ゼミナール講演


日時 平成19年4月23日(月)3限 (13:30 -- 15:00)
場所 L1

講演者 平野 良憲
題目 "かたち"から機能に迫る:原子レベルで見るタンパク質の分子認識機構
概要
細胞内では絶え間なく情報が飛び交い,それに応じてさまざまな生命現象が起きている.細胞内の情報伝達の主たる担い手はタンパク質である.タンパク質はどのようにして多様な情報を見分け,正しく伝達するのだろうか?構造生物学はタンパク質の"かたち(立体構造)"から,その機能に迫るという研究である.タンパク質はそれぞれ固有のかたちを持ち,そのかたちはタンパク質の機能を決定する最も重要な要素である.またタンパク質は通常,"ドメイン"と呼ばれる機能的・構造的に独立した機能素子から構成されており,これらドメインが複数組み合わさることで,各タンパク質は固有の機能を発揮する.そのためドメイン単位のかたちが分かると,タンパク質の機能も分かってくる.本講演ではドメインの立体構造解析によって原子レベルで明らかとなった分子の特異的認識機構の例を紹介する.

講演者 栗田 雄一
題目 "一瞬"を超えて眼を測る
概要
緑内障検診において眼の構造的な硬さの個人差が眼圧の誤推定を引き起こす可能性が問題視されている.そこで我々はできる限り非侵襲かつ容易に生きた人の眼の硬さを計測する手法の開発に取り組んでいる.従来の方法は力と変形面積のみを評価しているために硬さの個人差に起因する変形の違いを区別することができなかったが,本研究では高速カメラを用いることで空気噴流印加時の角膜の二次元変形プロファイルを明確に撮影することに成功した.本講演では,取得した変形情報を剛性として評価し,従来の眼圧計測と組み合わせることで眼圧の誤推定が起こる可能性のある異常な変形を区別する取り組みについて紹介する.

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