ゼミナール発表

日時: 9月29日(金)4限 (15:10-16:40)


会場: L1

司会: 上田(悦) 助手
鈴木 健一郎 M2 木戸出 正繼 小笠原 司 河野 恭之
発表題目:車載カメラを用いた人検出 発表概要:近年、自動車における交通事故発生件数が増加し続けており、安全運転支援に関する技術開発が要求されている。そこで、本研究は、交通事故死者数の過半数を占める歩行者、自転車という交通弱者を事故から未然に守るため、走行中の自動車に搭載されたカメラからの映像を用いて、歩行者、自転車の検出を行う。本発表では、研究背景、目的、関連研究を述べ、現在行っている、道路領域抽出のための処理について説明し、最後に今後の課題について述べる。
 
速水 能弘 M2 西谷 紘一 小笠原 司 野田 賢
発表題目:自動車における自己位置推定法に関する研究
発表概要:自動車の制御技術の発達に伴い、車両の自己位置を推定する自己位置推定法の研究が盛んに行われている。自己位置推定法としては、デッドレコニングやスターレコニングによる計測手法が存在するが、累積誤差や誤差分散が大きいといった問題点がある。その中で、これらの計測を組み合わせることでより精度の良い計測を行うセンサヒュージョンの技術が注目されており、本研究室では、その一手法として、初期状態オブザーバを用いた自己位置推定法が樋口らにより提案されている。そこで、本研究ではこの手法を実車両において適用することで、自動車における高精度な自己位置推定システムの開発を行う。なお、今回の発表では、システム全体の構成ならびに、試験運用中のMSASを用いたGPSの測位状況を示し、最後に提案システムを用いて1次元での計測実験を行った結果について発表する。
 
初田 真吾 M2 西谷 紘一 小笠原 司 野田 賢
発表題目:コンパス型ロボットのリンク角の制御による歩容の生成 発表概要:近年、歩行ロボットの研究では受動歩行と呼ばれる脚を歩きやすいような構造にして効率よく歩行を行う研究がなされている。しかし、受動歩行では直進のみといったごく単純な動きしかできていない。本研究ではコンパスモデルの二足歩行ロボットをその股関節の角度を制御することにより、簡易に歩容の生成, そして停止行動ができるかどうかを実験により示す。
 

会場: L2

司会: 坂田 特任助手
北市 泰寛 M2 横矢 直和 千原 國宏 山澤 一誠
発表題目:屋外環境の異種計測データに対する動的輪郭法を用いたポリゴンモデル生成
発表概要:本発表では,屋外環境において異種の計測手段で計測された位置合わせ済みのレンジデータに対し,三次元動的輪郭法を用いて三次元ポリゴンモデルを得る手法を提案する.動的輪郭法を用いた従来研究では,レンジデータは一つの計測手段で計測されたものであり、計測精度、計測密度はほぼ一定である.これに対し,屋外環境を対象とする場合,対象が広域であること,計測手段が複数必要であるということから,レンジデータの計測精度,計測密度は場所によって異なる.そこで本発表では,レンジデータの計測密度,信頼度等を考慮することで,異種の計測手段で計測されたレンジデータに対しても適用できるポリゴンモデル生成法について述べる.
 
鈴木 雄大 M2 横矢 直和 千原 國宏 山澤 一誠
発表題目:撮影位置・姿勢に基づく類似度による映像検索システムの提案
発表概要:近年地図と映像を連動させたサービスが注目されており,google map上で観光地の映像を検索し,観光地を疑似体験できる「have a green summer」というサービス等が提供されている.位置情報に注目した映像の検索・索引付けの研究には,撮影位置・姿勢情報により映像中のオブジェクトを自動的に索引付けする研究などがある.しかし,索引からテキスト情報による検索を行うことはできるものの,使用する地図情報の作成に手作業を要することや,該当する映像の提示順序については考慮されていない.本研究では,ビデオカメラにGPSやコンパスのようなセンサを取り付け,取得した撮影位置・姿勢の情報に基づきユーザへの映像の提示順序を決定する映像検索システムを提案する.本システムでは,映像候補の絞り込みと映像の並べ換えという二つの処理を行う.映像候補の絞りこみについては,撮影位置・姿勢を利用することで地名やオブジェクト名を尤度つきで映像に索引付けする,この尤度を絞り込みの判定に利用する,順位 付けに関しては目的地付近で撮影された映像が多数あるものと想定すると,近い位置・方向を撮影した複数の映像は類似していると考えられ,類似映像が複数あるものが目的地を代表する映像と考えられる.そのような目的地を代表する映像を優先的に提示することで,ユーザは目的地の状況を容易に把握することができる.本発表では地名による映像の絞りこみの方法,映像の類似度の算出方法,映像検索システムの設計について述べる.
 
堀 磨伊也 M2 横矢 直和 千原 國宏 山澤 一誠
発表題目:広域屋外環境における全天球動画像を用いたステレオ画像生成
発表概要:遠隔地の情景を臨場感豊かに提示するテレプレゼンスにおいて,実画像を加工することにより撮影点以外での視点映像を作り出すImage-Based Rendering(IBR)と呼ばれる手法が提案されている.これまでに,IBRで光線情報を用いて両眼ステレオ画像を生成する手法が提案されているが,撮影経路が直線に制限される問題などがあり,広域屋外環境に適用することは困難であった.本発表では,対象に広域屋外環境を想定し,曲線経路を含む任意経路で撮影された全天球動画像から光線情報を用いることにより任意方向の擬似的な両眼ステレオ画像を生成する手法について述べる.
 
