ゼミナール発表

日時: 11月16日(金)3限 (13:30-15:00)


会場: L1

司会:井村
清水 友裕 自然言語処理学 松本 裕治
発表題目:大規模知識を利用した対話システムの応答生成
発表概要:対話システムの応答生成には何らかの知識が必要となるが,従来の 対話システムでは人手で作った小規模な知識を用いた応答生成が主流であった. しかし,このような対話システムでは,応答が限られるため,ユーザが満足で きないという問題があった.そこで本研究では,Webや国語辞典から獲得した 大規模な知識を利用して従来より多様な応答生成を実現する.その第一歩とし て,まず,望ましい応答を人手で作成し,必要となる知識の種類や記述形式に ついて整理した.本発表では,その分析結果と今後の課題を述べる.
 
朝比奈 亜貴代 論理生命学 石井 信
発表題目:確率的報酬環境におけるドーパミンニューロンの活性解釈に向けて
発表概要:現在私は脳における探索・搾取問題に興味を持っており、まずはその 問題への第一ステップとして、価値に関与すると示唆されているドーパミンの研究 を知ることから始めた。本発表では、確率的タスクにおけるドーパミンの活性を 紹介した論文(実験)とドーパミンの活性解釈を目指すモデルを提案した論文(理 論)を紹介し、今後の研究について触れる。2本の論文では、サルがある5種類の 視覚刺激 ( 報酬獲得確率 P = 0, 0.25, 0.5, 0.75, 1.0に対応 ) を見せられ、 2秒後に報酬を得るというタスクをこなす。 その際のドーパミンニューロンの発火頻度のPSTHs(peri-stimulus time histograms )の解釈について議論がなされている。両論文 では、P=0.5の時のヒストグラムの "gradual increase"( 刺激が入ってから報酬 が貰える間での区間の発火頻度の増加 )の解釈に注目が集まっており、それがTD 誤差だけで説明できるという立場と、TD誤差だけでは説明できないと立場に分れ ている。この争点に着眼し、今後の研究の方針について述べる。
 
加藤 健郎 生命機能計測学 湊 小太郎
発表題目:顕微鏡で得られた3次元像の分解能向上とボケ、ノイズ除去に関するデコンボリューション
発表概要:顕微鏡観察において、細胞などの試料の3次元観察が求められている。現在、3次元観察を実現する顕微鏡として共焦点顕微鏡がある。しかし、共焦点顕微鏡は光学顕微鏡の一種であるため、分解能が光の回折現象により制限されてしまう。さらに、焦点ボケやノイズの影響により観測像が劣化してしまう問題がある。そこで観測像のボケ、ノイズを除去し、分解能を高める手法について研究している。発表では、劣化観測像からボケ、ノイズを除去する繰り返し型のデコンボリューション法を提案した論文について紹介し、今後の方針を述べる。
 
河村 雅人 ロボティクス 小笠原 司
発表題目:サービスロボットのための関心マップの作成
発表概要:近年産業用ロボットなどに加えてオフィスや商業施設、家庭内などで活躍するサービスロボットが産業として成長すると期待されている。商業施設やオフィスなど不特定多数の人間とロボットが存在する環境では、ロボットが誰に何のサービスを行うかをどのように決定するかが重要な問題となる。そこで本研究ではロボットがサービスする人、サービスする内容を決定するための問題を扱う。その解決方法として特定の対象物に対する人間の関心に着目し、関心の発生源をマップ化することでサービスロボットの行動を決定する手法を提案する。
 
黒澤 慎也 生命機能計測学 湊 小太郎
発表題目:筋電位信号を利用した触力覚提示手法の検討
発表概要:臨場感豊かなコミュニケーション実現のため,視覚・聴覚に続いて新たに触覚情報の伝達が注目されている. 触覚情報伝達技術は,熟練医が研修医に手術手技を効果的に伝えるといった様々な訓練への応用, 新商品の触感を伝えるなど宣伝効果の拡大,その他エンターテイメントへの幅広い利用が期待されている. しかし,様々な制約により現実の触感をリアルに再現することは現在の触覚提示システムにおいては困難である. 本研究では触覚提示のリアリティ向上のために,筋電位信号(EMG)を利用する手法を提案する. EMGは動作を起こす前に取得できるため,リアルタイム性の確保が可能となる. またEMGと筋活動量(筋収縮力)の関係はほぼ線形性が保たれていることが知られており, この性質を利用してユーザの指が変位する前に適切な力を提示することで, これまでのシステムでは難しかった新しい触力覚の生成に繋がると考えられる. 本発表ではこれまで提案されてきた触力覚提示のリアリティ向上手法としてEvent-Based Feedbackについての論文を紹介し, 自身の研究進捗,および今後の課題について報告する.
 

