ゼミナール発表

日時: 11月16日(火)(13:30-15:00)


会場: L1

司会:大平助手
M1 篠崎 隆志  情報コミュニケーション
発表題目:論文紹介 R.Koenen, J.Lacy, M.MacKay, and S.Mitchell, ``The Long March to Interoperable Digital Rights Management'' Proceedings of the IEEE, Vol.92 No.6, June, 2004, pp883-897.”
発表概要:DRM(Digital Rights Management)とはコピープロテクション、暗号化、電子透かし等、複数のものを組み込んだ技術である。近年、技術としては実用的段階に入っており、コンテンツ配信業者はDRMシステムを構築し、実際に運用をしている。しかし、配信業者各社が独自のシステムを構築している為、DRMシステムの相互運用または規格の統一化が必要になってきている。本論分ではDRM基本参照モデルというものを提案し、そこから考えられるDRMシステムの相互運用アプローチ方法を3つ挙げている。そのうちの1つのアプローチであるConnected Interoperabilityを用いてNEMOというフレームワークを考案し、紹介をしている。
 
M1 島田 雅之 音情報処理学
発表題目:音源分離を利用したユーザの頭部移動に頑健な音場再現手法の検討
発表概要:音場再現とは,受聴者の外耳道入口における音圧信号が原音場で収音された外耳道入口における音圧信号と一致するように再現することである.音場再現の一つの手法として,再現音場の空間特性を除去する逆フィルタを用いる手法がある.しかしこの手法は制御点のみでの再現性しか考慮されていないため,ユーザが制御点から動いた時に定位感が損なわれる問題がある.本研究では,制御点では従来法と同様に忠実に再現を実現でき,かつ制御点以外でも定位感を損なわれにくい手法の構築を目指す.これを実現するために、本発表では、原音場で得られた複数音混合信号を各音源に関する空間情報を保持したまま分離を行い、各音源別に適切な逆フィルタを設計する手法を提案する。
 
M1 庄 沱 像情報処理学
発表題目:論文紹介 Yacov Hel-Or, Hagit hel-Or, "Real Time Pattern Matching using Projection Kenel"Proceeding of the Ninth IEEE International Conference on Computer Vision(TCCV 2003)2-Volume Set
発表概要:オムロン株式会社では現在ステレオカメラによる人間3次元位置検出システムSVSが開発されている。しかし実際に製品化するにはまだカメラ画像のステレオ対応アルゴリズムの高速化という問題が残っている。本発表では構造木による高速ウォーシュ・アダマール変換を紹介し、まだこれを利用してSVSシステムのステレオ画像対応アルゴリズムの高速化手法の基本的な考え方を紹介する。そして今後の研究方針と予定についても述べる。
 
M1 鈴木 智哉 言語設計学
発表題目:論文紹介 "ON THE POWER OF QUANTUM COMPUTATION"
発表概要:近年、量子計算という新しい計算モデルの研究がされてきている。 既存の(古典)計算モデルで効率よく解くアルゴリズムが見つかっていないよ うなある種の問題について、量子計算モデルで効率的に解くことができるアル ゴリズムが見つかっている。そのため量子計算は古典計算より強力であると言 われているが、数学的に厳密に証明されているわけではない。この論文では XMIという問題について、量子で効率の良いアルゴリズムが存在すること・古 典で効率の良いアルゴリズムが存在しないことをオラクルを用いて示し、量子 が古典より強力であるという一つの手がかりとする。
 
M1 砂見 渉 情報基礎学
発表題目:プライシング関数を用いたスパムメイル対策について
発表概要:近年, スパムメール増加に伴うネットワークトラフィックの増大が社会的問題となっている. スパム対策としてフィルタリングや認証, 法的な規制等様々な手法が提案されている中で, 電子メールの送信者に手間のかかる計算を課すことによって大量送信を防止するという提案がなされている. 本発表では電子メール送信の際, 計算機にほどほどの負荷をかけるプライシング関数の計算を送信者に課して, 単位時間あたりに送信可能な電子メールの数を減らす手法の研究を紹介する. さらにその問題点を示した上で, 本発表者が検討しているプライシング関数の研究について述べる.
 
