ゼミナール発表

日時: 11月28日(水)3限 (13:30-15:00)


会場: L1

司会:中村(文)
釆野 一鷹 生命機能計測学 湊 小太郎
発表題目:放射線技師教育を目的としたMRI撮像シミュレータの開発
発表概要:MRIではパルスシークエンスを変更することで様々なコントラストの断層像を取得できるので、体験型学習を通じて撮像パラメータの設定と得られる断層像の関係を知ることが重要である。しかし、実際にはさまざまな制約から実機を用いて十分に学習する時間を確保することは困難である。そこで、コンピュータプログラムによりMRI撮像シミュレーションを実現できれば、あたかも実機を使用して得られるような画像を確認でき、学習する時間を確保することが可能であると考えられる。本研究では、教育目的のMRI撮像シミュレータの開発に向けて、今までに開発されたシミュレータの紹介とその問題点、これからの研究方針について述べる。
 
林 哲洋 生命機能計測学 湊 小太郎
発表題目:実時間性を考慮した非線形有限要素モデル
発表概要:現在、外科医の技術向上などを目的とした、外科用の手術シミュレータの開発が盛んに行われている。手術シミュレータに用いる臓器モデルには、有限要素法を用いたモデルが利用されることが多く、要素内の変位が微少であるという仮定を置くことで高速化を達成する線形有限要素モデルが広く用いられている。しかし、線形モデルでは大変形に対応できないため、生体の非線形な特性を記述しながら、実時間性を達成するモデルが必要となる。本発表では、これまでに報告されている実時間性を考慮した非線形有限要素モデルに関する論文について紹介し、最後に今後取り組む研究内容を説明する。
 
杉原 冬樹 ロボティクス 小笠原 司
発表題目:ピエゾアクチュエータを用いたMRI対応ロボットの設計
発表概要:近年、磁場を用いて生体の断層像を取得するMRI(核磁気共鳴画像)を手術中のナビゲーションに利用する方法が注目されている。しかし、術中MRIは間接視下、遠隔操作での作業になるため、医師の負担が多大なものとなる問題があった。そこで本研究ではMRI対応の医療用ロボットを開発することを目的とし、「つかむ機能」を実現させるためのグリッパーの設計を行う。アクチュエータにはMRI環境下においても使用可能なピエゾアクチュエータを使用する。本発表では、MRI対応性とアクチュエータの特徴について述べ、グリッパーの構造を決定する方法について説明する。
 
祖父江 厚志 ロボティクス 小笠原 司
発表題目:遠隔操作のための多指ハンド制御手法の提案
発表概要:近年,ロボットが人間環境下において様々な作業を行うようになってきている.特に複雑な手内操作の実現のためロボットハンドの研究が様々な形で行われている.本研究室では,人間の操作を認識することによりロボットハンドを遠隔操作するシステムを提案し,手法の有効性を証明した.しかし,ロボットハンドの接触状態を計測していないので,対象物体操作の成功率は低い.本発表では実機実験により従来手法の問題点を解析し,遠隔での操作性を向上するためのロボットハンド操作の補助手法を提案する.
 
瀧 大補 ロボティクス 小笠原 司
発表題目:セルラーアクチュエータの開発と制御
発表概要:人工筋の開発において近年研究が進められている人工筋デバイスは,その制御特性に非線形性を有していることが問題となっている。 そこでMITの上田らは、生物を規範としたセルラーアクチュエータという構成モデルを用いてこの制御問題をハードウェア的に解決する方法を提案している。 本研究では、このセルラーアクチュエータモデルを利用した人工筋の開発を目的とし、同アクチュエータの構成法および制御手法の提案を行う。 本発表では、上田らによって提案されているブロードキャストフィードバック制御手法の有効性を実機実験により確認した結果,ならびに同アクチュエータを効率的に制御するための生物を規範とするサイズ原理を利用したアプローチについて説明する.
 
