ゼミナール発表

日時: 9月30日(火)4限 (15:10-16:40)


会場: L1

司会:小坂
澤 悠太 M2 伊藤 実 西谷 紘一 安本 慶一
発表題目:車車間通信を用いた歩行者位置の高精度推定方式とその評価
発表概要:本研究では,歩行者の位置を高い精度で特定し,歩行者の交通安全支援を行うことを目的とした,指向性アンテナを搭載した複数車両の協調による歩行者位置検出方式を提案する.提案手法では,歩行者が定期的に発する固有のIDを持つビーコンを,車両にて指向性アンテナを用いて受信し,到達方向および距離を計測する.その際の測定誤差が正規分布に従うと仮定し,歩行者の存在範囲および範囲内の各地点における歩行者の存在確率を推定する.推定精度の向上を目的として,各車両において推定した歩行者の位置の情報を車車間通信により他の複数車両と交換し,歩行者の位置ごとの存在確率の重ね合わせを計算する.本発表では,安全確保のために歩行者検知が必要となる対象場面について述べ,指向性アンテナを用いた各地点における歩行者の存在確率を求める際に使用する確率モデル,存在確率の重ね合わせの方法および推定した情報を車車間通信を用いてリアルタイムに交換する動作手順について提案を行う.提案方式の有効性を評価するため,提案手法を実装し,ネットワークシミュレータ QualNetにて実験を行った.その結果,車車間通信を用いた即時性を保ちながら歩行者位置推定の高精度化が可能であることが得られた.
 
正時 啓輔 M2 鹿野 清宏 西谷 紘一 猿渡 洋
発表題目:コサイン距離規範k-meansを用いた音楽信号圧縮符号化法
発表概要:近年,従来のステレオ再生技術より高い臨場感を提供する5.1ch,7.1chなどの多チャネルサラウンドシステムが開発されている.信号の多チャネル化に伴い,伝送量の増加が大きな問題となるため,多チャネルシステムに有用な圧縮技術開発の要求が高まってきている.現在,MPEG-Surroundの基盤技術であるBinaural Cue Coding (BCC)が注目されている.我々は,BCCよりも高品質な低ビットレート圧縮技術として,コサイン規範k-meansを用いた圧縮法を提案する.この手法は,コサイン距離規範k-meansにより得られる誤差最小の基底ベクトルを用いてシングルチャネル化を行う.本提案手法の有効性を客観・主観評価実験により確認する.
 
松原 佳亮 D2 湊 小太郎 西谷 紘一 飯田 秀博 杉浦 忠男
発表題目:[18F]F-Dopa PET動態解析における推定パラメータの生理学的変化に対する感度の評価
発表概要:[18F]F-Dopaを用いたPET撮像で得たデータに対してPatlak解析法等の解析的手法を適用することにより、生理学的パラメータを推定し、パーキンソン病の診断・治療効果の評価指標として利用する試みが数多く行われている。本研究では既存解析法(Patlak, Logan, Multilinear解析法)で推定したパラメータについて、パーキンソン病で起こるとされる線条体のドーパミン神経における生理学的変化に対する感度を評価した。生理学的変化を詳細にシミュレーションできるモデルを新たに構築し、そのモデルでシミュレーションしたPET放射能時間曲線を各解析法で解析し、結果を比較した。その結果、Multilinear解析法で推定したパラメータがパーキンソン病の生理学的変化に対して感度良く変化することを示唆するデータが得られたので報告する。
 

会場: L2

司会:藤澤
竹内 充 M2 千原 國宏 加藤 博一 眞鍋 佳嗣 池田 聖
発表題目:アバター自動生成の為の類似パーツの自動選択手法
発表概要:SNSやオンラインゲームなどでユーザーの分身となるCGキャラクターのことをアバターという. 本研究では,正面実写顔写真を入力として類似するアバターを自動生成するため,顔器官別の類似パーツ自動選択を行う. パーツ選択にはサポートベクターマシンによる形状特徴ベクトルの学習分類を用いる. パーツに対してその形状に依存する処理を施さないため,生成するアバターの種類に非依存な枠組みを実現する.
 
三宅 玲 M2 千原 國宏 加藤 博一 眞鍋 佳嗣 池田 聖
発表題目:複数プロジェクタによるHDR表示の検討
発表概要:既存のディスプレイ装置で表現可能なダイナミックレンジや階調数は限られており,装置の表現域を超えたダイナミックレンジの画像を表示すると,黒潰れや白飛び等の問題が発生する.本研究では,複数のプロジェクタを用いてダイナミックレンジの拡張と階調数の増加を計り,HDR(High Dynamic Range)表示を可能とするディスプレイ装置の実現を目指す.具体的には,HDR画像を輝度値によって分解し,各画像をプロジェクタ毎に割り当て,同一スクリーンに投影しHDR表示を行う.本発表では,提案したディスプレイ装置によるHDR表示と従来のLDR(Low Dynamic Range)表示を比較し,提案手法の有効性を示す.
 
