ゼミナール発表

日時: 9月29日(金)5限 (16:50-18:20)


会場: L1

司会: 上田(悦)助手
有木 由香 M2 石井 信 川人 光男 小笠原 司 神谷之康 柴田 智広
発表題目:床反力情報とモーションキャプチャデータを用いた動作生成、認識の検証
発表概要:近年モーションキャプチャによって得られた運動データを用いたヒューマノイドロボットや動力学モデルの動作生成に関する研究が多く行われている。これらの研究は基本となる動作の認識、及び1つの基本動作から他の基本動作へと繋げるための遷移動作生成が中心となる。しかし、従来研究の多くは関節角データを用いた運動学基づく動作認識がほとんどであり、物理的な安定性を保つ動作への変換手法の多くは汎用性に乏しいものであった。本研究では、動作認識の認識率を高め、物理的な整合性を考慮した動作生成を簡潔にするために、モーションキャプチャデータに加えて床反力情報を用いることとする。床反力情報を用いた場合の比較をすることで、動作認識、生成における床反力の有効性を検討した。
 
牧野 研司 M2 石井 信 小笠原 司 柴田 智広
発表題目:ミミズ型ロボットを用いた強化学習による適応制御に関する研究
発表概要:ミミズ型ロボットは単純な形態でありながら、環境に応じて運動を変 化させることにより,様々な環境で運動することができる.このため,レスキュー ロボットなど実環境で行動するロボットとして有用である.本研究では,ロバス ト性の高い運動形態を持つミミズ型ロボットが,より多様な環境に適応できるよ うになることを目標に,強化学習を用いた環境適応制御法を開発することを目的 とした.実際環境は、シミュレーション環境では実現できない様々な種類の外乱 が満ちている。本研究では実際にミミズ型ロボットを製作し、アクチュエータの 一つが故障をしてしまった際にどのような運動を獲得するか実験を行った。 この実験を通し、ミミズ型ロボットが自身のダイナミクスの変化に対して適応で きるかどうかを検討した。
 
植野 剛 M2 石井 信 小笠原 司 柴田 智広
発表題目:サンプル再利用型強化学習を用いた準受動歩行ロボットの安定した制御器の獲得 発表概要:近年,2足歩行ロボット制御において,身体の受動性を利用することで, ZMP制御 に比べて高いエネルギー効率が実現可能であり, また自然なヒトの歩容に近い, 準受動歩行制御が注目されている. その制御パラメータはロボットの構造や環境 にセンシティブであるために, 制御器の自動調節が望まれる.これまでに, シミュ レーション研究において, 受動性に着目して設計した制御法に対する強化学習法を用いて, 短時間で,すなわち比較的少ないサンプル数で頑健な制御器が獲得可能であることが示されている. しかし,実機に応用する際には,実機が故障する等の実機実験特有の問題があり, サンプルを入手するのに多大なコストが発生する. したがって,より少ないサンプル数で学習を完了させることが望まれるため,本研 究では,既に得たサンプルを再利用することにより, 少ないサンプルで学習が可能なOff-Policy Natural Actor-Critic Algorithm (Off-NAC)を用いる. また,サンプル再利用に着目して,方策勾配の分散から学習 係数を自動調節するようにアルゴリズムを拡張し, より高速な学習が行えるよう にする. このアルゴリズムを実ロボットに適用して,頑健な制御器の獲得が可能であることを示す.
 
甲斐 宏輝 M2 杉本 謙二 小笠原 司 平田 健太郎
発表題目:拘束条件を考慮した遠隔制御手法に関する研究
発表概要:システムを遠隔から制御する場合,信号の伝達遅延が発生する.また,実際の制御系では、機器の保護のための電圧制限や,可動範囲や最大トルクのような機構的な限界など,制御入力や状態に関する拘束条件を考慮する必要がある.伝達遅延や拘束条件の影響を無視した制御は,システム性能の悪化や不安定化を引き起こす可能性がある.とくに拘束条件を考慮しない場合,機器の故障の原因となり得る.本研究では,この問題に対して有効な遠隔制御手法を構築することを目的とする.これまで,先に提案された遠隔制御手法の現実的な有効性を検証するために,DCモータによるネットワーク型の実験系を構築し実験を行ったところ,良好な結果を得ることができている.本発表では遠隔制御手法の概要と実験系の説明,実験結果,今後の展望について述べる.
 

会場: L2

司会: 安室 助手
岩崎 季世子 D2 横矢 直和 千原 國宏 山澤 一誠
発表題目:撮影位置・姿勢情報に基づく写真キャプショニングに関する研究
発表概要:ディジタルカメラをはじめとした撮影機器の普及により,写真を撮影する機会は日常化している.しかし写真を簡便に管理する方法は少なく,データが未整理のまま利用されないことも多い.写真を管理する方法の1つとして,その内容を説明するキャプションを付加しておくことが考えられるが,これを人手で行うことは非常に手間がかかる.一方で,完全に自動化されたシステムによってユーザの意図したキャプションを写真に付加することもまた困難である. 本研究では,ユーザにより撮影された写真に対して「場所」に基づくキャプションを半自動的に付加するシステムの構築を目指す.提案システムは,ユーザ間で共有する地理情報データベースとweb検索を用いた関連語抽出処理により,撮影位置・姿勢情報に基づくキャプションを撮影したその場で半自動的に生成する.本発表では,システムの概要及び今後の研究方針について述べる.
 
松田 幸大 M2 横矢 直和 千原 國宏 山澤 一誠
発表題目:姿勢センサとランドマークデータベースを用いたハイブリッドな位置・姿勢推定
発表概要:動画像からカメラの位置・姿勢を推定する技術は,拡張現実感やロボットナビゲーションへの応用が可能でり,これらの応用分野では,位置・姿勢の推定に誤差が蓄積しない手法が必要である.この問題点を解決する手法として,事前に環境内の撮影及び計測を行い,自然特徴点の三次元位置やテクスチャなどをランドマークデータベースとしてデータベース化し,入力画像上の特徴点をデータベース内の特徴点と対応付けることでカメラの位置・姿勢を推定する手法が提案されている.しかし,カメラの動きによりモーションブラーが生じると,正しく対応付けられずにカメラの位置・姿勢の推定誤差が増大する問題がある.本発表では,ランドマークデータベースと姿勢センサにより得られるカメラの角速度を併用することで,モーションブラーが生じた画像に対しても頑健にカメラの位置・姿勢を推定する手法を提案する.
 
川島 礼子 (2回目) M1 湊 小太郎 千原 國宏 杉浦 忠男
発表題目:放射線動体追尾照射に関する研究 〜治療計画支援シミュレーションとその実時間可視化手法〜
発表概要:近年、放射線治療ががんの有効な治療法の一つとして注目されている。しかし、肺腫瘍のように患部が呼吸によって動く場合は効率の良い治療が困難であるという問題がある。先端医療センターにおいて現在開発中である放射線治療装置は、放射線を発生させる加速管にジンバル機能が備わっている。その特性を利用して腫瘍を追尾しながら放射線を照射する治療が望まれている。本研究では肺腫瘍の呼吸性移動をシミュレーションにより推定し、DRR(Digitally Reconstructed Radiograph:ディジタル再構成X線撮影像)として実時間表示することを目的としている。従来のDRR生成法では前述の目的達成が難しいため、スライスベースボリュームレンダリングの手法を応用することにより変形シミュレーションの実時間表示に対応したDRRの高速生成法を提案する。本発表では提案手法の詳細とその検証結果、肺の変形シミュレーションの現状について報告する。