ゼミナール発表

日時: 9月30日(金)3限 (13:30-15:00)


会場: L1

司会:神原誠之 助手
池田 俊史 M2 千原 國宏 横矢 直和 眞鍋 佳嗣
発表題目:電子書見台による紙文書への注釈提示 発表概要:電子化された文書には,注釈付けのような編集やキーワードの検索, 他の電子データへのリンクを行えるといった利点がある. しかし,全ての既存の文書を電子化するのは困難である. また,貴重な文書や共有の文書には書き込みを行えないという問題もある. そこで本研究では,既存の紙文書に注釈を電子的に付加可能にすることにより, ユーザの文書閲覧を支援するシステムである電子書見台を提案する. 電子書見台は,カメラからなる画像入力部,プロジェクタからなる画像出力部及び 注釈入力部で構成される.本発表では,提案システムの試作を行い, カメラで取得した画像から紙文書の位置と方向を推定し, プロジェクタで元の紙面に注釈を重畳表示した結果とその精度について述べる.
 
今田 貴基 M2 千原 國宏 横矢 直和 眞鍋 佳嗣
発表題目:指揮法習熟のための定量的動作分析 発表概要:音楽における指揮とは多くの演奏者の演奏をひとつの音楽まとめあげることであり、指揮者はオーケストラとコミュニケーションを取ることで音楽をひとつにまとめている。従って、指揮の個人練習ではオーケストラがない状態で練習を行わなければならないため、現状では指揮の個人練習は初心者にとって非常に非効率な状況となっている。本研究の目的は、初心者が効率的に練習できる指揮練習システムを構築することである。そのために本研究ではまず指揮の動作に対する客観的な評価を構築を目指し、指揮の中でも腕の運動の巧拙すなわちバトンテクニックに着目することで、指揮の運動の計測法の提案、および計測データから指揮の巧拙を判断する定量的分析手法の提案を行う。
 
佐伯 昌彦 M2 千原 國宏 横矢 直和 眞鍋 佳嗣
発表題目:汎用的な構造色レンダリング手法の開発 発表概要:自然界の色は色素色と構造色に大別することができる。色素色は色素による発色であるのに対し、構造色は波長以下の微細構造に起因する光学現象による発色であり、視点位置や照明条件により見え方が大きく変化するという特徴をもつ。本研究では構造色を生み出す光路差に着目し、汎用的な構造色のレンダリング手法を提案する。本手法では微細構造を光路差や反射強度などを格納したテクスチャ表現によりモデル化することで、リアルタイムでのレンダリングを実現している。本発表ではこの提案手法について述べるとともにいくつかの描画結果を示す。
 
安藤 史朗 M2 西谷 紘一 小笠原 司 野田 賢
発表題目:ドライバに対する視覚情報処理の負荷の影響に関する研究 発表概要:現在,交通事故防止や快適な運転環境を目的として,運転支援システムの研究が盛んに行われている. その中で,ドライバに情報を与える情報呈示システムとして,呈示情報を認識し易いヘッドアップディスプレイが注目されている. しかし,呈示情報が認識し易いことによって,ドライバの安全運転への注意力が低下する可能性が考えられる. そこで本研究は,ヘッドアップディスプレイと従来の情報呈示システムそれぞれを用いた実験を行い,ヘッドアップディスプレイの使用した場合のドライバに与える影響についての検証を行う.
 

会場: L2

司会:上田悦子 助手
木内 千絵 M2 鹿野 清宏 小笠原 司 猿渡 洋
発表題目:空間的サブトラクションアレーによる実環境下でのハンズフリー音声認識 発表概要:実環境において雑音に頑健なハンズフリー音声認識を実現するため,本研究では雑音推定部に適応雑音推定処理を備えた新しい空間的サブトラクションアレーを提案している.本手法は,ユーザ音声を強調する主パスと雑音を推定する参照パスから成り,主パスから参照パスを減算することで雑音抑圧を行う.提案法は,雑音推定部に適応雑音推定処理として適応フィルタを適用することで雑音推定性能を向上させ,全体の認識精度も向上させている.本発表では,従来のSSAと提案している新しいSSAの違いと有効性を検証し,今後の研究方針についても述べる.
 
戸田 航史 M2 松本 健一 小笠原 司 門田 暁人
発表題目:ソフトウェア開発工数の予測精度に影響する要因の分析 発表概要:ソフトウェア開発プロジェクトの計画立案のためには,開発工数の見積もり(予測)が必須となる. そのために,重回帰モデル,COCOMO等の数学的予測モデルが多数提案されている. しかし,それらのモデルによる工数の予測精度は,プロジェクトごとに大きなばらつきがあるため,ソフトウェア開発現場では,算出された予測値を採用しにくいという問題がある. 本研究では,アソシエーション分析手法を用いて,プロジェクト特性と工数の予測精度との関係をアソシエーションルールとして抽出する. 予測誤差が常に大きくなる(もしくは小さくなる)ようなプロジェクト特性をルールとして抽出することができれば,予測値を信頼してよいのかの判断に役立つと期待される.
 
福嶋 祥太 M2 松本 健一 小笠原 司 門田 暁人
発表題目:脳波と心拍変動を用いたWebユーザビリティ評価 発表概要:Webユーザビリティの向上は電子商取引を営む企業にとって重要な課題である. Webユーザビリティを客観的に評価する手法は数多く提案されてきたが,Webページ閲覧者の主観的満足感を定量化する手法は質問紙やインタビューによる手法がまだ主流である.本発表では,Webページ閲覧者の主観的満足感を客観的に評価することを目的とし,Webページ閲覧時の脳波や心拍変動を用いたWebユーザービリティ評価の提案を行う.
 
