ゼミナール発表

日時: 11月11日(金)2限 (11:00-12:30)


会場: L1

司会:森島直人 助手
小林 大善 言語設計学 渡邉 勝正
発表題目:論文紹介: Analysis of Power-Clocked CMOS with Application to the Design of Energy-Recovery Circuits (ASP-DAC2000) 発表概要:集積回路の電力消費量は動作周波数に比例して増加するため、集積回路の動作周波数の向上に伴う消費電力の増加が問題となっている。しかし、動作周波数を抑えることはプロセッサの性能に直結するため難しい。そこで本発表では、電源として"power clock"を導入することで消費電力を抑えるゲートの構造について紹介する。
 
小町 守 自然言語処理学 松本 裕治
発表題目:動詞の共起パターンを用いた動作性名詞の述語項構造解析 発表概要:人間のことばを理解するには、文がどのような構造からなっているのか知ることが不可欠である。そのためには文から「誰が、なにを、どうする」などといった関係を見つけ出す必要がある。これまでの研究では、述語として文の中心要素になる動詞についての構造解析がなされてきたが、動詞と同じく「誰がなにをどうする」といった事態関係を表現する動作性の名詞についての解析はなされてこなかった。そこで、本研究では動作性名詞も動詞と同じ枠組みで解析を行ない、文が表している事態を全て把握することを目指す。現在はサ変名詞に限定して動作性名詞を解析しており、動詞の共起パターンを用いて、動作性名詞が動詞と同様に解析ができるかどうか調べる実験を行なった。本発表ではこれらを踏まえて動作性名詞の述語項構造解析と動詞の述語項構造解析との難しさの違いを示し、今後の研究の方向と解決すべき問題について述べる。
 
近藤 光正 自然言語処理学 松本 裕治
発表題目:音韻特性を考慮した用語抽出手法 発表概要:用語抽出とは特定の分野のコーパスから,特定の分類に属する用語を抽出することである.現在の情報抽出の手法では,評価や意見などの情報を抽出する際に,用語辞書の構築が必要不可欠となっている.また,情報抽出や質問応答システムの基礎技術のみならず,形態素解析や構文解析などにも影響を及ぼすために,重要な問題である.現在,Support Vector Machinesを用いた用語抽出手法には,大きく分けて形態素単位による解析手法と文字単位による解析手法がある.本発表では両者の解析手法を比較し,これらの手法の特徴を述べる.そして,両手法の長所を残しつつ,表記ゆれにも対応できる音韻特性を考慮した用語抽出手法について提案する.
 
小村 仁美 像情報処理学 千原 國宏
発表題目:論文紹介: Real-Time Color Gamut Mapping Architecture and Implementation for Color-Blind People (Donjil Han, Asia-Pacific Conference on Computer Human Interaction 2004) 発表概要:近年、特定の色の識別が困難な色盲者に対して、色による情報の認識を支援するツールが 多く考案されている。しかし、これらのツールはディスプレイ上のみでの利用に限られた物が多く、 実環境で利用可能な支援ツールはまだ少ない。 そこで本発表では、支援方法の一つとして色盲者が混同する色を識別可能な色に変換することに着目し、 実環境での実装が可能なリアルタイム色域マッピングの手法について紹介する。
 
佐賀野 正行 像情報処理学 千原 國宏
ネッノスツ�ワ。ァ論文紹介 Adaptive Line Tracking with Multiple Hypotheses for Augmented Reality(ISMAR 2005) ネッノスウオヘラ。ァAR(Augmented Reality)では、四角や丸といった幾何学的な図形をマーカとして、現実空間にCGオブジェクトを合成する手法が一般的である。しかし、カメラ解像度やリアルタイム処理という問題からマーカが大きくなり、合成の際マーカが不自然に目立ってしまう。MRインテリアデザインにおいても、マーカがデザインを邪魔するという問題がある。そこで、現実物体をマーカとして用いることを可能にする、画像エッジ特徴の適応学習を使った、リアルタイムモデルベーストラッキング手法を紹介する。
 
白澤 卓 像情報処理学 千原 國宏
発表題目:論文紹介 A Global Geometric Framework for Nonlinear Dimensionality Reduction(SCIENCE 2000) 発表概要:パターン認識、データマイニングにおいて、多次元のデータから元の本質的な特徴を押さえた低次元のデータを抽出する手法を次元縮退という。従来はPCA(主成分分析)、MDS(多次元尺度構成法)が用いられていたが、元のデータ間の等長性を維持できない問題があった。Isomapは等長性を維持するようMDSを拡張した非線形次元縮退手法である。近年、文字や顔認識、人の動作解析等にIsomapを適用した研究がされている。今回は論文「A Global Geometric Framework for Nonlinear Dimensionality Reduction」とともにその応用例を紹介する。
 

