ゼミナール発表

日時: 10月25日(水)3限 (13:30-15:00)


会場: L1

司会:高田 助手
柿元 健 D2 松本 健一 関 浩之 飯田 元 門田 暁人
発表題目:協調フィルタリングに基づく工数見積もり手法のデータの欠損に対するロバスト性の評価
発表概要:協調フィルタリングに基づいた工数見積もり手法(CF-based見積もり手法)は,モデルを作成するためのデータセットに未記録の値(欠損値)が含まれる場合にも適用できるという特長がある.ただし,欠損値の生じるメカニズムの違い,および,欠損率の変化が,見積もり精度に与える影響(ロバスト性)は従来明らかでない.本研究では,欠損値が生じる3つのメカニズムを想定し,それぞれについて欠損率を変化させたデータセットを多数作成し,各データセットを用いて工数見積もりを行うことで,ロバスト性を実験的に評価した.実験の結果,CF-based見積もり手法が,従来手法であるステップワイズ重回帰分析と欠損値処理を併用する手法よりもロバスト性が高い,すなわち,欠損のメカニズムに関わらず,欠損率が増大しても見積もり精度が大きく低下しないことが示された.
 
亀井 靖高 M2 松本 健一 関 浩之 飯田 元 門田 暁人
発表題目:SVMに基づくソフトウェア信頼性モデルの定量的評価
発表概要:SVM(Support Vector Machine)は,パターン認識の手法の一手法であり,文字認識などの研究分野において高い精度で適用できたという事例が報告されている.本稿では,SVMを用いてバグが含まれているモジュールを予測するための信頼性モデルを構築し,その性能評価を実験により行った.評価実験における比較対象として,線形判別分析,ロジスティック回帰分析,ニューラルネットワーク,分類木を用いた.実験では,あるソフトウェア企業で開発されたCOBOLプログラムの514個のモジュールを対象とした.実験の結果,SVMはF1値の中央値が0.65であり,他のモデルの中央値(0.57,0.54,0.59,0.61 )と比べて高い精度を示した.
 
黒瀬 誠人 M2 松本 健一 関 浩之 門田 暁人
 
滝 進也 M2 松本 健一 関 浩之 飯田 元 門田 暁人
発表題目:プロジェクト類似性に基づく工数見積もりのための変数選択
発表概要:ソフトウェア開発プロジェクトの完遂に要する工数を正確に見積もるため,プロジェクト間の類似性に基づく見積もり方法の研究が進んでいる.しかし,少ない計算量で効率的に変数選択を行う方法はまだ提案されていない.本稿では,工数と相関が小さい変数を除去する Correlation Based Selection (CBS) を提案する.提案手法は,データ内の各変数について相関係数を計算するのみであるため,必要となる計算量が非常に少ない.ソフトウェア開発企業で収集されたデータを用いた評価実験の結果,提案手法は従来手法(変数減少法)より効率的に,より大きく精度を改善できた.実験で用いた精度評価尺度の値に着目すると,従来手法を用いた場合はMMRE (Mean Magnitude of Relative Error)が0.047,相対誤差分散が0.124の改善にとどまり,PRED(25)は0.039悪化した.一方で,提案手法を用いた場合はMMREが0.165,相対誤差分散が0.243,PRED(25)が0.039と,より大きく改善した.