ゼミナール発表

日時: 10月28日(金)2限 (11:00-12:30)


会場: L2

司会:アルタフルアミン 助手
蓬莱 尚幸 D1 箱嶋 敏雄 金谷 重彦 土居 洋文 土井 晃一
発表題目:オリゴペプチドに基づく蛋白質機能予測に関する研究 発表概要:ホモロジー検索等の手法を利用してアミノ酸配列から蛋白質の機能や性質を予測する研究が行われいる。そこでは、多種多様な機能/性質に対する汎用性、予測結果の理解性等の向上が求められている。一方、数残基からなるオリゴペプチドには、多くの蛋白質に遍在するものと特定の蛋白質群に遍在するものがあり、それらの実際の存在確率はアミノ酸の存在比率から計算される予測値と大きく異なる場合があることが知られている。本研究では、このオリゴペプチドの偏在性に着目して蛋白質の機能を予測する。蛋白質をオリゴペプチドの集合ととらえ、蛋白質機能に関する既知情報をもとにオリゴペプチドごとの各機能に対する関連度を計算し、その関連度を利用して任意の蛋白質の機能をその配列のみから予測する。今回の発表では、複数のGeneOntology概念や異なるレベルの酵素分類への適用事例と予測性能、他の手法との予測性能比較、オリゴペプチドの長さと予測性能の関係について報告する。
 
上村 泰央 D2 石井 信 金谷 重彦 土居 洋文 土井 晃一
発表題目:木文法によるRNA二次構造解析とRNA機能予測への応用 発表概要:RNAの二次構造を記述する表現形式として形式文法、特に文脈自由文法、を利用する手法が考案されている。一方、最近の分子生物学分野の研究の進展により、様々なRNA分子内の機能的に重要な箇所で、pseudoknotと呼ばれる特殊な二次構造が数多く発見されており、その重要性が注目されてきている。ところが、文脈自由文法の表現能力ではpseudoknot構造が記述できないため、従来の手法ではpseudoknot構造を取り扱う解析ができなかった。そこで我々はpseudoknot構造を記述できるRNA二次構造の表現形式として木文法を用いた手法を考案し、その構文解析アルゴリズムをもとにpseudoknot構造を扱うことのできるRNA二次構造予測プログラムを開発してきた。本研究では木文法を用いた手法をさらに発展させ、二次構造予測の改良、二次構造検索システムの開発を進めている。特に、重要な改良としてRNAの二次構造ユニットごとに、対応する文法上の導出にそれぞれ制限を加える方法を考案した。これによりアルゴリズム上でいくつかの改良が可能になると期待できる。また、二次構造検索プログラムを実装し、実際にRNA機能予測への応用を試みた。
 
箕輪 弘嗣 D2 湊 小太郎 金谷 重彦 杉浦 忠男
発表題目:物体操作における力覚情報の伝達に関する研究 発表概要:物体を操作する時に発生した力を、操作者は直接知覚する事で、対象から多くの情報を得ることができる。例えば、教習所のドライブシュミレータは、擬似的に運転時のハンドルの力覚を操作者へ提示することで、運転時の感覚を提供し、操作者の運転操作の習得に役立っている。力覚提示を用いた習熟の先行研究例では、操作者への力覚の伝達が操作・手技の習得に有効であることが報告されている。一方、現実には、実操作でも力を得ることができないため、習得が難しい操作がある。例えば、内視鏡のような術具では電気稼動のため、操作者は内視鏡のオペレーション時に力覚を得ることができない。 本研究では、直接手に触れられなかったり、力のスケールが異なるため力を得ることが出来ない操作に対して、物理モデルに基づき算出した力を操作者へ提示し、効率よく操作を習得する手法について研究を行ったので報告する。
 
ALBERT CAUSO M1 小笠原 司 横矢 直和 松本 吉央
発表題目:Simultaneous Estimation of Hand Pose Parameters Using Multi-viewpoint Silhouette Images 発表概要:A new approach for model-based hand-pose estimation, which aims to track all hand-pose parameters simultaneously, is proposed. A system which estimates hand-pose using silhouette images taken from multiple cameras had been developed. However, it cannot estimate wrist position, palm orientation and finger joint-angles simultaneously. In order to improve the estimation, predictive filter is introduced into the system. This presentation will talk about the system implementation. First, the predictive filter used, Unscented Kalman Filter, will be introduced. Then, the model design used will be presented. Lastly, feasibility of the proposed algorithm is shown through simulation experiments.
 

会場: L3

司会:佐藤哲大 助手
工藤 正行 M2 杉本 謙二 湊 小太郎
発表題目:移動体遠隔操作に向けたセンサネットワークアーキテクチャ構成法 発表概要:本論文では,センサネットワークを用いた遠隔移動体制御について考える.センサネットワークは,短時間でネットワークの構築が可能であることや,災害現場等の危険な場所でも使用可能であるといった利点より近年注目されている.しかし,基本的にブロードキャストを多用するため効率が悪く,パケットロスやハンドオフなどにより,リアルタイムアプリケーションに向かない.そのため,移動体制御に対して系の不安定化等の問題を生じる.そこで,これらの問題に対処するため,ネットワークの構築,トポロジ構成,ルーティングの3つの観点から提案を行う.これにより移動体の遠隔操作制御の実現を目指す.
 
王 静 D2 関 浩之 伊藤 実 楫 勇一
発表題目:システムセキュリティにおける計算理論的研究:IDS Probe配置問題とアクセス制御付プログラム検証問題について 発表概要:(1)ネットワーク分散型侵入検知システム(IDS)は、ネットワーク上に分散配置された複数のIDS(Probe)で不正検出を行うものであるが、Probeの配置数、配置位置及び攻撃シナリオの分割を決定するアルゴリズムは場合あたり的なものしか知られていない。本研究では、この問題をIDS分割配置問題として形式的に定義する。さらに、その問題を単純化した問題について効率よく解くアルゴリズムを設計した。(2)JDKなどで提供されているスタック検査は、実行が完了したメソッド呼び出しに関するセキュリティ情報が消失するという問題点を持つ。これ解決するため、実行履歴に基づく新しいアクセス制御法が提案されている。本研究では、 Abadiらの「実行履歴に基づくアクセス制御法」の形式モデル(HBACプログラム)を提案し、 JDK, CLRなどで用いられている「スタック検査」より真に表現能力が高いことを証明した。まだ、 HBACプログラムのモデル検査法を提案した。その検証問題は形式言語間の包含性判定に帰着することによって、一般の場合は決定性指数時間完全ですが、ある現実的な仮定多項式時間可解であることが分かった。本発表では、IDS分割配置問題とHBACプログラム検証問題について紹介する。