会場: L2

司会:小木曽
大澤 修一 システム制御・管理 西谷 紘一
発表題目:複数センサ信号を用いた移動体測位システムの設計
発表概要:現在,車両の自動操縦,カーナビゲーションシステムの精度向上,ロケットの無人化などが望まれている.そのためには移動体の自己位置認識がキーテクノロジーとなる.移動体の位置情報は複数のセンサ信号を融合したセンサフュージョンにより獲得される. センサフュージョンのアルゴリズムとして,従来は拡張カルマンフィルタに代表される確率フィルタを用いた統計的な手法により位置推定されていた.しかし,確率フィルタを用いた方法は誤差を正規分布と仮定している点で精度に問題がある.センサノイズが正規分布から外れている場合は正確な推定が期待できないためである.そこで本発表では正規分布によらないオブザーバを用いた方法の論文を紹介し、研究方針を述べる.
 
鏑木 靖之 システム制御・管理 西谷 紘一
発表題目:マイクロ化学プラントの異常診断
発表概要:精密温度制御、反応速度制御が可能なマイクロリアクタを集積して構成する次世代プラント、マイクロ化学プラントの実用化には、反応装置等ハードウェア・計測制御システムに加えプラント保全を目的とした異常診断システムが必要不可欠であるが、これに関する研究はあまり行われていないのが現状である。 マイクロ化学プラントでの最も発生頻度が高い異常はリアクタのチャネル閉塞であり、まず閉塞に対する診断システムを開発することが必要とされている。過去の研究では、実験やシミュレーションにより各リアクタの閉塞発生時のデータを蓄積しておき、これらのデータから運転中の計測データに最も類似度が高いデータを選出することにより閉塞箇所を推定する手法が提案されている。この先行研究では類似度の判断に相関係数を用いており簡易かつ計算量が少ないという利点があるが、推定精度という点ではさらに改善の余地がある。本研究では、より推定精度の高い手法の一つとして、パターン認識手法を利用した運転中データの種々の状態へのクラス分類に基づく閉塞診断手法の提案を目指す。 本発表では先行研究についての内容と、本研究での研究方針について報告する。
 
加門 達也 システム制御・管理 西谷 紘一
発表題目:無信号交差点通過行動におけるシニアドライバの運転特性を考慮した教育のための運転行動解析
発表概要:近年、自動車事故においてシニアドライバの事故件数が増加している。今後、高齢化が進むにつれて件数は更に増加すると考えられる。本研究では、シニアドライバがとる危険な運転行動の原因を、加齢の影響と危険な運転行動を正当化する誤った思いこみなどに起因する潜在的な危険(潜在的危険度)に分けて考える。そして、模範シニアドライバの運転行動を基にシニアドライバにとって加齢の影響をカバーする模範的な運転行動を提案するとともに、潜在的危険度という観点から教育を行うことによりシニアドライバの運転行動の改善を目指す。本発表では、研究内容及び今後の研究方針について述べる。
 
瓦田 遥 システム制御・管理 西谷 紘一
発表題目:ロバスト厳密線形化を用いた非線形制御系設計
発表概要:実際のシステムの多くは非線形であるが、非線形システムの制御は難しく、システムのモデルを線形化し、制御系を設計することが多い。非線形システムの線形化手法として、一次近似線形化やフィードバック厳密線形化が知られている。しかし、従来の線形化手法では非線形性が強いシステムに対しては原点近傍においてもロバスト性をもたない。そこで本発表では、原点近傍においてロバスト性を有する線形化手法として提案されているロバストフィードバック厳密線形化について紹介する。
 
栗山 真司 ロボティクス 小笠原 司
発表題目: 柔軟歪センサを用いたパワーアシスト装具の制御
発表概要: パワーアシスト装具には、センサからの情報を利用した装着者の安全確保や身体 損傷防止のための制御が必要とされている。しかし空気圧ゴム人工筋を用いたパ ワーアシスト装具は、アクチュエータ特性の問題から既存センサの取り付けがで きず、十分なフィードバック制御が行われていなかった。そこで本研究では、空 気圧ゴム人工筋の状態量推定に基づくパワーアシスト装具制御を目的とし、柔軟 歪センサによる人工筋の状態量推定および人工筋の状態量からアシスト装具の姿 勢を推定する手法を検討する。本発表では、空気圧ゴム人工筋の長さ計測手法と アシスト装具の関節角度の推定手法について紹介し、現在の進捗状況を述べる。
 

