ゼミナール発表

日時: 9月29日(木)4限 (15:10-16:40)


会場: L2

司会:新保仁 助手
藤原 勤 D2 植村 俊亮 関 浩之 木戸出 正繼 宮崎 純
発表題目:自律ディスクによる広域分散ストレージに関する研究 発表概要:自律ディスクを広域ネットワークに適用し,モバイルデバイス利用者の必要とするデータを自動的に近隣のディスクに転送したり,データの性質に応じてネットワーク上で多重化する手法を提案する.近年のモバイルコンピューティング環境で利用されるデータの種類や容量は格段に増加し,モバイルデバイスにはハードディスクが搭載されるようになった.しかし,利用したいデータが必ずしもハードディスク上にあるとは限らず,ネットワーク上に散在している.しかもモバイル環境におけるハードディスクの信頼性は十分なものとは言えない.モバイルデバイスから快適にアクセスできる信頼性の高いディスクに常に利用するデータがあることでこれらの問題は解決する.提案するシステムでは,扱うデータの種類や状況に応じて自律ディスクのルールを切り替え,データごとに最も適切な移動処理を行なう.このシステムにより,モバイルコンピューティング環境においてデータアクセスが効率化され,同時にデータ損失の可能性も軽減できる.
 
平山 淳一郎 D2 石井 信 松本 裕治 柴田 智広
発表題目:信号数が未知かつ時変な状況への独立成分分析(ICA)の拡張 発表概要: 独立成分分析(Independent Component Analysis; ICA) のほとんどのアルゴリ ズムでは,原信号の数はすべてのサンプルに対して同一であると仮定する.し かし信号源が非定常であれば,この仮定は必ずしも正しくない.例えば原信号 が時間とともに現れたり消えたりするような場合,原信号の数は動的に 変化する.これまでのICA手法のほとんどはこういった非定常性を考慮しておらず, 推定性能が悪化する可能性が高い.非ホロノーム拘束を用いた自然勾配 ICA(Amari et.al, 2000)はこのような状況におけるひとつの有効な手法である が,観測にノイズが含まれる場合に推定精度が低下するという問題点がある. 本研究では,原信号の非定常性を隠れマルコフモデルとしてモデル化すること により,出現/消滅する原信号をノイズ存在下で適切に推定する(ノイズつき) ICAアルゴリズムを提案する.学習則はベイズ推定に基づき,変分ベイズ法を 用いて効率的なアルゴリズムが導出される.提案手法は人工データを用いた計 算機実験により評価され,ノイズがあまり大きくない状況で,既存手法の性能 を上回ることが示される.
 
坂東 誉司 D2 石井 信 木戸出 正繼 柴田 智広
発表題目:適応的サンプリングによる階層モデル化した対象の効率的状態推定 発表概要:隠れ状態の時系列推定問題において,パーティクルフィルタは各時刻での隠れ状態の分布をパーティクルと重みにより表現することで,計算困難な時系列ベイズ推定を効率的に行うことができる手法である.ただし,実時間処理のためにはパーティクル数を少なく抑えることが不可避であり,特に,状態空間が高次元となる対象を扱う際には推定精度の著しい悪化を招く. この様な実環境における推定問題において安定した隠れ状態推定の実現のためには,モデルの階層化のみならず,各層におかれたモデルの仮定と実データとのズレや非ガウス雑音による推定への悪影響を最小限に止めるために,階層間で情報を有効に利用しつつ,ある程度の独立性を準備することが必要であると考えられる. 本研究では,階層化したモデルの各層において並列にダイナミクスを考え,各層からの予測分布の混合分布をサンプリング分布として採用し,混合比をオンラインEMアルゴリズムにより逐次推定する手法の提案をおこなう.この手法により,動的に変化する環境に応じて,どの階層を重要視するかが適切に決定され,パーティクル数を少なく維持したまま推定精度を保つことが可能となる.発表では,車内におけるドライバーの頭部姿勢推定を例にとり,提案手法の適用結果を報告する.