ゼミナール発表

日時:11月21日(金)3限(13:30-15:00)


会場:L1

司会:米田 友和
木村 昌樹 ソフトウェア工学 松本 健一
発表題目:脳波計測を用いたユーザビリティ評価手法の構築へ向けて
発表概要:ソフトウェアのユーザビリティを定量的に評価する手法として,ソフトウェア利用者の脳波を測定する方法がある.脳波のような生体情報は,人間の心理状態と密接な関係があるといわれており,その変化や違いを分析することによって利用者の心理状態を定量的に計測することができる.しかし,測定した脳波のどの区間がユーザビリティの評価に最適であるかは明らかになっていない.そこでソフトウェア利用者の脳波周波数成分を時系列に分析することを試みた.本発表では,異なるソフトウェアを利用した被験者の脳波を分析した結果について報告する.
 
清川 皓太 ソフトウェア基礎学 伊藤 実
発表題目:多数の情報家電を3D仮想空間を介して遠隔操作するユビキタスリモコンの携帯端末上への実装
発表概要:近年、情報家電によるホームネットワークが注目されており、携帯電 話端末を使って自宅の情報家電を遠隔操作するためのサービスが提供されている。 著者が所属する研究室では、ホームネットワークに接続された多数の情報家電を 自宅を模した3D仮想空間に基づいたGUIにより直観的に遠隔操作するリモコンフ レームワーク“UbiREMOTE”の研究・開発を行ってきた。 UbiREMOTEは現在タブ レットPC上に実装されているが、3Dグラフィックスを高速に処理できる環境が必 要なため、軽量な携帯端末では動作させることが難しかった。また、現実空間で 変化した家具・家電の配置がリ仮想空間に自動的に反映されないという課題が残 されていた。本研究では, UbiREMOTEをiPhoneなどの携帯端末で軽快に動作する ようにする3Dグラフィックス表示機構、仮想空間へ家具の配置変更を自動反映す る機構を考案・実装し,UbiREMOTEのユーザビリティの評価を行うことを目的と する。本発表では、携帯端末上で UbiREMOTEを軽快に動作させるための3D描画の 軽量化手法と、無線センサを用いた家具配置の仮想空間への反映手法について述 べる。
 
武 兵 ソフトウェア基礎学 伊藤 実
発表題目:天気の変化に対応可能な観光スケジュール作成手法
発表概要:限られた時間内で複数の観光地を巡回する観光において,観光の効率 や満足度を高めるには,巡回スケジュールの事前作成や旅行者に対するナビゲー ションが非常に重要である.観光では,晴天時と雨天時とでは適したスケジュー ルが異なり,旅行者の満足度は天気に大きく左右される.そのため,予め予想さ れた天気に最適な観光スケジュールを事前に作成しておくことが重要である.し かし,天気予報が「晴れのち曇り,降水確率30%」など,時間経過に従い天気が 確率的に移り変わる場合,時間経過に伴う天気の変動パターンは多数存在する. これら多数の天気の変動パターンの全てに適したスケジュールの作成は,パター ンの多さ,天気変化の不確実さなどの点で,困難な問題である.本研究では,与 えられた天気予報(時間帯毎の晴,曇,雨の確率)に対し,旅行者満足度の期待 値を最大化するような観光地巡回スケジュール算出問題を定式化し,準最適解を 短時間で求めるヒューリスティックアルゴリズムを提案する.
 
小谷 和也 ソフトウェア基礎学 伊藤 実
発表題目:車車間通信を用いた映像伝送による交差点内での安全走行支援手法の提案
発表概要:近年,交通事故の多くは交差点によって発生している.交差点での事故原因の多くは「出会い頭衝突」「追突」「右折時衝突」であり,事故防止のためには,ドライバーが交差点内の状況を把握できることが重要である. そのため,交通事故を防ぐ手段として車車間通信やドライバーへの視覚支援などの高度道路交通システム (ITS)の技術が注目されている. 本研究では,交差点内での安全走行支援のために,交差点近辺にいる複数の車両が車載カメラで撮影した交差点内の映像をこれら車両間で車車間通信により交換し,これらの映像を各車両で鳥瞰映像に変換・合成し,車両ドライバーの安全走行を支援する手法を提案する.
 
小山 貴和子 ソフトウェア工学 松本 健一
発表題目:論文紹介:"Role Migration and Advancement Processes in OSSD Projects: A Comparative Case Study", Jensen, C. and Scacchi, W., In Proceedings of the 29th International Conference on Software Engineering(ICSE'07), pp.364-374, 2007
発表概要:近年,オープンソースソフトウェア(OSS)開発プロセスの研究が盛んに行われている.OSS開発のプロダクト(成果物)に関する研究は多いが,組織構造や開発者の技術的役割,開発者の役割移動に関する詳細な研究は行われていない.そこで本論文では,OSS開発における役割移動の実態を明らかにすることを目的とする.代表的なOSS開発であるApache.org,Mozilla.org,NetBeans.orgを対象とし,詳細な組織構造を調査した.その結果,OSS開発における役割移動の実態を明らかにした.本発表では,本論文の紹介を行い,最後に今後の研究方針について述べる.
 