今村 昂司 M2 千原 國宏 加藤 博一 眞鍋 佳嗣 池田 聖
発表題目:半透明マーカによる仮想物体の積み重ね表現
発表概要:現実環境に仮想物体を重畳する複合現実感において,マーカが広く用いられている.しかし,現状のマーカでは,机の上に花瓶を置くような複数の仮想物体を上下に配置して表現する場合,仮想物体の組み合わせの数だけマーカや上下に配置した状態のCGオブジェクトが必要となる.そのため,ユーザが任意の仮想物体の組み合わせを表現することが困難である.本研究では,色情報を付加した半透明マーカを重ね合わせることで仮想物体の上下配置を表現する.提案手法では,マーカの重なる順番で色の重なりや出現が変化するため,マーカの重なる状況を識別できる.これにより,仮想物体の上下配置をマーカの重ね合わせという直観的な表現で実現する.
 
伊原 章達 M2 千原 國宏 加藤 博一 眞鍋 佳嗣 池田 聖
発表題目:複合現実感における立体マーカの映り込み除去
発表概要:複合現実感におけるCGと現実環境の融合要素として,幾何,光学,および時間の整合性がある.我々は,これらの整合性を保つために鏡面球とマーカによる立体マーカを用いた手法を提案してきたが,光沢面上にマーカを配置した場合,現実環境へのマーカの映り込みが生じ,光学的整合性が完全には保てないという問題がある.本研究では,現実環境への立体マーカの映り込みを除去し,よりリアルな表現の実現を目指す.具体的には,カメラ画像中のマーカ位置より映り込み位置・形状を推定し,映り込みが生じている箇所に対し局所的に色補正を行い,映り込みの除去を行う手法を提案する.
 

会場: L3

司会:中村(嘉)
田中 翔 M2 関 浩之 松本 裕治 楫 勇一

発表題目:Pair-SMCFGに基づくncRNAの2次構造予測法
発表概要:タンパク質に転写されず単体で機能するnoncodingRNA(ncRNA)の2次構造予測が盛んに行われており、 形式文法、特にCFG(文脈自由文法)による予測法が注目されている。 しかし、CFGではncRNAのもつ2次構造の一種であるシュードノットを表現できないことが知られている。 既にCFGより生成能力の大きい文法を用いて、シュードノットを含む2次構造を予測する手法が種々提案されている。 一方、RivasとEddyは、2本のRNAを入力とし、既存のツールを用いて1次構造アラインメントを行った後、 CFGに基づいて2次構造予測を行う手法QRNAを提案している。
そこで本研究では、2次構造予測にCFGより生成能力の大きい文法であるMCFGを用いることにより、 QRNAを拡張して2本鎖を入力とした精度のよい2次構造予測法を提案する。 本発表ではまず既存研究であるQRNAの概要と問題点を説明する。 次に本研究の内容である、Pair-SMCFGを用いた2次構造予測法について述べ、最後に今後の研究方針を述べる。

 
大熊 秀治 M2 松本 裕治 池田 和司 乾 健太郎  新保 仁
発表題目:機械学習と系列アラインメントを応用した日本語並列句解析
発表概要:本研究では、原らが英語並列句の範囲の検出に適用した識別学習モデルに注目し、その手法を日本語並列句に適用する。彼らの手法を日本語に適用するには2つの問題がある。まず1つに、彼らは英語並列句を対象に少数の素性を用いた予備的な実験をしか行っていないため、日本語の並列句範囲の検出に有効な素性はまだ十分に検証されていない。また、英語において並列句が存在するかの判定は"and"などの接続詞により容易に可能だが、日本語においては手がかりとなる表現が複雑であるため、並列句範囲の検出だけではなく並列句の有無の判定も問題となる。そこでまずは日本語並列句範囲の検出に有効な素性の開発を行った。本発表ではシソーラスなどの外部知識の有効な素性表現と並列句間の距離による素性分解を提案し、京都テキストコーパスを用いた検証実験の結果を発表する。
 
森田 啓 M1 松本 裕治 伊藤 実 乾 健太郎
発表題目:テキスト情報の事実性解析
発表概要:大規模なテキスト集合から,述語を核とした事象を抽 出するタスクにおいて,その事実性を解析する技術は重 要である.なぜならば,事象は,確定した事実だけでは なく,まだ予定にすぎないことや仮定なども表わしうる からである.それゆえ,事実性解析は,特に,情報の信 憑性や有効性を判断するときに,必要不可欠な技術であ ると言える. このような背景により,我々のグループは,事象の事 実性を捉えるタグ体系とそれに基づいて解析を行う事実 性解析器を構築した. 本発表では,この解析器の精度 向上を目指して行っている,次の2 つのアプローチにつ いて報告する. 1. 事実性タグ体系の精緻化 2. 複数事象の事実性における依存関係を考慮した解析