ゼミナール発表

日時: 9月29日(月)1限 (9:20-10:50)


会場: L1

司会:小木曽
鏑木 靖之 M2 西谷 紘一 杉本 謙二 野田 賢
発表題目:マイクロ化学プロセスの閉塞診断手法
発表概要:近年,マイクロリアクタと呼ばれる化学反応・分析装置の研究が盛んである.これはガラスや金属にマイクロオーダーのトンネル状チャネル(流路)を形成したデバイスであり,チャネル内に種々の流体を流して反応・分析を行うものである.マイクロリアクタの特徴の一つとして,エネルギー的に非常に高効率な反応を実現できることがあるため,マイクロ化学プラントと呼ばれる,マイクロリアクタを多数集積して構成する化学プラントが,高効率の次世代のプラントとして期待されている.化学プラントの定常運転に欠かせないものの一つとして,プラントの保全の為の異常診断システムが挙げられるが,マイクロ化学プラントにおいてもこれは必須と言える.微細なチャネルを有するマイクロ化学プラントでは,特にチャネル閉塞が起こりやすいと考えられており,安定した定常運転のためには多数あるマイクロリアクタから閉塞発生箇所をを検知できるシステムが必要とされている.そこで本研究では閉塞発生箇所の検知手法に焦点を当てる.
閉塞発生箇所の検知手法として,我々はプラントの実測データと,予め蓄積しておいた故障パターン(閉塞発生時のデータパターン)のデータベースを照合することにより閉塞箇所を検出する手法を提案し,シミュレーション実験により有効性を検証した.本発表にて結果を報告する.
 
瓦田 遥 M2 西谷 紘一 杉本 謙二 中村 文一
発表題目:ロバスト性を考慮した倒立振子に対する非線形制御
発表概要:非線形システムに対し,局所LQ最適性を保持しロバスト性を持つ大域的な安定化制御則として,ロバスト厳密線形化と制御Lyapunov関数を用いた制御則が提案されている.しかし,厳密線形化は全てのシステムで行えるとは限らない.そこで本研究ではロバスト厳密線形化と近似線形化の特徴を利用し,厳密線形化できないシステムに対してこの制御則を適用することを提案し,倒立振子を対象としたシミュレーションによる検証を行った結果について述べる.
 
NG PARK HONG M2 西谷 紘一 杉本 謙二 中村 文一

Title

Design of Reference Governor for a Magnetic Levitation System via Input-to-State Stability (ISS) and Lyapunov Control Approach


Abstract

In this presentation, we will propose a reference management system (reference governor) for the magnetic levitation (maglev) system with input constraints. This system generates a reference signal that will guide the controller to generate a smooth input which will always satisfy the input constraint of the maglev system. Since the proposed reference governor is only applicable with input-to-state stable (ISS) controllers, an ISS controller is designed in advance before applying the proposed reference governor.

 

会場: L2

司会:竹之内
朝比奈 亜貴代 M2 石井 信 池田 和司 作村 諭一
発表題目:確率的報酬課題におけるドーパミン細胞の活動度解釈
発表概要: ドーパミン細胞は,神経伝達物質の1つであるドーパミンを出す細胞で,報酬や 動機,運動制御,学習に関わることが知られている.また計算論的知見として, 従来,ドーパミン細胞の活性度は,TD誤差(実際得られた報酬と報酬予測の誤差)に 類似することが知られており,この関係が大脳基底核と強化学習,特にTD学習 とを対応付ける議論を生んでいる.
これを受け,我々は,計算論的神経科学の立場からドーパミン 細胞の解釈に迫る. 本研究では,Fiorilloら(2003)によって行われた確率的報酬課題に おけるドーパミン細胞の活動度に焦点を当てる.特に, この課題の実験結果として特徴的な,視覚刺激提示時点から報酬が与えられる 時点までのドーパミン活性度の変化; Gradual Increase (GI) を説明可能なモデルを 提案することを研究の目的としている. 本発表では,我々のモデルの概要を説明し,計算機実験の結果が, ドーパミン細胞の活動度上昇GIをよく説明できていることを示す. 更に,現段階での状況を述べ,今後のモデル拡張の方向性について簡単に述べる.
 
青木 佑紀 M2 石井 信 池田 和司 柴田 智広
発表題目:Helmholtz Machineによる高次元データの 学習
発表概要:情報を圧縮して表現することは、分類や可視化、高次元データの保管 等の役に立つ。
高次元のデータを低次元に圧縮して表現する場合、主成分分析のように特徴抽出を行う ことでデータの主要な部分を抜き出すのが一般的である。これに対し、 Hinton(Science,2006)らは数百万のパラメータをもつ階層型Boltzmann Machine をうまく学習させることで、主成分分析などの線形モデルよりも優れた性能をもつ情報圧縮を実現した。 しかし、この学習器ではコスト関数の評価ができず、勾配計算の度にサンプリン グが必要になり、効率的な最適化が行えない。
本研究では、HintonらのBoltzmann Machineの解析をもとに、彼らのモデルをよ く近似する学習モデルを導出した。 提案する学習モデルは、Helmholtz Machine と呼ばれるモデルとみなすことができる。 この学習モデルのもとでは、 評価可能なコスト関数を導出することができるため、より効率的な最適化が可能 になると期待できる。本発表では、提案するモデルとBoltzmann Machineと の関係、また提案するモデルの学習アルゴリズムの導出について述べる。
 
