ゼミナール発表

日時: 11月16日(水)3限 (13:30-15:00)


会場: L1

司会:前田新一 助手
薄 充孝 視覚情報メディア 横矢 直和
発表題目:論文紹介 Image-Based Localisation, Roberto Cipolla, Duncan Robertson, Ben Tordoff, VIRTUAL SYSTEM and MULTIMEDIA (VSMM) 2004 発表概要:この論文ではカメラ付き携帯やPDAなどのモバイルデバイスからの1枚の画像を使って市街地の情報を復元するシステムについて述べてある。このシステムでは、撮影した画像はサービスプロバイダに送信され、データベースと比較される。その結果、最適なマッチングを使って撮影した建物の詳細情報やユーザーの正確な位置を返す。
 
鈴木 夢見子 ロボティクス 小笠原 司
発表題目:車輪型移動ロボットの滑らかな経路生成と探索速度向上の研究 発表概要:人間の生活する環境の中でロボットが人と共存するためにはロボットが人を認識しスムーズに移動することが必要である。現在、ロボットの経路計画はグリッドベースで行われており、生成される経路は直線的になり、またその探索速度も人の移動に追従するには不十分である。そこで本研究では車輪型移動ロボットを用いて滑らかな経路を生成し、かつ高速な経路探索アルゴリズムの実装を行う。
 
竹谷 昌敏 言語設計学 渡邉 勝正
発表題目:論文紹介"Computational Indistinguishability between Quantum States and Its Cryptographic Application" 発表概要:従来の計算量的安全な公開鍵暗号形式が、量子計算モデルの出現によりその安全性が脅かされている。 量子状態の計算による不判別性を暗号体系へ応用し、量子計算モデルでも困難な公開鍵暗号形式の提案。
 
玉瀬 善久 システム制御・管理 西谷 紘一
発表題目:マニピュレータを使ったソフトキャッチング 発表概要:視覚で認識した環境に応じてすばやく動作を行うプロセスに関してさまざまな研究が行われている.応用されるタスクの1つとしてキャッチングがある.提案されている手法についていくつか紹介し、それらの特徴や有効性について検討する.以上のことをふまえて、今後の研究の方向性について触れる。
 
辻 尚 比較ゲノム学 金谷 重彦
発表題目: 生体ネットワーククラスターの可視化に関する研究 発表概要: 生体を構成するタンパク質は、その機能がわかっていないものが 非常に多い。生体タンパク質の機能予測を行う手がかりとして、タンパク質 をノード、タンパク質間相互作用をリンクとしたネットワーク、すなわち protein-protein-interaction(PPI)ネットワークが利用されている。ただし、 PPIネットワークは、ノード数が数千から数万の巨大ネットワークであるため、 ネットワークをただ表示しても複雑かつ難解で、多くの場合有用な情報は得られ ない。 そこで、タンパク質機能予測と、ネットワーク可視化の両方の要求に答えるために ネットワーククラスタリングを挙げることができる。本研究では、ネットワーク クラスタリングを行ったPPIデータをもとに、PPIネットワークを表示する、 タンパク質機能予測に有用なソフトウェア開発を目指す。
 

会場: L2

司会:奥田剛 助手
関本 英彦 音情報処理学 鹿野 清宏
発表課題:非可聴つぶやき(NAM)マイクによる携帯電話コミュニケーション 発表概要:NAMマイクが開発されたことにより、新たな携帯電話コミュニケーションの実現が期待される。その一つである無音声携帯電話を実現するには、NAM音声から通常音声に変換する技術が必要である。従来の手法では混合正規分布に基づく声質変換の応用で、NAM音声から通常音声変換の可能性が示された。しかしながら、16kHzの音声での通常音声変換のみを試みており、実際の携帯電話の帯域では研究されていない。そこで本研究では、8kHzの音声を用い携帯電話の帯域での音声変換の可能性を示す。また、NAMマイクにより収録されたささやき声などの他の発話スタイルについても同様の検討を行う。今後の研究課題として、変換音声の音質や明瞭度に関する評価や、変換関数学習の効率化を目指す。
 
高木 惠世 音情報処理学 鹿野 清宏
発表題目:空間的サブトラクションアレーを用いた実環境音声認識のための雑音・残響を考慮した音響モデル 発表概要:実環境下でハンズフリー音声認識を行う際、雑音や残響の影響により、認識精度が劣化してしまうという問題点がある。この問題点を解決するための手法の一つとして、空間的サブトラクションアレーが提案されている。この手法では、雑音抑圧性能が高く、高精度の認識が可能であることが報告されている。しかし、実環境下でこの手法を使用する場合、残響の影響が大きく認識精度が劣化してしまう。これは環境特性かつユーザ音声の到来方位が様々であることから起こる。しかし、環境特性やユーザ音声の方位ごとに音響モデルを構築することは困難である。そこで、本研究では雑音・残響を考慮し、かつ汎用性が高く、高精度な認識を行うモデルの構築の提案を行う。本発表では従来法と提案法を示すと共に今後の研究課題について述べる。
 