会場: L3

司会:木谷
伊原 彰紀 ソフトウェア工学 松本 健一
発表題目:複数のサブコミュニティを有するOSSコミュニティにおけるコーディネータの分析
発表概要:本研究の目的は,Open Source Software (OSS)の開発が継続する要因を明らかに することである.近年OSSは広く普及しつつあるが,ボランティアにより開発が 行われているため,停滞・中断しているOSSコミュニティも多く存在している.  先行研究は,OSS開発が成功するためにはOSSコミュニティ内のサブコミュニ ティ(開発者コミュニティやユーザコミュニティなど)間の協調作業を支える コーディネータの存在が重要であると指摘している.しかしながら,コーディ ネータがサブコミュニティ間の協調作業を具体的にどのように支えているかにつ いては明らかにされていない.  そこで本研究では,成功コミュニティと衰退コミュニティにおけるコーディ ネータをネットワーク分析に基づき比較・分析を行うことにより,OSS開発の協 調作業プロセスにおけるコーディネータの働きを詳細に観察する.本研究の分析 結果により,OSS開発が継続する要因をより詳細に特定できるようになり, OSS 開発の衰退を回避するための知見となる期待している.本発表では研究の進捗状 況と今後の方針ついて報告する.
 
左藤 裕紀 ソフトウェア工学 松本 健一
発表題目:ソースコードの圧縮性とコードクローンの関係の分析
発表概要:ソフトウェア中に含まれるコードクローン(重複するコード列)の大きさや含有率は,ソフトウェアの冗長性を表す一つの指標であるといえる.一方,ソースコードを文字列とみなして圧縮を行い,その圧縮サイズや圧縮率を計測することで,より直接的に冗長性の計測が可能である.本研究では,ソースコードの圧縮がコードクローン計測の代替となり得るかどうかを明らかとするために,ソースコードの圧縮性(圧縮率)とコードクローンとの関係を実験的に分析する.
 
鈴木 健司 コンピュータ設計学 藤原 秀雄
発表題目:O(1) RMR計算量のリーダ選挙アルゴリズム
発表概要:複数のプロセスで協調して問題を解く分散協調問題の基本的な問題の中にリーダ選挙問題がある。本発表では共有メモリシステムにおいてリモートメモリの参照回数を評価尺度とするRMR(Remote Memory Reference)計算量に関して、プロセス数に依存せずにO(1)でリーダ選挙問題を解くアルゴリズムを提案している論文を紹介する。また本論文ではさらに参照と更新を同時に行う操作であるtest-and-setを上記のアルゴリズムを用いてO(1) RMRでreadとwriteのみで実現し、RMRに関してはtest-and-set がread / writeよりも強力でないことを示している。
 
柴田 章博 コンピューティング・アーキテクチャ 中島 康彦
発表題目:General-Purpose Parallel Simulator for Quantum Computingの論文紹介
発表概要:量子状態は複素ベクトルによって表現され、qubitという単位が使われる。そして、量子計算はベクトルとユニタリ行列との積によって行われる。現在までに実装されている量子計算機が扱えるのは数qubitである。しかし、量子状態は外部の影響を受けやすく、またqubit数が増えると量子状態に与える影響は大きくなる。そのため、実験的に量子アルゴリズムの数十qubitに対する振る舞いを調べることは困難であるといえる。本発表では、古典計算機を用いることによる量子計算シミュレーションによって、この問題を解決する方法について紹介する。
 
清水 祐紀 コンピュータ設計学 藤原 秀雄
発表題目:論文紹介"Efficient Sequential ATPG for Functional RTL Circuits(Liang Zhang, Indradeep Ghosh, Michael Hsiao, ITC'03)"
発表概要:LSIの高集積化に伴い,ゲートレベル回路の要素数が膨大になっている.そのため,ゲートレベル回路に対しての順序ATPG(Automatic Test pattern Generation)では高い故障検出率が得られない.そこで,ゲートレベルよりも要素数の少ない一つ上のレベルであるレジスタ転送レベル(RTL)でのATPG問題(テスト生成問題)を扱う.従来手法としてGhoshが2001年に提案したRTL ATPGアルゴリズムがある. 本論文では従来手法の拡張を行うことでRTL ATPGの故障検出率の向上を図ることを目的としている.本発表では従来手法と提案手法について述べ,実験結果からどれだけ故障検出率が向上したかを示す.
 
鈴木 一範 コンピューティング・アーキテクチャ 中島 康彦
発表題目:小品種セルによる高信頼性アーキテクチャの提案
発表概要:近年のトランジスタ製造のプロセス微細化によって、トランジスタの 性能ばらつきが無視できない問題となっている。トランジスタのばらつきが増加 することによってチップの歩留まりが低下し、回路の故障率が増加する傾向にあ る。このばらつきを抑える手法としてトランジスタを規則的に配置する方法があ る。しかし、従来の回路では使用されているセルの種類が多く、また各セルもト ランジスタが不規則に配置されているので、規則的に配置することは難しい。そ こで本研究ではトランジスタを規則的に配置した小品種の基本セルを提案する。 そしてこの小品種セルを組み合わせた、高信頼化アーキテクチャを実現する手法 について述べる。