ゼミナール発表

日時: 10月5日(火)(13:30-15:00)


会場: L1

司会:中村豊 助手
渡辺 雄介 M2 山本 平一 砂原 秀樹 岡田 実
発表題目:番組連動WEBサービスに適した配信ネットワークの構築
発表概要: 本研究では、インターネット上で放送連動型情報サービスを実現するために、ブラウザ上でのコンテンツ同期システムの構築を行う。番組連動サービスとして、番組の進行に合わせてwebコンテンツが変化するものを想定し、多数のクライアントに対してコンテンツの更新を遅延なく伝えるために、イベントサーバとデータサーバからなる配信ネットワークを実現する。各クライアントは、複数のデータサーバから将来表示するコンテンツを番組とは非同期的にバックグラウンドで受信する。その際、サーバを過負荷にしないために、クライアントはダウンロードのタイミングを調整する。また、ブラウザ上への情報の提示は、イベントサーバによるごく小さなタイミング命令で表示コンテンツを切り替える。本方式により、放送のような非常に多数のエンドユーザが同期する環境において、インターネットを用いた情報システムが実現される。
 
石川 智也 M2 横矢 直和 砂原 秀樹 山澤 一誠
発表題目:全方位動画像を用いたテレプレゼンスシステムに関する研究
発表概要:近年、遠隔地の情景を提示し、あたかも遠隔地に居るかのような感覚を与える技術であるテレプレゼンスの研究が盛んに行われている。画像を提示するテレプレゼンスは視点が固定か否かにより固定視点テレプレゼンスと自由視点テレプレゼンスの2種類に分けられる。従来、固定視点テレプレゼンスとして全方位画像を用いてシステム利用者が自由に視線方向を変更できるシステムが提案されている。しかし、没入型ディスプレイを用いたスタンドアロン型であり、多地点で複数人が同時にシステムを利用するのは困難であった。一方、従来の自由視点テレプレゼンスは、撮影環境が静的であったり、シーンに特化した手法を用いていたため広域動環境の自由視点画像生成は困難であった。そこで、従来の固定視点・自由視点テレプレゼンスの問題点を解決するシステムとして「Webブラウザと全方位動画像を用いたテレプレゼンスシステム」と「View MorphingとVisual Hullを用いた自由視点画像生成手法」を提案する。前者は、ネットワーク環境下で全方位画像を簡単に鑑賞可能とするビューアを作成し、さらに全方位画像をマルチキャスト配信することにより複数人が同時に鑑賞することを可能にする。後者は、環境中に全方位カメラを複数台配置し、その環境中の静的領域についてはView Morphing、動的環境についてはVisual Hullを用いて自由視点画像生成を行うことによりシーンに特化せず広域動環境に適用可能な自由視点テレプレゼンスを可能にする。本発表では、提案システムと手法の現在までの進捗を述べる。
 
飯村 卓司 M2 山口 英 砂原 秀樹 藤川 和利 門林 雄基
発表題目:オーバーレイネットワークを用いた大規模マルチプレイヤーオンラインゲームインフラストラクチャの構築
発表概要:大規模マルチプレイヤーオンラインゲーム(MMOG)ではクライアント・サーバ形式が一般的である。 しかし、MMOGは接続数が多くなるためサーバにかかる負荷は大きなものとなり、 ネットワーク帯域や処理能力など多くのサーバ資源を必要とする。 本研究は、このサーバの役割を分割し参加ホストそれぞれに分配しサーバをなくすことで、 サーバの維持管理費用等の必要性をなくすことが目的とする。 第一歩として、サーバの分割にはデータを分割の単位とし、 データによって分割された空間ごとに小規模のクライアント・サーバを構築し、 レーテンシ面でのゲームの要求に応えるモデル(ZFM: Zone Federation Model)を提案し、実装した。 本発表ではZFMを実運用に適用する場合に問題となりうる点を上げ、その解決策を提案し、 今後の研究計画を述べる。
 