M1 高野橋 健太 像情報処理学
発表題目:論文紹介”LucentVision: A System for Enhanced Sports Viewing”
発表概要:スポーツはたくさんの人が視聴する優秀な映像コンテンツであり,最近では,さまざまな画像解析技術を取り入れた映像配信も行われている.しかしながら,スポーツの映像には高速で複雑な動きが含まれていることが多く,リアルタイムかつ正確に解析することは難しい. 本発表では,複数のカメラで撮影されたテニスの試合映像をリアルタイム解析し,そこから抽出した情報を可視化し配信するシステムであるLucentVisionについて紹介し,さらに自分の研究との関連を述べる.
 

会場: L2

司会:小坂助手
M1 高松 渉 ロボティクス
発表題目:ビューシーケンスによるヒューマノイドのナビゲーション
発表概要:ヒューマノイドロボットが,居室やオフィスのような環境内で人間と共存する際には,環境のナビゲーションは必須であるが,ヒューマノイドロボットには搭載できるセンサにサイズ,重量面の制約が大きいため,新たなセンサを追加することは難しい.そこで本研究では,ヒューマノイドロボットの頭部に搭載されているカメラを用いたナビゲーションを実現することを提案する.本発表では,ヒューマノイドロボットのビジョンを用いる手法の現状を紹介した上で,さらに別のアプローチとしてメモリベースドアプローチによる移動ロボットのナビゲーションの手法を紹介し,それらの問題点を示すとともに,今後の研究方針について述べる.
 
M1 田中 孝志 ロボティクス
発表題目:掌面の接触状態遷移による教示システムに関する研究
発表概要:多指多関節を持つロボットハンドは構造が複雑であるため,単純な教示法の適用は困難である.そこで,人間の動作の観察から多指ハンドの入力方法を行う手法が提案されている.そのような教示システムでは,人間の操作がロボットハンドを駆動する入力信号となるため,操作自体の統計的性質を把握することが必要である.そこで,本研究では操作認識についての手法を紹介し,問題点を示すとともに,今後の研究計画について述べる.
 
M1 田中 久夫 情報コミュニケーション
発表題目:論文紹介"Class-based Delta-encoding: A Scalable Scheme for Caching Dynamic Web Content"Konstantinos Psounis IEEE ICDCS Workshops July 2002
発表概要:近年webシステムの普及に伴い、ニュースや株価情報などのユーザにパーソナライズした動的コンテンツの割合がますます増加している。また、webパフォーマンスを向上させる技術として、webキャッシング技術が注目を集めている。webキャッシング技術を用いることで、ネットワーク帯域消費の削減、webページのダンロード時間の短縮といった効果が得られる。しかし、従来のキャッシング手法は、動的なコンテンツのキャッシングを効率よく行なうことができない。本論文では、動的コンテンツを高速配信するキャッシング技術として、Class-based Delta Encodingという手法を提案している。シミュレーション結果による有効性を示すとともに、今後の研究方針についても述べる。
 
M1 田中 裕 コンピュータ設計学
発表題目:論文紹介 "Power-Time Tradeoff in Test Scheduling for SoCs"
発表概要:近年の半導体技術の向上によりこれまで複数のLSIで実現していたシステムを一つのLSIでシステムオンチップ(SoC)として実現されるようになった。SoCのテストを効率的に行なうにはスケジューリングが必要であるがSoCにおいては消費電力やピン数などの多くの制約を考慮する必要がある。本論文では消費電力情報を使用し、テスト実行時間と消費電力とのトレードオフを考慮したSoCテストスケジューリング手法を提案する。
 
M1 逵 明憲 ソフトウェア工学
発表題目:論文紹介"Side Views: Persistent, On-Demand Previews for Open-Ended Tasks."
発表概要:Open-Ended Taskとは、例えば、Webページのデザインや画像加工といったような仕事である。これらは理想的な結果が得られるような一連の作業が定義されていない。そのような仕事に携わっている人は、日々、良い物を作り出そうと試行錯誤を繰り返している。一方、Open-Ended Taskを支援しているようなインターフェースは少ない。またUndo機構はOpen-Ended Taskを支援しているが、それだけでは十分にユーザを支援しているとは言えない。本論分ではOpen-Ended Taskの特徴に注目し、その特徴を利用し、効果的にユーザがOpen-Ended Taskを行うことができる斬新なインターフェース機構を提案している。
 
