ゼミナール発表

日時:11月19日(水)3限(13:30-15:00)


会場:L1

司会:樫原 茂
_本 智則 生命機能計測学 湊 小太郎☆1
発表題目:SPECT画像再構成におけるモンテカルロ法を用いた散乱線補正法の妥当性評価と臨床応用に関する研究
発表概要:SPECT(Single photon emission computed tomography)装置は,血流・代謝などの機能画像を取得する装置として臨床で広く用いられている.その一方でSPECTの定量性は必ずしも保証されておらず,定量性の確保が求められている.SPECT装置の定量化を妨げる要因の一つに,散乱線が挙げられる.本研究では散乱線補正法としてモンテカルロ法を用いたReconstruction-based散乱線補正法に注目し,妥当性評価と臨床応用の可能性を検証することを目的とする.本発表では研究背景および先行研究,今後の予定について述べる.
 
玉置 健 ロボティクス 小笠原 司
発表題目:非接触センサを用いた多リンクロボットの障害物回避
発表概要:現在,配管の点検,レスキュー,医療などでは人間が直接入れない環境において観察や作業を行うために形状を変化させることのできる柔軟スコープカメラや多自由度の蛇型ロボットなどが数多く開発されている.しかし,これらは周囲の環境に接触しながら進むため,周囲の環境を破壊してしまうことや障害物を回避できず挿入や移動ができなくなることが問題となる.また従来の蛇型ロボットの障害物回避機能は操作者の操縦技術に依存し,確実な障害物回避を行うことはできていない.これらを踏まえ本研究では,多リンクロボットに非接触センサを取り付け,できるだけ周囲の環境に接触させないように蛇型ロボットの姿勢を制御すること目標とする.本発表では従来の多リンクロボットの紹介と本研究で提案する弾性体変形モデルを多自由度ロボットの障害物回避に応用する手法について紹介する.  
 
向井 謙太 ロボティクス 小笠原 司
発表題目:センシングハンドを用いた持ちやすさ評価システムの構築
発表概要:近年、ペットボトルや筆記用具など、人間が手で把持する製品の開発において、人間の「持ちやすい」という感覚を考慮した設計を行うことで、製品の付加価値を高めることへの関心が向上している。 そのため、従来の手法としては、製品評価にアンケート/表面筋電/接触圧力分布/シミュレーションなどの人間工学的手法が用いられている。しかしこれらには、定量的でない/時間がかかる/動的に解析されていない/モデル化が困難などの問題がある。 そこで、製品の持ちやすさを定量的に評価するためにセンシングハンドを開発中である。 本研究では、センシングハンドによる持ちやすさ評価システムの構築を目標とする。 本発表では、持ちやすさ評価の概要と研究のアプローチ、今後の予定を述べる。
 
畑田 和良 応用システム科学 杉本 謙二
発表題目:論文紹介"Synthesis of Mechanical Networks: The Inerter"
発表概要:機械系における質量は,電気系におけるコンデンサとの類似関係から電気回路を用いたシミュレーションが可能である.しかし,地球上で質量は重量を伴うため,巨大な質量の場合はその特性を機械系で再現するには制約があった.また,重量物を装置に搭載することは非現実的であるという問題点もある.しかし,現在の F1では,イナータと呼ばれる軽量ながら巨大な質量を実現する装置を搭載することで,路面の凹凸による車両の振動を抑制することがトレンドとなっている.そこで,本発表ではイナータを提案し,振動問題に対する応用例において従来法との比較を行い,提案法の有効性を述べている論文の紹介を行う.
 
藤田 奈央 生命機能計測学 湊 小太郎
発表題目:MR画像を用いた子宮蠕動運動の定量化
発表概要:子宮蠕動運動とは、リズムと方向性をもった子宮筋層の収縮であり、子宮機能との密な関連性が示唆されている。子宮蠕動運動の定量化を目指し、先行研究における手法の紹介を行うと共に、今後の方針について述べる。
 

日時:11月19日(水)3限(13:30-15:00)


会場:L2

司会:齋藤 将人
喜瀬川 拓也 像情報処理学 千原 國宏(発表取消 以下順次繰り上げ)
 
木村 優作 知能情報処理学 木戸出 正繼
タイトル: 人物シルエットを用いた動作プリミティブの認識
概要: 近年,高齢者の割合が増加を続け,高齢者介護の需要が高まっている.しかしながら少子化によって 看護師,介護士が不足し供給が追いついていない. そこで人手を介さず,高齢者の健康で規則正しい自立生活を支援し, 定常的な健康データの管理を行う為に必要な,見守り介護システムが必要である. システムの実現には,対象者の動作認識が必須である.本研究ではロボットに搭載されたカメラからの画像取得を 想定し,画像列から,立つ,しゃがむ,座る,歩くの基本動作の認識を目的とする. 一連の画像列から基本動作の認識を行う場合,動作が発生している区間の決定と,動作の判別が問題となる. 本発表では,システムの根幹となる動作区間の分割と,人物シルエットを用いた動作プリミティブの 認識法を提案し,現在の進捗について述べる.
 
