ゼミナール発表

日時: 11月19日(金)(11:00-12:30)


会場: L2

司会:原助手
M1 中桐 幹博 言語科学
発表題目:発話の「テンション」と音響的特徴との関係に関する研究
発表概要:現行の技術による合成音声は、喜怒哀楽などの感情表現がないために自然に聞こえないという考えがある.しかし私は合成音声が自然に聞こえないのは、その発話が誰に向けられたものなのか、あるいはどこで話をしているのか、などといった事柄を音声のみから想像するための「情報」が欠落しているためと考える.自然発話中には明らかな喜怒哀楽の表現は少ない.したがって、喜怒哀楽はこうした「情報」の提供にほとんど貢献していないということがいえる.一方で発話中どこにでも存在し、この「情報」を提供しうる要素として、いわゆる「テンション」というものを考えた.本研究では発話中の「テンション」の意味を定義し、「テンション」を表す音響的特徴が何かを調べた.そして、SupportVectorMachineでそれらの音響的特徴により、「テンション」の分類が可能かを調べた.このことについて考察する.
 
M1 永田 宗伸 ソフトウェア基礎学
発表題目:観光用パーソナルナビゲーションシステムP-Tour向け予定外行動検出モデル
発表概要:発表者の所属する研究グループでは、観光用パーソナルナビゲーションシステムP-Tourを提案している。これは、複数の目的地を様々な時間制約のもとに巡回する観光スケジュールを作成する機能と、そのスケジュールに沿って経路案内を行う機能から成る。本発表では、この経路案内機能における、ユーザが道を間違えたりした場合など、予定外の行動を行ったことを検出するモデルについて述べる。
 
M1 中村 幸紀 応用システム科学
発表題目:論文紹介 D.Henrion, M.Sebek, and V.Kucera,“Positive Polynomials and Robust Stabilization With Fixed-Order Controllers,”IEEE Trans. Automat. Contr. , vol. 48, pp. 1171-1186, July 2003.
発表概要:現実の制御対象はパラメータ誤差を含み,そのような対象に対して制御系の性能を保証する手法としてロバスト制御がある.しかし,従来のロバスト制御では,制御器の次元が制御対象の次元と一致するため,制御対象よりも低次元の制御器を設計するのは極めて困難である.これは,システムを安定化させるパラメータが非凸領域となることが原因である. そこで本発表では,Convex Inner Approximation により非凸領域を凸に近似し,あらかじめ次元を固定して低次元制御器を設計することを提案した論文を紹介する.凸領域に近似することで,通常の最適化の手法により数値計算で容易に低次元制御器を設計できることが示されている.最後に今後の研究方針を述べる.
 
M1 中山 裕司 知能情報処理学
発表題目:オントロジーを用いたヘテロロボット間における情報共有
発表概要:近未来型社会としてのユビキタスネットワーク社会に向けて、ネットワークとロボットが融合した「ネットワークロボット」の実現が期待されている。ネットワークロボットとは、ロボットがユビキタスネットワークとつながり、様々な情報のみならず動作などもユーザに提供するものであり、21世紀の日本発新IT社会として期待されている。このようなネットワークロボットを実現するための必要な要素の一つとして、ロボット間の協調や連携という点が挙げられる。本研究では、複数のヘテロ間ロボットで協調しあって、タスクを行うといったことに関しての第一歩として、ロボット同士がもっている情報や特徴を事前に共有しあうことについて考える。本発表では、この課題を解決する一つの方法として、ロボット用のオントロジーを構成することを提案する。
 
M1 仁田原 千尋 ロボティクス
発表題目:統合モデルを用いた身体運動時の生理特性の推定
発表概要:近年,人間の生理,心理特性を簡単かつ定量的に評価する手法の重要性が高まってきており,人間の生理特性計測技術はさらなる発展がこれからも期待される.そこで本研究では,「環境との力学的相互作用を考慮した,身体運動時の生理特性を推定」を目的とする.ここで環境とは,外界の状態ではなく行動の面で人間と何らかの相互作用を及ぼし合うものである.例えば,人,道具,機械,作業対象物,パワーアシスト装具などがある.人間の生理特性を利用すると,ヘルスケアにおいては負担になる運動の解明,リハビリテーションにおいては肉体強化のための最適な運動設計,スポーツ科学においてはスポーツに伴う外傷や障害の解明などが期待される.それを解決するために,運動器系,循環器系,外力モデルを統合した人体モデルについて説明する.
 
