友松 克之 | 生命機能計測学 | 湊 小太郎 | |
発表題目:TIR−FCSによる細胞のイメージングとタンパク質の動態解析
発表概要:TIR-FCSとは、TIRFM(全反射型蛍光顕微鏡)とFCS(蛍光相関分光法)という二つの技術を組み合わせた一分子蛍光イメージングの新たな手法の一つである。一分子蛍光イメージングは、個々の分子の挙動や分子間の相互作用を直接測定することが可能なことから、生命科学研究や医療分野から注目されているが、現在、TIR-FCSの細胞・生体試料への適用はほとんど行われていない。細胞・生体試料でのTIR-FCS測定、解析を目指し、本発表では先行研究における手法の紹介と今後の方針について述べる。 | |||
石橋 正守 | 蛋白質機能予測学 | 横矢 直和 | |
発表題目:翻訳後修飾チロシン硫酸化の部位予測について
発表概要: チロシン硫酸化はタンパク質の翻訳後修飾として、トランスゴルジネットワークでおこる。分泌、細胞内輸送、生理活性、タンパク質間相互作用に関わっており、生物学的意義はおおきい。シグナル伝達に関わるリン酸化と比べ酸性条件下で硫酸基が分解しやすく不安定で報告例が少なかったため研究途上でまだ多くの知見が期待される。これを予測するに際して、既存の手法の論文紹介とより精度の高い予測法を実現するための方針について述べる。 | |||
黒木 亮 | 構造生物学 | 箱嶋 敏雄 | |
発表題目:ポリグルタミン酸付加酵素TTLLsによる翻訳後修飾を介したシグナル伝達制御の構造生物学的解明 発表概要:TTLファミリーは哺乳類ではTTL、TTLL (TTL like protein) 1-13の計14のタンパク質から構成され、共通してTTLドメインをもつファミリーである。TTLドメインはグルタチオン合成酵素と相同性があり、ATPで駆動されてアミノ酸付加を行う。14のタンパク質のうち9個がポリグルタミン酸付加酵素に分類され、うち6つが単独で活性をもつことが示されている。それ以外ではTTLがチロシン付加、TTLL10がポリグリシン化活性をもつことが明らかとなっており、残りの3つ(TTLL3,8,12)については機能未知である。 翻訳後修飾はシグナル伝達の主要かつ普遍的な制御機構である。タンパク質にタンパク質を付加するタイプの翻訳後修飾によるシグナル伝達制御はここ数年で構造生物学的手法によってそのメカニズムは原子レベルで明らかとなってきている。その一方で哺乳類において1アミノ酸を付加,伸長する酵素はTTLファミリーしか知られていない。細胞内においてポリグルタミン酸付加やポリグリシン付加されるタンパク質はtubulinだけでなく、他にも見出されていることから、より一般的な翻訳後修飾となる可能性がある。ポリグルタミン付加を担うTTLLsのうち、TTLの可溶性への発現に成功したため(他のTTLLはごく微量しか発現しない)、TTLについて研究を進めている。 | |||
杉藤 宏信 | 構造生物学 | 箱嶋 敏雄 | |
発表題目:Tight junction 形成制御に関与するZOタンパク質複合体の構造研究
発表概要:Tight junctionは上皮細胞側面に形成される接着構造のうち、最も頂端に位置し、Claudin,Occludinなどの接着分子がトランス結合することで形成し、生体の恒常性を維持している。ZOタンパク質 (zonula occludens proteins、ZO-1,ZO-2,ZO-3)はTight junction形成に必須であり、Tight junction形成を担う接着分子であるClaudinのTight junctionへの集積を制御する細胞質タンパク質である。また、ZO-1が有するSH3-GuKドメインは、occludinや?-cateninと相互作用する。本研究において、ZO-1とoccludinや?-cateninとの相互作用機構を構造的機能に着目し、解明する。本発表においては、 ZOタンパク質が具体的にTight junction形成制御にどのように関わっているかを述べ、今後の研究の指針を報告する。 | |||
鈴木 文平 | 生命システム学 | 石井 信 | |
発表題目:軸索伸張時における軸索内部カルシウムイオン濃度の予測
発表概要:神経細胞は細胞体から軸索と呼ばれる突起を出して 他の神経細胞とシナプス結合を形成することでネットワークを構築する。 軸索伸張の仕組みが正しく機能することで、適切なシナプス結合が形成されるので、 軸索伸張の仕組みは様々な観点から研究されている。 本研究では誘導分子に応じた軸索の伸張方向決定の仕組みについて解明する。 軸索が伸張するときに、軸索内部ではカルシウムイオン濃度が増加することが知られているが、 定量的な予測は難しい。本発表では論文紹介として、反発性Sema3Aによる軸索伸張における、 軸索内カルシウムイオン濃度の増加率を予測する論文を紹介し、 今後の研究方針を述べる。 | |||
平澤 功太郎 | ロボティクス | 小笠原 司 | |
発表題目:任意外力によるピンポイント筋力制御
