBC(CSBC)とは、ビット情報の秘匿性は要求せず、アリスによって不正に情報が読まれた場合に、ボブがそれを確実に検知できれば良い。これまでに提案された量子効果を用いたCSBCのプロトコルは、複雑な構成により情報理論的な安全性の成否について、未解決のままである。そこで本研究では、できるだけ簡単な構成で、情報理論的に安全な、量子効果を用いたCSBCのプロトコルを構築し、情報理論的な安全性が成立する条件を検討する。
 
黒田 笑子 M2 岡田 実 中島 康彦 原 孝雄
発表題目:複合符号を用いた\\衛星通信キャリア重畳方式の検討
発表概要: 衛星を用いた通信システムで周波数利用効率を高めるために、キャリア重畳方式が提案されている. VSATシステムでのキャリア重畳方式では、HUB局と小型局で同一の通信周波数帯域を使用し、周波数利用効率を2倍にすることができる.
この場合、受信時には同一周波数帯に重畳された信号のうち、所望の信号だけを取り出す必要がある. 本研究では、受信信号から不要信号(送信信号)のレプリカを作成し、それをキャンセルすることで所望信号のみを取り出す方式について検討する. また、このレプリカは受信信号に付加された遅延測距符号を用い、遅延時間を正確に測定したのち、送信信号データをこの遅延時間分だけシフトさせることで作成することができる.
この測距符号にはMCC(Multi Component Code)を使用し、受信信号との自己相関を計算することで遅延時間を測定する. しかし、MCCの測距の安定性についてはまだ十分検証されていない. 本発表ではこのMCCの安定性についての検証結果と今後の課題について報告する.
 

会場: L3

司会:中尾
伊坂 弥花子 M2 石井 信 湊 小太郎 作村 諭一
発表題目:体節形成の時空間パターンを制御する分子機構の数理解析
発表概要:体節形成は、脊椎動物の発生過程に見られる一過性の現象である。神経管を中央として胚の頭側から尾側へと両側に左右対称に整列する均等な球状の細胞群が現れるが、このとき、マウスの場合正確に2時間ごとに左右一対ずつの体節が付け加えられる。この分節化の周期性を理論的に解釈するために、周期性をつくりだす「時計」が想定され、実験によって分節周期に一致して発現パターンが変化する分子(遺伝子)の存在が明らかとなった。また、発現パターンの周期的変化を数学的に説明する数理モデルもいくつかある。本研究ではこれらの数理モデルを元に、生物学的に妥当性があり、かつ細胞群での周期的変化を説明できるモデルを構築し、体節形成のメカニズムの解明を目指す。
 
鬼塚 美帆 M2 石井 信 湊 小太郎 川人 光男 作村 諭一
発表題目:下オリーブ核ネットワークモデルによる下オリーブ核発火パターンの再現
発表概要:下オリーブ核(IO)ニューロンは、小脳皮質における学習に必要な誤差信号を運ぶ登上線維の源である。このニューロンは、gap junctionで結合しており、さまざまな条件でリズム的な発火をするが、ある学習時の覚醒ザルではリズムと同期のどちらでもないと報告されており、その力学的メカニズムは明らかになっていない。麻酔下ラットのIOにGABA阻害剤のピクロトキシンを投与すると、同期リズムと非同期低頻度発火が交互に繰り返され、IOニューロンは投与前よりも脱分極することが知られている(Lang et al. 1996)。そこで本研究では、ピクロトキシン投与により、gap junctionの結合が強まり、抑制性シナプス入力が減ると考え、 Langeらの発見した実験データを再現し、IOの力学的なメカニズムを考察する。
 
林 浩平 M2 石井 信 池田 和司
発表題目:指数族行列因子化の時系列モデルへの拡張
発表概要: 本発表では,既存の行列因子化手法を時間方向に拡張することにより,メール の送受信履歴といった時変な関係データの確率モデルを新たに提案する.ノイ ズが付加された関係データ(すなわち行列)からその裏にある真の関係性を効果 的に推定するため,データの変動を低ランク行列の空間で表現する.また観測 された行列は,汎用性のある指数型分布族から生成されたと仮定する.提案モデ ルは,逐次ベイズ法を適用することにより真の関係性の変動に追従する. 人工データと実データを用いた実験にて,提案モデルが時変な真の関 係性を従来手法より効果的に推定可能であることを示す.
 
木村 慎志 M2 石井 信 銅谷 賢治 池田 和司 吉本 潤一郎
発表題目:Dynamically Reconfigurable Processorの計算処理能力向上に関する検討
発表概要:Dynamically Reconfigurable Processor(DRP)は、動作実行中にも内部論理回路を定義・変更できるプログラマブルLSIである.DRPは数枚の物理コンテキストを活用することで専用LSI並みの高速性を実現している.しかしその物理コンテキスト数を上回る分割されたタスクが処理される場合、ミスヒットによる遅延時間が生じ、性能は低下する.そこで、この遅延時間を低減させるべく、次に処理されるであろう分割されたタスクを、強化学習を用いて予測する.本発表では、分割されたタスクの性質を提示し、どのように活用していくか報告する.また強化学習の適用にむけた今後の展望を示す.