ゼミナール発表

日時: 9月25日(火)1限 (9:20-10:50)


会場: L1

司会:樫原
池部 実 D2 砂原 秀樹 山口 英 藤川 和利
発表題目:広域分散ネットワーク環境におけるデータ属性を用いたデータグリッドシステムに関する研究
発表概要:ユビキタスコンピューティング環境では、様々な機器から大量のデータが出力される。データグリッドは、データを地理的に分散した異なる組織の記憶装置に保存し、これらのデータを用いて処理サービスを提供する。従来のデータグリッドは、高速データアクセスなどに焦点があてられ、ユーザの利便性は二の次であった。 本研究では、広域分散ネットワーク環境でのユーザのデータアクセスに注目する。 様々な機器から発生する大量のデータからアプリケーションの実行目的や、作成日時などのデータに関する属性情報を抽出し、属性情報に基づいた検索やアクセスを可能とする データグリッドシステムを構築する。 また、ユーザ、グループごとに独自のデータ分類を可能とする仮想名前空間"Personal View"を提供する。
 
岩本 聡史 M2 砂原 秀樹 山口 英 藤川 和利
発表題目:リンク特性の変化に対しアプリケーションが動的に対応するための通信環境情報提供機構の提案
発表概要:移動体通信環境では,移動によりンク特性(帯域,遅延,ジッタなど)が劇的に変わることがある.このような変化に対し,移動体通信端末では通信を維持するための適応動作がオペレーティングシステムにより行われ,その変化は通常,アプリケーション層には隠蔽される.一方,ストリーミングのように一部のアプリケーションにおいては,リンク特性の変化に伴い,アプリケーションにおいても最適な状態へ動的に適応するのが望ましい.しかし,適応動作に必要な情報をアプリケーションに提供するフレームワークが存在しないため,現在は充分な適応が行えない.そこで本研究では,移動体通信環境においてネットワークの変化にアプリケーションが動的に適応するために必要な情報を提供するフレームワークの提案と設計を行う.
 
佐藤 貴彦 M2 砂原 秀樹 山口 英 藤川 和利
発表題目:6lowpan: IPv6 over IEEE802.15.4を用いたワイヤレスセンサネットワークの実装と評価
IP利用の需要が高まり,6lowpanと呼ばれる省電力無線(IEEE802.15.4)上でIPv6通信を行うための仕様が考案されている.しかしまだ主だった実装は無く,いくつかの報告でもメモリ周りなど実装上の問題点が挙げられている.また6lowpan中の議論では,スリープやビーコンモードなど省電力に関する部分はスコープ外とされており,現時点では省電力無線の特徴を活かしきれないていない.本研究ではまず6lowpanスタック実装しその評価を行う,そしてメモリバッファ,通信レートに応じたスリープ制御を行い,通信品質や消費電力などの観点から評価を行う.
 

会場: L2

司会:栗田
辰巳 雅紀 M2 杉本 謙二 小笠原 司 平田 健太郎
発表題目:拘束条件を考慮した遠隔制御法 〜カメラ監視システムへの応用〜
発表概要:近年、安価なネットワークとして既設のインターネット網を使った遠隔制御手法が研究されてきている。 そこでは、制御に使うデータの伝送遅延、損失、順序の入替(ねじれ)の影響を考慮しなければならない。 また、制御系を構成する要素には、一般に拘束条件が課せられる(モータに対する入力電圧、電流など)。 そこで、拘束条件を考慮しつつ遠隔地より制御を行う遠隔制御手法が提案されている。 その手法を使えば、拘束条件を満たしつつ安定に制御はできるものの、伝送遅延等の影響をそのまま受けてしまい目標値への収束時間が長くなってしまう。 そこで、伝送遅延時間を利用し時間応答を改善する考え方を提案し、数値実験によりその有効性を示唆する。 今後、応用実験としてDCモータにより構成されたパンチルト機構を持つカメラに実装する予定である。
 
野口 慎 M2 杉本 謙二 小笠原 司 平田 健太郎
発表題目:歩行安定性に対する円弧脚形状の効果 〜線形化ポアンカレ写像に基づく検討〜
発表概要:近年,より自然で高効率な歩行動作の獲得を目指して受動歩行の研究が盛んに行われている.その中でも,ポイントフットモデルの線形化解析に基づいて行なわれた受動歩行の安定化機構に関する理論的考察は非常に興味深い.一方,実際上の設計や非線形モデルによる検討では円弧脚形状が歩行安定性に大きな効果を持ち,エネルギー効率や歩行安定性に深く関与していることが示されている.本研究では,円弧脚形状モデルの安定性を線形化ポアンカレ写像の立場から検討し,曲率半径が線形化ポアンカレ写像を構成するそれぞれの因子に与える影響および線形化ポアンカレ写像そのものに与える影響を調べる.
 
