波多野 学 | 音情報処理学 | 鹿野 清宏 | |
発表題目:非可聴つぶやきの習得支援システムに関する検討
発表概要:近年,非可聴つぶやき(Non-Audible Murmur:NAM)を用いた音声認識が可能であることが発見された.しかし,現状のNAM認識では,NAM発声に慣れていない話者のNAM認識が困難であるという問題点がある.この問題点を解決するために,本研究ではユーザがNAM発声に慣れるためのNAM発声習得支援システムの開発を目指す.そこで,システムの実現に向けて,ユーザが発声したNAMの善し悪しをNAMの音響的特徴から判定する手法について検討した.本発表ではその結果を報告し,今後の研究方針についても述べる. | |||
林田 千瑛 | 音情報処理学 | 鹿野 清宏 | |
発表題目: 話者適応を用いた多対一声質変換の音質改善
近年の声質変換技術が発展している. 声質変換とは,ある話者の音声を他の目標話者の音声へ変換する技術である. 統計モデルを用いた手法の発展により, ユーザと目標話者の同一発話からなるパラレルデータを学習して構築されたモデルに基づいて変換を行う, 一対一声質変換の変換精度は著しく向上した. しかしながら, モデル構築のために, ユーザと目標話者が50文程度の同一発話を行う必要があるため, ユーザの負担が大きいという欠点がある. そこで,任意のユーザの音声を目標話者の音声へ変換する,不特定入力話者多対一声質変換が提案されているが,1対1声質変換と比べ,変換精度は十分とは言い難い.本発表では,この多対一声質変換の音質改善手法を紹介し,現在の進捗及び今後の方針を述べる. | |||
芳賀 真由美 | 神経計算学 | 池田 和司 | |
発表題目:板バネ関節を持つ4脚ロボットの強化学習による歩行学習
発表概要:脚関節がバネで構成されている4脚ロボットは,バネの持つダイナミクスを利用することで,振動子による単純な制御で歩行を実現できるという特徴を持つ.しかし,振動子のパラメータの調整をハンドチューニングにより行うことは困難である. 本発表では,振動子のパラメータ決定に,強化学習アルゴリズムの一種であるGPOMDPを用いることを提案する.そして,報酬関数設計のための基礎実験の報告をした後,今後の研究予定について述べる. | |||
味間 弘喜 | 論理生命学 | 池田 和司 | |
発表題目:漫然運転のためのドライバのブレーキ予測
発表概要:近年ドライバの認知ミスによる交通事故が多く見られる. その中でも脇見運転, 漫然運転, 安全不確認等は事故全体の三割を占めている. 車間距離計測に基づい たブレーキ警報は漫然運転時の危険性を軽減する方法の一つと考えられるが,個 人の嗜好に合わせなければ,警報を切られてしまう可能性があるという問題が あった.そこで本研究では,ドライバの通常の(漫然時でない)運転データに基 づいて,そのドライバのブレーキ操作を予測する手法を確立することを目的とす る.これができれば,ブレーキ警報を行うタイミングを個人の嗜好に合わせて調 整できるようになる. 本発表では,上記目的に沿ってこれまで私が行ってきた,サポートベクトルマシ ンを用いたブレーキ予測について述べる. | |||
OIKAWA MARINA ATSUMI | インタラクティブメディア設計学 | 加藤 博一 | |
発表題目: Rigid objects tracking for augmented reality.
発表概要:Many applications related to computer vision requires the tracking of complex 3D objects in the scene. Numerous approaches have been suggested, and depending on the application, there are different object representations and hence different tracking methods, for example, using interest points detection or a model of the object to be tracked. In this presentation, some considerations about the current existent approaches in the tracking field is made, and in this context, the intended research is described. | |||
大林 千尋 | 論理生命学 | 池田 和司 | |
発表題目:論文紹介"Adaptive Support for Patient-Cooperative Gait Rehabilitation with Lokomat"
発表概要:歩行リハビリテーション分野においてロボットを導入しその作業の自動化が図られている.これらのロボットはあらかじめ決められた軌跡に沿って運動する位置決め制御に基づくものであり,患者はロボットの運動に従って下肢を動かされる. この手法は下肢を思うように動かすことが出来ないリハビリテーション初期の患者には有効である.しかし,ある程度能動的に下肢を動かすことができる患者に対しては有効な手法とは限らない. そこで本発表では,患者の能動性を尊重した患者とリハビリテーションロボットが協調して歩行訓練を行う制御手法を紹介する. | |||
