ゼミナール発表

日時: 10月18日(水)3限 (13:30-15:00)


会場: L1

司会:樫原 助手
松浦 知史 D2 砂原 秀樹 山口 英 藤川 和利
発表題目: データの局所性を考慮した地理位置に基づくオーバレイネットワーク構築手法
発表概要: 無線ネットワーク技術やセンサ技術の向上により、いたる所の情報を ネットワークを介して共有可能な環境が整いつつある。 大量に発生するセンサ情報を共有するためには、規模拡張性や領域検索、 高速な検索といった要求を満たす必要がある。 そこで本研究ではデータの局所性を考慮した地理位置に基づく オーバレイネットワークを提案する。 近年活発に研究が行われているDHTなどのオーバレイネットワークとの 比較を述べた後に、提案するオーバレイネットワークの解説をし、 性能評価について述べる。またそこで明らかになったトレードオフについて 検討する。また提案するオーバレイネットワークを実環境で利用するための 取り組みを紹介し、最後に今後の課題と予定を述べる。
 
浅野 聡 M2 砂原 秀樹 山口 英 藤川 和利
発表題目:Webアプリケーションを安全に実行するための柔軟なtaint check機構の提案 発表概要:Cross Site ScriptingやSQL Injection AtackなどのWebアプリケーションへの入力攻撃が問題となっている。入力攻撃の脆弱性は多くがプログラムでの入力検証の不備によるものである。脆弱なWebアプリケーションを安全に運用するために従来からtaint checkというアプローチがある。taint checkによって外部からの入力に基づくデータのフローを処理系が正確に追跡し、リスクを伴う処理に対しては自動で入力検証を行ったり、あるいは処理を禁止したりすることができる。しかし従来のtaint checkではすべてのデータに対して一様な処理を行うため一部のWebアプリケーションでは動作しないなどの問題があった。そこで本研究では変数情報の拡張とポリシーファイルによる柔軟なtaint check機構を提案する。拡張した変数情報には入力に基づくtaintなデータのビットマップとプログラム内で行われた入力検証の処理が記憶される。ポリシーファイルでは変数情報によって処理の可否を決定する。提案手法によってプログラマやアプリケーションの管理人は、アプリケーションに応じたtaint checkが可能となり、また入力攻撃に対するリスクを一元管理することができるようになる。
 
川口 誠敬 M2 砂原 秀樹 山口 英 藤川 和利
発表題目:ユーザの嗜好を考慮したグルメ情報提供システムの提案
発表概要:目的に特化した検索サービスの一つとしてグルメ検索サービスがある。 既存のグルメ検索サービスの多くは、店舗に対する評価が均一であり、 場所、予算、料理などの条件で絞り込む検索にとどまる。店舗毎にユーザの 評価には違いがあり、ユーザの嗜好を考慮した検索が困難である。 そこで、本研究ではユーザの嗜好を考慮したグルメ検索サービスを提案する。 インターネット上に公開されている、店舗に対する評価情報(特に個人が 記述した店舗に対する口コミ情報)を収集し協調フィルタリングを用いることで ユーザ毎の嗜好に合致するグルメ情報を提供する。
 
洞井 晋一 M2 砂原 秀樹 山口 英 藤川 和利
発表題目:時間と位置に基づいたオーバーレイネットワークの提案
発表概要:センサ機器の発達と低価格化により、高精度な情報を高密度で収集することが可能である。このようなセンサデータを広域で共有することによって、環境問題への取り組みやビジネスへの応用などが期待できる。本研究ではセンサデータを利活用する環境を想定し、時間と位置の局所性を考慮したオーバーレイネットワークを提案する。 代表的なオーバーレイネットワークであるDHTは、ハッシュ関数を基礎としているため完全一致検索しか行えない。そのため、時間や位置などの連続量の範囲検索を行う場合は、完全一致検索では大量のクエリーが発生してしまう。センサデータを扱うためには時間や位置などの連続量を扱え、かつ時間の周期性も考慮する必要がある。従ってDHTのような既存の手法はセンサデータの検索に適さない。本研究では時間と緯度・経度を用いて3次元のID空間を定義した。特に時間に関する特徴を考慮するために段階的な集約を行い、高速な範囲検索や周期検索の実現を行う。
 

