ゼミナール発表

日時: 9月26日(水)5限 (16:50-18:20)


会場: L1

司会:大島
鈴木 郁美 D2 石井 信 金谷 重彦 作村 諭一
発表題目:Bootstrap Percentile法に基づくClassifier Error Variance推定による遺伝子選択法
発表概要:マイクロアレイ遺伝子発現量プロファイルの解析を行うにあたり、教師あり学習によるクラス判別の問題において、複数の判別器の性能を比較し、シンプルなクロスバリリデーション法により最良の判別器を選択することが行われる.しかし、判別器の推定性能はサンプル数が小さい場合大きく変わりうる.そのため、選ばれた判別器の性能の期待性能が高くとも、その分散が大きい時、判別性能が安定せず危険である.  我々は少数サンプルに基づく判別器の推定性能の分散をBootstrap Percentile法により見積もることで、よりロバストな判別器の選択法を提案し、その有効性を示す.
 
袖林 和広 M2 石井 信 金谷 重彦 作村 諭一
発表題目:二方向因子分析による欠測データ予測
発表概要:統計的な解析の対象となるデータには測定機器の不具合や, アンケー トデータの 無回答などから不可避的に値がとれなかった項目(欠測値)が含まれる. 欠測値 による解析への悪影響を低減するために本来どのような値が得られていたかを推定す ることは重要である. このような欠測値を含むデータに対して、確率的な因子モデルを用いて次元削減 を行うことに よって欠測値をデータの相関構造に沿うように補完できる. 従来モデルでは各サンプルは同一の分布に従うことを想定していたが, マイクロアレイ実験のデータは測定項目ごと, 実験ごとに測定の精度が異なるこ とがある. この状況に合うように次元ごと, サンプルごとのノイズを 考慮した二方向因子分析(2FA)モデルを提案し, その有効性を示す.
 
野村 啓仁 M2 石井 信 金谷 重彦 作村 諭一
発表題目:繰り返しによるODP統計量の精度向上
発表概要: DNAマイクロアレイのように、何千もの遺伝子発現量を同時に観測する手法より得られたデータから、目的の遺伝子群を選出する手法として統計的仮説検定がある。 仮説検定では、差の定義である”統計量”の選択により、その検出力は大きく異なるため、より有効な統計量が必要とされてきた。 J.Storeyらが2006年に考案したoptimal discovry procedure(ODP)は、一度に全遺伝子に対して仮説検定を行う場合(多重検定)において理論上最も検出力の高い統計量である。 しかしODPが最大検出力をもつためには検定対象となる各遺伝子が真に有意か否かが分かっていなければならないため、実際の問題では既存の手法によってあたりをつける必要がある。 今回、私は一度ODPの推定において既存手法によって求められたODP推定値を用いることによってさらに精度をあげる手法を考案、人工データを用いて既存の統計量やODP推定量と比較したところ通常よりも良い検出力を持つことが分かった。
 

会場: L2

司会:佐藤(哲)
植良 諭 M2 小笠原 司 湊 小太郎 松本 吉央(大阪大学)
発表題目:パワーアシスト装具と補助対象筋肉との相互作用の解析
発表概要:パワーアシスト装具とは,アクチュエータの駆動によって装着者の運動を補助する機器のことであり,高齢者や身障者の補助や介護への応用が見込まれている. パワーアシスト装具を駆動する制御信号として,装着者の筋電位信号を利用することが考えられる.しかし,パワーアシスト装具の駆動力によって筋電信号を取得する筋肉自体の発揮力が影響を受けると,制御が安定化しない場合がある. 本研究では,運動時のパワーアシスト装具と補助対象部位の筋肉群との相互作用を解析し,筋電信号を取得するべき筋肉を選択する指針を提案する.
 
中村 大介 M2 小笠原 司 湊 小太郎 松本 吉央(大阪大学)
発表題目:空気圧ゴム人工筋を用いたアシスト装具における関節姿勢推定手法
発表概要: 近年,高齢化社会を背景に介護などの作業の負担を軽減を目的としたパワーアシスト装具の研究が盛んに行われている.ここで使用者に対してより安全かつ適切なアシストを行うためには使用者の姿勢を計測し,姿勢に応じたアシストを行うことが重要である.そこで従来のアシスト装具は多数のセンサを用いて姿勢計測しているものもあるが,システムが複雑になり,装具も重くなるなどの問題があった.そこで本研究ではより少ないセンサ数で姿勢計測を行う手法として,空気圧ゴム人工筋の特性を利用し,発揮力と空気圧との関係から関節角度を推定する手法を提案する.本発表では提案手法の有効性を1自由度リンク構造の機器により検証した結果について報告する.
 
佐藤 友美 M2 石井 信 湊 小太郎 柴田 智広
発表題目:他者の行動予測を用いた意思決定モデル
発表概要:マルチエージェント環境では、自分以外のエージェントの行動によって自分の獲得する報酬が変化する.そこで,他エージェントの行動を,意思決定 に影響を与える変数の1つと考えることができる.これまでにサルや人間を対象として行われてきた,マルチエージェント課題の多くは,他エージェントの行動 を観測しなくても,他の観測情報(例えば自分の行動や報酬の履歴)から他エージェントがどの行動を選択したのかが自明な課題設定であった.そのため他エー ジェントの行動が被験個体の意思決定過程に影響を及ぼす過程を考慮したモデルは必要とされてこなかった.
そこで本研究では,他エージェントの行動を他の変数から一意に同定することの出来ない実験課題を新たに考案し,被験個体行動を他エージェントの行動を考慮 した強化学習モデルとして定式化した.本発表では,これまでに実施した実験および提案モデルの詳細,提案モデルを用いた行動・脳活動データの解析手法の展 望について述べる.
 
山下 哲矢 M2 石井 信 湊 小太郎 杉浦 忠男 柴田 智広
発表題目:1分子蛍光イメージングに対するベイズ尤度比検定を用いたアプローチ
発表概要:1分子蛍光イメージングは, 蛍光分子を観測したい分子に付与することでタンパ ク質などの生体分子内の1分子の 挙動を計測する手法である. この手法では, 蛍 光分子の輝点が1点か2点であるかを分離できる最小の距離が, 実質的な解像度 を決めることになる(Rayleigh限界). 本研究では, 実質的な解像度を高めるために, 光学顕微鏡から得られた画像に対し てベイズ尤度比検定を行い, 分子の個数が1個なのか2個なのかを判断し, ま た, ベイズ尤度比に基づく判断がどの程度, 信頼できるかを定量化することを目 指す.