西田 実加 | 生命機能計測学 | 湊 小太郎 | |
発表題目:高転移がん細胞の駆動張力計測
発表概要:肺への高転移能をもつマウス骨肉腫細胞株であるLM8とDunnを用いて、細胞の駆動張力を計測するシステムの開発を研究テーマとして発表する。 細胞駆動張力とは、"細胞が自身で移動する時に組織にかかる張力"と定義している。 culture dish上に、蛍光粒子を埋め込んだアクリルアミドゲルを固定し、コラーゲンコートする。その上でLM8またはDunnを培養し、細胞がゲルに対して働かせた駆動張力を、ゲルに埋め込んだ蛍光粒子の微小変位から計測する。蛍光粒子の微小変位は、光学顕微鏡を用いてタイムラップ撮影し、画像解析することによって求める。 この駆動張力計測システムを開発することにより、がん細胞が組織に張り付く強さを定量的に求め、比較することを目標としている。 | |||
畑野 大樹 | 構造生物学 | 箱嶋 敏雄 | |
発表題目:モータータンパク質Myosin-XのMyTH4-FERMドメインの構造的研究による積み荷認識機構の解明
発表概要:モータータンパク質の一種であるMyosinのTail domainは、Myosinの種類によって多様性に富んだ構造を有している。Myosinのうち、Myosin-VII,X,XVのTail domainにはMyosin Tail Homology 4 (MyTH4) domainとFERM domainという共通の構造が含まれており、タンパク質間相互作用を担っていることが示唆されている。Myosin-XでのMyTH4-FERM domainは、糸状仮足の伸長や細胞分裂に関与すると考えられており、微小管やDCC (deleted in colorectal cancer)などに相互作用することが示されている。この標的分子との相互作用にはMyTH4とFERMの2つのドメインが協調的に働くことで標的を認識すると考えられている。DCC-neogeninの細胞質領域は300-400a.a.程度で、P1,P2,P3という種間で保存性の高い3つの領域が存在するが、P3 domainがMyosin-Xとの相互作用に重要であるとされている。結晶構造解析によって、Myosin-Xの積み荷認識、DCCとの相互作用の様式を解明することを目的とする。本発表では研究背景と今後の方針について述べる。 | |||
宮田 雄輔 | 蛋白質機能予測学 | 横矢 直和 | |
発表題目:タンパク質キナーゼと阻害剤の結合の強さを予測するための指標探索
発表概要:従来の医薬品開発は、薬物標的を決定し、リード化合物の探索、最適化を行い臨床開発に移行するという手法が用いられていた。しかし近年、薬剤標的タンパク質の一種であるタンパク質キナーゼの配列情報が判明したことにより、多数のタンパク質キナーゼと阻害剤を用いて網羅的に薬物の探索を行う手法が開発された。本発表では、先行研究で用いられたタンパク質キナーゼと阻害剤の結合情報を用いてタンパク質キナーゼと阻害剤の相関関係を示し、タンパク質間の特性情報を用いて阻害剤との結合の強さを予測し得る指標の探索方針について述べる。 | |||
ZHAI YAN | 構造生物学 | 箱嶋 敏雄 | |
発表題目:Tiam1、Tiam2のPHCCExドメインによるCD44,Ephrin,Par3の認識 発表概要: T-lymphoma invasion and metastasis 1 (Tiam1) は白血球の浸潤に関わる遺伝子として同定された低分子量Gタンパク質Racのグアニンヌクレオチド交換因子である。細胞内において、Tiam1は細胞膜近傍に局在してRacを活性化し、細胞運動時の葉状仮足形成に関与する。この細胞膜への局在は、Tiam1分子内のPHCCExドメインが、細胞膜や細胞接着分子、足場タンパク質などと相互作用する事によって行われる事が近年明らかになってきた。しかしながら細胞膜局在に重要なTiam1のPHCCExドメインが、どのように細胞膜や細胞接着分子などを認識し、細胞膜局在に関与しているのかは未だ明らかになっていない。本研究では、Tiam1および、その相同タンパク質Tiam2のPHCCExドメインと、細胞接着分子CD44とEphrin、足場タンパク質Par-3との複合体結晶構造解析を行い、PHCCExドメインによる、それぞれの分子の認識機構を明らかにする事が目的である。今回の発表では、研究背景の紹介と今後の研究方針について報告する。 | |||
雷 瑛 | システム細胞学 | 小笠原 直毅 | |
発表題目:グラム陽性菌に保存されている新規核様体蛋白質Vegの機能解析
発表概要:核様体蛋白質は、非特異的にDNAに結合する、分子量の低いDNA結合蛋白質であり、DNAを折り曲げる性質を持つ。大腸菌では数多くの核様体蛋白質が同定されており、この様な性質を通じて、核様体構造の維持(HU、H-NS)や染色体の複製、グローバルな転写制御(H-NS、StpA)、細胞分裂などに重要な役割を果たしていることが知られている。また、大腸菌を中心としてゲノム的視野からの新たな研究もはじめられ、新たな展開を見せている。しかし、酵素生産や食品などに利用され、産業的にも重要である枯草菌では、増殖に必須であるHUが核様体構造の維持に重要であることが知られているだけであり、ほとんど研究が進んでいない。そこで、本研究では、枯草菌の新規の核様体蛋白質を同定し、ゲノム的な視点から機能を解明することを目的とする。文献情報から新規の核様体蛋白質ではないかと考えているVegに関しては、枯草菌ゲノム上の結合部位の決定や欠損株の多面的な観察などによる機能解析を行っている。 | |||