土居 優太 応用システム科学 杉本 謙二
発表題目:最大出力許容集合のオンライン計算手法
発表概要:現実の制御系は,多くの拘束条件を有する拘束システムである.拘束条件を破ることなく制御する方法として,最大出力許容集合の適用が挙げられる.この最大出力許容集合の計算法にはいくつかあるが,いずれもオフラインでの計算法であり,得られた最大出力許容集合は保守性をもつ.保守性の少ない最大出力許容集合を用いて時変の参照入力が入る拘束システムを追従制御するには,オンラインで計算する必要がある.そこで本研究では,最大出力許容集合をオンラインで計算する手法を見つけることを目的とする.本発表では,参照入力の変化によって最大出力許容集合が変形する条件を確認し,変形の様子を数値例で確認する.
 

会場: L2

司会:中田
石田 響子 ソフトウェア設計学 飯田 元
発表題目:論文紹介: Framework for Integrating Usability Practices into the Software Process(出典: Xavier Ferre, Natalia Juristo, and Ana M.Moreno. Conference on Product Focused Software Process Improvement (PROFES), 2005)
発表概要:ユーザビリティは,ソフトウェアの品質に関する属性として捉えられている.また使いやすいソフトウェアを開発するための多くのテクニックが提案されている.しかし“ユーザビリティ向上のために,ソフトウェア開発プロセスのどこで / どのテクニックを実践すれば良いか”を述べたガイドラインは提案されていない.そのためソフトウェア開発者がユーザビリティに関して誤った判断を下してしまい,テクニックを効果的に活用することができず,開発が遅れることがある.本論文では,ソフトウェア開発プロセスに,ユーザビリティ向上のためのテクニックを統合したガイドラインを提案する.本論文の紹介と共に,今後の研究方針について述べる.
 
澤 悠太 ソフトウェア基礎学 伊藤 実
発表題目:車車間通信と指向性アンテナを用いた複数の車両による歩行者検知システムの提案
発表概要:現在、各自動車メーカーを中心として交通安全支援を目的とした歩行者・2輪車検知システムの開発が進められている。それらのシステムでは、各車両に搭載されているセンサを用いる方法や信号機等にセンサを設置し、歩行者情報を各車両に通信する方法が採用されている。しかし、前者の場合、各センサには死角や誤差に起因する問題が発生し、後者の場合、交差点地点ごとに設置しなければならず導入コストの問題が発生する。ここで、車車間通信を用いることにより、ある車両におけるセンサの死角が存在していても、その死角が他の車両のセンサの範囲内にあれば、得られた情報を受け渡しすることで解消を図ることが可能となる。また、誤差に関しても1台で検知した場合は無視できない誤差であっても複数台の情報があればその誤差を低減できる可能性が高い。車車間通信では車両同士で通信するため、交差点ごとにセンサを設置する必要がなく、導入コストについても低減が期待できる。本研究では、車載センサとして指向性アンテナを用いることで、自車両からビーコンを発信する歩行者へのおよその方向、距離を検知し、それを元に歩行者の存在範囲および範囲内の各地点における存在確率を計算する。得られた存在範囲・確率を車車間通信により他の複数車両と交換・解析し、歩行者の位置を高い精度で特定することを目標とする。連続して受信した歩行者ビーコンから、存在範囲・確率の移動軌跡を計算・解析することより、車道側に移動していたり車道上を移動する歩行者については危険な状況であると判定できる。これを利用して運転手に対して注意喚起を行うシステムの実現を目指す。本発表では、歩行者の検知・位置推定についての方針およびその後の研究方針について述べる。
 
眦帖― ソフトウェア設計学 飯田 元
発表題目:ソフトウェア開発プロセスにおける定量的管理計画の立案・共有支援システム
発表概要:ソフトウェア開発プロセス改善策の一つとして,定量データに基づく指標を利用する,プロセスの定量的管理が注目されている.本研究では,まず定量的管理を取り入れたソフトウェア開発計画の立案・共有を支援する際の問題点を整理し,それぞれの問題点を解決するための支援フレームワークを提案する.さらに,本フレームワークの支援機能実現のために実装を進めているツール群の開発についても述べる.
 