会場: L2

司会:北野健 助手
近藤 正啓 システム制御・管理 西谷 紘一
発表題目:入力制約つきシステムに対する非線形Hインフィニティ制御を 用いた外乱減衰制御 発表概要:実際にシステムを制御する際には, アクチュエータの性能限界のように 入力制約が存在する. 一方で, システムには様々な外乱が存在する. 本研究では, 入力制約を満たしながらシステムに入る外乱の影響を抑制する制御則の 設計を行う. 本発表では, 従来研究として入力制約つきの非線形システムに対して提案された 普遍制御則と, 外乱減衰制御に用いられる非線形Hインフィニティ制御について 紹介し, この両者を同時に達成するための指針を示す.
 
種治 芳尚 システム制御・管理 西谷 紘一
発表題目:視線移動分析によるプラントオペレータの異常診断過程のモデル化 発表概要:一般的な発電プラントや化学プラントで用いられている,CRT画面による分散制御システムでは集中監視や自動制御,アラームシステムなど高度な制御によりオペレータ支援が可能となり,オペレータの負担を大幅に減らすことができる.その一方で,プラント異常診断時には,アラーム洪水やアラームの発生タイミングによりオペレータの混乱や誤診断を招く可能性を抱えている.本発表では,プラントオペレータの視線分析とオペレータモデルによるCRT画面のGUI評価に関する研究を紹介し,視線移動分析によるアラームシステムの評価手法を提案する.
 
斉藤 理 比較ゲノム学 金谷 重彦
発表題目:膜タンパク質の低分解能電子密度マップからの膜貫通へリックス同定方法に関する研究 発表概要:生体膜の特徴を決めている膜タンパク質は、一般的に結晶化が困難であるがために、立体構造の決定があまり進んでいない現状がある。しかし、近年の電子顕微鏡技術の発達とともに、複数の画像から計算機上で3次元像の再構成をして計算機上で立体構造予測するアプローチ(単粒子解析)がなされるようになり、膜タンパク質の構造情報を得るために大きな役割を担うようになった。本研究では、αヘリックスで構成されていることが多い膜貫通タンパクに焦点を当て、低分解能の電子密度分布マップにおいて、αヘリックスを同定する手法について研究し、実際に電子顕微鏡写真から単粒子解析により得られた膜タンパク質の3次元像から膜貫通へリックスを同定することを試みる。発表では、以上の研究方法と、今後の方向性について触れる。
 
直原 佑哉 ロボティクス 小笠原 司
発表題目:光学式初期滑り知覚センサを用いた手内操作の実現 発表概要:現在, 様々なヒューマノイドロボットの開発が進んでおり, それらのロボットの家庭への進出が期待されている. それに伴って, 家庭内での作業として人間と同様または, それ以上の高度な物体操作が要求されている. 物体操作の高技能化のために, 滑りなどの接触状態のリアルタイムセンシング手法の確立が求められている. そこで, 本研究では, 光学式初期滑り知覚センサを改良し, 多指ハンド全体に取り付け, 物体との接触および滑りの状態の検出を行い, 任意の把握において任意の接触位置の滑りが制御できるシステムの構築を目指す.
 
杉江 京 ロボティクス 小笠原 司
発表題目:コミュニケーション可能な自律ロボットによる福祉貢献 発表概要:今後日本が直面する少子高齢化社会において,介護労働力の不足が社会問題となると考えられる.その解決策の一つとして期待される,ロボットによる介護・福祉についての研究の現状としては,介護者の負担を軽減する機器としてのロボットと,被介護者のメンタルケアを目的としたロボットの二つが挙げられる.その一方で,人とのコミュニケーションが可能で,仕事をすることも可能なパートナーロボットによる人間の生活の支援は,今後の社会において大変有用であると考えられる.以上のことから,コミュニケーション可能な自律ロボットによる福祉貢献を目指す.
 
志水 芳直 ロボティクス 小笠原 司
発表題目:ヒューマノイドロボットによるドアの引き開けの研究 発表概要:近年、様々なロボットが開発され、ロボットと人の共存が期待 されるようになってきた。人とロボットが共存するためには、ロボットが人間 の環境に適応する必要があり、ヒューマノイドロボットはその点において他のタイプのロボッ トよりも優れている。現在、ヒューマノイドロボットの研究は盛んに行われて おり、歩行や階段を登るといったタスクはできるようになってきた。今後、人 間の生活環境に適応しつつロボットの移動範囲を広げるためには、ドアを開け ることにより隣の部屋へ移動できる必要がある。本発表では、ドアを開けるた めに必要な要素について説明したのち、関連研究を紹介し、研究の方向性につ いて述べる。
 