木村 有里 像情報処理学 千原 國宏
発表題目:論文紹介"Face Dectection Using Skin Color Map based on a Color Appearance Model"
発表概要:顔領域検出を行うことに関して第一段階に表色系を用いた肌色検出を使用することは少なくない。しかし表色系を用いた場合、肌色検出は環境照明の度合いによって大きく左右されてしまうという欠点がある。 そのため、本論文では肌色検出に、環境照明に左右されにくい表色系であるとされている『CIECAM02』を用い実験を行い、他の表色系『YCrCb』との性能比較を行う。 また、その後の工程である顔候補領域検出と、顔検出の手法であるマルチスケールテンプレートマッチングについても述べる。
 
木佐木 雄介 音情報処理学 鹿野 清宏
発表題目:応答音声の声質を高精度に制御できる音声対話システムの研究
発表概要:音声対話システムではユーザが入力した音声に対応する応答文を生成し,応答音声の出力を行う.人間にとって音声対話は日常で使うコミュニケーション手段であるため,音声対話システムはユーザに親しみやすいシステムとして期待されている.しかし,現在の音声対話システムはどのようなユーザに対しても同じ話し方で応答したり、「もっと高い声で」「もう少し可愛い声で」などというような声質の細かい調整が困難となっている.そこで本研究ではユーザの要望に合わせて応答音声の声質を自由自在にかつ高精度に制御する音声対話システムを構築することを目的とする.今回の発表では本研究のアプローチ,声質制御法について説明し,今後の研究方針を述べる.
 
粂 秀行 視覚情報メディア 横矢 直和
発表題目:論文紹介"Implementation of God-like Interaction Techniques for Supporting Collaboration Between Outdoor AR and Indoor Tabletop Users", The fifth IEEE and ACM International Symposium on Mixed and Augmented Reality, pages 165-172, 2006
発表概要:本論文では,モバイル拡張現実感システムを持った屋外のユーザとテーブルトップディスプレイシステムを持った屋内のユーザの間のコミュニケーションを支援する "God-like interaction"を提案する.屋内のテーブル上の物体はリアルタイムに計測され,データは無線ネットワークを通して屋外のユーザに送られる. 屋外のシステムは送られてきたデータから屋内のテーブル上の物体の再構成を行い,拡張現実感技術を用いてユーザに提示する. "God-like interaction"を用いることにより屋内と屋外のユーザはジェスチャや物理的な道具を用いてコミュニケーションを取ることが可能となる.
 
小出 洋資 インタラクティブメディア設計学 加藤 博一
発表題目:論文紹介"Laser Pointer Tracking in Projector-Augmented Architectural Environments"
発表概要:本論文では,任意の実環境でレーザポインタトラッキングを行うためにPan-Tilt-Zoom Cameraを用いたProjector-based ARシステムを提案する.Pan-Tilt-Zoom Cameraは室内に設置され,自動でキャリブレーションや位置合わせを行う.システムは,キャリブレーションの後に壁面に投影されたレーザスポットをトラッキングすることができる.
 

日時:11月19日(水)3限(13:30-15:00)


会場:L3

司会:川口 真司
滝田 智行 論理生命学 池田 和司
発表題目:初期状態の変動を考慮した準受動歩行ロボットの強化学習法の検討
発表概要:準受動歩行は省エネルギー性やその原理が人の歩行に近いことから注目されている.しかし,準受動歩行には歩行の成否が初期状態(歩行開始時におけるそれぞれの脚の角度及び角速度)に強く依存するという問題がある.初期状態の変動は歩行を開始する際には一般に生じることであるが,先行研究ではこの問題は必ずしも明確に取り扱われてこなかった.本発表では,先行研究との違いを説明し,この問題に対して目的の異なる2つの制御器を組み合わせて初期状態の変動に対する頑健性と省エネルギー性を両立させるアプローチを提案する.そして,それらの制御器の一つである,初期状態の変動に対する頑健性を有する制御器についての検討状況を報告する.
 