奥村 文洋 D2 横矢 直和 千原 國宏 山澤 一誠
発表題目: 拡張現実感における仮想物体の写実性と光学的整合性の向上に関する研究
発表概要: 拡張現実感とは実環境に対して仮想物体を重畳表示することでユーザに対して位置依存情報を提供するため手法であり,近年ではインテリアデザインや製品の設計支援などの分野での応用のため,重畳表示される仮想物体の写実性の向上が図られている.また,実画像と仮想物体の間の違和感を軽減するため,両者の間の光学的整合性問題の解決が重要な課題である.本研究では仮想物体の写実性の向上として材質の粗さに応じた写り込みの実時間での再現手法,光学的整合性問題の解決としてカメラで環境を撮影した際に生じる画像のぼけを仮想物体に再現可能な手法について述べる.最後に,今後の展望について述べる.
 

会場: L3

司会:石川 助手
山本 幸生 M2 石井 信 小笠原 直毅 作村 諭一
発表題目:染色体異常に対する混合木モデルの提案とその改良
発表概要:近年、がん細胞における染色体異常蓄積のモデルとして 混合木モデルが提案されている。 このモデルによれば、各症例で起こっている染色体異常イベントのデータから 木構造の因果関係を推定することができる。 しかし従来のモデルには 観測ノイズに起因する偽陰性の悪影響を受けやすいという問題があった。 そこで我々はイベント推定における偽陰性の影響に対して ロバストな因果関係を推定するべく混合木モデルの改良を行った。 また人工データにもとづいて従来のモデルのノイズの影響を検証し、 さらに偽陰性ノイズを考慮した改良の効果を確認した。
 
小林 寛和 D2 金谷 重彦 小笠原 直毅 黒川 顕
発表題目:統合解析による枯草菌転写単位の予測・同定
発表概要:近年のゲノムプロジェクトの進展や実験技術の発達は大量のDNAの配列情報や発現情報などを利用可能とさせている。従って、それらの情報の中から正確な遺伝子発現制御の情報を抽出し、ゲノム上で特定の因子によって制御される遺伝子を的確に同定する技術が必要とされている。そこで、本研究では実験データに対し統計学的解析手法を用いることにより、各転写因子により制御されるレギュロンの予測・同定を行った。具体的には、解析に用いた全てのマイクロアレイデータをMA-plot上で正規化を行った。そして、発現プロファイルデータから隣接遺伝子間で相関関係を有する遺伝子群の同定を行い、転写因子破壊株のデータからは各転写因子により発現が誘導・抑制される遺伝子を特定した。また、転写因子結合配列データを学習配列としてposition weight matrixを用いて未知の転写因子結合配列を特定することでプロモータ予測を行うことにより、転写単位の開始部位の特定を行った。そして、これらのデータを組み合わせることにより、各転写因子により制御される転写単位の同定を行った。現在までに、枯草菌の28種類の転写因子により制御される転写単位の同定を行い、さらにfalse discovery rateを用いた優位発現データ中の擬陽性データの割合を求めることで、転写単位候補の絞り込みを行った。また、同定した遺伝子について 様々な角度からの機能予測も行っている。
 
伊藤 遼佑 M2 金谷 重彦 小笠原 直毅 黒川 顕
発表題目: 時系列マイクロアレイ実験デザインの発現解析に及ぼす影響
発表概要: 二色蛍光マイクロアレイは、遺伝子全体の発現変化をダイナミックに捉えるツールとして精力的に研究が行われている。この技術は、転写産物の絶対量を定量化するのには不向きだが、適切なコントロールサンプルとの対比により、大量の遺伝子に対してその相対変化量(ratio)を包括的に求めることができる。通常、二色蛍光マイクロアレイで多変量のデータを作成する場合、変量間の比較を容易にするためにコントロールを固定して対数比により評価する。しかし、この実験デザインは、遺伝子発現の変化を連続的に追っていく時系列データを得たい時、精度を落とし望ましくない。本研究では、コントロールを固定するデザインの欠点を大腸菌野生株の時系列マイクロアレイデータを用いて実験的に示した。また、遺伝子発現の連続的な変化をより精度よく測定するために、コントロールを直前の時系列の点にとるマイクロアレイデータを作成し、前述のデザインよりも精度の高いデータが得られることも示した。今後は、両デザインに基づくデータを組み合わせることより正確な時系列発現プロファイルを得ることを目指す。
 
和田 眞昌 M2 金谷 重彦 小笠原 直毅 黒川 顕
発表題目:シロイヌナズナ発現プロファイル解析 発表概要:Gene chipは生物の遺伝子発現を測定するツールとして、広く世界中で利用されている。遺伝子発現データを大量に利用することにより、生物の持つ遺伝子の恒常的発現、共調、共役といった関係性を見ることができ、このような関係性の証明は既知遺伝子からの未知遺伝子の推定を可能とすることが知られている。ところが植物においてこのよう大量の遺伝子発現データを用いての解析はあまり行われていない。またデータをそろえることが困難であった。近年、このようなデータを公開することにより研究を進める動きがあり、様々な研究機関で採られたデータを集めることができ、このような研究が可能となった。今回、Arabidopsis thaliana (シロイヌナズナ)において行われた626条件の実験により得られたおよそ1500枚のGene chipのデータを解析した。これにより得られた数値データを基に、遺伝子を機能単位でのクラスタリングを図る。今後、このクラスタリング結果を基に遺伝子の恒常的発現、共調する遺伝子発言の確認、およびその関連性からの未知遺伝子の推測などの可能性を探りたい。