ゼミナール発表

日時: 9月28日(火)(11:00-12:30)


会場: L1

司会:油谷 助手
衛藤 将史 D2 山口 英 砂原 秀樹 村井 純 門林 雄基
発表題目:ポリシ記述に基づくネットワーク機器設定の支援機構に関する研究
発表概要:ネットワークの構成が複雑化する一方で、ネットワーク機器の設定は管理者が独自に作成したスクリプトや手作業によって行われているのが現状である。そのため、設定パラメタの計算ミスや管理者の単純な設定ミスにより、ネットワーク障害が頻発している。本研究ではポリシと呼ばれる、ネットワーク機器の設定をより抽象化した表現に基づいた、自動的な機器設定の生成を目指す。対象となるネットワークは自律システム (AS: Autonomous System) の内と外のネットワークに分類される。 Border Gateway Protocol (BGP) を利用して運用される AS 間ネットワークにおいては Internet Routing Registry を利用した機器設定の自動化が期待されている。これを実現可能なものとするため、IRR サーバの信頼性を高めるためのシステムを提案する。また、Open Shotest Path First (OSPF) プロトコルによって構成される AS 内のネットワークにおいてはポリシ表現に基づき、管理者が意図する経路選択を実現する OSPF のコスト設定手法を提案する。また、その際に OSPF と BGP との連携を考慮し、お互いに及ぼす影響をより少なくするためのアルゴリズムを導入する。これらの技術により、AS の内外のネットワークにおける設定の自動生成が可能となり、ネットワーク全体を安定化させることができる。
 
櫨山 寛章 D2 山口 英 砂原 秀樹 村井 純 門林 雄基
発表題目:インターネットにおける広域パケット追跡網構築に関する研究
発表概要:
分散型サービス妨害攻撃(DDoS攻撃)への最も効果的な対策は検知した攻撃パケットの通過経路(攻撃経路)および攻撃パケットを送信しているノード(攻撃ノード)の特定を行い,攻撃ノード自体をネットワークから隔離することである. 近年,DDoS攻撃の攻撃経路および攻撃ノードを短時間で自動的に特定するトレースバック技術が多数提案されており,実装および検証の結果,実インターネット上で利用可能な段階になりつつある. しかしながら,実インターネット上でトレースバック技術を用いたパケット追跡網を構築し運用を行うには,インターネットを構成する各管理ネットワークへの段階的なトレースバック技術の導入,最新トレースバック技術への入れ替え,各ネットワーク管理組織の利害関係に合わせた情報の開示などに柔軟に対応できるアーキテクチャが必要である.
本研究ではインターネットにおける広域パケット追跡網の構築を目指し,WIDE Projectと共同研究を行っている広域トレースバックシステムのアーキテクチャを提案する. 提案アーキテクチャは,DDoS攻撃の検知・追跡・対策という包括的なDDoS攻撃対策技術を構築するために,異なるトレースバック技術やその他のDDoS対策技術をモジュールとして連動させるアーキテクチャである.
 
中村 真也 M2 山口 英 砂原 秀樹 藤川 和利 門林 雄基
発表題目:XACMLを用いたアクセスコントロールポリシの階層化に関する研究
発表概要:近年、コンピュータウイルス、情報漏洩に代表される企業等の情報システムに対する脅威は多様化、高度化の一途をたどっている。そのため企業等はセキュリティポリシを作成することによりその資産を確保しようとしている。しかしながら、企業等におけるセキュリティポリシとは単一の物ではなく、各部署にも存在し、それらが階層化されることにより、詳細になり実際の機器の設定となる。本研究では、OASISで提案されているXACML(eXtensible Access Control Markup Language)を用いてポリシを各階層で強制するための手法について述べる。
 

会場: L2

司会:高田 助手
内田 眞司 D2 松本 健一 関浩之   飯田元
発表題目:コードクローンによるソフトウェア解析
発表概要:ソフトウェアに含まれるコードクローンは,保守を困難にする原因となると一般に言われている. コードクローンとは、ソフトウェアのソースコード中に含まれる全く同じかあるいは類似したコード断片のペアである. しかし,どのような種類のコードクローンが保守を困難にするのかは従来明らかでない. また,コードクローンを全く含まない大規模ソフトウェアを開発することも現実には不可能である. そこで,本研究では,C言語で記述された多数のオープンソースソフトウェアのコードクローンを分析することで, 許容されるコードクローンの種類,及び,量を明らかにすることを目的とする. 125個のソフトウェアを分析した結果,平均クローン含有率が11.3%,モジュール内クローン含有率が9.1%, モジュール間クローン含有率が3.0%であった.これは許容されるクローンの量の一つの目安になると考える. また,コードクローンの主要な発生原因には(1)コピー&ペーストによるコード,(2)プラットフォーム依存のコード, (3)自動生成コード,(4)GUIに関連するコードがあり,(2)(3)は必ずしも保守性を低下させないことが分かった.
 
