ゼミナール発表

日時: 9月27日(水)5限 (16:50-18:20)


会場: L2

司会:大羽 助手
AIZENBERG NATALIA M2 松本 裕治 石井 信 乾 健太郎
発表題目:Learning from Unrepresentatively Distributed Training Data (in Context Dependant Classification problems). 発表概要:In classification problems, it is common that learning data is biased, composed of mainly automatically or semi-automatically classified learning examples and only a relatively small amount of manually classified examples. In our study we would like to offer a general approach as to how such cases should be handled in context sensitive classification tasks. For our application we chose the sentence role classification task in Medline abstracts, attempting to use both structured (“semi-automatically” annotated) and unstructured abstracts, to achieve improved performance. Our method for dealing with the biases relies on adjusting the Learning Machine (it current an SVM) to discriminate (during learning process) in favor of manually annotated sentences.
 
上田 真理子 M2 杉本 謙二 石井 信 平田 健太郎
発表題目:独立成分分析によるブラインド同定のための収束速度の改善
発表概要:システム同定では、通常、入力信号、出力信号ともに利用する必要がある。しかし、外乱などの影響により、入力信号を完全に得ることは難しいと考えられる。そのため、先行研究では、入力信号が統計的に独立であるという仮定のもと、独立成分分析を利用し、入力信号を使用することなくシステム同定を行う手法を提案している。独立成分分析は、信号処理の分野で広く応用されており、近年、システム制御の分野においても応用されている。本研究では、動的なシステムの多項式行列分解に独立成分分析を用いることによる同定を行う。その上で、独立成分分析に準ニュートン法を導入することを提案し、それにより学習における収束速度の改善を目指す。
 
丁 明 M2 小笠原 司 石井 信 松本 吉央
発表題目:パワーアシスト装具を用いた筋肉の制御手法
発表概要:本研究の目的はパワーアシスト装具を利用して、対象筋肉の筋力を自由に制御することである。従来のただ単にモーションを生成するパワーアシスト技術の研究と異なり、対象筋肉の支援を注目している。局所的な筋肉のリハビリテーションやトレーニングなど、局所的に筋肉を制御することを可能にすると考える。そのため、まず筋肉を制御手法を提案した。しかし、人間の筋肉は相互関連している。すべての筋肉の筋力を任意に制御することは不可能である。計算の解が存在することを保証するため、非線形筋力設計問題にたいする筋肉の制御可否の判断方法も提案した。
 
松原 崇充 D2 小笠原 司 石井 信 川人 光男 松本 吉央
発表題目:ヒューマノイドロボットにおけるダイナミックな全身運動学習手法の検討
発表概要:本研究の目的は、多自由度系であるヒューマノイドロボットに対し、望ましい全身運動を学習により獲得させるための枠組みを構築することである。従来の研究では、強化学習によるロボットの運動学習は、望ましい運動に適した各関節のトルクや目標軌道を学習することを目的としてきたが、ヒューマノイドのような多自由度な系に対する適用は、計算量や必要となるサンプルデータ数の意味において困難である。本発表では、ヒューマノイドロボットにおける全身運動の学習に適した手法を構築するための初期段階として、ロボットの運動を代表する物理量の一つである重心の運動に着目した、強化学習に基づく全身運動学習手法について述べる。さらに、提案手法の現時点での適用結果について報告し、これらを踏まえ、今後の研究計画について議論する。
 

会場: L3

司会:奥田 助手
石橋 賢一 M2 砂原 秀樹 山口 英 藤川 和利
発表題目:リンク特性が変化する環境下におけるTCP通信性能の改善
発表概要:Mobile IPv6 や Network Mobility を利用することで,移動体通信における移動透過性を確保できる.しかし,トランスポート層などの上位層ではリンク特性の急激な変化にうまく追従できないため,アプリケーションから見たサービス品質という観点からは移動透過性の確保だけでは不十分である.特に,多くのアプリケーションが利用しているTCPの通信性能劣化を改善する意義は大きい.本発表では,リンク特性の変化に対するTCPの通信性能劣化が,リンク特性と輻輳制御パラメータの不整合に起因することを述べる.さらに,移動体通信環境におけるTCPの通信性能の改善に向け,リンク特性の変化に応じて輻輳制御パラメータを設定する手法に着目し,その可能性を実験を通じて検証する.
 
