根本 航 D2 | 小笠原 直毅 | 五斗 進 | 箱嶋 敏雄 | |||
発表題目:Gタンパク質共役型受容体がオリゴマー化する際のインターフェース予測
発表概要:Gタンパク質共役型受容体(GPCRs)はオリゴマーとしても機能することが知られている。ホモ・ヘテロオリゴマーとして機能する場合、リガンドの選択性・親和性、下流のシグナル伝達経路がモノマーの場合とは異なるが、オリゴマー化の際のインターフェースを予測できれば、シグナル伝達経路を制御する低分子設計の指針として利用可能である。 これまで、幾つかのグループがEvolutionary Trace法など既存の手法を用いてGPCRsのオリゴマー化に関与する領域の予測に取り組んできた。しかし、サイトレベルでの予測であること、サブファミリー内でのインターフェースの保存を前提にしていることなどの問題点により、それらの結果は生化学実験などにより提案された領域と必ずしも一致していない。そこで、我々はサブタイプごとに、保存サイトが統計的に有意に集積する領域を立体構造上で探索することで、インターフェースの位置を予測する手法を開発した。 ウシロドプシンを代表構造として利用可能なClass A GPCRs ファミリー内の幾つかのサブファミリーについて予測を行った。そのうちロドプシン、D2ドーパミンレセプター、b2アドレナリンレセプターなど、インターフェース既知のサブタイプについて、予測された領域は実験的に提案されている領域と一致した。従って、我々が開発した手法は、Class A GPCRs がオリゴマー化する際のインターフェース検出に有用だと考えられる。インターフェース未知のサブタイプでは、同じサブファミリー内であっても異なる位置にインターフェースが予測されるものもあり、Class A GPCRsは進化的にインターフェースを変化させていると考えられる。また、遺伝性疾患である間代性筋痙攣 (Myoclonus dystonia) との関連が示唆される予測結果も得ているため、あわせて報告する。 | ||||||
村松 孝彦 D2 | 石井 信 | 諏訪 牧子 | 箱嶋 敏雄 | 金谷 重彦 | 作村 勇一 | |
発表題目:膜タンパク質のための配列アラインメント法の開発
発表概要: 配列アラインメントはホモロジー検索、系統樹の推定、立体構造予測など様々な分野で利用されている配列解析や構造とアミノ酸配列を利用した機能解析において鍵となる技術である。これまで、多くの配列アラインメントツールが作成されてきたが、それらは汎用的に使うことを目的としており、膜タンパク質のような特異的な特徴を持つタンパク質ではうまく適用できないケースがある。本研究では、膜タンパク質をターゲットとして、ホモロジーモデリング法のような配列と構造の対応付ける用途に対して特に有効なアラインメントツールを開発した。 ホモロジーモデリングは、類似の配列をもつ立体構造既知のタンパク質を鋳型として、構造がわかっていないタンパク質(ターゲット)の構造を予測する方法である。このホモロジーモデリングで重要なステップの1つがターゲット配列と鋳型構造の配列とのアラインメントを作成である。配列の類似度が低い場合ではアラインメントミスが生じ、これが立体構造予測において致命的な問題になることがある。これまで膜タンパク質は実験的な難しさからあまり立体構造が解かれていなかったが、近年の実験手法の発展により構造の数が増加していく傾向である。今後、決定された立体構造を鋳型として、様々な膜タンパク質の構造予測が頻繁に行われるようになっているため、精度が高い配列アラインメントの開発の重要性が高まっている。 膜タンパク質は疎水性アミノ酸が頻出する膜貫通領域、正電荷を持つアミノ酸が頻出する細胞内ループ、それ以外のループと主に3つの領域によって構成されている。これらの特徴を基に様々な膜貫通部位の予測方法が開発されてきて、比較的高い精度で予測可能である。これらの膜貫通領域予測法と配列アラインメント法を組み合わせ、それぞれの構造領域に対して適切な統計量でアラインメントを行うことで、精度を向上させる。 確率モデルの1つであるPair Hidden Markov Models (PHMMs) を用いて、膜貫通予測を行いながら、同時に配列アラインメントを作成する方法を開発した。この手法によって、構造を考慮したアラインメントが可能である ベンチマークを行った結果として、既存の手法に比べ、アラインメントの精度を向上させられた。その結果について発表する。 | ||||||
及川 雅隆 M2 | 石井 信 | 郷 信広 | 箱嶋 敏雄 | 川端 猛 | GautamBasu | |
発表者: 及川 雅隆
発表題目:Horseradish peroxidaseにおける基質の結合様式 −熱力学積分法による解析− ペルオキシターゼは過酸化水素を用いて物質の酸化反応を触媒する酵素で、生体内酸化還 元反応の過程で生じる過酸化水素の除去という生理的役割を担っている。基質の結合様式 は酵素の反応メカニズムの解明において重要であり、分光解析や分子モデリン グ、X線結晶解析が行われてきた。しかし、これまでの研究では結合の親和度が異常に高い、非生理的な基質の結合様式が調べられてきた。本研究では、生理的な基質と同程度の、親和度の低い基質の結合様式の解明を目的に 、分子動力学シミュレーションによる分子モデリングを行う。また、モデルの妥当性の検 証のため、熱力学積分法を用いた自由エネルギー計算もあわせて行う。本中間発表では、 現在の進捗を報告する。 | ||||||