田中 翔 情報基礎学 関 浩之
発表題目:関係データベースの基本演算に対するDNA計算アルゴリズム
発表概要:発表者は非シリコン型計算機の一つであるDNA計算に着目して研究を
進めている。DNA鎖でアドレスごとに2進数を表現するメモリ鎖というデータ構造が
提案されている。

このメモリ鎖を用いて、加算や減算といった単純なアルゴリズムは
提案されているが、関係データベースの演算に関しては共通演算と合併演算しか
提案されていない。

発表者は、上記以外の関係データベース操作の基本演算を実行するDNA計算
アルゴリズムを提案した。DNA計算の持つ超並列性を利用すれば、関係データベースを
列ごとや行ごとではなく一括して操作することができる。その超並列性を生かすために、
メモリ鎖へのデータ入力方法に制限を加えることで、選択演算、射影演算、差演算の
3種類においてはO(1)、統合演算においてはO(m+log n)の時間計算量で実現することが
できた。ここでmは演算に用いる値のビット数、nは演算に用いるアドレス数を示す。
 
田村 晃一 ソフトウェア工学 松本 健一
発表題目:工数予測における類似性に基づく欠損値補完の効果
発表概要:開発中,もしくは将来のプロジェクトの計画,管理を目的として開発工数の予測が行われている.工数予測では重回帰モデルが広く用いられている.重回帰モデルは過去のソフトウェア開発プロジェクトで計測・収集されたソフトウェアメトリクス値に基づいて構築される.構築に用いる過去のデータセットに未記録の値(欠損値)が存在している場合,モデル構築を行う前に,欠損値を含むプロジェクトを除外したり,欠損値を当該メトリクスの平均値で補完するなどの欠損値処理が行われる.ただし,データセットに含まれる欠損値の割合が高い場合,従来の欠損値処理では性能のよいモデルの構築は期待できない.本発表では,欠損値が多い場合にもそれなりの予測性能をもったモデルを構築するために,欠損値を単に平均値で埋めるのではなく,プロジェクト間の類似性に基づいて欠損値を推定し,補完を行う.プロジェクト間の類似性に基づいて欠損値を推定する方法は,協調フィルタリングを応用したアルゴリズムを用いた.類似性に基づく欠損値補完の効果を評価するために,工数を予測する実験を行い,従来の欠損値処理法と予測精度を比較した.その結果,類似性に基づく欠損値補完を行った場合,相対誤差平均が0.415から0.220に改善した.
 
花野 博司 ソフトウェア基礎学 伊藤 実
発表題目:都市空間でのセルラーネットワークとアドホックネットワークを併用した動画広告配信手法
発表概要: 近年,携帯端末に動画コンテンツを配信するサービスが提供されている.その一つとして動画広告を配信する場合,ユーザのコンテキストにあった広告を配信すると高い広告効果が期待できる.しかし動画配信に利用できる帯域幅には制限があるため,多数のユーザがそれぞれ多様なコンテンツを要求すると,それらすべてを満足する配信を行うことは困難となる.
 そこで本研究では,多数のユーザの多様なコンテンツ要求に対応できる動画広告配信を行うことを目的として,セルラーネットワークとアドホックネットワークを併用した動画広告配信手法を提案する.提案手法では,近隣の端末同士が協力して効率的にダウンロードするためにファイルを断片に分割し,近隣の端末と交換することで基地局以外からのファイルの入手を可能とする.これにより,基地局を経由した通信の頻度を低くできる.多数の端末が存在する時にもうまく動作させるため,サーバによる集中制御は行わず,各端末が自律的・確率的に取るべきアクションを決定するアルゴリズムを提案する.
 本発表では,これまで検討した配信システムの概要および配信アルゴリズムを説明し,今後の方針を述べる.
 

会場: L3

司会:池田
高藤 良太 音情報処理学 鹿野 清宏
発表題目:リアルタイムブラインド音源分離技術を用いた両耳聴覚補助システムの研究
発表概要:日常生活において受聴した音には、周囲の環境雑音や目的外の話者などの干渉音が含まれているために、会話対象の話者の音声が聞き取り辛くなるという状況が多々発生する。そのため、受聴音から干渉雑音を抑圧し目的話者の音声を聞き取りやすくすることで、コミュニケーションをより円滑に行えると期待できる。そこで本研究では、目的話者の定位感を保ったまま干渉雑音を効果的に抑圧できるような、高臨場聴覚補助システムの構築を目標とする。同様のシステムとして、Single-Input-Multiple-Outputモデルに基づく独立成分分析とバイナリマスクを併用した、リアルタイムブラインド音源分離モジュールによる両耳補聴システムが既に提案されている。しかしこのシステムは、音源が正面付近に配置されている場合での分離性能が芳しくないといった問題がある。本発表では、人間の頭部形状の特性に依存していた既存手法を改善することにより、上記の問題点を克服した新たな聴覚補助システムを提案する。また、提案法の有効性を示すために、従来法との比較実験の結果も報告する。
 