板谷 諭 M2 砂原 秀樹 山口 英 藤川 和利
発表題目:広域分散環境におけるアクティブ計測基盤の設計と実装
発表概要:近年,インターネットが急速に普及し社会インフラとして整備されてきている.それに伴い,ネットワークの安定運用が求められ,さらに通信品質が重要視されている.また,同時に運用等に必要な情報を収集するためのネットワーク計測技術の研究開発が進められている.その一例として,End-to-Endのネットワークの通信品質を推定するためのアクティブ計測技術の研究が行われている.アクティブ計測とは,ネットワーク内に試験パケットを注入し,その挙動を観測し,通信路の品質を計測する手法である.最近では,広域ネットワークの品質推定のため,多地点に配置した計測ホストを用いた分散計測サービスの研究が盛んに行われている.しかし必要に応じて計測要求を受け付け,その要求に合わせて計測ホストを操作し計測することは困難な状況である.そこで本研究では,ユーザの要求に合わせて計測ホストを動的に設定し,ネットワーク全体として必要な計測を行うための分散型アクティブ計測基盤の提案と実現を行う.
 
久保 力也 M2 砂原 秀樹 山口 英 藤川 和利
発表題目:情報受信者の位置を考慮した情報配信手法の提案と実装
発表概要:近年,モバイル端末の普及に伴い,交通情報や天気予報といった,情報受信者の位置に基づいた情報の配信が要求されている. しかし,現在のインターネットにおいては,情報受信者の地理的位置に応じた情報配信を行う基盤は存在しない. 一方で,情報受信者の地理的位置とネットワーク的位置は直接の関係を持たないため,情報受信者の位置に基づいた情報配信は容易ではない. 本研究では,SAP/SDPを拡張し,地理的位置と情報の有効範囲の関連付けを情報発信者と受信者の間で共有し,PIM-SSMを用いた経路制御によるIPマルチキャストを利用して配信する手法を提案する.
 
増田 慎吾 D2 砂原 秀樹 山口 英 藤川 和利
発表題目:グリッドコンピューティングによる科学技術計算を支援するワークフローシステム
発表概要: 科学技術計算において精度の良い結果を得るためには、試行錯誤を行うことが必要である。 試行錯誤とは、途中の結果を確認し、入力パラメータなどが適切かを判断し、 場合によってパラメータを修正し再実行することである。 パラメータの修正が必要になるのは、実行前に適切なパラメータが不明なためである。 また、多くの科学技術計算は複数のプログラムによって行われ、試行錯誤を含む処理において、 修正されたパラメータに関連するプログラムのみを再実行することが必要である。なぜなら、 個々のプログラム実行時間は非常に長いため、すべて再実行すると、多くの時間が無駄になるからである。 このような処理を実現するために、修正されたパラメータに関連するプログラムのジョブを選び出し、 停止し、再投入する操作が必要になる。
グリッド上で複数のプログラムを連携して実行する場合、スクリプトを作成しミドルウェアを制御する場合と、 ワークフローシステムを利用する方法がある。スクリプトは、柔軟な操作を行うことができるが、 グリッドミドルウェアに関して高度な知識が要求される。 ワークフローシステムは、ミドルウェアの操作を隠蔽することができ利便性が高い。 しかし、既存のワークフローシステムでは、実行中に特定のジョブだけをやり直すような操作ができないため、 試行錯誤を含む処理には多くの余計な時間が必要となる。また、この余計な時間の削減を行う場合に、 非常に複雑なワークフローを作成する必要があり、利用者の作業量が多い。 特に試行錯誤においては、事前に予測していない処理を行いたい場合も存在し、 既存のワークフローシステムでは、ワークフローの再作成が必要になる。
本研究ではこのような、余計な実行時間や利用者の作業を削減するために、実行中の動的な変更を許容する ワークフローシステムの提案を行う。 実行中の動的な変更への対応には、プログラムを利用者の要求した時に実行したり、特定のパラメータの変更 に対して、依存するプログラムだけを再実行する機能を含む。 これにより、利用者は予め複雑なワークフローを作成する必要もなく、またプログラムの再実行のために、 ワークフローを作り直すこともなくなり、より短い実行時間での精度向上が期待される。
本研究では、こような動作を可能とするワークフローのモデルを、ペトリネットのモデルを元に 構築し、またそのような動作を記述するワークフロー言語の開発を行う。 ワークフローのモデルには、実行用トークンと停止用トークンを用意し、 各ワーク間のトークンの受け渡し条件の工夫により、試行錯誤にひつような処理を実現する。 また、このワークフローのモデルの評価については、実装システムを利用した場合の、利用者の作業量の削減量や 計算の精度向上度を見ることで、有用性の検証を行う。 現在の進捗状況は、モデルの第1版とそのプロトタイプ実装を開発し、簡単なシナリオによる評価を行った段階である。 今後は、実装を強化しより多くの事例で実験を行い、必要なモデルの改良や、詳細な評価を行っていく。