ゼミナール発表

日時: 10月11日(水)3限 (13:30-15:00)


会場: L1

司会:大竹 助手
小島 知也 M2 中島 康彦 藤原 秀雄 山下 茂
発表題目:演算器高信頼化のための命令分解機構の研究
発表概要:近い将来プロセスの微細化が進むことでトランジスタの特性ばらつきの増大が問題になる可能性がある.この問題を解決する方法として,セルレベルでの高信頼化,セルの品種の絞込みを行う必要があると考えられる.本発表では,限られた種類のセルを用いて構成可能なシンプルな演算器でプロセッサを実行可能にするため, ARMプロセッサにおいてCISC命令をRISC命令に分解する方法を示す.また,命令分解機構がボトルネックにならないよう最適な機構を得るために回路規模,性能評価を行う際の構成の検討例について述べる.
 
小林 大善 M2 中島 康彦 藤原 秀雄 山下 茂
発表題目:区間投機実行のための入力予想機構の設計
発表概要:これまで、商用プロセッサの高速化には、既存のプログラム資産を継承しつつ高速化を進めることができる 動作周波数の向上に力が注がれてきた。 しかし、動作周波数向上による消費電力の増加が限界となっており、 また主記憶の相対的な低下によって、プロセッサのマルチスレッド化が進んでいる。 本研究においては、バイナリーアノテーションなどを必要としない、既存のプログラム資産を実行できるプロセッサの設計を行う。 具体的には、入れ子構造となっているプログラムのサブルーチンやループ及びその入出力を動的に認識し、 それらの情報から入力値を予想し投機スレッドで実行するための機構をトランジスタレベルで設計し、 消費電力、動作周波数、面積の評価を行う。
 
山根 正嗣 M2 中島 康彦 藤原 秀雄 山下 茂
発表題目:1ビットプロセッサアレイアーキテクチャでのHW/SWのタスク分割についての研究
発表概要:組み込みシステムにおいて,HW(ハードウェア:専用プロセッサ)とSW(ソフトウェア:汎用プロセッサ)を協調させ,システムを最適に設計する研究が行われている.特定の処理に強く並列処理可能だが,資源が限られているHWと,汎用的にすべての処理が可能であるが逐次的にしか処理ができないSWを,協調させ設計しなければならない. この分野では,現在まで様々な研究が執り行われてきたが,今回ターゲットとする1ビットプロセッサアレイアーキテクチャでは,既存の方法に問題点があり用いることができない. 本発表では,その問題点と解決するためのアルゴリズムの例を述べ,本研究の有効性を示し,最後に今後の研究方針について述べる.
 
平本 新哉 M2 中島 康彦 藤原 秀雄 山下 茂
発表題目:SATを並列処理により高速化するハードウェアの設計
発表概要:SATはNP完全問題として知られており,アプリケーションは多岐にわたる.従来,SATを解くアルゴリズムをハードウェアで処理させることで, 高速化を図る研究は多く行われているが,ハードウェア化の恩恵を受けれる並列処理を行っているのは,アルゴリズムの一部に留まっている. 本研究はSATの問題を分割し,並列化を阻害している部分を最初に処理することで, アルゴリズム全体をハードウェアで並列処理する事を目標としている. 本発表では並列化の手法,ハードウェアのアーキテクチャについての概要を述べる.また本手法が効果的に適応できるSATの問題の種類を示し, 最後に今後の研究方針について述べる.
 

会場: L2

司会:ALTAF-UL-AMIN 助手
岩田 倫明 M2 湊 小太郎 飯田 秀博 金谷 重彦 杉浦 忠男
発表題目:共通座標を用いたマルチモダリティな画像重ね合わせシステムに関する研究
発表概要:機能的画像を得ることのできるPET(陽電子断層撮影装置)と解剖学的画像 を得ることのできるMRI(核磁気共鳴断層撮影装置)には一長一短があり, 前者は体内形状が鮮明でない、後者は病変部と周辺とが区別しにくいといった欠点がある。 しかし,診断や治療計画を進める上で,腫瘍がどの組織のどの部位に存在するのかを決めることは 極めて重要であると考えられる. 本研究では,異なる撮像装置に共通の座標系を導入し,その座標系上におけるターゲットマーカー位置の計測を行い,得られた座標を用いて, 画像の重ね合わせを行う手法を提案するものである.本発表ではその進捗状況について述べる.
 
斉藤 理 M2 金谷 重彦 諏訪 牧子 小笠原 直毅 黒川 顕
発表題目:膜タンパク質の電子顕微鏡からの膜貫通ヘリックス同定方法に関する研究
発表概要:膜タンパク質の構造・機能解析に有効なデータとなる電子顕微鏡画像は増加してきている.しかしまだその内訳のほとんどは低分解能のものである.本研究では,αヘリックス(膜貫通ヘリックス)で組織されることが多い膜タンパク質に焦点を当て,電子顕微鏡によって得られる低分解能の膜タンパク質の二次元画像から,その概形をもとに,膜貫通ヘリックスの並進配置を同定できないかを考える.膜貫通へリックス間距離の最適値を持つ相互作用ポテンシャルを想定して膜貫通ヘリックスを詰めていく.現在PDBデータから構造既知の膜タンパク質の二次元電子密度マップをテストデータとして作り,膜貫通ヘリックスの位置を同定することを試みている.
 
