ゼミナール発表

日時: 9月28日(木)3限 (13:30-15:00)


会場: L1

司会:新保 助手
木田 学 M2 鹿野 清宏 松本 裕治 猿渡 洋
発表題目:音声情報案内システムにおける質問応答データベース設計手法の検討
発表概要:音声情報案内システムでは,想定されるユーザの質問と期待されるシステムの応答の組をテキストで記述した質問応答データベースを応答生成に用いている.しかし,質問応答データベースは人手で先見的知識により作成されるため,質問応答が十分でなくその評価が必要である.そこで,「たけまるくん」によって実環境下で収集した音声データを用いて応答正解率を算出し,質問応答データベースを評価した.本発表では,応答正解率を向上させるため質問応答データベースを最適設計する手法を提案する.
 
中村 圭吾 M2 鹿野 清宏 松本 裕治 猿渡 洋
発表題目:喉頭摘出者の会話支援を目指した肉伝導人工音声の声質変換
発表概要:本研究では声帯を取り除いた発声障害者(喉頭摘出者)を対象にして,スムーズな音声コミュニケーションの実現を目指す.声帯の振動を伴わない発声法として,電気式人工喉頭を用いた発声法に注目する.従来の電気式人工喉頭は, 1) 音声が機械的である, 2) 音源の音が耳障りであるという問題があった.そこで本発表では,新たな振動子を用いて発声された音声を,声質変換技術でささやき声に変換することによって上記問題の解決を図る.また,客観及び主観評価により変換音声の有効性を示す.
 
関本 英彦 M2 鹿野 清宏 松本 裕治 猿渡 洋
発表課題:小声発声様式における肉伝導音声の音質改善
発表概要:本研究は,耐雑音性に優れた小声によるコミュニケーションの実現を目指し,非可聴つぶやき(NAM)マイクロフォンでの小声発話様式(SBTOS)を考える.SBTOSは耐雑音性が高い反面,こもった音になり音質が劣化する.そのため混合正規分布モデルを用いた声質変換手法によりSBTOSの音質改善を行う.変換先として,通常音声への変換(SBTOS-to-SP)と小声への変換(SBTOS-to-SSP)を検討する.各変換音声について,人の発声した音声としての自然性に関する主観評価実験を行った結果,SBTOS-to-SSPの方がより自然性が改善された.また,音響特徴量の推定精度,有声音と無声音の不一致率という観点からもSBTOS-to-SSPの有用性を示す.
 
木村 学 M2 松本 裕治 上田 修功
発表題目:時系列文書群からのホットトピック抽出
発表概要:インターネット上のニュース、ブログ、電子メールなどから大規模な文書群を容易に得ることができる。このような時系列の文書群から、ホットトピックを自動抽出し、各トピックに関連する文書群を同定することにより、時間経過を考慮して文書群を体系的に整理することができれば、時系列文書群の全貌を容易に理解することができる。ホットトピック自動抽出手法の候補としては、特定の単語を含む文書の頻度に注目した抽出手法がある。発表では、同手法の問題点を指摘し、特定の単語の頻度に注目した抽出手法を提案する。
 

会場: L2

司会:浮田 助手
萩原 香織 M2 千原 國宏 横矢 直和 眞鍋 佳嗣
発表題目:動作と色形状の同時計測による3次元アバタの生成
発表概要:アバタは、計算機上でユーザの意思を表現する有効な表現媒体であり,静止した人物像をもとに生成されることが多い.しかし、姿勢を変化させると不自然な外観になってしまうことがある.そこで本稿では,人物の動きと表面の色,形状を同時計測することで,姿勢の変化に対応した自然な外観を提示する3次元アバタ生成システムを提案する.
 
應和 春香 M2 千原 國宏 横矢 直和 眞鍋 佳嗣
発表題目:計測情報に基づく植物の三次元CG作成
発表概要:近年、CGを用いることにより、実在感のある植物の表現が可能になってきてい るが、実在する個々の植物をそのままCGとして再現することは依然困難である。 本研究では、実際の植物を多視点から計測し、レンジファインダより取得した 三次元形状情報と二次元画像情報を相補的に用いて、視覚的に違和感の少ない 写実的な三次元CG の作成を目指す。本発表では、描画する際の視点に合わせ て部分的な画像情報を適宜利用することによって、レンジデータの欠落部分を 補完する方法について検討し、本研究への適用を図る。
 
佐賀野 正行 M2 千原 國宏 横矢 直和 眞鍋 佳嗣
発表題目:鏡面球を用いた複合現実感における映り込みと質感表現
発表概要:複合現実感において現実環境と仮想物体を融合する重要な要素として、光学的整合性の一つである映り込み表現がある。また、映り込みの状態により仮想物体の質感が表現できる。そこで、本研究では鏡面球及び実物体の計測による質感にあわせた映り込み表現手法を提案する。また、視線ベクトルと反射ベクトルを考慮し近接場における映り込みの補正と現実環境への仮想物体の映り込みについても提案する。
 