高橋 祐 音情報処理学 鹿野 清宏
発表題目:独立成分分析を組み込んだ空間的サブトラクションアレーの検討 発表概要:実環境下において雑音に頑健なハンズフリー音声認識を実現する ための手法として,空間的サブトラクションアレーが提案されている.空間 的サブトラクションアレーは,ユーザー音声を強調する主パスと,雑音を推 定する参照パスから構成され,主パスから参照パスを減算することにより雑 音抑圧を行う.従来の空間サブトラクションアレーでは,ユーザー方位が既 知でなければならず,参照パスの推定に死角制御型ビームフォーマーを用い るために,残響や素子誤差の影響を受けるという欠点が存在する.本研究で は,参照パスの推定に独立成分分析を用いる空間的サブトラクションアレー 手法の検討を行う.提案法は,雑音をブラインドに推定できるだけでなく, 従来法では与える必要があった音源方位も推定することが可能である.更に, 独立成分分析による分離フィルタの最適化処理により,空間の残響や素子誤 差の影響を抑えることが可能である.本発表では提案法の有効性を検証する ために,予備実験を行い,有効性を示すとともに,今後の研究方針について も述べる.
 
田中 直哉 音情報処理学 鹿野 清宏
発表題目: 空間的サブトラクションアレーを用いたロボット音声認識システムにおける内部雑音抑圧処理の検討 発表概要: ロボットと音声対話を行う手法の一つとして、ハンズフリー音声認識が挙げられる。ハンズフリー音声認識とは、マイクロホンから離れた位置より発話したユーザ音声を音声認識する手法であり、接話型マイクロホンなどを用いた場合にユーザの手や頭などが拘束されるといった煩わしさがないという利点がある。しかし、接話型マイクロホンを用いる場合よりも雑音の影響によって認識精度が劣化してしまうという問題がある。この問題を解決するために、先行研究において空間的サブトラクションアレー(SSA)を用いたハンズフリー音声認識が提案されており、高精度な音声認識が可能であることが報告されている。しかし、SSAをロボットに応用した場合、ロボット自身が発する雑音(内部雑音)により認識精度が劣化するといった問題が発生する。そこで本発表では、内部雑音による認識精度の影響を示し、内部雑音抑圧処理を検討する。また、今後の研究方針についても述べる。
 
滝 進也 ソフトウェア工学 松本 健一
発表題目:論文紹介 An Empirical Approach to Characterizing Risky Software Projects Based on Logistic Regression Analysis(Empirical Software Engineering, Vol.10, No.4, pp.495-515, 2005.) 発表概要:ソフトウェアの機能性や複雑さは年々増加しており,開発にかかるコストも増大している.それに対して,開発者には低コストかつ高性能なソフトウェアの開発が求められており,プロジェクトは高いリスクにさらされている.そのような状況において,問題の発見が遅れると解決は非常に困難になり,コスト超過につながってしまう.また,コスト見積もりの精度は年々向上しているが,それでも見積もりコストを大きく超過するプロジェクト(混乱プロジェクト)が存在する.そのようなプロジェクトを事前に予測するため,本論文ではロジスティック回帰分析による予測モデルを提案する.さらに,コスト超過に大きな影響を与える要素について考察する.
 
田中 章弘 ソフトウェア工学 松本 健一
発表題目:論文紹介 A Semi-Automatic Approach to Composite Web Services Discovery(International Journal of Web Services Research, 1(4), 64-89, Oct-Dec 2004) 発表概要:複数のWebサービスを組み合わせた複合Webサービスを利用する場合,関連するサービスを検索し,WSFL(Web Service Flow Language)を記述してそれらサービスの組み合わせ方を定義しなければならない.これらの作業の実行には大きなコストを伴うため,複合Webサービス提供者に大きな負担を強いる.本論分では複合Webサービスを作成する際の関連するサービスの検索とWSFLの記述を半自動的に行うための手法を紹介する.
 