会場: L3

司会:小林和夫 助手
柴田 傑 知能情報処理学 木戸出 正繼
発表題目: 人のプリミティブな動作の解析と抽象化 発表概要: 今日、人の行動をセンシングする技術が発展してきている。 それに伴い、センシングされた動作の解析が必要となってきている。 そこで、人のプリミティブな動作の解析及び抽象概念へのマッピングを行う。 本発表では、研究背景と関連研究について述べる。また、今後の課題 について明らかにする。
 
鈴木 健一郎 知能情報処理学 木戸出 正繼
発表題目:車載カメラを用いた交差点付近の歩行者認識 発表概要:自動車の運転事故による交通事故死亡者の数は世界で年間50万人といわれている。これらによる損失は非常に深刻な問題となっている。そこで、交通事故の半数以上が起こっている交差点付近で、死亡事故の約3割に相当する歩行者を車載カメラで認識し、ドライバの視覚補助することは有益である。本発表では車載カメラを用いた歩行者の認識に関する背景、関連論文、今後の課題について述べる。
 
澁谷 大輔 論理生命学 石井 信
発表題目:MEGによる運動のリアルタイムデコーディング 発表概要:近年,ALS等の麻痺患者向けのコミュニケーションツールとして,筋肉活動を必要とせずに脳活動の情報のみを用いてコンピュータや他のデバイスを操作することを可能とするbrain-machine interface(BMI)の研究が盛んである.しかし,従来研究では電極を脳に直接埋め込む侵襲的な方法や,非侵襲であっても患者自身が脳活動をコントロールするために長期間のトレーニングが必要なものが多く,使用者にかかる負担が大きい.そのような理由から非侵襲であり,本来の目的行動に則した自然な脳活動を用いる方法が望まれている.本研究では非侵襲計測であり,また時間分解能が高いMEGを用いてリアルタイムの脳情報復号化を目指す.今回の発表では従来研究の紹介をするとともに現在行っている実験の概説を行い,今後の課題を述べる.
 
白石 勇樹 情報コミュニケーション 山本 平一
発表題目:地上波デジタルTV車載受信機の高速フェージング特性評価環境の開発 発表概要:地上波デジタルテレビ放送の移動体受信では、マルチパスフェージ ングが大きく影響する。特に、高速で移動する自動車における車載受信機につ いてはその影響が顕著に現れる。現在、これら移動体における受信特性を評価 するためのモデルとして、受信アンテナに全方向からほぼ等電力に受信波が到 来すると仮定したJakes Modelが用いられている。しかし、車載受信機が高速道 路を走行するような状況では、放送局送信アンテナが見通しにあり、かつ周辺 の地形地物からの反射波も多く存在する状況となっており、Jakes Modelが現実 の伝搬路状況とは一致しない。また、SFN(Single Frequency Network)では、複 数の送信局から同一の信号が送信されることとなり、Jakes Modelとの差が益々 拡大する。そこで、車載受信機向けの伝搬路モデルを作成し、より信頼性の高 い評価環境を構築する。
 
新川 崇 ソフトウェア基礎学 伊藤 実
発表題目:メッセージフェリーを利用した車車間通信による情報共有システムの性能改善 発表概要:我々の研究グループでは,車車間通信を用いた渋滞情報の共有システムを提案 している.このシステムでは,車車間通信を用いて自律的な渋滞情報の収集と提供を行っ ており,渋滞情報は各車両が計測した各リンクの通過時間を集計することで生成している. しかし,車両密度が低い,もしくは通信装置の普及率が低い場合には,情報の伝搬・渋滞 情報の生成が困難になる問題が挙げられる.そこで,本研究では既存研究であるメッセー ジフェリーを導入し,このような問題の解決を試みる.提案方式では,定期巡回車両であ るバスを用いて情報の管理を行う.バスは近くを通る一般車両との車車間通信によって情 報を収集する.車両密度が低い地域では,バス自身が渋滞情報の計測・生成を行い,情報 を伝搬する役割を担う.また,通信装置の普及率が低い場合には,一般車両だけでは情報 の維持が困難になるので,バスが情報を維持する.バスを利用することで,従来研究の情 報共有システムの性能改善を図る.
 
進藤 泉 音情報処理学 鹿野 清宏
発表題目:選択学習を用いた音響モデル作成法と性能評価 発表概要:音声認識に必要な音響モデルを作成する為には,タスクにあった音声データを出来るだけ多く収録しなければならない.さらに収録した音声データに対しての書き起こし文を人手で作成しなければならないため,実際に音響モデル作成に至るまでに膨大な時間とコストがかかる. 本発表では,音声データが少量しかないタスクに対する音響モデルを効率よく作成するために,既存の別タスク用音響モデルと音声データプールを用いて音声データを補いモデルを構築する選択学習の手法を述べる.また,既存の学習法との認識性能を比較検討した上で,今後の課題を述べる.