発表概要:高齢者や障害者を支援するため、パワーアシストに関する研究が多く行われている。本研究室では選択された対象筋肉の負荷を自由に制御することを目標とした、ピンポイント筋力制御に関する研究を行っている。この手法により特定の筋肉のみを対象としたリハビリやトレーニングが可能となる。これまでは空気圧ゴム人工筋を用いたパワーアシスト装具を使って人の関節トルクを制御し、ピンポイント筋力制御を行ってきたが、個人対応された装具が必要であるという問題があった。そこで本研究では、より実用的にピンポイント筋力制御を行う方法として、パワーアシスト装具の代わりにマニピュレータを用いて人の腕や手先に外力を付加し、人の関節トルクを制御する手法を提案する。 | |||
平田 雅也 | システム制御・管理 | 西谷 紘一 | |
発表題目:燃料電池コージェネレーションシステムの最適操作
発表概要:近年,高効率分散型電源の実現を目指して燃料電池を利用したコージェネレーションシステムが注目されている.燃料電池の中でも固体酸化物形燃料電池(SOFC)は,作動温度が高温であることから,他のどの種類の燃料電池よりも発電効率が高いという利点があり,タービンとの併用によりさらに高い発電効率が期待できる.本発電システムが電力需要の変動に柔軟に対応するためには,定格点から外れた運転条件下でもSOFC特有の制約条件を満たしながら高効率で運用できるシステムであることが求められる.そこで,本研究では,100kW級コージェネレーションシステムのモデル化を行い,負荷変動時に高効率で運用できる最適操作法について考察する.本発表では,これまでの先行研究の紹介を踏まえて今後の研究方針について述べる. | |||
平出 尚史 | 応用システム科学 | 杉本 謙二 | |
発表題目:拘束条件を考慮したネットワークを介する遠隔制御法〜検証実験のためのシミュレーション〜
発表概要:近年のネットワーク通信技術の発展により、ネットワーク通信路を介した遠隔制御システムの構築が比較的容易になった。しかし、ネットワーク通信路において発生する、遅延・損失の影響を考慮しない制御を行うと、制御対象のシステムの不安定化や制御性能の劣化を招き危険である。本発表ではネットワークを介した遠隔制御の実機検証を行う際に使用する、シミュレーションについて発表し、今後の予定について述べる。 | |||
福井 善朗 | システム制御・管理 | 西谷 紘一 | |
発表題目:最小射影法を使った移動体の障害物回避
発表概要:二輪モデルや四輪モデルの車両を目的地に到達させるため,軌道を設計し,軌道追従制御を行うことがなされてきた.しかし,軌道追従制御はあくまで障害物がない空間,すなわち可縮な多様体上で車体を目標軌道へ大域的に安定させるものであり, 目標軌道と現在位置の間に障害物ができるほどの外乱が生じた場合に修正が困難であった.そこで,本発表では非可縮な多様体上でも大域的漸近安定な制御則が設計可能な最小射影法を紹介し,今後取り組んでいく方針について述べる. | |||
羽山 裕也 | ロボティクス | 小笠原 司 | |
発表題目:腹腔鏡下手術における鉗子操作の定量評価に関する研究
発表概要:腹腔鏡下手術は低侵襲で入院期間を短縮できることから近年よく実施されるようになってきたが、カメラ越しの鉗子操作になるため執刀医に高いスキルが必要とされる。そこで手術スキルを評価することの需要が高まっているが、現在の評価方法・評価基準は熟練医による主観的な評価が主流である。そこで本研究では腹腔鏡下手術における基礎的な鉗子動作の定量評価を行えるシステムを構築することを目的とする。ここで基礎的な鉗子動作を決定するためには、術中にどのような操作が多用されているのかを把握する必要がある。本発表では胆嚢摘出術中の一連の鉗子動作から「把持」「術野確保」等の動作分類を行い、どのような鉗子動作が手術中によくされているのかを調べた結果について報告する。 | |||
松尾 健司 | システム制御・管理 | 西谷 紘一 | |
発表題目:シフトの能力評価に基づいたオペレータの最適配置
発表概要:近年、プラントにおいては省人化や統合化により人員の削減が求められ、いかに効率よくプラントを管理・運転するか、またオペレータのスキル開発モデルの整備と育成を考えたシフト編成が重要な課題となっている。オペレータ個人ではなくシフトとしての能力で評価することで、より正確な評価ができると考えられるが、それを確立し、さらにスキルアップも考慮した効果的なシフト配置が実現できると考えられる。本発表では先行研究を紹介し、今後の研究方針について述べる。 | |||
鈴木 翔太 | 音情報処理学 | 鹿野 清宏 | |
発表題目:コサイン距離規範の基底ベクトルを用いた楽音信号の定位感操作に関する検討
発表概要:近年,ユーザが楽音信号内の各オブジェクト(音声や楽器,効果音等)を自由に操 作する事により定位感の操作が可能なシステムの開発が望まれており, MPEG-Spatial Audio Object Coding(SAOC)と呼ばれる定位感をユーザ側で自 由に操作する事が出来る技術の標準化が検討されている. そこで我々は SAOC に適用できるコサイン距離規範k-meansを用いた符号化法に 着目し,楽音信号内のオブジェクトの定位感を高品質かつ自由に操作できるシス テムの開発を目指す. コサイン距離規範k-meansを用いた符号化法は,コサイン距離規範k-meansにより 得られる誤差最小の基底ベクトルを用い主要な音源群を高品質に抽出し,基底ベ クトルに基づき音源群を再配置するというものである. この手法において音源群を再配置するための基底ベクトルを操作する事により, その基底ベクトルに対応する楽音信号の定位感の操作が出来ると考えられる. 予備実験として,基底ベクトルの操作を行った結果,楽音信号の定位感の操作が 出来る事を確認した. | |||
