ゼミナール発表

日時: 9月29日(月)4限 (15:10-16:40)


会場: L1

司会:佐藤
平井 迪郎 M2 木戸出 正繼 横矢 直和 浮田 宗伯
発表題目:時系列ボリュームの非線形確率モデルを用いた人体・着衣の部位形状追跡
発表概要:同期ビデオ群から着物などの緩い着衣を含めた人体の部位形状を追跡する手法
を提案する.本稿における部位形状追跡とは,人体領域とその周辺着衣を含んだ各体節部
位の特定と形状修正を表す.本手法では人体・着衣の形状変化をそのまま事前知識として
用い,部位形状の追跡を実現する.対象形状の複雑な変化を非線形で確率的な低次元空間
上の軌跡として表わし.この低次元空間で追跡を行う事でノイズを含んだ高次元な入力形
状の部位特定と形状修正を効率的に実現する事ができる.
形状変化の大きい着物を着衣とした実験により,提案手法の有効性を確認した.
 
中河 秀仁 M2 木戸出 正繼 横矢 直和 波部 斉
発表題目:過去の人物移動軌跡と画像の見えを利用した人物存在事前確率の効率的な獲得
発表概要:人物検出、人物追跡技術は監視カメラなどのセキュリティ分野から大きな期待が寄せられているが、現状では、実環境において、人物が存在しえない領域から人物を検出したり、人物でないものを人物であると誤検出したりする問題がある。この問題に対処するために対象シーンに固有な人物存在確率を用いることにより、検出率を向上させるという手法が提案されている。 本発表では、過去の人物移動軌跡と画像の見えを利用することにより、人物存在確率を効率的に獲得する手法を提案する。人物存在確率は、パーティクルフィルタのパーティクルの密集度を用いて表し、逐次的に更新することにより獲得する。これにより、シーン構造を考慮に入れた非線形な更新に対応する。実験では、実環境において人物存在確率を取得し提案手法の有効性が確認された。
 
芦田 美千代 M2 山口 英 岡田 実 門林 雄基
TITLE: Probabilistic authentication mechanism for securing an opportunistic wireless mesh routing protocol
ABSTRACT: For Wireless Mesh Networks (WMNs), especially when used as wireless infrastructures, it is important to offer robust and reliable routing against possible accidents and attacks in order to avoid Denial-of-Service (DoS) situations. Originally, WMN infrastructures were facing two kinds of concerns: 1) performance constraints arose from the nature of radio waves and also from multiple forwarding over radio, 2) increased vulnerability against security threats due to openness of the wireless infrastructure. The first problem may be answered to a certain degree by an opportunistic wireless mesh routing protocol, "ExOR". The main focus of our research is the latter: to add a security feature to this ExOR routing protocol, more specifically, to protect and authenticate routing information during ExOR's unique information penetration process. For this, we propose an authentication mechanism based on probabilistic approach. Our probabilistic authentication mechanism assures secure generation and integrity of the data, while maintaining minimum traffic overhead caused as a result of the mechanism in a relatively secure environment. In the presentation, planned simulation experiments and future actions will also be discussed.
 

会場: L2

司会:中尾
高橋 祐 D2 鹿野 清宏 小笠原 司 猿渡 洋
発表題目:リアルタイムブラインド空間的サブトラクションアレーを用いたハンズフリー音声対話システムの構築
発表概要: 本発表では,リアルタイム・ブラインド空間的サブトラクションアレー(BSSA)に基づく ハンズフリーロボット対話システムの構築及びシステム評価を行う.BSSA はブラインドに目的音を 取り出す手法であり,独立成分分析(ICA)により推定された雑音を,遅延和アレーにより目的音を強調 した信号からスペクトル減算することにより目的音の抽出を行う.BSSA は雑音を効率的に抑圧するこ とが可能であるが,ICA による雑音推定部の計算コストが高いため,リアルタイムに動作させることが 困難であった.そこで本発表では,BSSA のリアルタイムアルゴリズムを提案すると共に,提案リアルタイ ム BSSA を導入したハンズフリー音声対話ロボット対話システムを構築した結果を報告する.リアルタイム BSSA を導入したシステムでは, 従来の音声強調技術に比べておよそ 6% の音声認識率の改善が確認された.
 
今畑 年雄 M2 千原 國宏 湊 小太郎 眞鍋 佳嗣 池田 聖
発表題目:没入型ディスプレイを用いた視運動性眼振と平衡機能の関連性検証
発表概要:人は視覚,前庭感覚,深部感覚,皮膚感覚から得られる情報を統合して身体の平衡状態を判断している.これらの感覚器に刺激を与え,平衡機能を向上させる訓練は,複数の感覚に刺激を与えることでより高い効果が得られる.視覚刺激は平衡機能に影響するため,視覚刺激により平衡機能の訓練の効果が向上すると考えられる.本研究では,視覚刺激による平衡機能向上の訓練効果を確認するために視運動性眼振と平衡機能の相関を調査する.平衡機能が高い人は眼振発生回数が多いことから,逆に,眼振を誘発させることにより平衡機能が向上する可能性がある.本研究では視運動性眼振を誘発させる映像刺激を,広い視野角を持つ没入型ディスプレイに提示し,眼振発生回数に対する平衡機能の変化を,重心動揺を指標として調べる.訓練により複数の被験者の眼振発生回数が増加し,重心動揺が減少することを確認した.
 