田村 亮輔 インタラクティブメディア設計学 加藤 博一
発表題目:論文紹介"Parallel Tracking and Mapping for Small AR Workspaces"(Georg Klein, David Murray, ISMAR2007)
発表概要:拡張現実感環境を実現する上で,リアルタイムでのカメラの位置推定は非常に重要な問題である.通常,カメラの位置推定を行うためには周囲の環境情報が既知である必要があったが,従来から移動ロボットの分野において,未知の環境下でカメラの位置姿勢推定を行うVisual SLAMアルゴリズムが提案・利用されていた.本発表では,このVisual SLAMアルゴリズムのトラッキングとマッピングを並列処理することにより,より高速で安定したカメラの位置姿勢推定を可能にした論文を紹介し,今後の研究方針を述べる.
 
寺下 訓史 知能情報処理学 木戸出 正繼
発表題目:分散首振りカメラ群の連結関係推定と物体追跡
発表概要:広域分散カメラ群を用いての対象追跡では、カメラ視野に重なりが無いような不可視領域をまたいだ追跡は、視野に重なりがある場合と比較して困難である。このような場合のカメラ間の確率的連結関係推定法が提案されており、また、推定された連結関係を用いてカメラ間での対象同定・追跡を行った例がある。しかし、これらの方法で用いているカメラは固定カメラであり、比較的処理しやすい反面、視点移動の柔軟性に欠けるという問題があった。本発表では、カメラ1台あたりの観測範囲の拡大や対象追跡の高性能化を目的とした分散首振りカメラ群システムを提案し、今後の研究方針について述べる。
 
寺村 佳子 論理生命学 石井 信
発表題目:統計的推定による音楽の調推定
発表概要:音楽は構造を持った音の連なりであると捉えることができる。この構造の数理モデル化は、楽曲生成だけでなく近年急速に研究が進んでいるジャンル分類、楽曲推薦にも重要な要素である。本研究では楽曲の調や和音進行の構造の数理モデル化に取り組む。 D. Temperley(2002)は、ラベルつきデータからの学習によって調推定が行えることを示した。しかし、限られた数のラベル付きデータでしか学習していないこと、和音の時間的な相関(遷移規則)を扱わないことから、十分な性能を発揮しているとは言いがたい。そこで、ラベルありとラベルなしの両方のデータを用いた学習と時間的な相関を考慮に入れた数理モデルを構築することでより正確な調推定を行いたいと考えている。本発表では、検討中のモデルと今後の展望について述べる。
 
長井 孝之 音情報処理学 鹿野 清宏
発表題目:非可聴つぶやき認識における音響モデル改善方法の検討
発表概要:近年、非可聴つぶやき(Non-Audible Murmur:NAM)を用いて音声認識が可能であることが発見された。現状では、通常音声の不特定話者音響モデルに、適応データとして50〜100文程度を用いたモデル適応処理を行い、NAM用の音響モデルを構築している。しかし、NAM音声認識の問題点の一つとして、初期モデルやNAM発声に対する慣れの影響によって、話者毎に適応モデルの性能が大きく異なる上、性能自体もそれほど高くないということが挙げられる。そこで、本発表では、問題点を裏付ける実験結果を示し、その解決策について述べる。具体的には、複数の事前収録話者のNAMデータを有効活用することで、よりよい初期モデルを構築する方法を示す。
 
中河 秀仁 知能情報処理学 木戸出 正繼
発表題目:動画像からの人物存在事前確率の自動獲得
発表概要:近年、物体検出、物体認識に関して多くの研究がされている。しかし、依然として計算機は実用的な精度で物体認識が可能ではない。本発表では、「Putting Objects in Perspective」という関連研究を紹介し、シーンの幾何情報を用いた事前確率を物体検出器に組み込むことが検出率向上に有効であることを紹介する。そして、自分の研究内容である、対象シーンの人物存在事前確率と獲得しておくことにより、人物検出率を向上させる手法と獲得した人物存在事前確率を人物検出器の枠組みに組み込むことにより、よりよい人物検出器の開発について発表する。