ゼミナール発表

日時: 9月27日(水)2限 (11:00-12:30)


会場: L1

司会:佐藤(哲)助手
直原 佑哉 M2 ロボティクス 小笠原 司 湊 小太郎 松本 吉央
発表題目:皮下の血管構造を規範にした光学式触覚センサ 発表概要:本稿は皮下の血管構造を規範にした光学式触覚センサの開発について述べる. センサ内部には人間の血管を模した管がある. その中に色のついた液体を封入している. 管が変形して, その中の流動体が押し出されその付近の管の輝度値が変化する現象を利用し, 輝度値の変化を見ることにより加えられた力を測定する. 人間の血管を模した構造をつくることにより, その変形を計測し, 力に変換する手法を提案する. まず, 原理を確認するために, カメラを用いた試作機を作成し, 基礎実験を行った. その結果, センサ表面に直交する力を計測することに成功した.
 
坂口 峻一 M2 比較ゲノム学 金谷 重彦 湊 小太郎 黒川 顕
発表題目:フラボノイド関連代謝経路の多様性に関する研究
発表概要:植物におけるフラボノイドの機能は、UV照射から身を守り、昆虫を誘引する花の色素、花粉管の発芽、フィトアラキシンとしてカビの病原菌の攻撃などさまざまな役割を演じている。このように、フラボノイドは植物界において多くの生物種で確認され、非常に高い多様性を有することが報告されている。本研究では生物種と代謝の関係を悉皆的に体系化することを目的に、植物に特徴的な二次代謝物であるフラボノイドを文献より収集し、生物種-フラボノイドの関係を整理した。現状で11,838個のフラボノイドに関して29,982対の生物種-フラボノイドの関係を整理した。これらのデータをもとに、生物種に特徴的なフラボノイドグループからそのフラボノイドを生産するための種特異的な代謝系路を探索することを検討した。まずはじめに、統計的手法(対数尤度比検定)をもちいて、生物種ごとの多様性の評価を行った。続いて、フラボノイドの多様性と代謝経路の関連づけを行った。これらの解析結果を踏まえて、フラボノイドについての生物における代謝経路の多様性を悉皆的に検討した。
 
山倉 健 M2 比較ゲノム学 金谷 重彦 湊 小太郎 黒川 顕
発表題目:制限酵素の認識部位に対するゲノム戦略
発表概要:バクテリアは外来の遺伝子の侵入を防御するシステムとして制限酵素システムを所有し、修飾酵素により自他のゲノムを識別するということが多くの研究より明らかにされている。すなわち、制限酵素認識部位をメチル化するシステムにより、所有する制限酵素による自らの染色体を切断することから守るとされている。しかし、バクテリアのゲノムも自らの制限酵素により塩基配列が切断されるという事実も報告されている。バクテリアにおいて自ら所有する制限酵素の認識配列をゲノムから減らすことが、所有する制限酵素による切断からゲノムを守るための重要な因子であることが考えられる。そこで、ゲノムの全塩基配列が決定されている373種のバクテリアを対象に、所有する制限酵素の認識配列数がゲノムにおいて抑制されているか否かを統計解析により検討した。
 
渡辺 勝 M2 比較ゲノム学 金谷 重彦 湊 小太郎 黒川 顕
発表演題:バクテリアにおける遺伝子の系譜
発表概要:分子系統学において、全ての生物の間でよく保存されている16SrRNAを用いて系統樹を描く手法が広く用いられている。しかしながら16SrRNAで描いた系統樹と他の遺伝子を用いて描いた系統樹の間で、必ずしもトポロジーが一致しない事は広く知られており、推測された系統樹について様々な議論がなされている。バクテリアゲノムは真核生物に比べ進化速度が早く、また外環境から遺伝子を獲得する水平伝播と呼ばれる現象も頻繁に起るため、種内でさえ非常に多様性に富んだ遺伝子構成をしている。本研究では、独自に進化を続けるようにさえ見える「遺伝子」に着目し、各遺伝子が辿ってきた進化の履歴を解明することを目的とし、その変化を推定した。
 

会場: L2

司会:垣内 助手
岡田 行央 D2 山口 英 砂原 秀樹 門林 雄基
発表題目:オーバレイネットワークでのPKI構築手法の提案
発表概要:任意のユーザから構成されるオーバレイネットワーク上でファイル交換をする場合、公開鍵でファイルへ署名しファイルの正当性及び完全性を確認するためにデジタル署名を用いる。 このデジタル署名の鍵の保管は、集中鍵配送方式と分散鍵配送方式があり、現在は PGP(Prity good privacy)のような分散鍵配送方式が用いられる。 しかし、分散鍵配送方式は管理する対象の鍵が増えるにつれて、鍵の運用が煩雑になるため5000人規模のグループでは運用に限界がある。 これを解決する手法に集中鍵配送方式があり、商用サービスが行われているが、オープンソースの世界では独自にCAを構築し利用する事が多い。 しかし、CA自体の信頼性や、オーバレイネットワークへの貢献度は不定であり、自律分散をするオーバレイネットワークでの運用には問題があった。 そこで、5000人程度のオーバレイネットワーク内でオーバレイネットワークコミュニティ内の評判を用いて集中鍵配送方式を自律分散的に構築する手法を提案する。
 