M1 寺内 隆志 ソフトウェア基礎学
発表題目:渋滞回避ナビシミュレーション
発表概要:交通量や交通渋滞の増加は世界規模で深刻な問題となっており、社会的損失金額は日本だけで12兆円にも及ぶ。本研究では、渋滞の解消を目的とした車のナビゲーション方法の提案とこの方法のナビゲーションシステムの構築を目的とする。車車間通信を利用し、ナビゲーションシステム同士を協調して動作することで、目的を達成する。将来的には交通シミュレータを用い、シミュレーションを行なうことで、提案手法の有用性を評価する予定である。
 

会場: L3

司会:森島助手
M1 徳田 浩平 知能情報処理学
発表題目:金魚すくいロボット実現のための実時間追跡手法検討
発表概要:近年,画像情報を用いて物体を追従する手法の研究が盛んに行われている.人間,あるいは人間の身体の一部を追従する研究が多くを占めており,これらのほとんどは対象物体をある程度剛体とみなしたものである.しかし,魚のような形状が変化してゆく物体の追従は,これらテンプレートマッチングベースの適用では困難である.そこで,本発表では魚の実時間追跡手法を検討した結果を述べる.
 
M1 戸田 航史 ソフトウェア工学
発表題目:論文紹介"Enhancing Hyperlink Structure for Improving Web Performance"(Journal of Web Engineering, Vol.1, No.2 2003, pp.093-127)Jurek Czyzowicz, Evangelos Kranakis, Danny Krizanc, Andrzej Pelc, Mogiel V. Martin
発表概要:設計者・管理者とユーザのWebに対する認識の違いから、設計者の視点からの使いやすさとユーザにとってのそれが完全に一致する事はそれほど多くはない。本論文では、まずWebサイトの使いやすさの指標を定義、次にその指標とユーザの動向を調べる事で、設計者にとっての使いやすいWebサイトからユーザの要求に即したウェブサイトへの再構築を支援する事を目的としている。
 
M1 豊田 将隆 ロボティクス
発表題目:脳波を用いたロボットインタラクション
発表概要:人間からコンピューターへの入力装置はマウスやキーボードといったものが一般的であるが、近年新たな入力として人の生体情報を用いる試みがなされている。なかでも脳波を用いたシステムは様々な用途が期待され、Brain-Computer Interfaceとよばれるコミュニケーションシステムの研究も盛んに行なわれている。しかしながら、ロボットと脳波をむすびつけた研究はほとんどみられない。本研究では脳波を用いてロボットとインタラクションできないかと考え、関連研究を列挙するとともに今後の方針について述べることにする。
 
M1 中川 威 情報コミュニケーション
発表題目:マルチキャリア通信方式におけるピーク電力推定法に関する研究
発表概要:大容量無線通信に対する需要が高まる中、マルチキャリア通信方式に注目が集まっている。しかしながらマルチキャリア通信方式は送信信号のピーク電力が高くなりやすいといった問題点を持つ。このピーク電力を低減する手法として数々の手法が研究されているが、信号に歪みを生じない方法としてSLM、CSPPR、CSSCなどが挙げられる。マルチキャリア変調方式では伝送データに対し何らかの処理を施したものを並列にIFFTに入力しマルチキャリア変調信号を得るが、SLM、CSPPR、CSSCなどの手法はIFFT入力前に各種パラメータを操作してIFFTに入力し、数パターン行なった上で最適なピーク電力を持つパラメータの信号を送信するため、計算コストがかかり実用的でない。これらの内容について発表し、今後の課題について述べる。
 
M1 中川 知香 視覚情報メディア
発表題目:論文紹介 Gang Zeng, Sylvain Paris, Long Quan, and Maxime Lhuillier, "Surface Reconstruction by Propagating 3D Stereo Data in Multiple 2D Images", ECCV (1) 2004 pp.163-174
発表概要:コンピュータビジョンにおいて、複数の画像からの物体表面の形状復元は、長年取り組まれている研究分野である。しかし従来手法においては、3次元点が密に抽出できない部分の存在や、表面形状が過度に滑らかになることなどが原因で、表面の形状が詳細でない。本論文では、信頼できる3次元点から小さな表面パッチを構築し、その近隣から信頼できる表面パッチを選択し生成することを繰り返す(伝播させる)ことによって表面の形状を復元する手法を提案している。この手法は、表面パッチを生成するための基準を設けているため、従来手法よりも詳細な表面形状を構築することが可能になる。