ゼミナール発表

日時:11月05日(水)3限(13:30-15:00)


会場:L1

司会:天野 敏之
有木 隼人 自然言語処理学 松本 裕治
発表題目:サ変名詞の事態性判別と項同定に関する研究
発表概要:サ変名詞は、動詞と同様に事態性を持つ、すなわち、行為、状態、出来事を含意することがある。 また、事態性のあるサ変名詞は、述語項構造と同様に項を持つ。本研究では、このようなサ変名詞の事態性判別や項の同定に関する研究を行う。
 
石川 陽平 音情報処理学 鹿野 清宏
発表題目:ブラインド空間的サブトラクションアレーを用いた聴覚補助システムの検討
発表概要:本発表では、音質劣化の少ない聴覚補助システムの実現に向けて、ブラインド空間的サブトラクションアレー(BSSA)を用いた聴覚補助システムに関して検討を行う。日常生活において、雑音によって目的の音声が聞き取りづらくなる状況が多々発生する。したがって、受聴音から雑音を抑圧し、目的話者の音声を聞き取りやすくする技術は重要となる。しかし、これまでの聴覚補助システムの中で、独立成分分析に基づくものは、拡散性雑音の抑圧性能が低いという問題があった。この問題を解決するためには、拡散性雑音に対しても高い雑音抑圧性能をもつBSSAが有効である。しかし、BSSAはスペクトル減算に基づく非線形な雑音抑圧手法であり、ミュージカルノイズと呼ばれる特有の音色の歪みを生じる。そこで、本発表では高次統計量によるミュージカルノイズ計量尺度に基づいてミュージカルノイズを低減するBSSA聴覚補助システムについて検討を行う。
 
市田 憲明 知能情報処理学 木戸出 正繼
発表題目:非剛体着衣に対して頑健な姿勢推定アルゴリズム
発表概要:伝統芸能の保存やジェスチャーインターフェースなどへの応用のためにビジョンベースの姿勢推定システムの需要が見込まれる。 伝統芸能では着物などを着ている事、またジェスチャーインターフェースではユーザの着ている衣服にかかわらず正しく動作する必要がある事から、人体の剛体近似による姿勢推定を行うことが困難である。そこで本研究ではこのような着衣に対して頑健な姿勢推定アルゴリズムを提案する。
 
稲垣 智 像情報処理学 千原 國宏
発表題目:論文紹介"D. Q. Nguyen et al.: Physically Based Modeling and Animation of Fire, SIGGRAPH'02, pp.721-728(2002)"
発表概要:水,火,煙などの自然現象のモデリングは,映画の特殊効果に需要がある。火は危険な現象なので,火のモデリングは特に需要がある。火のモデリングは,映画の特殊効果だけでなく火災のシミュレーションや消防士の訓練のためにも用いられる。「燃える」ということは,燃料が燃焼物へ化学変化するということである。この化学変化の際に気体が膨張する。本発表では,この気体の膨張に注目した,物理モデルに基づく写実的な火をモデリングする方法に関する論文を紹介する。
 
井之上 直也 自然言語処理学 松本 裕治
発表題目:指定指示と代行指示を区別した指示連体詞の照応解析
発表概要:日本語の「この」「その」のような指示表現には、「りんごを買った。{そのりんご/その味}は美味しい」という文章に対する指示表現「そのりんご」が「りんご」を指示するような指定指示と、「その味」の「その」が「りんご」を指示するような代行指示がある。既存の照応解析の手法は、主に指定指示の関係を扱っており、代行指示の場合にどのような解析を行うか明らかではない。実際には、文章中に出現した指示表現が指定指示なのか代行指示なのか明示的に解析する必要があるが、これまでにそのような試みは少ない。本研究では、この2つの指示関係を区別して解析する手法を実現を目指す。本発表では予備実験として行った、指定指示と代行指示の先行詞同定の評価について報告する。
 
江口 萌 自然言語処理学 松本 裕治
発表題目:Wikipediaのリンク情報を用いた語義曖昧性解消
発表概要:本研究の目的は、複数の語義を持つ単語の曖昧性を解消することである。例えば単語「ライオン」は、動物、企業、作品名のどの語義を指すか曖昧である。語義曖昧性解消は、機械翻訳や情報検索など様々な自然言語処理技術において有用である。 本研究では、近年言語資源として注目を浴びているWikipediaを用い、語義曖昧性解消を試みる。Wikipediaは重要な事例に関する記述を多く含むため、広範な語に適用可能な語義曖昧性解消のためのモデルを効率的に構築できることが期待できる。 これまでにPascaらはWikipediaのリンク文字列を利用した英語人物名に対する語義曖昧性解消手法を提案した。具体的には、複数の記事にリンクされている同じ表記の文字列は曖昧性があるとして、この情報を元に語義の曖昧性を解消するためのモデルを構築した(Pasca,'06)。 本研究では、Pasca'06の手法に基づき日本語の任意のインスタンスに対する語義曖昧性解消を行った。本手法をWikipediaに適用した予備実験では、約67%の精度で語義曖昧性を解消できた。また、構築したモデルをブログ記事に適用した結果についても報告する。
 