中村 政義 論理生命学 池田 和司
発表題目:レーティング問題に対するベイズ推定の応用
発表概要:複数の商品に対しての複数ユーザの評価,すなわちレーティングが得られたときに,これら商品には真の評価値があると仮定して真の評価値を推定する問題を考える.本研究では,この問題を複数の観測値から真の値を推定する一般的な問題と捉え,ベイズ推定の枠組みで推定を行う.今回の発表ではレーティング問題と近い問題構造をもつベイズ超解像による画像推定のための手法を紹介し,今後取り組んでいく方針について述べる.
 
西田 知史 論理生命学 池田 和司
発表題目:顔識別課題における眼球運動予測
発表概要:ヒトの視覚系は外界に存在する無数の視覚情報を,動的かつ選択的に注意を割り当てることにより,有限の時間と計算資源で効率的に処理している.この注意制御のダイナミクスは行動レベルとして眼球運動に表れる.本研究の目的は,コンテキストに依存して変化する注意制御のダイナミクスを眼球運動予測という観点からモデル化し,実際に眼球運動計測実験を行ってその妥当性を検証することである.本発表ではまず,研究背景と注意制御に関わる眼球運動予測モデルの先行研究の紹介を行い,続いて顔識別課題を用いて進めている研究の現状と今後の展望について述べる.
 
宮本 敦史 論理生命学 池田 和司☆3
発表題目:EEG-NIRS計測による高精度脳活動推定
発表概要:近年、計測機器と情報処理の高度な発展により、脳活動データから人の意図を読み取ることが可能となっており、BMI、BCIなどと呼ばれる。計測法として応用では、脳に直接電極を刺す侵襲的方法ではなく非侵襲的方法であり、かつ、空間分解能と時間分解能の両方に優れ、可搬で小型の計測機器を用いた高精度なインターフェースが必要とされている。これを実現するために空間分解能に優れたNIRSと時間分解能に優れたEEGを統合して脳活動推定を行う。EEGはニューロンの電気活動により生じた電位を、NIRSはそれの活動に応じた二次的な血流応答を計測する。そこで今回は体性感覚誘発電位と血液動態反応の関係を示す論文を紹介する。これにより電気由来のデータには血流由来のデータを説明可能、不可能のものがあり今後の統合に向けて考慮に入れる必要があること示す。
 
大迎 卓也 構造生物学 箱嶋 敏雄
発表題目:α-cateninとvinculinによる細胞接着制御機構の構造的基礎の解明
発表概要:生体内では、様々な細胞接着で細胞同士が連結しており、細胞接着は生物の形態維持、異物の侵入を防ぐ働きを担っている。細胞接着の一種である接着結合は、細胞同士をつなぐ接着分子と、細胞内のアクチン細胞骨格が足場タンパク質を介して連結した構造体であり、細胞の形態を維持と柔軟性の保持を担っている。
  本研究では接着結合に関わるタンパク質群の中でも、α-cateninによる接着結合の制御機構をターゲットとしている。cateninは接着分子cadherinの足場タンパク質として、多くのタンパク質と結合する。重要なことは、α-cateninに結合したvinculinを介して、接着分子はアクチン細胞骨格との相互作用が安定化されることである。α-catenin とvinculinの相互作用は10年前から知られていたが、最近になってこの相互作用はアクチン張力依存的な動的相互作用であることが示唆されている。
  本研究ではα-catenin とvinculinの結合制御機構を構造生物学的アプローチによって明らかにすることで、細胞接着の動的な制御機構を解明することを目的としている。本発表では、研究背景を紹介して、今後の研究方針について説明する。
 
小川 祐樹 比較ゲノム学 金谷 重彦
発表題目: Tiling Arrayにおける定量的発現評価法
発表概要:TilingArrayは、1枚のスライドガラス上にターゲット生物の全ゲノム配列断片を高密度に配置、固定し、その発現パターンを網羅的に調べる技術である。この技術は、現在の遺伝子機能解析においては欠かすことのできないツールとなっている。しかし、そこから得られるデータの解析には課題がある。一般に実験データには誤差が生じ、TilingArrayのような多重検定においてはそれが顕著に現れる。またデータ解析においても、遺伝子が発現しているかどうかを決定する閾は主観的で曖昧なものである。こういった不可避の誤差や曖昧さを少しでもなくすために(これをデータの正規化という)、総強度正規化、Lowess正規化等の補正法が考案されている。本研究では、枯草菌Bacillus subtilisの2成分制御系による環境応答ネットワーク制御因子の転写解析を通して、FDRの観点からTiling Arrayにおける定量的な発現データの統計的評価法を研究し、効果的かつ効率的なデータ補正法の確立を目指している。