福田 寛之 M2 西谷 紘一 小笠原 司 中村 文一
発表題目:格子点オブザーバを用いた移動体の自己位置推定法
発表概要:デッドレコニングとスターレコニングは移動体の自己位置推定法において基本的な手法であるが、それぞれに欠点がある。そこで、それらの欠点を補い合う手法として初期状態オブザーバを用いたセンサフュージョンが提案されている。しかし初期状態オブザーバには、限られた行動範囲内でさいか移動体の位置を推定できないという欠点がある。そこで本発表では、格子点オブザーバを用いた新しいセンサフュージョン手法を提案する。そしてコンピュータシミュレーションと2輪車両型ロボットによる実機実験を行い、この手法の有効性を確認する。
 
上岡 拓未 D2 石井 信 杉本 謙二 銅谷 賢治 吉本 潤一郎
発表題目:ロボットの自律的な行動獲得を目指して〜Max-Min規範多目的強化学習 による報酬設計問題の回避とニューラルネットワーク構造の進化計算による獲得
発表概要: ロボットの行動を自律的に獲得させるための手法として,強化学習などの様々な 手法が提案されているが,実際には設計者の直感と試行錯誤によって回避されて いる問題がいくつか存在する. この発表では特に二つの問題を解決するための研究について発表する. 一つ目の問題は複数報酬課題の強化学習における報酬設計問題である. 通常の強化学習はスカラ報酬の最大化として定式化されている. このため,複数の報酬によって評価される問題であっても, 重み付けによって報酬をスカラ化しなければならなかったが, この重みは試行錯誤によって決定されていた. この問題に対し,我々はMax-Min規範による多目的強化学習法Max-Min Actor-Critic(MMAC)を提案する. 提案手法が従来の複数報酬に対する強化学習法に比べて,各報酬値の組合せの 影響を受けにくいこと示す. 二つ目の問題はニューラルネットワークの構造設計問題である. ニューラルネットワークは任意の非線形関数を表現できるため, しばしば価値関数や方策を近似するために用いられる. しかし,実際にはニューロン数やノード間の接続関係(トポロジー)などの構造 に依存する. これまでにもニューラルネットワークの構造を自律的に獲得させる試みは数多く なされているが, 近年,進化的手法によって獲得する方法(Neuro Evolution:NE)の研究が注目されて いる. ただし,従来のNE研究では学習と進化の相互作用はほとんど扱っておらず, 構造の変化は世代交代時に限定されていた. 我々は学習と進化の相互作用を考える際に発達の概念が重要であることを主張す る. 学習時にもネットワークの構造を簡単なものから複雑なものへ発達的に変化させ 探索空間を次第に拡大することで, 効率の良い学習が実現される. この考えは認知発達ロボティクスなどでも提唱されている. この発達型NEについての概要と展望を述べる.
 

会場: L3

司会:中村(嘉)
閻 奔 D2 松本 健一 関 浩之 門田 暁人 中村 匡秀(神戸大学)
発表題目:Validating Safety for Integrated Services of Home Network System Using JML
発表概要:The home network system (HNS, for short) enables flexible integration of networked home appliances, which achieves value-added integrated services. Assuring safety within such integrated services is a crucial issue to guarantee high quality of life in smart home. In this paper, we present a novel framework for the safety of the HNS integrated services. We first propose a way to define the safety in the context of the integrated services, which is characterized by local safety, global safety, and environment safety. We then propose a method that can validate the above three kinds of safety for given HNS implementations. Exploiting the concept of Design by Contract (DbC, for short), the proposed method represents every safety property as a contract among a provider and a consumer of a HNS object. The contracts are embedded within the implementations, and then are validated through elaborate testing. We implement the method using Java Modeling Language (JML, for short) and JUnit with a test-case generation tool TOBIAS. Using the proposed framework, one can define and validate the safety of HNS integrated services, systematically and efficiently.
 
西岡 隆司 M2 松本 健一 関 浩之 門田 暁人
発表題目:類似した命令列の畳込みによるプログラムの耐タンパ性の向上
発表概要:今日,悪意を持ったエンドユーザによるプログラムの不正な解析・改ざんが問題となっている. そこで, 命令の自己書き換えを用いたソフトウェア耐タンパ化方法として“類似した命令列の畳込み” を提案する.提案方法では,プログラムに含まれる類似した複数の命令列を一つの命令列にまとめる.命令列間の差分は,自己書き換えにより,実行時に必要な命令に置き換える.畳込まれた命令列に改ざんを加えると,全ての畳込み元の処理に影響を与えるため,耐タンパ性が確保される.
 
西澤 茂隆 M2 松本 健一 関 浩之 門田 暁人 中村 匡秀(神戸大学)
発表題目:ビル管理システムにおける サービス指向アーキテクチャの適用
発表概要:近年,ビルを対象とした,建物の付加価値を上げるための様々なサービスが商品化されてきており,それらは,ビル内の複数の機器を連携させることで成り立っている.また,今後は機器同士のみにとどまらず,機器管理システム同士を連携させるような,さらに付加価値の高いサービスが要求されるようになると考えられる.しかし,現行のビル管理システムは,システムごとに閉じており,連携することが想定された設計になっていない.本研究では機器管理システムを連携させるためのSOA技術を用いたフレームワークの提案と,システムの連携によって発生する機器の競合問題についての考察を行う.
 
前島 弘敬 M2 松本 健一 関 浩之 門田 暁人 中村 匡秀(神戸大学)
発表題目:OSSコミュニティにおけるコーディネータのコミュニティ媒介性指標の提案
発表概要:Open Source Software (OSS) は開発者やユーザなどの参加者同士の協調作業によって成り立つことから,開発者コミュニティとユーザコミュニティ間の情報伝達や調整行動を務めるコーディネータが重要な役割を果たすことが指摘されている.従来指標ではコーディネータのコミュニティ間の仲介の度合いを適切に表現できない.そこで本発表ではコーディネータが2つのコミュニティを仲介する度合いを評価するコミュニティ媒介性を提案し,シミュレーションによって妥当性を評価する.