日時:11月05日(水)3限(13:30-15:00)


会場:L2

司会:平野 良憲
青木 孝剛 生命システム学 石井 信
発表題目:生化学反応系におけるパラメータ推定法に関する研究
発表概要:生命は生化学反応による動的なシステムであり、多くのパラメータがその挙動を特徴付ける。これらのパラメータを推定する技術は、対象となるシステムの理解を深める上で重要である。近年、生命現象に関するパラメータ推定に対し、ベイズ推定法の有効性が示され、動的システムの確率論的な推論が可能となった。しかし、この方法ではデータのサイズやモデルの複雑さなどによって、計算が困難となる場合がある。本発表では、生化学反応を確率的離散イベントとして定式化し、拡散近似によってその計算を容易にすることでモデルのパラメータ推定を可能にした論文を紹介し、今後の研究方針について述べる。
 
大貫 良幸 論理生命学 池田 和司☆3
発表題目:睡眠時における自発脳活動のデコーディング
発表概要:従来の脳情報のデコーディングは、刺激提示中の脳活動を分類器に学習させ、その分類器を用いて、脳活動のデータから課題時に学習した刺激を推定する。本研究は、被験者に視覚刺激を長時間提示した後、睡眠を摂取させ、この時の自発脳活動から覚醒時に提示された刺激の推定及び刺激の再構成を試みる。本発表では、研究方針及び関連研究について説明する。
 
喜多 いずみ 論理生命学 池田 和司
発表題目:長期の動線データを用いた集団活動に関する特徴の抽出
発表概要:知的労働者の生産性を向上させるためには,構成員間の協創を醸成する組織作りが必要である.ユビキタスネットワーク環境の進展を背景として,オフィスなどで,複数の構成員についての,動線を始めとする様々な情報を継続的に記録し,データマイニング手法を適用することによって,集団活動の実態を把握しようという情報科学的研究が始まっている.本発表では,オフィスにて長期に渡り記録された複数構成員の動線データに対する,主成分分析法やクラスタリング手法の適用について進捗報告を行う.
 
堀川 友慈 論理生命学 池田 和司☆3
発表題目:ノイズの相関を利用したコンテクストのデコーディング
発表概要:近年,脳活動を直接介してロボットやコンピュータを操作することを目指すBrain Machine Interface(BMI)という研究分野が発展してきている.この分野では,パターン認識や機械学習の技術を援用することで,高度に複雑なパターンを示す脳活動から,外界の刺激や運動の推定を行う,脳情報のデコーディング研究が非常に重要な役割を担っている.本発表では,最近得られた神経科学の研究結果から,外界の刺激や運動の推定に留まらず,同じ刺激に対して被験者がどのように応答しようとしているのか(コンテクスト)という,主観的な情報に関するデコーディングの可能性について検討する.
 
鈴木 裕輔 論理生命学 池田 和司☆3
発表題目:末梢刺激への電気刺激が重さの知覚に与える
発表概要:経皮的神経電気刺激(TENS)は、運動閾値下で末梢の運動神経を電気刺激することにより、慢性疼痛や肩こりなどに対し鎮痛効果を持つ。 TENS刺激の際、「身体が軽くなった感じ」が報告された。本研究では、TENS刺激による重さ知覚の閾値変化を心理物理学的実験から明らかにすることを目的とする。
 
前田 紗希 生命機能計測学 湊 小太郎
発表題目:光ピンセットの機能改良と細胞の力学的性質の測定
発表概要:光ピンセットは,レーザーを物体に照射した際に生ずる光の放射圧を用いて,細胞や粒子等をトラッピングする装置である.光ピンセットによるトラッピングは,非接触で細胞にダメージをほとんど与えないことから,近年,工学・医学・生物学などの分野での応用が報告されている.また,最近注目されている一分子計測などのアプリケーションの増加に伴い,光ピンセットの更なる機能の向上が求められている.本研究では,光ピンセット装置の改良と細胞に関する力学的な性質の計測を目的とする.そのため本発表では,細胞の力学的特性を光ピンセットを利用して調べた先行研究の論文を紹介し,今後の研究方針について述べる.
 