嶋村 昌義 D2 山口 英 砂原 秀樹 門林 雄基
発表題目:フィードバック型動的帯域制御と組織単位の重み付け公平帯域割当アルゴリズムによるVPNホース帯域割当方式の特性分析および性能評価 発表概要:VPN(Virtual Private Network)において、加入者のQoS(Quality of Service)提供の要求が高まっている。加入者は、より容易にVPNを構築するために、提供者であるプロバイダによってサービスが提供および管理されるプロバイダ管理型VPNを利用できる。プロバイダ管理型VPNにおいて、重要な要求項目が2つある。1つは提供者が管理するネットワーク資源を有効利用することで、もう1つは高精度の帯域割当が必要となる。プロバイダ管理型VPNでの効率性を向上させるために、新たなVPNプロビジョニング手法としてホースモデルが提案された。ただし、ホースモデルの適用範囲はネットワーク設計となり、インターネットで多く使われているTCPのような実際のトラフィックまで考慮されておらず、帯域割当機構が必要不可欠となる。本研究では、加入者への品質の高いQoSの提供、および提供者が管理するネットワーク資源の利用率の向上を目的とする。本研究のアプローチとして、以下の3点を行う。(1)重み付け公平帯域割当機構を用いたホース帯域割当方式の提案を行い、ホース帯域割当方式の基礎特性を性能評価により明らかにする。(2)ホース帯域割当方式で必要となる重みを決定するために、重み付け公平割当帯域機構の特性を分析し、重み決定手法を確立する。(3)以上2つの知見を用いて、広域でQoS提供を行うホース帯域割当方式を実現する。
 
宮本 大輔 D2 山口 英 砂原 秀樹 門林 雄基
発表題目:アプリケーションゲートウェイシステムによる Web Spoofing 対策手法の提案
発表概要:近年,Web Spoofing と呼ばれる,フィッシングサイトを用いる攻撃手法からエンドユーザを防衛する技術への要求が高まり,これまで多くの対策技術が提案されている.しかし,その多くは対策手法の出力する警告をエンドユーザが無視したり,あるいは対策手法をエンドユーザが意図的に排除できるという問題がある. 本研究で提案する SPS (Sanitizing Proxy Server) では,エンドユーザの制御不可能な箇所,例えばエンドユーザの PC ではなく,フィッシングサイトとエンドユーザPC のネットワークにある中継装置上で対策を行う.また,SPS はフィッシングサイトを構成するコンテンツの中の,個人情報を送信するのに用いられる特定の一部位のみ除去する.このため,仮に誤検知が起こったとしても,個人情報の送信に用いられる以外の箇所は表示でき,エンドユーザが損なう利便性は少ないと考える. また,多様化するフィッシング技術に対してその検知精度を高める手法について考える.現在の対策手法はそれぞれ個別の要素技術にしかすぎず,解決できる Web Spoofing 攻撃の手法や,動作する領域も限定的である.従って,これらの要素技術を組み合わせることにより欠点を補い,検知精度を高める一般的に考えられる.しかし,ある対策技術がどのような攻撃に対して無力であるか,また組み合わせによってできあがったシステムがどの程度,Web Spoofing 攻撃に対して強度があるか評価するためのシステムが存在しない. そこで,本研究ではこの問題を解決するために,PVS (Phishing Vulnerability Scanner) を提案し,この検査を自動化して行う基盤を構築する.これら本研究の成果により,精度のよい対策技術による攻撃検知を行い,ユーザの利便性に配慮し,なおかつ攻撃を強制的に排除する環境が実現できる.
 

会場: L3

司会:新保 助手
大佐賀 智 M2 石井 信 松本 裕治 柴田 智広
発表題目:MOSAICの確率モデル
発表概要:ヒトの複雑な環境への高度な適応能力を説明するモデルの一つに MOSAICモデルがある。本研究ではMOSAICの確率モデル化を行い、さらにMOSAICに おける学習に統計的手法を適用することで、その効率化と安定化を目指している。 本発表では、確率モデルにおける学習則を実際に導出し、従来のものとの共通点 と相違点を示す。さらにそれぞれの学習則についてのシミュレーション結果を示し、 両者の学習の振る舞いを比較する。
 
富田 勉 M2 石井 信 松本 裕治 柴田 智広
 
田邊 昭博 D2 石井 信 松本 裕治 柴田 智広
発表題目:混合von Mises-Fisher分布とそのパラメータ推定 発表概要:遺伝子発現データベクトルのようにその方向成分のみが重要であるデータの分布を考える際に、単位超球面上の確率分布であるvon Mises-Fisher分布を考えると有効であることが多い。本研究では、混合von Mises-Fisher分布のパラメータを変分ベイズ法を用いて推定するアルゴリズムを導出する。またその際、従来手法では正確な値が求まらなかったパラメータを逐次代入アルゴリズムにより正確に求める手法を述べる。