日時:11月21日(金)3限(13:30-15:00)


会場:L2

司会:浅原 正幸
今谷 恵理 論理生命学 池田 和司
発表題目:RNNPBの理論的解析
発表概要:ロボット制御に用いられるニューラルネットワークであるRNNPBは,ダイナミクス学習においてダイナミクスのインデックスを自己組織化する.その動作は実験的には確認されているものの,理論的には証明されていない.本研究はネットワークが線形である仮定して数学的にこれを証明することを目的とする.本発表ではRNNPBの紹介と自己組織化の実験的な検証を紹介するとともに,線形代数を用いた証明の方針を述べる.
 
竹内 喜之 ロボティクス 小笠原 司
発表題目:モーションデータを用いたピアノ演奏時の手指動作生成
発表概要:近年,CGやロボット分野において自然な動作の自動生成が求められている.特に手指の動きは複雑であり,その動作生成は困難である.モーションキャプチャのデータを用いた新しい動作生成手法が現在注目されており,全身動作では,過去のモーションの自然な連結を目的としたMotion Graphがある.また,手指動作では把持対象に応じたモーションの自動生成が行われている.本発表では,これらの関連研究を紹介すると共に,ピアノ演奏時の自然な手指動作生成の研究方針について述べる.
 
近藤 豊 ロボティクス 小笠原 司
発表題目:分散処理と再利用によるモーションプランニングの高速化
発表概要:産業用ロボットと異なり,ヒューマノイドロボットのように多目的利用を想定したロボットでは,自律的にモーションプランニングを行なう必要がある.しかし,数十自由度を超えるような多関節ロボットの場合,現在主流となっているプランニング手法の一つである確率的ロードマップ法では計算コストが非常に大きいという問題があり,実時間でのプランニングは困難である.本発表では,プランニング高速化の関連研究として複数PCを用いたプランニングの分散処理とモーショングラフを用いた動作の再利用手法を紹介し,今後の研究方針について述べる.
 
坂本 祥治 像情報処理学 千原 國宏
発表題目:論文紹介"Anatomically-Aware,Automatic,and Fast Registration of 3D Ear Impression",Processing of the Third international Symposium on 3D Date Processing,and Transmission (3DPVT'06),pp240-247,2006
発表概要:補聴器をオーダーメイドで製作する際、補聴器を必要とする使用者の耳の穴の形状を、実際に印象材を流し込むことで取得し、その取得した印象の形状から補聴器の外形部を製作している。本論文では、補聴器の雛形である取得した耳印象をレーザースキャンする事よって三次元情報化し、補聴器外形部製作の為に自動で重要な特徴点を抽出する手法を提案する。本発表では本論文の手法の紹介に加え、今後の研究課題について述べる。
 
澤田 紘志 音情報処理学 鹿野 清宏
発表題目:ロボットにおけるハンズフリー音声認識のための内部雑音抑圧手法の検討
発表概要:ユーザから離れた位置に設置されたマイクを用いて音声を認識する技術として,ハンズフリー 音声認識と呼ばれる技術がある.その応用先の一つとして,ロボットとの音声対話システムがある. しかしこの場合,残響,環境雑音,ロボット自身のファンノイズやモータ音などの内部雑音によって, 音声認識率が低下する問題がある.本研究では,あまり検討されていなかった内部雑音について注目をし, これを抑圧することによって実環境においても頑健なハンズフリー音声認識を実現することを目的とする. そこで,ロボット内部に内部雑音測定用の加速度センサを搭載した,新しい内部雑音の推定及び 抑圧手法を提案し,その有効性の検討を行う.
 
鈴木 可奈 視覚情報メディア 横矢 直和
発表題目:論文紹介:"Light Field Transfer:Global Illumination Between Real and Synthetic Objects", Oliver Cossairt, Shree Nayar, Ravi Ramamoorthi, SIGGRAPH 2008
発表概要:拡張現実感などの多くのCGアプリケーションにとって、実物体と仮想物体の自然な合成が必要である。これまで実物体と仮想物体の独立の照明モデルは導入されてきたが、相互反射を考慮した大域照明法は提案されていない。本論文では実物体と仮想物体の相互変化に基づく、大域照明の効果を念頭においた合成手法を提案する。
 

日時:11月21日(金)3限(13:30-15:00)


