ゼミナール発表

日時: 9月30日(木)(11:00-12:30)


会場: L1

司会:村田 助手
吉川 祐樹 M2 藤原秀雄 伊藤 実 井上美智子
発表題目:単一端子変化遅延テストに基づくデータパスのテスト容易化設計
発表概要:半導体技術が進歩し続ける中、VLSIのテストは非常に重要であり、特に高集積化、高速化に伴い、遅延故障などのタイミング故障をテストすることが不可欠になっている。 一般に、遅延故障のテスト生成をゲートレベルだけで考える場合、そのテスト系列を求めるには膨大な時間を要する。そこで、テスト生成時間を短縮するためにゲートレベルより上位のレジスタ転送レベルの情報を利用した、階層テスト生成に基づくテスト容易化設計法が提案されている。 しかし、従来法はテスト容易化設計に伴う面積オーバヘッドが大きいという問題が生じる。 本研究は、単一端子変化の2パタンテストを指向した階層テスト生成に基づくテスト容易化設計法を提案し、従来法と同等のテストの質でありながら面積オーバヘッドを削減できることを示した。
 
花川 賢治 D2 植村俊亮 関 浩之 伊藤実 宮崎純
発表題目:文書部品から文書を構築するための論理に基づく言語の提案
発表概要:文書を小さな文書部品に分解して保存し、ユーザから要求があったときに、 それに適合するように再構成する動的文書の手法は、文書情報処理を効率化するのに有効であると考える。 動的文書を自動構築するシステムにおいては、 ユーザが要求する文書の定義を小さな労力で簡潔に記述できることが重要である。 本発表では、そのためのPrologを拡張した論理型言語を提案する。 論理型言語を用いることで、文書に対する内容と構造に関する要求を同時に表現でき、 非常に簡潔な入力で複雑な文書を構築することができる。 さらに、自然な推論能力の利用、宣言的記述の再利用性の高さという論理型言語の長所を利用することにより、 高度で多様な文書構築の要求にも応えることが容易である。
 
中尾 伸章 M2 植村俊亮 松本健一 関 浩之 宮崎純
発表題目:アクセス確率に基いた部分圧縮によるXML データ処理の高速化に関する研究
発表概要:近年,XML をフォーマットとするデータが広く利用されている.XML 処理では,データ の構造やサイズによって処理能力が大きく左右される.しかし,一般に処理されるXML データ全体に対してアクセスされる部分(構造)には局所性があり,この局所性を利用 してデータを管理することで処理の高速化が可能であると考えられる.本研究では,局 所性を示す指標としてXML ノード毎のアクセス確率を用い,アクセス確率の低いデータ部分を部分圧縮 してデータサイズを縮小する方法を提案する.部分圧縮により,アクセス確率の高い部分 では処理を高速化でき,また圧縮された部分でも使用者からは圧縮を意識しない問合せ が可能となるよう配慮した.本発表では現在まで行った部分圧縮を用いた手法について 説明するとともに,今後の方針について述べる.
 

会場: L2

司会:佐藤智和 助手
天田 崇 M2 千原 國宏 横矢直和 眞鍋佳嗣
発表題目:水の実時間アニメーション生成
発表概要:流体の挙動をコンピュータグラフィクスによって写実的に表現するためには、物理法則に従うシミュレーションが有効であるが、計算コストが高く実時間描画は困難であった。そこで、本研究では水の実時間アニメーション生成手法の提案を行う。本発表では、近年進歩が著しいプログラム可能なグラフィクスハードウェアを用いた粒子ベースの流体のシミュレーション手法を提案する。
 
大塚 久尚 M2 千原 國宏 横矢直和 眞鍋佳嗣
発表題目:仮想試着のための衣服モデル生成手法
発表概要:人物画像に対して衣服画像を合成することにより仮想的な試着を実現する技術は, オンラインショッピングへの利用価値が期待されるが。しかしながら, 実際に販売したい衣服に対応した衣服モデルがなければ, 仮想試着システムを衣服流通業の現場で運用することはできない。にも関わらず, 衣服から衣服モデルを生成するための手法についてはこれまでほとんど研究が行なわれてこなかった。そこで本研究では, 衣服実画像を用いて簡便に衣服モデルを生成するための手法を提案する。
 
沢 小百合 M2 千原 國宏 横矢直和 眞鍋佳嗣
発表題目:立体生物アルバムのための多面鏡を用いた3次元イメージング手法
発表概要:立体生物アルバム構築のために、対象物の3Dデータを非侵襲・無拘束な状態で取得する手法を提案する。まず、対象生物の周囲に設置した多面鏡を用いて、生物の多視点画像を取得し、次に、視体積交差法を用いてボリュームデータを作成する。本発表ではシュミレーションによって提案手法の有効性を示す。
 
松尾 寿 M2 千原 國宏 横矢直和 眞鍋佳嗣
発表題目: 広範囲の歩行者密度とフロー情報提供
発表概要: 現在、EZナビウォークのように歩行者へ経路情報や周辺情報を提供する試みが行われている。これに加えて通路内の混雑情報も提供することで、歩行者はよりよい移動経路選択が行えるようになる。混雑情報を提供する場合、通路内の歩行者密度だけでなく、歩行者がどこをどの方向へどんな速度で移動しているのかというフローの情報も重要である。フローの提示により、通行人は多くてもユーザーの進行方向と同方向の移動速度が速いといった通り易さを伝えられるからである。そこで本研究では、通路上部に設置した複数台の魚眼カメラを用い、広範囲の通路の歩行者密度および歩行者フローの検出を試みるとともに、それによって得られた情報を無線ネットワークを使用してユーザーに提供することを目的とする。
 