会場: L2

司会:上田(悦)助手
木村 祐己 M2 杉本 謙二 小笠原 司 平田 健太郎
発表題目:Webカメラを用いた倒立振子系のビジュアルフィードバック制御
発表概要:近年,ビジョンフィードバック制御が注目されている.しかし,高速な画像 処理系は一般に高価であり導入への障壁となっている. そこでビデオレート(30fps)で動作する安価な汎用のWebカメラを用いて, 比較的速い不安定系ダイナミクスを持つ倒立振子系の制御を試みる. しかし,サンプリングレートが遅いことに加えて,Webカメラには無視できない オーダーの信号処理系の時間遅れが存在する.そこで時間遅れの補償を考慮した 補償器を用いて,実機実験とシミュレーションを行った.その結果を報告する.
 
大野 純佳 M2 横矢 直和 小笠原 司 山澤 一誠
発表題目:保育施設における複数ユーザの要求に応じた映像提示システム
発表概要:近年、自宅等から保育園にいる子供の様子等を見ることができるライブカメラサービスが普及している.このようなサービスではPTZ(Pan,Tilt,Zoom)カメラを操作してユーザは自分の見たい方向を見ることが出来るが,複数人が同時にアクセスしている場合には操作権の問題がある.複数人を複数のPTZカメラで捉える監視の研究もされているが,ライブカメラサービスでは監視とは異なり,全ての人物を映す必要はないが,複数のユーザそれぞれの見たい方向を映すことが望まれる.そこで本研究では,複数人が同時にアクセスした場合でも,各ユーザの要求にあった映像を提示する手法を提案する.本手法では事前に行ったアンケートを基に評価関数を設定し,その評価値が最大となるようにユーザにカメラを割り当て,PTZカメラのパン・チルト・ズームを制御する.そして,実験により有効性を確認する.
 
山中 一樹 M2 横矢 直和 小笠原 司 山澤 一誠
発表題目:装着した3次元磁気センサを用いた歩き・走り状態に対応した自己位置推定手法
発表概要:従来、屋内におけるウェアラブルコンピュータを装着したユーザの自己位置推定手法として、環境中のインフラを用いた絶対位置計測とユーザに装着されたセンサを用いた自立計測を組み合わせた手法が提案されている。しかし、環境中のインフラは利用範囲に比例して設置コストが増大する問題があるため、センサを用いた自立計測の精度向上が望まれている。従来の自立計測手法は、一般にユーザの歩き状態を認識するため、移動が通常の歩き状態に限定されるといった制約があった。そこで本研究では、装着した3次元位置・姿勢センサ、絶対姿勢センサを用い、通常の歩き状態に限らず、両足が地面から離れる期間の存在する走り状態にも対応可能な自己位置推定手法を提案する。本発表では、提案手法及び装着するシステムの概要を述べ、複数の異なる環境で走り状態における自己位置推定実験を行った結果を示す。
 
石川 智也 D2 横矢 直和 小笠原 司 山澤 一誠
発表題目:動的環境の仮想化による自由視点テレプレゼンスに関する研究
発表概要:遠隔地の情景を高臨場感で提示する技術はテレプレゼンスと呼ばれる.この技術において,多地点で撮影された画像を統合することで,利用者が自由な視点位置から環境を観賞することが可能となる.本研究では,従来の全方位を自由に見回すことが可能なテレプレゼンスシステムを拡張し,利用者が遠隔地の全周を自由な視点位置で観賞可能とする.提案システムでは動的環境に対応するために,環境中の静的領域と動的領域を分離し,それぞれの領域に対して適した自由視点画像生成手法を用いる.また計算コストの高い動的領域の自由視点画像生成には,動物体の位置推定を併用した計算量削減処理を用い,実時間での画像生成を行う.さらにHMDに取り付けた位置姿勢センサからの情報を基に自由視点画像を生成し,利用者の頭部の位置姿勢に応じた画像をHMDに表示する.これにより,システム利用者は遠隔地に存在しているかのように環境を歩行し,観賞することが可能である.本発表では,提案システム及び今後の研究方針について述べる.