M1 萩原 香織 像情報処理学
発表題目: 論文紹介"Generating the 3D Model of an Object for Realizing the 3D Space-Shared Communication over the Network" (IEEE Workshop on Knowledge Media Networking(KMN),2002) Myint Myint Sein
発表概要:近年、コンピュータ処理能力の向上やネットワーク環境の充実に伴い、遠隔地間での仮想空間共有を目指した研究が盛んに行われている。共有空間内でのコミュニケーションにおいて、互いの姿を提示するためにビデオアバタを用いるのが一般的である。しかし、2Dのビデオアバタでは奥行き情報が伝えられないため、臨場感が損なわれ、コミュニケーションに支障をきたす。本論文では、アバタとなるユーザやオブジェクトの3Dモデル化によってこの問題を解決できると考え、そのための手法を提案している。この手法では、多視点ステレオカメラを複数用い得られた奥行き情報を統合することで3Dモデル化を実現している。本発表ではこの手法の紹介および考察を行うとともに、自分の研究との関連性について述べる。
 

会場: L3

司会:油谷助手
M1 濱口 明宏 視覚情報メディア
発表題目: 論文紹介 "First Steps Towards Handheld Augmented Reality" (Proc. of the 7th IEEE Int'l Symp. on Wearable Computers (ISWC'03))
発表概要: 拡張現実感(Augmented Reality, AR)技術をユーザが装着可能なコンピュータ上で実現することは,ユーザの位置や姿勢に応じた直感的な情報を提示可能となるため,様々な応用が期待できる. しかし,従来のシステムではノートPCとカメラ,その他の付加的なハードウェアをユーザが装着する必要があったため,取り扱いが容易ではなかった. そこで本論文では,市販のカメラを取り付けたPDA(Personal Digital Assistance)上で動作するハンドヘルド型ARシステムを提案している. 本発表では,著者らの提案したシステムの概略と応用例を示し,最後に自身の研究との関連と今後の研究方針について述べる.
 
M1 濱田 美奈子 ソフトウェア工学
発表題目:論文紹介 Peter Brusilovsky, "Adaptive Navigation Support in Educational Hypermedia: the Role of Student Knowledge Level and the Case for Meta-Adaptation," British Journal of Educational Technology, September 2003, vol. 34, iss. 4, pp. 487-497(11) ,Blackwell Publishing.
発表概要:学習支援システムとして,Webページを利用したe-Learningが注目されている.そこには大量のコンテンツ(Webページ)が含まれるため,システムは学習者の要求に合ったページを推測,案内する必要がある.それを実現する手法として適応的ナビゲーションの研究が進んでいる.従来の研究では,「どのページを見せれば良いか」に焦点を充てたものが多い.そこで,本論文では「どのページを見せれば良いか」に加え,「どのように見せるか」(リンクの提示方法)についても学習者ごとに変えることが望ましいことを,実験を分析することで実証する.本発表ではこれらの内容を紹介し,最後に今後の私の研究方針について述べる.
 
M1 林 一幸 音情報処理学
発表題目:SIMOモデルに基づく信号に分離する優決定ブラインド音源分離手法の検討
発表概要: 複数の音源信号が未知の伝達系により混合される音響空間において, 観測信号のみを用いて音源分離を行う手法をブラインド音源分離(BSS)という. BSSの一手法として,空間の音響特性を維持したまま分離を行うことのできる Single-Input Multiple-Output (SIMO)モデルに基づく独立成分分析(SIMO-ICA)が 提案されている. ここで,SIMOモデルとは単一の音源が信号を発し, 複数のマイクロホンで受音している系のことをいう. SIMO-ICAは観測信号をマイクロホン位置で観測されるSIMOモデルに基づく信号に 分離することが可能であるが, 音源数と素子数が同じであるという仮定が必要であり, 音源数と素子数が異なった場合分離を行うことが困難である. 本研究では、素子数が音源数よりも多い優決定問題において, 観測信号をSIMOモデルに基づく信号に分離することのできる手法の構築を目指す. 本発表では,複数のSIMO-ICAを用いた2音源3素子における音源分離の手法を提案する.
 
M1 引地 一将 ソフトウェア工学
発表題目:論文紹介 Lutz Prechelt, Barbara Unger,"An Experiment Measuring the Effect of Personal Software Process (PSP) Training",IEEE TRANSACTIONS ON SOFTWARE ENGINIEERING, VOL.27, NO.5, MAY 2000, pp465 - pp472.
発表概要:近年のソフトウェア開発においては,ソフトウェアの品質と生産性などの改善を目的とするソフトウェアプロセス改善が重要性とされている.本論文では,ソフトウェアプロセス改善手法の一つであるPersonal Software Process(PSP)について,そのトレーニングを受けた開発者への影響を調べることを目的とした実験を行っている.実験では特に「信頼性」と「見積もり精度」への影響に焦点が当てられ,トレーニング受講者と非受講者とを比較している.また,結果から得られた考察にしたがって,PSPをより効果的に利用するための課題についても述べられている.最後に,発表者の私見と今後の方針について述べる.
 
M1 樋口 宗明 システム制御・管理
発表題目:局所センサと大域センサを用いた精密位置推定
発表概要:移動ロボットの制御を行うには正確な位置情報の取得が重要である.位置情報の取得には大域センサを用いる手法と局所センサを用いる手法に分けられるが,大域センサを用いる手法はサンプリングタイムが大きく、誤差が大きいという問題があり,一方局所センサを用いる方法には誤差が累積し,初期位置からの相対距離しかわからないといった問題がある.そこでこれらのセンサを組み合わせて用いることでよりよい位置推定手法の提案を行う.