会場: L3

司会:小林 助手
寺脇 慎一 D2 箱嶋 敏雄 小笠原 直毅 児嶋 長次郎
<

発表題目:細胞膜直下の足場複合体形成に関与する蛋白質群のX線構造研究

発表概要:細胞接着・細胞骨格の制御メカニズムの研究は、器官や組織を発達させた多細胞生物を理解する上で重要な意味をもつ。発表者は、細胞外マトリックスの主成分であるヒアルロン酸の受容体CD44の細胞質ドメインに形成されるタンパク質複合体についての構造学的研究を行ってきた。CD44の細胞質ドメインは、細胞膜とアクチンフィラメントのクロスリンカーとして知られるERM(Ezrin/Radixin/Moesin)タンパク質と結合することでアクチン細胞骨格と連結される。また、Tiam1(T-lymphoma invasion and metastasis)と呼ばれる低分子量Gタンパク質RhoファミリーのRacに特異的なグアニンヌクレオチド交換因子と結合することで、Racを介した細胞骨格の再編や細胞増殖を制御する細胞内シグナルを伝達する。今回は、Tiam1CD44結合ドメインの結晶化に向けた試料調製の試みと結晶学的解析およびCD44細胞質ドメインとの相互作用について、これまでの成果を発表する。

 
三輪 由紀子 M2 箱嶋 敏雄 小笠原 直毅 児嶋 長次郎
発表題目: Rho-kinase 触媒ドメインの構造と機能に関する研究
発表概要: タンパク質キナーゼは、生体内での情報伝達に不可欠な酵素であり、ドラッグデザインの標的分子とされることも多い。本研究でとりあげるRho-kinaseは、低分子量Gタンパク質RhoAの制御下にあり、血管作動性の情報伝達にも関わっている。その阻害剤は高血圧症の治療薬となる可能性がある。本研究の目的は、以下の二点である。ひとつは、Rho-kinaseの触媒ドメイン(CAT)とATPアナログ、阻害剤Y-27632との複合体構造を高分解能で決定し、薬剤開発の指標を得ることである。次に、CATの構造解析を通してRho-kinaseの制御機構解明の糸口を得ることである。実験では、CATの精製、結晶化条件の探索を行い、各複合体の結晶化条件を決定することができた。得られた結晶についてデータ収集を試みたが、現在のところ解析するのに十分な回折は得られていない。今後は、シーディング法や、別のアイソフォームに変えるなど、結晶性の改善に取り組みたい。
 
島田 桃衣 M2 箱嶋 敏雄 小笠原 直毅 児嶋 長次郎
<

発表題目:微小管結合タンパク質CLIP-170の構造生物学
発表概要:細胞骨格のひとつである微小管は細胞の形、細胞内輸送、細胞分裂など様々な機能に関与している。これまでに、伸長する微小管のプラス端に濃縮するタンパク質としてダイニン/ダイナクチン、CLIP-170 (cytoplasmic linker protein 170)、がん抑制遺伝子産物であるAPC (adenomatous polyposis coli) 、APCのC末端領域と結合するEB1 (end binding protein 1) などが同定された。その中でCLIP-170は微小管の退縮から伸長への転相に重要な役割を果たす。CAP-Gly (glysine-rich cytoskeleton associated protein) ドメインはCLIP-170やダイナクチンなどで見られる微小管結合ドメインであり、最近になって、EB1とも直接相互作用することが報告された。本研究では、CLIP-170の微小管プラス端への集積機構を解明するために、CLIP-170のCAP-GlyドメインとEB1の相互作用について着目した。精製した試料を用いたCLIP-170とEB1の結合実験を行うとともに、得られたEB1とCLIP-170の複合体の精製を行い、結晶化を試みている。

 

会場: S1,2

司会:佐藤淳 助手
森村 哲郎 M2 石井 信 川人 光男 杉本 謙二 銅谷 賢治 作村勇一
発表題目:強化学習と見まね学習をシームレスに統合した学習システム
発表概要:強化学習とは試行錯誤を通じて未知の環境にも適応できる枠組で、設計者が報酬関数を決めれば自律的に報酬関数を最大化する方策を獲得できる.しかし、一般に学習に時間がかかり、特に初期段階での効率が悪い.一方、人は他人の振る舞いを観察して効率よく学習していると考えられている.このように見まね学習は方策の探索範囲を制限できる.しかし、見まね対象が存在しない場合は使えない,見まね対象の性能に依存する等の問題がある.そこで、強化学習と見まね学習のシームレスに統合することで互いの足りない部分を補う学習システムを提案する.
 
杉本 徳和 D2 石井 信 川人 光男 杉本 謙二 銅谷 賢治
発表題目:他者の意図を推定するコミュニケーションモデルの構築
発表概要:見まね学習や他人との協調作業と言った認知的活動を行うためには,相手がどのような状況でどのような意図を持って行動しているかを推定する必要がある.しかし他者の行動の意図を推定する事は一般に不良設定問題となっており,簡単に解く事はできない.本発表ではいくつかの仮定を置くことによってそのような不良設定問題が解決されることを示し,見まね学習や協調作業と言った認知的活動を可能とするagentのデモンストレーションを行う.
 
松原 崇充 M2 杉本 謙二 川人 光男 石井 信 銅谷 賢治
発表題目:方策勾配法による2足歩行運動の獲得
発表概要:本発表では,Central Pattern Generator(CPG)に基づく2足歩行運動を, 方策勾配法によって,自律的かつ効率的に獲得する学習方法を 提案する.また,数値シミュレーション及び実2足歩行ロボットを用いた実験 によって,提案手法の有効性についての検証を行う.