日時:11月05日(水)3限(13:30-15:00)


会場:L3

司会:櫨山 寛章
佐野 智章 環境知能学 萩田 紀博
発表題目:人の位置情報によるロボットサービスのための人間グループ分類法の研究
発表概要:近年,環境型センサから得られた情報を用いて,コミュニケーションロボットが人と相互作用する研究が行われている.しかし、従来の研究では環境型センサからセンサ範囲内の人の位置取得はできるものの,人々の関係を短時間に推定することはできず,グループに対しても個人と同様の相互作用を行わざるをえなかった. そこで本研究では,複数人の位置データから,短時間に人のグループ関係を推定する方法を提案する.本発表では,関連する研究を紹介し,提案する方法の内容,今後の研究方針について述べる.
 
岡本 兼太郎 システム制御・管理 西谷 紘一
発表題目:膝関節を有する劣駆動歩行ロボットの研究
発表概要:自立型の歩行ロボットにおいて、長時間作業を行うためには歩行における消費エネルギを減らすことは重要である。準受動歩行は平面歩行においてのエネルギ効率に優れ、近年注目されている。コンパス型の準受動歩行において、股関節角度制御による安定な歩行制御手法が明らかにされてきているが、これらは膝関節をもたない歩行ロボットによるものであり、完全な平面を歩行することができない。そこで本研究では、完全な平面で歩行させるための膝関節を有する歩行ロボットのモデル化と歩行シミュレーションを行う。
 
木田 直希 応用システム科学 杉本 謙二
発表題目:論文紹介“Improved Tracking by Decoupling Camera and Target Motion”
発表概要:近年,監視・警備などの目的で,アクティブカメラでの映像追跡がよく用いられている.アクティブカメラを用いることで長時間の追跡が可能となる.しかし,アクティブカメラを用いての追跡は,カメラが固定されていないなどの理由により対象の追跡を行うことが困難となる.そこで,様々な移動物体追跡アルゴリズムの研究が行われている.本発表では,これに関連する論文として,カルマンフィルタを用いてカメラの動作と追跡対象の動作の非干渉化を行うことにより,追跡性能を向上させる方法を提案している論文を紹介する.
 
栗原 奈巳 システム制御・管理 西谷 紘一
発表題目:マイクロ化学プラントの閉塞診断
発表概要:精密温度制御、反応速度制御が可能なマイクロ化学チップを集積して構成する次世代プラント、マイクロ化学プラントの実用化には、反応装置等ハードウェア・計測制御システムに加えプラント保全を目的とした異常診断システムが必要不可欠である。しかし、これに関する研究はあまり行われていないのが現状である。マイクロ化学プラントでの最も発生頻度が高い異常はマイクロ化学チップにおけるチャネルの閉塞であり、まず閉塞に対する診断システムを開発することが必要とされている。過去の研究では、実験やシミュレーションにより各リアクタの閉塞発生時のデータを蓄積しておき、これらのデータから運転中の計測データに最も類似度が高いデータを選出することにより閉塞箇所を推定する手法が提案されている。しかし、複数のチャネルで閉塞が発生した場合については検討されていない。本研究では、複数のチャネルで閉塞が発生した場合において閉塞チャネルを検出する手法の提案を目指す。本発表では、先行研究についての内容と研究方針について報告する。
 
栗本 敏明 ロボティクス 小笠原 司☆9
発表題目:導電性ポリマーの高速制御に関する基礎研究
発表概要:阪神・淡路大震災などの大規模災害が発生した場合,幅広く被害状況を把握する必要がある.そこで幅広く情報収集する超小型羽ばたき飛行ロボットを提案し,ロボットに搭載できるアクチュエータの検討を行った.その結果,導電性ポリマー(Conductive Polymer)が有力であると考えた.導電性ポリマーに関して,電気等価モデルの検討と,導電性ポリマーを高速制御するための制御回路の検討を行い,電圧駆動方法,電流駆動方法,電荷フィードバック付き電流駆動方法の3通りについて比較した.
 
近藤 佑介 システム制御・管理 西谷 紘一
発表題目:非線形Receding Horizon制御を用いた不連続システムに対する実機検証
発表概要:非線形Receding Horizon制御の最適解を求めるにあたり、実時間変化に対して滑らかであることが前提としてある。本研究では非線形Receding Horizon制御を不連続システムであるマニピュレータに適用し、実際の制御問題の検証を行う。それにより、不連続システムに対する問題を考えると共に実用化に向けた効率的計算手法を導入する。今回用いる効率的計算法とは、最適解を求めるために従来用いられてきた連立一次方程式の解法であるGMRES法に変わり、一般化逆行列を用いた手法を取り入れる。これにより、計算精度と安定性の向上の実現を目指す。