寺村 佳子 M2 石井 信 池田 和司 柴田 智広
発表題目:統計的推定による音楽の調と和声の推定
発表概要:近年の音楽配信サービスの普及に伴い 楽曲検索・推薦するシステムが開発されている。それとともに、それらの技術でも用いられている音楽の構造解析手法にも注目が高まっている。 そこで本研究では楽曲中の音の高さの遷移に関する構造と、音符列と和声の階層性に関する構造を表現した統計的モデルを構築し、調・和声を推定することを提案する。 本発表では、提案モデルによって従来研究の問題点をどのように解決したかと、提案モデルを実装した結果について述べる。
 
玉川 崇人 M2 石井 信 池田 和司 川人 光男 神谷 之康
発表題目:Brian Machine Interface精度向上のための手法の提案
発表概要:近年、脳科学の著しい進展や脳情報の計測技術の発達により、脳活動により機械やコンピュータを動かすBrain Machine Interface(BMI)といわれる技術の研究が盛んに行なわれるようになった。
これまで、多くのBMI研究においてその測定対象には脳波が選ばれてきた。しかし、脳波は比較的計測が容易で、かつ時間解像度に優れる一方で、頭蓋内で発生した脳活動電位を頭皮上で計測することから、空間解像度が低いという問題点がある。そのため、活動部位の特定が難しく、BMIの精度を落とす一因となっている。
そこで本研究では(1)生体構成物質を透過する近赤外分光により脳血流を測定できるNIRS計測装置と(2)脳波に対して階層ベイズ法による電源推定を施すことによりBMIの精度の向上を試みる。
 

会場: L3

司会:佐藤
荒木 天外 M2 小笠原 司 横矢 直和 高松 淳
発表題目: 画像に基づくナビゲーションのためのユニバーサルマップの構築
発表概要: ロボットが自律移動するためには環境マップを保持することが必要不可欠である. しかし環境マップはナビゲーション手法ごとに変更する必要があり,その生成には多大なコストがかかった. そこで本研究では,画像に基づくナビゲーションへの汎用的利用が可能なユニバーサルマップを構築する. このマップを用いることで,各ロボットがそれぞれのセンサに適応した地図(天井地図,ビューシーケンス)へ変換が可能となる. ユニバーサルマップは,カメラとレーザーレンジファインダを有する測量ロボットを用いて構築した. さらに,そこからビューシーケンスを生成し,ナビゲーションを行った結果についても報告する.
 
松原 裕貴 M2 加藤 博一 中島 康彦 宮崎 純 天野 敏之
発表題目:マルチコア・プロセッサによるキャッシュを有効利用した時系列パターンマイニングアルゴリズム
発表概要:時系列パターンマイニングには大規模なデータベースに対する処理時間の問題があり、改善が求められてきた。 近年では、CPUキャッシュの利用効率の改善に関する研究が行われており、時系列パターンマイニングにおいてもCPUキャッシュの利用効率の改善による処理速度の向上が期待できる。 時系列パターンマイニングアルゴリズムでは広範囲のデータに繰り返しアクセスが生じる傾向があるため、キャッシュミスレイテンシの発生が処理速度を低下させる可能性がある。 そのため、キャッシュミスの抑制によるCPUキャッシュの利用効率の改善及びマルチコア・プロセッサによる並列化により、処理速度の改善を行う。
 
田村 亮輔 M2 加藤 博一 横矢 直和 宮崎 純 天野 敏之
発表題目:拡張現実感のための自然特徴点を用いた特徴点追跡の失敗原因の解析
発表概要:拡張現実感システムにおいて,幾何学的整合性は非常に重要な問題である.従来の手法であるテクスチャートラッキングでは,テンプレートマッチングにより検出された特徴点を用いてカメラとトラッキング対象との相対的な位置姿勢を計算することにより,幾何学的整合性を保った画像合成を実現した.だが,この手法にはカメラの高速移動時に特徴点追跡に失敗するといった問題がある.そこで,100fpsでの画像入力が可能な高速度カメラを用いてカメラの高速移動の問題への対応を試みた.実験を行った結果,特徴点追跡の安定性が向上することを確認したが,依然として特徴点追跡に失敗する原因が残っていることがわかった.その原因についての解析を行う.
 
山田 周平 M2 加藤 博一 横矢 直和 宮崎 純 藤澤 誠

発表題目:テーブルトップシステムと流行歌を用いたコミュニケーション支援システム

発表概要:思い出を用いたコミュニケーション支援を行う方法として,いくつかの手法が提案されている.”思い出”という個人的なものを他者と共有することにより,あまりよく知らない相手に対しても,親近感を抱くことができる.これまで提案されている手法として,個人的な写真や流行歌を用いる手法がある.流行歌を用いる手法では,オルゴール型インタフェースとテーブル型インタフェースを使用したシステムが提案されているが,システム動作の検証など,まだ研究が不十分な点が残っている.本研究では,提案されたシステムに対して検証を行い,システムの改良を行う.本発表では,研究背景と目的,現在の進捗状況と今後の予定について述べる.