原田 甫 M2 千原 國宏 湊 小太郎 眞鍋 佳嗣 池田 聖
発表題目:筋肉モデルを用いた眼球運動に基づく眼瞼形状の自動生成
発表概要:顔の印象は主に視線方向と表情変化により決まるといわれており,顔表情のアニメーションにおいては目周辺の表現が重要である.眼球運動と眼瞼の変形は眼筋を介して連動していることが知られているが,従来これらは独立に扱われていたため,違和感のある顔表情が生成されるという問題があった.本研究では,眼球運動に応じた眼瞼形状を眼筋構造モデルを用いて変形させることで,リアルな顔表情アニメーションを生成することを目的とする.眼瞼の変形には従来広く用いられているWatersの筋肉モデルを用い,眼球の回転角と筋肉の伸縮率をパラメータで関連付け,視線方向に依存した表情変化を生成する.
 
野村 烈 M2 千原 國宏 木戸出 正繼 眞鍋 佳嗣 池田 聖
発表題目:泳者周辺に発生する気泡の3次元追跡
発表概要:本発表では,泳者が水泳時に受ける水の抵抗を減らすための指標として、泳者の周囲に生ずる気泡の3次元的な軌跡を,2台の高速度カメラから得られる画像から推定する手法を提案する.気泡の3次元軌跡を得るために,複数のカメラにより異なる視点から撮影し,ステレオ計測を行う.ステレオ計測では,カメラ間での気泡の対応付けが問題となるが,提案手法では,(1)2次元軌跡の推定,(2)3次元軌跡の推定,の2段階の処理により,この問題の解決を図る.2次元軌跡の推定では,気泡の動きを考慮してオプティカルフローを推定する.フレーム間での気泡の移動を事前確率として用いることで,推定精度の向上を図る.得られた2次元的な軌跡から,複数フレーム間でエピポーラ拘束を満たす気泡を探索することで,左右画像における同一気泡を対応付ける.水泳時の状況を想定した水槽での実験から、腕の周囲の気泡は,腕の作った流れに沿って移動していく様子が確認できた.
 

会場: L3

司会:小林
木村 学 D2 松本 裕治 池田 和司 乾 健太郎  新保 仁
発表題目:効率的な類似検索のためのピボット学習
発表概要:与えられたクエリから類似したオブジェクトを同定する類似検索は, 情報検索,パターン認識などの広い分野での 重要な技術であり,多くのアプリケーションが存在する. 効率的な類似検索を行う一つのアプローチとして, 検索時に クエリとデータ群の各オブジェクトとの間で行われる類似計算の回数を減らすことに焦点を当て, 特に ピボットの集合に注目する. 本発表では,ピボットの集合をデータ群から選択する従来手法とは異なり,データ群が存在しうる距離空間から機械学習アプローチにより学習する新たな手法を提案する.実験により,提案手法が代表的な従来手法と比べて, 類似計算の平均的な実行回数を大幅に減らすことを示す.
 
香野 哲也 D2 箱嶋 敏雄 小笠原 直毅 児嶋 長次郎(バイオサイエンス研究科)
発表題目:2’−ホスフォジエステラーゼの構造解析研究
発表概要:本研究は、インターフェロンによる抗ウイルスおよび抗癌作用の負の調節を担う2’−ホスフォジエステラーゼの結晶構造解析を行い、阻害剤のデザインに有用な知見を得ることを目指すものである。 インターフェロン(IFNs)によって誘導される抗ウイルスおよび抗癌作用の主パスウェイとして知られる2-5Aシステムでは、IFNsの誘導が引き金となり合成された2-5A(2’-5’リン酸ジエステル結合によって結合した3残基のアデニンオリゴマー)が不活性型RNaseLを活性型に変換させ、ウイルス由来の一本鎖RNAを次々に分解することで蛋白質合成を阻害しウイルス増殖を防ぐ。ここで、このRNaseLを調節する酵素が2’-ホスフォジエステラーゼ(2’PDE)であり、2-5A をAMPとATPに分解することにより負の調節を行っている。従ってこの2’PDEの阻害剤はIFNによる坑ウイルス増強剤となり得るが、本酵素の立体構造は未だ解明されていない。本発表では、現在までに得られた研究結果と今後の研究方針について報告する。
 
水上 祐子 M2 箱嶋 敏雄 小笠原 直毅 児嶋 長次郎(バイオサイエンス研究科)
発表題目: 三量体Gタンパク質Gαシグナル伝達に対する新規制御タンパク質の構造学的研究
発表概要: 三量体Gタンパク質は、Gタンパク共役型受容体(GPCR)からのシグナル伝達経路における分子スウィッチとして、生体内で重要な役割を担っている。GPCRは細胞外から刺激を受けると、グアニンヌクレオチド交換因子(GEF)として不活性型GDP-Gαを活性型GTP-Gαに交換する。これにより三量体Gタンパク質は下流のエフェクタータンパク質へとシグナル伝達をおこなう。 近年、in vitro においてGEF活性を示すRic-8Aが同定された。Ric-8AはGPCRを介するシグナル伝達経路とは異なる経路を介しGαを活性化することが知られている。しかし、その詳細なGEF活性のメカニズムや生理的役割、ドメインやモチーフ構造は明らかとなっていない。 そこで本研究では、GαとRic-8Aとの複合体をX線結晶構造解析により、そのGEF機能のメカニズムを明らかとすることを目的とする。 本発表では、現在までに得られた研究結果と今後の研究方針について報告する。