会場: L3

司会:樫原茂 助手
高山 晴次 情報コミュニケーション 山本 平一
発表題目:地上波デジタル放送アンテナ内臓型受信機における広帯域アンテナを用いた複合ダイバーシチに関する研究 発表概要:地上波デジタルTV放送受像機はアンテナ設置や配線等の削除のため室内アンテナ、特に受像機内蔵型アンテナの需要が高まっている。地上波デジタル放送はマルチパス干渉に耐性を有するOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)を用いて伝送を行っているためアナログ放送において必要であったマルチパス干渉対策として鋭い指向性を有する指向性アンテナは必ずしも必要ではない。しかし、室内受信では地上高利得の減少や室内の壁等による伝搬損失増加により受信信号レベルの低下が問題となる。そこで、機器への内蔵が容易かつ設計帯域が広帯域であるアンテナを用い複合ダイバーシチと組み合わせた受信方法を提案する。
 
田口 直樹 情報コミュニケーション 山本 平一
発表題目:論文紹介 ``Janus: An Architecture for Flexible Access to Sensor Networks'' (First International ACM Workshop on Dynamic Interconnection of Networks (DIN'05)) 発表概要:本論文では、インターネットからセンサネットワークに対して、柔軟なアクセスを実現するためのアーキテクチャについての提案を行っている。従来のセンサネットワークでは人間が物理的に媒体にアクセスすることが難しく、またセンサ内に含まれる機能を管理するには独自のアプリケーションを利用することが多い。提案アーキテクチャでは、センサネットワークとアクセスネットワークの間にRPC(Remote Procedure Call)のような機能分散の概念を導入することによって、アクセスアプリケーションをセンサネットワークから切り離し、既存アプリケーションからのセンサネットワーク操作を容易にする。この仕組みは、従来の研究・アプリケーションとの親和性を保つことができ、また将来の新しい機構との組み合わせに対応できる点で柔軟性が高い。本論文では提案アーキテクチャのプロトタイプを実装し、今後の課題について言及している。
 
田村 和哉 情報コミュニケーション 山本 平一
発表題目:[論文紹介] A Secure P2P Architecture for Location Management(MEM"05) 発表概要: ネットワーキングとコンピューティングは私たちの生活に統合されユビキタスに発展されようとしている。P2Pに関する分散、協力のアーキテクチャはコンピューティングが広がるためのもっとも有効な方法を提供してくれる。しかし、考慮しなければならないたくさんのセキュリティとモビリティの問題がある。この論文では、モバイル環境下において位置管理をするためのセキュアなアーキテクチャを提案する。
 
辻 良介 知能情報処理学 木戸出 正繼
発表題目:高解像度3次元ビデオのための3次元姿勢推定 発表概要:多視点映像から生成される3次元ビデオの高解像度化のため,対象を複数パーツから構成される関節物体とみなして,各パーツをズームアップして撮影する方法がある.この方法により,効果的に3次元ビデオを生成するためには,対象の各パーツをどのように撮影するかといったカメラワークが重要となる.このカメラワークの評価に必要となる,撮影された各パーツの認識およびパーツ間の連結関係を明らかにするために対象の3次元姿勢を推定する必要がある.そこで本研究では,対象の3次元データから,対象の全身の3次元姿勢推定を目的とする.
 
辻村 壮史 像情報処理学 千原 國宏
発表題目:論文紹介 Automatic navigation path generation based on two-phase adaptive region-growing algorithm for virtual angioscopy (Medical Engineering & Physics 2005 ) 発表概要:近年、医療の現場では、CTやMRIの発展に伴って診断に用いるデータ量が増大しているため、医師の負担も増大している。診断を支援する技術として、CTなどのデータから人体(またはその器官)を3次元画像化し、内視鏡のように提示する仮想化内視鏡システムがある。この分野において、「どのように見せるか」は非常に重要な問題である。それに関連し、仮想化血管内視鏡のための、適応型領域拡張アルゴリズムを用いた自動フライスルーパス生成の研究論文を紹介する。
 
洞井 晋一 インターネット・アーキテクチャ 砂原 秀樹
発表題目:論文紹介 OpenDHT:A Public DHT Service and Its Uses(SIGCOMM 2005) 発表概要:近年、P2P技術において分散ハッシュテーブル(DHT)の技術が注目を集めている。しかし、大規模な分散システムは展開することが困難であり、DHTも例外ではない。DHTベースのアプリケーションの敷居を下げるために、OpenDHTサービスが展開されている。多くのクライアントとアプリケーションにおいて広く共有されるDHTを設計することには2つの困難がある。一つは公平な資源の割り当てを行うことであり、もう一つは広範囲のアプリケーションの要求を満たすために、インタフェースを単純化させることにある。OpenDHTではそれらの解決を行い、実際に運用した中で多くのアプリケーションサービスが展開されたことと、今後に残された課題について議論を行う。