塩出 一平 M2 山口 英 砂原 秀樹 藤川 和利 門林 雄基
発表題目:ワームトラフィック削減のための トラフィック分析技術の提案
発表概要:近年、既存システムの脆弱性を狙うワームの増加し、発生間隔の短縮によって、 このようなワームトラフィックによる帯域浪費が問題となっている。 特に衛星バックボーンネットワークを用いるAI3ネットワークでは、ワームトラ フィックの増加は高コストの衛星リンクの浪費や、対地サイトの通信途絶を招き、 深刻な問題となっている。 そのために、素早いワームの検知、遮断が求められている。 現在主流の、ワームトラフィックの検知技術は、パターンマッチングによる手法 が主で、マッチングルールが定まってからの事後対策となっている。 私は、新種ワームに対する素早い対応のために、ルールベースでない、トラフィッ ク解析を利用したワームトラフィックの検知が必要だと考える。 私は修士課程の研究として、AI3ネットワークにおけるトラフィック浪費を抑制 するための、不正トラフィックの自動検知アルゴリズムの研究を行っている。 現在までに、検知手法の確立のために、AI3バックボーンにて通過トラフィック の観測、解析を行い、ワームトラフィックの一部や、ホスト探索とおぼしき不正 トラフィックの発見に成功した。 今回は、この結果について報告し、今後のワームトラフィックの動的検知アルゴリズム について発表する.
 

会場: L2

司会:前田 助手
林 卓治 M2 石井 信 川人 光男 湊 小太郎 銅谷 賢治 作村 勇一
発表題目:複数の割引率をもつ並列強化学習方式
発表概要:強化学習には,将来の報酬が現在においてどれだけの価値があるかを決定するパラメータ(割引率)が存在する.このパラメータはエージェントの学習に重要な役割を果たすが,この値はこれまで実験者の経験によって与えられていた.更に定常な環境,無限の生存時間を仮定した場合は,割引率が大きい方が学習に良いされてきた.本研究では,割引率はタスクによっては必ずしも大きい方が有利ではないことを示す.次に重点サンプリング法と切り替え関数を使った,最適な割引率を適応的に獲得するアルゴリズムを提案する.
 
土居 智和 D2 石井 信 川人 光男 湊 小太郎 作村 勇一
発表題目: シナプス入力タイミングを検出するカルシウムシグナルのシミュレーション
発表概要: カルシウムシグナルはシナプス可塑性の引き金である。小脳プルキンエ細胞は平行線維と登上線維から興奮性の入力を受けている。平行線維入力のあとに登上線維入力があったときだけ細胞内カルシウム濃度が上昇し、シナプス強度の長期抑圧が誘導されることが知られている。私は、平行線維と登上線維からの入力順序をカルシウムシグナルが検出できる仕組みを調べるために、シグナル伝達経路を生化学反応に基づいて数式化した。シミュレーションで、線維入力順序依存のカルシウム応答を再現することができた。カルシウム上昇は閾値現象であり、平行線維入力によって生成されるIP3というシグナル分子の増加が閾値を下げることが分かった。平行線維からIP3が産生されるまでに時間遅れがあり、この時間遅れが入力順序を検出する仕組みの本質であった。
 
田中 沙織 D2 石井 信 川人 光男 湊 小太郎 銅谷 賢治
発表題目:Serotonergic modulation of striatal activities for reward prediction at different time scales
発表概要:To investigate in detail the mechanism of serotonergic effects on delay discounting in human brain, we developed a new fMRI experiment in which subjects make choices between large delayed and small immediate rewards, under dietary control of tryptophan, the precursory amino acid of serotonin. We computed reward prediction signals in the form of ``value functions'', with varying discounting factors and then performed regression analysis on fMRI data. We found graded maps within the putamen: ventral regions were correlated with reward prediction at shorter time scales, and dorsal regions were correlated with reward prediction at longer time scales. Moreover, we found that different part of map was activatedin depletion (only ventral part) and loading (only dorsal part). These results suggest the serotonergic regulation in delay discounting of reward.