西村 勇樹 M2 | 石井 信 | 浅井 潔 | 金谷 重彦 | 作村 勇一 | |
発表題目:PFAMモチーフ配列のfalse positive減少を目的とした相関情報の付加
発表概要:PFAMとは特定のモチーフ配列を含む配列をアライメントしてファミリーというグループに分類して保存したデータベースである。モチーフは生物配列の中で進化的に保存されてきた配列であり、機能や構造などの情報を含む。そのためPFAMは新種の生物配列が発見された時に、その特徴をつかむために利用されている。モチーフの一致する配列は同じ機能、構造を持つ可能性が高い事が知られているからである。 PFAMの機構としてHMMerというソフトウェアを用いる。HMMerはプロファイルHMMを利用しており、配列の検索、アライメント、モデルの構築などを行っている。 本研究の目的は、PFAMにおける配列検索の精度向上であり、精度向上の手段としてfalse positiveを減少させる方法を考える必要がある。HMMerが特定のモチーフ を含む配列をPDB等のタンパク質の網羅的なデータベースから検索する時、そのモチーフを含む標本配列群(seed)から作成したモデルに一致する配列を求める仕組みになっている。モデルに一致するかどうかは、HMMの確率計算により求められたスコアが設定された閾値を超える配列を抜き出す仕組みになっており、閾値を超える(positive)配列をファミリーの配列群(full)とし、データベースに保存している。 しかし、現在のプロファイルに依存した方法ではモチーフ配列の判別に限界があり、ファミリー中にfalse positiveを含む事が確認されている。false positiveの減少にはモチーフ に関わる情報を加える目的で、配列の特定のペアが持つ相関情報を付加する手法を考えた。ファミリーのアライメント配列の全てのペア残基の相互情報量を求める事で特異的なペアを抽出し、その部位に対して従来のスコアと同時確率分布から求めたスコアを置換する事によって、false positiveの減少が達成できるかどうか検証した。今回はその結果につ いて発表する。 | |||||
渡辺 道和 M2 | 砂原 秀樹 | 山口 英(代理:門林雄基) | 藤川 和利 | ||
発表題目:端末主導によるストリーム配信の動的な設定最適化手法に関する研
究
発表概要:近年のインターネット技術の発達によりストリーミング配信が一般 かしてきた。このことにより安定したストリーミング配信への要求がますます高 まって来ている。そこで、現在のストリーミング配信では受信バッファの活用やマルチビッ トレートによる配信などの技術を用いて端末ごとの受信状況にあわせた配信が行 われている。しかし、このような技術を用いてもネットワークの変化に対応でき ず再生が途切れてしまう。そこで本研究では端末の受信バッファを監視すること で受信バッファの枯渇による再生停止を予測し、再生レートを適切かつ最適なタ イミングで切り替えるための手法を提案し、ストリームの継続的な再生を実現す ることを目標にする。今回の発表ではこの手法の概要を発表する。 | |||||
William Rieken D2 | 千原 國宏 | 山口 英(代理:門林雄基) | 小笠原 司 | 眞鍋佳嗣 | |
発表題目:Elliptical Circular Wing Vehicle UAV and Vision System
発表概要:In this presentation, I will introduce the results obtained so far of an investigation into the development of a UAV vehicle and its vision sensors. A system of cameras composed of a standard CCD zoom lens, and omni-directional and fish-eye cameras - each with varying CCD and optical resolutions and properties - arranged into a particular configuration has been developed. It is anticipated that this will be more useful and efficient than a single camera or set of cameras mounted upon a gimballed mechanism aboard a standard aircraft. It was discovered, however, that this configuration required a new kind of aircraft, which was subsequently invented and developed to support our camera arrangement. In this discussion, I will explore the past and current results of this work, and its future direction. | |||||