柿元 健 M2 松本 健一 関浩之   飯田元
発表題目:協調フィルタリングに基づく工数見積りのロバスト性評価
発表概要:ソフトウェア開発プロジェクトにおいて,工数の見積もりは資源の配置,及び開発コストや納期を決定する上で重要であり,多くの工数見積り手法が提案されている.しかし,見積りに用いる過去プロジェクトのデータには,記録されていない値(欠損値)が含まれる可能性が高く,従来の工数見積り手法では見積もることができない.この問題を解決する手段の一つに協調フィルタリングに基づく工数見積り手法がある.協調フィルタリングに基づく手法は,他の手法よりも高い精度で見積もることができることが報告されているが,一つのデータセットを用いた評価でしかない.本研究では,協調フィルタリングに基づく工数見積り手法の欠損値に対するロバスト性(見積り精度がどの程度低下しないか)を実験的に評価し明らかにする.評価実験では,実際に企業でソフトウェア開発の過程で得られたデータから欠損値を除去し,欠損値の割合(欠損率)と欠損値分布の偏りを変化させて欠損値を与えてデータを作成した.そして,それぞれのデータで見積りを行ない,見積り値と実測値の差を用いて評価を行った.
 
黒瀬 誠人 M2 松本 健一 関浩之   飯田元
 

会場: L3

司会:中西 助手
今西 真博 M2 藤原秀雄   渡邉 勝正   井上美智子
発表題目:階層ラッパーを用いたシステムオンチップのテストスケジューリング
発表概要:SoCのテストではテスト系列をテストパターン発生器から各コアへ伝搬し、その応答をテスト応答解析器へと伝搬する必要がある。このテストアクセスを実現するために各コアに対してラッパーを設計し、またテストアクセス機構(TAM)を設計する必要がある。またSoCの各コアに対するテスト系列長は長くSoCのテスト実行には膨大な時間が必要となるので、テスト実行時間を短縮するテストスケジュールの生成も重要である。本研究ではSoCのテスト時間を削減するために、複数のコアを同時に考えたラッパーの設計を行う。また、提案した階層ラッパーを用いた新たなスケジューリングアルゴリズムの提案を行う。
 
増田 公彦 M2 藤原秀雄   渡邉 勝正   井上美智子
発表題目:消費電力を考慮したテストデータ多重化に基づくSoCのテストスケジューリング
発表概要:SoCはコアと呼ばれる機能ブロックを用いて設計される。そして、テストを行う場合には、ピン数や消費電力に制約があるためコアのテストする順番を決めるスケジューリングが必要となる。テスト時間を短くするための様々なスケジューリング手法が提案されているが、これらの方法は、コアの周波数がすべて同じであると考えている。しかし、一般にコアの周波数は異なるといわれており、コアの中には実動作速度でテストが必要なものもあるので、周波数が異なるSoCのスケジューリング手法が必要となる。本研究では、テスタとコアの周波数ギャップを解消するためのテストデータ多重化TAMの設計と、周波数が異なるSoCに対する消費電力を考慮したスケジューリングアルゴリズムの提案を行う。
 
村田 優 M2 藤原秀雄   渡邉 勝正   井上美智子
発表題目:ビット幅調整機能を用いたデータパスのテスト容易化設計法
発表概要:一般に順序回路に対するテスト生成には,膨大な時間と資源を必要とする.この問題に対する解決法として,テスト容易化設計法であるスキャン設計が広く用いられてきた.しかし,スキャン設計には,面積オーバーヘッドが大きい,At-speedテストが出来ない,テスト実行時間が長いといった問題がある.これらの問題を解決する1つの方法として,ビット幅の均一なデータパスに対する直交スキャン設計法が提案されているが,ビット幅が不均一なデータパスには適用できない.そこで本研究では,新たにビット幅調整機能を用いることによりビット幅が不均一なデータパスに対する直交スキャン設計法を提案する.