_橋 英之 | 視覚情報メディア | 横矢 直和 | |
発表題目:論文紹介"Defocus Inpainting",Paolo Favaro and Enrico Grisan, ECCV2006
発表概要:本論文では画像に存在する焦点ぼけを一枚の入力画像のみから取り除く手法の提案を行う.本論文では,画像に焦点ぼけ の領域と類似した焦点の合った場所が存在していることを前提条件としており,提案手法としては焦点ぼけのある領域を, ぼけのない領域を用いて修復するというものである.本発表では提案手法の紹介に加え,今後の研究方針についても述べる. | |||
小林 政善 | 像情報処理学 | 千原 國宏 | |
発表題目:論文紹介 "Parallel Tracking and Mapping for Small AR Workspaces", Georg Klein and David Murray, ISMAR 2006. および "Improving the Agility of Keyframe-Based SLAM", Georg Klein and David Murray, ECCV 2008.
発表概要:拡張現実感の分野においてカメラの位置・姿勢を推定する技術への要求が高い.この要求を解決する技術としてSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)があるが,この手法はカメラの高速な動きのために生じるモーションブラーの影響でトラッキングを失敗してしまうという問題があった.本研究では,トラッキングの対象として新しくエッジ特徴を考慮するアプローチを採用した.これにより,カメラに激しい動きが加わった際にも動作し続けるようSLAMを改良することができた. | |||
佃 友介 | 言語科学 | 鹿野 清宏 | |
発表題目:音声対話システムにおける応答音声の発話速度の検討
発表概要:テキストの言語情報を入力として音声を出力する技術をテキスト音声合成という. 近年の音声合成技術の進歩により, 様々なユーザや用途にテキスト音声合成が用いられ, 音声対話システムの応答音声にも使用されている. テキスト音声合成に関して, これまでに所望の発話速度で音声を合成する音韻継続長制御モデルが構築されている. ユーザがシステムと対話する際, 年齢や個人, システムの用途やユーザの状況によって聞き易い発話速度や適切な発話速度は異なると考えられる. しかし, 対話の中で逐次, 適切な発話速度で音声を合成するようなシステムは実現されていない. そこで, 本研究では, 応答音声における発話速度に着目し, 自然な発話速度で応答する対話システムの構築を目指す. 本発表では, 観光案内対話コーパスの分析を用いた本研究へのアプローチについて説明する. | |||
土井 啓成 | 音情報処理学 | 鹿野 清宏 | |
発表題目:食道発生音声の音質改善に関する研究
発表概要:喉頭を摘出したことにより発声が困難になった人が発声を行う手段として,主に電気式人工喉頭を用いる方法と食道発声法がある.電気式人工喉頭とは,声門音源の代わりとなる音を機械的に生成する装置であり,食道発声法とは,食道入口部の粘膜のヒダを新声門として声帯の代わりに振動させて発声する手法である.食道発声法は電気式人工喉頭を用いる場合に比べ,聞き取りやすい(高音質)といわれているが,聞きなれていない人が相手だと日常のコミュニケーションに支障をきたすことも多く,食道発声音声の音質改善が必要である.本研究では,統計的声質変換を用いて食道発声音声を健常者音声に変換することにより,食道発声音声の音質改善を目指す.統計的声質変換とは,入力音声特徴量と出力音声特徴量の間の対応関係を統計的にモデル化し,変換を行うものであり,推定に用いる特徴量によって声質変換の性能は大きく左右される.そのため,食道発声音声においてどのような特徴量を用いて推定を行うかが重要であり,現在調査中である.本発表では,声質変換の原理を紹介し,現在の進捗及び今後の展望について述べる. | |||
堂込 一輝 | 知能情報処理学 | 木戸出 正繼 | |
発表題目:人間からロボットへの運動スキル伝達 "金魚すくいロボットの実現"
発表概要:人間とロボットの共存のためには環境適応性を持ったロボットが必要とされる.環境適応性とは周囲の環境を認識しそれに対応する動作を行うことを指す.環境適応性を試されるタスクの一つとして金魚すくいが挙げられる.金魚すくいの熟練者は金魚やポイの状態を把握し最適な方策を決定している.このように金魚をロボットですくうためには熟練者の腕の軌道を真似るだけではなく,周囲の環境情報に応じて動作計画を行う必要がある.そこで本発表では,熟練者の持つ"コツ"に注目しロボットに人間の運動スキルを伝達するためのアプローチを述べその進捗状況についても報告する. | |||