ゼミナール発表

日時: 9月28日(金)2限 (11:00-12:30)


会場: L1

司会:栗田
永田 裕樹子 M2 木戸出 正繼 小笠原 司 浮田 宗伯
発表題目:ユーザ応答学習に基づいたコミュニケーションロボットシステム
発表概要:近年では,生活の中に入って人と接するロボットが増加してきている.しかし,これまでのロボットではユーザがどのような状況でも構わず話しかけ,ユーザの作業の妨げになってしまうことがある. そこで,ユーザの状況を認識し,妨げにならないタイミングと行動を,ユーザからの反応を用いて学習実行するロボットシステムの開発を目的とする. 本発表では,学習データとなるロボット実行行動とその時のユーザの状況,その行動に対するユーザの反応を収集するために行った実験について紹介する.また,得られたデータから作成した学習器の結果と,その考察について説明する.
 
西牧 悠史 M2 木戸出 正繼 小笠原 司 浮田 宗伯
発表題目:視点変化・部分観測画像列からの動作認識
発表概要:高齢者の自立生活支援策として,”日常の生活行動の見守り”等の高付加価値な生活介助システムのニーズがある.本研究では,それら介助システムのいち機能として,移動型ロボットに搭載されたカメラからの情報を元に高齢者の生活行動認識の実現を目標とする.一般家庭環境下での動作を認識対象とするため,”カメラの視点変化における人物領域抽出””ズーム撮影・遮蔽による動作軌跡の欠損”を許容した動作認識手法の実現が研究課題となる.本発表では,システム概観及び本研究の想定する撮影条件,対象抽出における問題点と方針,一般家庭環境下における動作認識に必要となる特徴量とその考察について述べる.
 
爲井 智也 D2 石井 信 小笠原 司 柴田 智広
発表題目:ユーザーの生体信号計測に基づいたロボットとの動的・協調的インタラクション
発表概要:近年,社会の少子・高齢化の進行に伴い,人間の生活空間で人と協調して複雑な作業を行うことのできるロボットの需要が高まっている. そのためには,ロボットが力覚/触覚といった高度な知覚能力を持ち,人間と動的・直感的なインタラクションが可能であることが求められる. 従来,人間とロボットとのインタラクションはロボットに取り付けられた各種センサーの情報に基づいた制御によるものが中心であった。しかし,この手法では配線やメンテナンス,ノイズ,耐久性などの問題から,空間解像度や計測自由度を高めることが難しく,豊かなインタラクションの実現には不十分である. そこで本研究では,環境に埋め込まれたセンサーの情報とユーザーの生体情報をリアルタイムでロボットに通信することにより,センサーを持たないロボットに仮想的にユーザーの内部状態を知覚させる,新しい知能ロボットの設計アプローチを提案する. また,本アプローチは制御対象に依存しないため幅広いロボット・機械に適用することができる. 本アプローチの有用性を検証するために,センサーを持たない産業用ロボットマニピュレータ,表面筋電(EMG)計測装置,モーションキャプチャーシステムからなるシステムを構築して実験を行った. ユーザーの手首に関するEMGと姿勢情報をリアルタイムでロボット側に通信することでロボットに仮想的に力覚/触覚を持たせ,直感的かつ動的なインタラクションを実現した. 更に,応用例としてユーザーとロボットが協調して重量物の持ち上げ・下げ作業を行うタスクも実施した. それらの実験結果を示すと共に,本アプローチの利点や今後の応用についても議論する.
 
橋崎 知 M2 石井 信 小笠原 司 柴田 智広
発表題目:確率的外乱下における準受動二足歩行の強化学習
発表概要:準受動歩行はエネルギー効率が大変良い歩行様式である一方, 制御パラメータが身体や環境の変化に大きく影響され解析的な導出が困難である問題がある. 先行研究に,強化学習により環境に適した準受動二足歩行制御がオンラインで獲得可能である ことをを示したものがあったが,外乱に対する適応性は十分には議論されていなかった. そこで本発表では,環境から一歩毎に確率的外乱が与えられる状況の下, フィードフォワード形の制御器や, 遅延フィードバック形の制御器を用いる場合の, 準受動二足歩行の強化学習実験,および学習後の性能比較を, シミュレーション環境において行った結果を報告する.
 

会場: L2

司会:中村(嘉)
吉井 迪利 M2 加藤 博一 関 浩之 宮崎 純 中島 伸介
発表題目:StrongDataGuideを用いた効率的なXML文書検索に関する研究
発表概要:近年、ギガバイトを越えるようなXML文書が増加しつつある。しかし従来のXML文書検索では 非常に検索時間がかかってしまう。また、検索機能もまだまだ改善の余地のあるものばかりである。 そこで、XMLデータの構造概要であるStrongDataGuideを用いてXMLデータを要約し、さらに統計情報の付加、 複数マシンによる分散処理により、従来より高速、高精度の検索機能を実現する。 また、与えられるクエリ情報をもとにして、自律的なクエリ最適化を行い、さらなる高速化を図る。
 