中尾 良 | コンピュータ設計学 | 藤原 秀雄 | |
発表題目:論文紹介“PEAKASO:Peak-Temperature Aware Scan-Vector Optimization”
発表概要:近年,LSIの高速化・高集積化が急速に進み,それに伴ってテスト時におけるLSIの発熱量(温度)が増大している.代表的なテスト手法であるスキャンテストでは,テスト時におけるLSIの温度が通常動作時よりも高くなるため,正常なLSIをテストすることによって不良品としてしまう恐れがある.従来はテスト時の消費電力を削減し,LSIの温度を削減する手法が研究されてきた.しかし,消費電力を削減することが必ずしも温度削減につながるとは限らない.そこで本発表では,消費電力だけでなく,発熱の影響も考慮したテスト手法を紹介する. | |||
中村 正人 | ソフトウェア基礎学 | 伊藤 実 | |
発表題目:車車間通信を用いたデータ配信手法における車両の移動特性を利用した配信範囲の広域化
発表概要: 我々の研究グループでは,自律的な渋滞情報の収集とドライバへの情報提供を目指して,車車間通 信を用いた渋滞情報共有システムを提案している. 車車間アドホックネットワーク (VANET) では,高いモビリティ及び不均衡な密度により, ネットワークが頻繁に切断するため,情報を遠方までマルチホップで配信することは困難である. 本研究では,非連結な車車間ネットワークにおいて,車両の移動特性を利用することで車両が 遠方の情報を短時間で取得できる手法を考案する. 各車両が目的地情報を車車間通信を用いて配信することで,近隣の車両の今後の 移動経路を推測することができる. それにより,車の各地への移動確率を計算することで,最も効率が良いと思われる車両に データを伝搬させる. また,車両の移動特性を利用し,進路先の車両密度を推測し,それに応じて マルチホップとキャリーアンドフォワード方式を切り換えることで,できるだけ小さい遅延時間内 で情報を取得する手法の提案を行う. | |||
西田 皓司 | ソフトウェア設計学 | 飯田 元 | |
発表題目:論文紹介”An Empirical Study of Code Clone Genealogy”
発表概要:ソースコード中に存在する同一または類似したコードをコードクローンという.一般的にコードクローンはソフトウェアの保守作業の効率を悪化させる要因の一つとして指摘されており,ソースコード中からコードクローンを検出し除去するために様々な研究が行われている.しかし,あるソースコードをテンプレートとして使うような場合は,逆に保守性や生産性が向上することもあり,クローンを除去するか否かの判断は難しい. 本発表で紹介する論文では,クローンの履歴情報を基に,クローンがどのように進化を重ねていくのかを調査し,クローンの進化の過程を特徴づける4つの性質を導いた.そして,どのようなクローンを除去することが難しいか,どのようなクローンを除去すべきでないかについて言及している.最後に本論文で得た知見を基に,今後の研究テーマについて述べる. | |||
武田 隆之 | ソフトウェア工学 | 松本 健一 | |
発表題目:論文紹介"Understanding the Evolution Process of Program Sourcefor Investigating Software Authorship and Plagiarism"
発表概要:コンピュータの普及により、様々なバージョンのソフトウェアや派生して開発されたソフトウェアが利用されている。しかし、ソフトウェアの変遷を把握できないため、不具合発見時に修正すべき範囲の特定が困難である。本発表ではDNAから類似部分を抽出するアルゴリズムをソースコードの類似度算出に適用する。それにより系統樹を生成し、ソースコードの変遷を可視化する手法を提案する論文を紹介する。最後に今後の研究方針について述べる。 | |||
竹谷 啓 | コンピュータ設計学 | 藤原 秀雄 | |
発表題目:論理BISTのフィールドテストへの応用
発表概要:LSIに不良がないかを調べるLSIのテストは,製造過程,製造後,出荷後のフィールド使用時など様々な場面で行われる.製造テストで不良が検出されない場合も,フィールド使用時に劣化が進みLSIが正しく動作しない場合がある.フィールド使用時に発生する不良は,場合によって大きな事故に繋がることが考えられる.これを防ぐ方法のひとつとして,フィールドテストが挙げられる.しかしフィールドテストの実現には,過剰テストやテスト実行時の発熱といった問題がある.そこで本発表では論理BISTにおける過剰テストの回避手法を扱った論文"Pseudo-Functional Scan-Based BIST for Delay Fault",Y.-C.Lin,F.Lu,and K.-T.Cheng,Proceedings of the 23rd IEEE VLSI Test Symposium, 1-5 May 2005,pp.229-234 を紹介し,今後の研究方針についても述べる. | |||