采女 寛行 M2 植村 俊亮 金谷 重彦 宮崎 純
発表題目:時系列マイクロアレイデータの時間軸補正方法の検討
発表概要:
DNAマイクロアレイは遺伝子発現を網羅的に解析する技術として盛んに用いられているが、アレイ間のデータのばらつきが大きいため2種類以上の時系列データの比較手法は未だに十分に議論がなされていない。その中で2種類の時系列データを比較して、それらの時系列データを正しく比較可能にするために時間軸を補正する手法である"Dynamic Time Warping"が提案された。しかし、従来のこの手法は誤差に非常に弱いという問題点を持っていた。そこで本研究では、Dynamic Time Warpingを用いた誤差に強い時間軸の補正を行う手法を提案する。
 
川田 祥平 M2 木戸出 正繼 千原 國宏 河野 恭之
発表題目:マルチカメラによる複雑なシーンの任意視点画像生成
発表概要:現在,カメラから得られた画像を利用して任意の視点からの画像を生成する研究が盛んに行われている.既存研究では,カメラの配置が疎でシーンが複雑な場合において,人に違和感を与えない画像を生成するという段階には至っていない.そのため,そのような環境下においても違和感の無い画像を生成する手法を提案する.本手法では,三角網を用いて各カメラから得られた画像の分割を行い,それらの画像を統合することで任意視点画像を生成する.その際,分割の仕方によって違和感の生じやすさが異なる.そこで,違和感が生じやすい箇所から順に三角網を修正することにより,違和感の無い画像の生成を目指す.
 

会場: L3

司会:川口 助手
大蔵 君治 M2 飯田 元 小山 正樹 松本 健一 宮崎 純
発表題目:メールアーカイブの解析によるソフトウェア開発プロジェクトのコンテキスト抽出手法
発表概要:
近年、ソフトウェア開発の失敗が社会に大きな影響を与えている。失敗の原因の一つとして、開発者が過去の経験を活かしきれず、同じミスを繰り返しがちであることが挙げられる。従って、開発記録をもとにし、完了したプロジェクトの内容を省み、得られた知識を組織内で蓄積・活用することは重要である。しかし、手動で開発記録の事後分析を行い、プロジェクトを振り返ることは容易ではない。そこで、本研究では開発に用いられたメールアーカイブの解析によってプロジェクトのコンテキストを明らかにする手法を提案する。本手法は、我々が開発したソフトウェア開発プロジェクト再現ツール・プロジェクトリプレイヤの拡張機能として実装され、ツールとの協調動作によってプロジェクトの事後分析を支援する。本発表では、手法の詳細と当該ツールについて述べる。
 
後藤 慶多 M2 飯田 元 小山 正樹 松本 健一 西谷 紘一
発表題目:知識還元型開発環境KFCにおけるプロジェクト再現ツール「プロジェクトリプレイヤ」の開発
発表概要:
ソフトウェア開発プロジェクトの現場では短い納期や度重なる人員交代などにより,同じ組織内でも異なるプロジェクト間で失敗や成功に導く重要な知識を伝達出来ないという問題がある. 我々は,稼働中の開発プロジェクトから自動的に様々なデータを収集・蓄積し,そこからプロジェクトに重要な知識を抜き出した上で多くの開発者に還元する為の知識還元型開発環境“KFC”を提案している。 本発表では,KFCが利用する3つのツール(EPM・プロジェクトシミュレータ・プロジェクトリプレイヤ)の内,プロジェクトの振る舞いを再現して第三者に対するプロジェクトの理解を深める目的を持つプロジェクトリプレイヤの開発と適用実験について報告し,今後の方針について述べる.
 
伏田 享平 M2 飯田 元 小山 正樹 松本 健一 西谷 紘一
発表題目:定量的管理を取り入れたソフトウェア開発計画立案フレームワーク
発表概要:
ソフトウェア開発プロセス改善策の一つとして,定量的に測定されたデータに基づく指標を利用した,プロセスの定量的管理が注目されている.定量的管理を考慮してソフトウェア開発計画を立案する際には,指標や測定するデータについて理解したうえで,プロジェクトの特性を考慮してデータの測定・分析活動を開発計画に組み込む必要がある.本研究では,定量的管理を取り入れたソフトウェア開発計画立案のフレームワークとして,定量的管理に用いる管理指標の利用に必要な測定データの測定・分析活動の調整作業に関する体系的な枠組みを提供する.また,この枠組みのもとで,プロジェクト計画の立案をより容易に行えるよう支援を行うシステムも提案する.本発表では,提案するフレームワーク,および提案システムの試作について報告を行い,今後の課題を述べる.
 
東川 誠久 M2 西谷 紘一 松本 健一 野田 賢
発表題目:非優先側運転者の交差点通過行動改善のための運転行動解析
発表概要:近年,自動車保有台数の増加に伴い自動車の事故件数が増加している.最近では衝突安全ボディやエアバッグといった安全装置の発達により死亡者数は減少しているが,事故そのものを起こさないようにする予防安全の必要性が叫ばれている.そこで,安全な運転をすると考えられる熟練ドライバの運転行動を元に,運転歴の浅い非熟練ドライバの運転行動の問題点を明らかにし,これを改善することにより事故数現象が見込めると考えた.本発表では熟練・非熟練ドライバの運転行動解析に必要なデータを得るために行った実車を用いた実験を取り扱い,得られた結果を示すとともに,実測データを用いたシミュレーションにより非熟練ドライバの運転行動が危険である可能性を示す.