村田 真一 M2 岡田 実 関 浩之 原 孝雄
発表題目: ISDB-T受信機における誤り訂正復号法に関する検討
発表概要: ISDB-Tは日本の地上波デジタル放送規格であり、放送完全デジタル化に向けて、受信機の誤り訂正復号性能向上が期待されている。
誤り訂正復号法には、大別して、硬判定復号法と軟判定復号法が存在し、 軟判定法では硬判定法より高い符合化利得を得られることが知られている。 しかしISDB-T受信機では、軟判定用重みの処理方法が一般化されておらず、軟判定法を適用することができない。
本研究では、ISDB-T受信機において、軟判定用の処理を提案し、ISDB-Tに軟判定復号法を適用することを目的とする。
 
大西 良明 M2 松本 裕治 関 浩之 乾 健太郎
発表題目:言語表現された知識推論による帰結文生成
発表概要:事態「タイガースがカープに勝った」ならば事態「タイガースとカープが戦っていた」というような、事態Aが真ならば事態Bも真となるような関係を含意関係という。含意関係を推論する処理は様々な言語処理アプリケーションにとって需要な役割を果たすことが期待される。以上のような背景から、我々は事態間の関係知識を整備、獲得し、その知識を用いて含意関係を推論することを目指している。そこで国語辞典の見出し語と語釈文を用いて含意関係の見られる述語に関して述語項構造単位での抽出を行った。そして抽出した知識を「PならばQ」の推論規則と仮定し、入力文Pから帰結文Qの推論を行った。本発表では、正しい帰結文を得るために必要な推論知識をどのように表現すべきかという問題を語義の粒度の問題、推論規則における問題を中心に分類し、推論を適切に行うために必要な技術的な課題を述べる。
 
東山 昌彦 M2 松本 裕治 関 浩之 乾 健太郎
発表題目:大規模Webコーパスを用いた単語極性評価知識獲得
発表概要:単語の極性評価(望ましいか否か または ポジティブかネガティブか)は, 例えば企業が新製品のマーケティングを行う場合などで有用な役割をになうと考えられる.

これまで行なわれてきた研究では「使いやすい」「美味しい」など, 形容詞を対象とする研究が多く, 名詞や動詞が持つ極性評価の獲得はあまり行なわれてこなかった.
だが動詞にも, 「呆れた」「騙された」のように書き手にとって望ましくない状態を示す単語は存在する. 名詞も「ブルースクリーンが出た」「給料が増える」のように適切な述語を補うことによって書き手にとって望ましい状態であるか否かを表現することが可能である.
そして名詞の場合, 動詞や形容詞よりも数が非常に多く, 人手による極性知識の作成は困難である.

そこで本発表では, 「〜を防ぐ」のようにポジティブやネガティブな名詞と共起しやすいと思われるパターンを利用して、大規模Webコーパスを利用した名詞極性の獲得についての試みを報告する.
 

会場: L3

司会:中村(文)
中村 幸紀 D2 杉本 謙二 西谷 紘一 平田 健太郎
発表題目:切替え型オブザーバの実システムへの適用に関する研究
発表概要:複数工作機器による加工作業では,機器同士の連動が重要となるが,情報のやりとりに汎用のネットワークを用いる場合には信号の伝送遅延やその変動が不可避であり,その影響をいかに補償するかが技術的課題である.
 通常,ネットワーク制御系(Networked control systems)においては,伝送遅延は未知の不確定時変要素としてモデル化されることが多いが,タイムスタンプを用いれば,予め遅延時間を知ることはできないにせよ,少なくとも信号の受信時に計測することができる.そこで発表者らは,この計測法を活用した切替え型オブザーバによる遅延の補償方法を提案してきた.
 しかしながら,タイムスタンプによる遅延計測方法では,そもそも送受信側の計算機時刻を必要な精度内で一致させることができる,という仮定が前提としてある.そこで本発表では,まずこの仮定の妥当性を検証する.そして,切替え型オブザーバによりプラント間の連動を実現する.最後に,提案法が実ネットワーク上で動作することを実験により示す.
 
大堀 彰大 M2 杉本 謙二 西谷 紘一 平田 健太郎
発表題目:データ損失を考慮したネットワーク型制御系の一設計法
発表概要:本研究では, データ損失が発生するネットワークを伴った制御系の安定化について議論する. このネットワーク通信路上でデータが損失することは, しばしば制御性能の劣化やシステムの不安定化を引き起こすため大きな問題である. また, このデータ損失は, ネットワーク通信路上で不規則に発生するため, 大変対処しづらい. そこで本手法では, 損失したデータの代わりに過去のデータを再利用することを考え, ネットワーク型制御系の安定化問題を不規則な切替えが起きる制御系の安定化問題へと帰着する. そして, ネットワークで発生するデータ損失に対して共通の Lyapunov 解を用いたロバストな補償器の設計法を提案する.
 
川村 雄 M2 杉本 謙二 西谷 紘一 平田 健太郎
発表題目: 調理家電のためのロバスト温度制御
発表概要: 先進的な制御理論は多くの分野で用いられ大きな成果をあげている。 その一方で身近な機器の多くでは依然として経験や実験に頼ったモデルなしの制御計設計が行われている。 このような機器に対してもモデルに基づく制御理論の方法を用いることで製品の性能を向上させることができるのはないかと考えられる。 本研究ではそのような機器の一例として調理家電、特に炊飯ジャーについてとりあげ、その温度制御について検討する。 本発表では特に、炊飯ジャーの構造的問題である調理対象の温度が直接計測できない問題を取り上げる。 そして、その問題に対し数理モデルに基づいたオブザーバによる解決策を提案し、シミュレーション・実験により提案法の有効性を確認する。