岩永 一成 M2 鹿野 清宏 松本 裕治 猿渡 洋
発表題目:統計的スペクトル変換法を用いた肉伝導通常音声の自然性改善に関する検討 発表概要:外部雑音の影響を受けない快適な音声コミュニケーションの実現において、肉 伝導通常音声(BTOS)の自然性改善は重要な課題である。本発表では、統計 的スペクトル変換法を用いて、BTOSから通常音声への変換を行う。
 

会場: L3

司会:佐藤哲大 助手
深田 智史 M2 石井 信 湊 小太郎 作村 勇一 川端 猛
発表題目:アクチンフィラメントによる糸状仮足伸長メカニズムのシミュレーションによる考察 発表概要:アクチンフィラメントが細胞膜を押し、細胞体の伸長を実現するメカニズムは、諸説提唱されている。代表的なものは、EBRモデルとLLFモデルの二つである。本研究では、Aplysiaの成長円錐の糸状仮足において、どちらのモデルがより妥当性があるのかを、計算機シミュレーションと画像解析を用いて検証する。今回の発表では、シグナル分子からの重合制御と脱重合制御に対するアクチンフィラメントの伸長応答が、アクチン濃度にどう依存するかを、各々のモデルについて考察した結果を示す。EBRモデルでは、制御応答性がアクチン濃度の高低によって著しく変化することがわかった。これは、伸長メカニズムがEBRモデルに従っていた場合、アクチンフィラメントがシグナルだけでなく、アクチン濃度によっても制御されている可能性を示す。しかし、どちらのモデルに妥当性があるかは、まだ議論できていない。今後の課題は、シミュレーションと画像解析の結果をつき合わせ、双方のモデルの妥当性について考察することである。
 
門脇 千智 M2 石井 信 川人 光男 銅谷 賢治 柴田 智広
発表題目:強化学習による位相反応曲線の学習 発表概要:神経生理学等の実験や観察により,生物は周期的な運動が刺激により乱された時,リズムの位相を変位させることで同調を行い,運動を安定に継続していることが示唆されている.また,周期的な運動である歩行運動においても,外乱などが加えられたときに転倒を回避し,歩行を継続するためにリズムを迅速に修正する必要があると考えられる.実際,人間の歩行でも,外乱に対する位相変位が観察されている.更に,2足歩行ロボットの研究では,歩行中の脚接地時に位相を0にリセットすることにより同期を実現する手法を提案し,歩行のロバスト性に関する位相リセットの有効性を実験的に示している.一方,周期的な運動等のリズム同調の解析の一手法として,位相反応曲線 (Phase Response Curve : PRC) を用いたものがある.PRCとは,同期をとるべき位相の位相変位量(位相リセット量)の関係を表したものである.従来,望ましい同期を実現するPRCの設計方法は確立されておらず,実験的に人手によって設計する必要があった.今回の発表では適切な位相リセット量を得るために,強化学習を用いて脚接地時におけるPRCを獲得する手法を提案する.学習により獲得したPRCを用いてロバストな歩行が実現可能であることを数値シミュレーションにより示す.また,人間の転倒回避に関する計測を行い,人の外乱や環境変化に対する適応の様子を位相反応曲線を用いて検証した.今後は,計測によって得られた位相反応曲線に基づいた制御器の設計を目指す.
 
小林 悠一 M2 石井 信 川人 光男 銅谷 賢治 柴田 智広 作村 勇一
発表題目:登上線維入力が小脳プルキンエ細胞の活動に与える影響 発表概要:小脳は、スムーズな運動制御に欠かせない部位であり、多様な種類の感覚、運動入力を外部から受けているが、小脳皮質の最終出力はプルキンエ細胞と呼ばれる小脳唯一の出力細胞からなされる。プルキンエ細胞は、平行線維、登上線維という2系統の入力を主に受けて活動電位(スパイク)を発生する。この2つの入力によって発生したスパイクはそれぞれ、平行線維由来で高発火頻度であるものを単純スパイク、登上線維由来で非常に低い発火頻度であるものを複雑スパイクと呼ぶ。単純スパイクは筋肉を適切に制御するために主要な信号を出していると考えられているが、複雑スパイクについては未だその機能について議論がなされている。Loewensteinらは彼らの論文(2005, nature neuroscience)において、小脳プルキンエ細胞の発生する複雑スパイクが単純スパイクの発火頻度を切り替えるスイッチの役割をしている(トグルスイッチ仮説)、という可能性を示唆した。しかし、これらの結果は小脳切片や麻酔下のguinea pigを用いたもので、覚醒時の動物で記録されたものではなかった。そこで、このトグルスイッチ仮説を覚醒時のサルの小脳からとられたデータを用いて検証する。
 
南部 功夫 M2 石井 信 湊 小太郎 川人 光男 銅谷 賢治
発表題目:近赤外分光画像計測法による運動野脳活動と手指筋出力の関係 発表概要:ヒトの脳活動を計測する方法の一つである近赤外分光画像計測法(NIRS)はPETやfMRIなどの手法と同様に非侵襲でありながら、可搬性を持ち、自然な状態で計測を行うことができるという利点を持つ。しかし、NIRSで得られた信号については不明瞭な点もあり、十分な検討が必要であると考えられる。本研究では、指を使った運動課題を行った時の脳活動をNIRSを用いて計測し、筋出力と脳活動との関係を調べた。また、同じ課題をfMRIを用いて計測して両信号について比較を行い、NIRSの有用性について検討した。