ゼミナール発表

日時: 12月9日(金)3限 (13:30-15:00)


会場: L1

司会:河村竜幸 助手
山本 幸生 論理生命学 石井 信
発表題目:ARACNEを用いたがん原因因子のネットワーク推定 発表概要:現在医学において実験的にも臨床的にも、さかんにがんの研究が行われている。その際にDNAマイクロアレイデータなどの膨大な実験データだけでなく、患者個人のもつガンの社会的要因や臨床診断情報などの予後のデータも蓄積されていた。近年、実験データの分析については多数の研究が行われており、莫大な個数の因子を取り扱うことができるようになった が、要因因子の分析については十分な研究が行われていない。この様々なガンの要因因子と予後の状態の関連性を解明するために、これらの因子間の因果関係ネットワークを推定したい。そのための手法には最近発表されたARACNEというアルゴリズムをもちいた。この手法は因子間の相互情報量をもとにネットワーク構造を推定するものである。本発表ではARACNEの紹介と、今後どのような研究を行うかを述べる。
 
藤本 知之 生命機能計測学 湊 小太郎
発表題目:論文紹介"Rapid Automated Algorithm for Aligning and Reslicing PET images",Journal of Computer Assisted Tomography 16(4):623-633 発表概要:MRI,CT,PETなどを用いる画像診断では,複数モダリティの画像の比較が望ましい.そのため,これら複数画像の重ね合わせ技術の開発が進められている.本論文では,PET画像どうしの位置合わせを目的とする技術について述べられている.PET撮像においては,患者が動くことで良好な重ね合わせが行えない問題点がある.それに対し,頭部の動きを抑制するフレームを取り付ける解決法があるが,患者への負担が大きく,またフレームを取り付けたとしても完全に動きを抑制できない.そこで非拘束な方法として,PET画像内の解剖学的情報のみを使用し重ね合わせを行う方法が提案された.本発表では,論文で用いられている位置合わせ手法及び,その際の誤差の定量的な検証法について紹介する.
 
川島 礼子 生命機能計測学 湊 小太郎
発表題目:論文紹介 "Real-Time 4D Tumor Tracking and Modeling from Internal and External Fiducials in Fluoroscopy"(MICCAI 2004) 発表概要:放射線治療では、腫瘍が受ける放射線量を最大にし、周囲の組織が受ける放射線量を最小にすることが望ましい。しかし、肺癌などの場合は患者の呼吸運動により、治療中も腫瘍の位置が固定されない。このことにより、腫瘍にのみ放射線を照射することが困難である。そこで、腫瘍の周りに埋め込んだマーカー(外科用クリップ)の動きを2次元の時系列X線画像より取得し、腫瘍の3次元的な動作を推定するという解決方法を紹介する。最後に今後の研究予定について述べる。
 
松雪 大貴 生命機能計測学 湊 小太郎
発表題目:ボリューム像を用いた外科手術の計画支援に関する研究 発表概要:近年、外科手術の計画や診断に使われる患者一人あたりの医用画像が増加しており、ボリュームレンダリング像(ボリューム像)が用いられる機会が増えてきている。 その中で、VR像を参照するだけでなく、像上において様々な術式をシミュレートし、綿密な計画を行いたいといった要求が出てきており、様々な研究がなされている。 今回の発表ではボリューム像におけるこれまでの関連研究を紹介すると共に、自分の今後の研究方針について述べる。
 

会場: L2

司会:浮田宗伯 助手
林 宏太郎 ロボティクス 小笠原 司
発表題目:ロボット漫才 −メディアとしてのロボット間協調対話 発表概要:近年ヒューマノイドロボットの開発が盛んになっている。その人間に近い外見を利用し、人間とコミュニケーションをとることを必要とされる状況に置いて使用することが可能と考える。しかし、音声認識や画像解析などは未だに発展途上にあり、人間−ロボットの間で円滑な相互に情報のやりとりを行うのは難しい。そこで本研究では、今現在において主流であるロボットから一方的に情報を提示するというやり方を発展させ、複数体のロボットによる協調対話によって、人間により深い理解を促す形式を提案. 発表において、そのために漫才を利用し開発したシステム、今までにその効果を検証した事例、今後の展望などについて述べる。
 
河本 貴則 インターネット工学 山口 英
発表題目: 不正トラフィック削減のためのトラフィック推定手法の複合利用の提案 発表概要: ワームによる探索,感染行為はホストへの被害のみでなくネットワークに対しても帯域の消費といった被害を及ぼす.そのため,このような不正トラフィックの発見,遮断技術が安定したネットワークの実現のために必要とされている. 遮断手法として,パターンマッチによる手法があるが,これにはパターンに対する知識が必要なことから,トラフィック推定による手法に注目する.しかし,トラフィック推定による検知手法においても,見逃し(False Negative)や誤検知(False Positive)が問題となる. そこで,様々な推定手法をその特徴に基づいて複合的に利用することで精度の向上を図る.推定手法として, (a)不正トラフィックの通信モデルを作成し,そのモデルに基づいて通信を分類する手法, (b)通信内容に注目せず,統計操作のみによって異常値を発見する手法, (c)オペレータの経験的知見による不正トラフィック発見技法の定式化による手法, の3つに分類して,それぞれに対し複数個の方式を提案するものとする. 本発表では,複合利用のための基本的な実験結果として,それぞれの手法に基づいた不正トラフィック検知の結果報告と考察を行う.
 
葛野 弘樹 情報基礎学 関 浩之
発表題目:プッシュダウンオートマトンを用いた侵入検知法(文献紹介) 発表概要:近年,プログラムの脆弱性を利用した計算機への攻撃を防止するため,プログ ラムの正常な挙動をモデル化し,監視時にモデルから逸脱していないかを検査 する異常検知手法が注目されている.本発表では,異常検知手法を用いた侵入 検知システム(IDS) に関する研究として,プッシュダウンオートマトン(PDA) を用いた手法を紹介する.本手法ではまず,監視対象のプログラムを静的に解 析し,その振舞いをモデル化するPDA を構成しておく.IDSは, プログラムの 関数呼出し・復帰動作がPDA から逸脱した場合,警告を出力する.提案手法で は,構成するPDA を決定性とする工夫により,検知の精度を落すことなくIDS の実行効率を向上する方法を提案している.提案手法を紹介するとともに,発 表者の今後の研究方針についても述べる.