情報理論U   Information Theory U


◇ 担当教員:楫 勇一(かじ ゆういち)
◇ 単位数:2 ◇選択・必修:選択 ◇開講時期:II期 水曜4限、金曜3限 ◇講義室:L2

◇ 授業目的:
本講義では、重要な情報を安全かつ正確に取り扱うための技術を学ぶ。近年、重要な情報を計算機システム上で取り扱う機会が急増しているが、計算機上の情報
は、事故やシステムの誤動作によって消失したり変質するおそれがある。また、悪意を持った第三者から重要な情報を保護することも、現代の計算機システムに
求められる重要な要件のひとつである。本講義では、さまざまな脅威から情報を保護するための技術について学ぶことで、より信頼性の高い情報社会の実現に貢
献できる人材の育成を目指す。

◇ 授業内容:
情報システムを設計、作成するもの、あるいは利用するものにとって重要な課題の一つである、情報を保護するための仕組みについて解説する。講義前半では、
自然発生的に生じる情報損失への対処技術として、通信路符号化技術を中心とした誤り制御方式について学ぶ。具体的には、以下のようなトピックについて解説
する予定である。
1.誤り制御のための技術
• 線形符号の基本的な性質
• 符号化と復号の操作について
• ハミング符号と実用的な符号
• 符号の性能評価
講義後半では、人為的な攻撃から情報を保護する仕組みとして、以下に示すような、暗号や情報セキュリティに関する基礎的事項について概説する。新しい技術
や脅威の出現に対して柔軟に対応できるよう、単なる技術紹介にとどまらず、その背景にある考え方や問題意識のあり方などについても学ぶ。

2.暗号とセキュリティ
• 対称鍵暗号系と使用モード
• 鍵共有技法
• 公開鍵暗号系とその安全性
• 一方向性関数と電子署名
• 暗号技術を利用したプロトコル

◇ 教科書:
とくに指定しない。講義で使用する資料等は web ページにて公開する。

◇ 参考書 :
今井秀樹,情報理論,昭晃堂,1984.
B. Schneier, Applied Cryptography, second edition, John Wiley &
Sons, 1996. ◇ 履修条件:
線形代数、整数論の基礎的知識があることが望ましい(必須ではない)。

◇ 成績評価:
試験(70%)および課題レポート(30%)により評価する。

◇ オフィスアワー:
(B505)水曜日5限・金曜日4限。その他、扉を開けているときは何時でも。