会場:L3

司会:橘 拓至
佐藤 智紀 情報コミュニケーション 岡田 実
発表題目:衛星MIMOシステムによるセンサーネットワーク構築に関する研究
発表概要:静止衛星を用いた衛星通信システムでは,距離による伝搬損失が非常に大きいため,高利得の大開口アンテナが必要となる.また,衛星軌道上の隣り合う衛星からの干渉を受けないように,鋭い指向性を持たせる必要がある.そのためにもアンテナの開口直径は大きいものを用いなければならない.しかし大開口アンテナはコストが高く,またアンテナの角度に関しても設定に手間がかかる.これはセンサーネットワークへの応用を考えると大きな問題である. そこで問題改善のために考える手法として,Multiple-input multiple-output(MIMO)通信があげられる.MIMO通信とは,複数のアンテナ同士でデータの送受信を行うことにより,通信容量を増大させることができる手法であるが,このMIMO通信を用いることにより,低消費電力化が見込めることに加え,アンテナ側の指向性はSingle-input single-output(SISO)通信ほどの強さはいらず,角度を合わせる手間も軽減できる.衛星MIMO通信に関しては一部でも研究されているが,その目的は主に通信容量の向上である.そこで本研究では,通信時における低消費電力化,及びアンテナの小型化を目的とした,複数の衛星とセンサーネットワークでつながった複数のアンテナとのMIMO通信の手法を提案し,その検討を行う.
 
永井 洋太郎 インターネット・アーキテクチャ 砂原 秀樹
発表題目:仮想環境におけるSystem Clockの精度に関する検討
発表概要:昨今、さまざまなサービスがネットワークを介し提供されている。 それらを支えるサーバの数は増大しているが、各々のサーバにおけるハードウェアリソースの利用率は低い。 このため、仮想化を行って複数のサーバを1台の物理環境に統合し、リソース利用率を高めるという解決策がとられる。 今後、仮想環境を利用してサーバやデータの集約が進んでいくことは、クラウドコンピューティングなどと言った商用利用の形態からも予想される。 しかしながら、仮想環境にはその設計に由来する、実環境との差異がある。特に、仮想環境上での時計に関してはその精度に問題があることが知られている。 このような仮想環境の例としてXenを取り上げ、実環境との差異に着目し、問題点を明らかにする。
 
中川 隆広 インターネット・アーキテクチャ 砂原 秀樹
発表題目:論文紹介"Enabling Contribution Awareness in an Overlay Broadcasting System" ,Yu-wei Sung, Michael Bishop, Sanjay Rao, ACM SIGCOMM, 2006
発表概要:コンピュータのアプリケーション同士が直接データを交換しあって、1対多通信を実現するオーバレイマルチキャストという技術がある。これは現在主に映像などを同時配信する際に使用されており、近年データ転送への貢献度に応じた品質の映像を提供するシステムが提案されている。しかしこのシステムでは余剰帯域があるにもかかわらず、データを要求しているノードの貢献度が低いためにデータが送られないということがある。そこで本論文では、過剰要求帯域(Excess Bandwidth)と過剰要求ノード(Excess Node)の概念を追加し、利用できる全ネットワーク帯域を貢献度に応じて分配するシステムを提案し評価を行った。本発表では、本論文について紹介を行い、今後の研究方針について述べる。
 
原口 修平 情報コミュニケーション 岡田 実
発表題目:最適電力割り当てを用いたOFDMリレーシステムにおける通信容量の解析
発表概要:OFDM (Orthogonal Frequency Division Multiplexing) を用いたリレーシステムは,送信局の電力を増やすことなく,高速な通信を維持したまま通信範囲を拡大できることから,近年多くの注目を集めている.主なリレー方式としてAF (Amplify and Foward) 方式とDF (Decode and Foward) 方式があり,現在それらの通信容量の解析に関する研究が多数行われている.本研究では,中継局においてFFT処理を行わないAF方式を対象とし,最適電力割り当てを用いた場合の通信容量を注水定理により導いた.シミュレーションにより他のリレー方式と比較をおこない,その結果を示すとともに,今後の予定について述べる.
 
福永 隼也 情報基礎学 関 浩之
発表題目:依頼計算に関する研究動向の紹介
発表概要:依頼計算とは、低計算能力の機器が計算能力の高い別の計算機に計算を依頼することで、機器の制約から不可能だったあるいは時間がかかっていた計算を、高速に行えるようにするものである。さらに、依頼した計算内容からは秘密にしたいデータに関する情報は何も得られない、という特性を持つ。この発表ではRSAの鍵生成に必要な計算をサーバに依頼するプロトコルを紹介する。低計算能力の機器単体では鍵の生成に時間がかかるが、サーバの補助により秘密情報がもれること無く、高速に計算が行えるようになる。具体的にはChenらによって提案されたプロトコルと、これに対して報告されている攻撃法の紹介を行う。
 
榎本 真俊 インターネット工学 山口 英
発表題目:ネットワークシステムテストベッドの比較
発表概要:現在,ネットワークシステムを検証するためにテストベッドが使用されている. テストベッドは大きく分けて3つのカテゴリが存在する.PlanetLabのようにオー バーレイネットワーク上で実験を行うもの,Emulabのようにネットワークを実機 とシミュレータで再現し実験するものとStarbedのように隔離された環境で実機 のみでネットワークを再現し実験するものである.今回はこれらのテストベッド についての特徴を比較し,今後の研究の方針について述べる.