仲野 嘉信 M2 千原 國宏 横矢 直和 眞鍋 佳嗣
発表題目:液体のリアルタイムCGに対する効果音の自動生成
発表概要:近年、物理シミュレーション手法の発展により、自然現象に近いCGをリアルタイムに表示することが可能になっている。しかし、その効果音については、未だ手作業で作成している現状がある。CG作成時の物理シミュレーション計算結果を利用し、剛体の接触・衝突情報を効果音の生成に用いる手法が提案されているが、液体を対象とする場合、液中に含まれる気泡の生成・破裂によって音が発生しているため、接触・衝突情報以外の情報を効果音の生成に用いる手法が必要となる。本研究では、液体要素に対する圧力変化を気泡の生成・破裂としてとらえる気泡運動モデルによって、液体のリアルタイムCGに対する効果音を自動的に生成する手法を提案する。
 

会場: L3

司会:木谷 助手
松本 律子 M2 関 浩之 伊藤 実 楫 勇一
発表題目:センサネットワークにおける有限幾何を利用した鍵事前格納方式
発表概要:暗号鍵を事前に共有することは,信頼できないネットワーク上で安全な通信を実現するために必須となる要件である.しかし,センサネットワークを構成するセンサノードは非常に小さな計算資源しかもたないため,汎用のコンピュータネットワークで広く用いられている鍵共有方式を利用することは現実的でない.そこで,ノードを散布する前にノードにあらかじめ複数の鍵を格納しておく方式が研究されている.本発表では,代数幾何的な性質を利用して事前格納する鍵を決定する方式を提案し,その性能を解析的に評価するとともに,従来法よりも優れていることを示す.
 
湊 大助 M2 関 浩之 伊藤 実 楫 勇一
発表題目:時間限定暗号鍵のペアリング写像を用いた実現法
発表概要:有料デジタル放送などの配信システムでは、サービス提供者が暗号化して放送したデータを、同様にサービス提供者が契約者に発行している鍵を使ってユーザが復号する。このようなシステムでは、自動的に有効化/無効化する鍵が実現できれば有用である。本研究では、ペアリング写像を用いてそのような暗号鍵方式を実現することを目指している。本発表では、既存手法の問題点を指摘し、それを克服したより効率的かつ安全性の保証された提案手法の提案を行う。
 
山本 有輝 M2 関 浩之 伊藤 実 楫 勇一
発表題目:信用交渉の戦略の性能の定量的評価
発表概要:ネットワーク上で不特定多数のユーザに対してサービスを提供するような応用が増えつつある.しかし,従来のIDとパスワードによる認証などでは,未知のユーザに対する適切な権限割り当てが困難である.そこで,信任状とポリシー記述言語に基づく信用管理の必要性が生じてきた.信用交渉とは,信任状の交換を繰り返して徐々に信用を確立する,信用管理のアプローチのひとつである.信用交渉における戦略とは,それまでに交換した信任状と自身のポリシーに基づいて,次に相手に公開する信任状を決めるアルゴリズムである.Yuらは,DTSファミリーという戦略の集合を提案し,それがいくつかの望ましい性質を満たすことを示した.また,DTSファミリーに属する具体的な戦略として,DTS, Relevant, Simpleの3つを提案した.DTSは単純な実装では指数的な計算量がかかる.また,これらの戦略の性能は定量的に評価されておらず,どのような場合にどの戦略を用いればよいか明らかでない.本研究では,Yuらの枠組の再定式化を行い,(1)DTSの計算量の上界または下界の解明,および(2)Relevant, Simpleの性能の定量的評価によって,これらの戦略を選択するための基準を与えることを目的とする.本発表では,DTS, Relevant, Simpleの各戦略動作,問題点について説明を述べる.
 
吉川 祐樹 D2 藤原 秀雄 伊藤 実 井上 美智子
発表題目:パス遅延テストのためのテスト容易化設計およびそれに伴う過剰テストの緩和に関する研究
発表概要:近年,半導体技術の進I歩により回路の集積度は飛躍的に増大し,その動作速度は高速化 の一途をたどっている.しかし,その一方で回路の動作を保証するためのテストのコスト も増大している.遅延テストは高速に動作する回路のタイミングの正当性を保証するため の重要な技術である.本発表では、始めにパス遅延テストのコストを削減するためのテス ト容易化設計法を紹介する.続いて、レジスタ転送レベルの情報を用いたフォールスパス の判定法を述べる.フォールスパスの始点で起こる信号の変化(0→1,1→0)はパスの終 点まで伝搬しない.そのため、フォールスパス上の遅延故障は回路のパフォーマンスに影 響を与えない.本手法を用いることにより予めフォールスパスを高速に判定し、テストの 対象から除外することによりテストコストを削減できる.