ゼミナール発表

日時: 11月5日(金)(11:00-12:30)


会場: L2

司会:浅原助手
M1 大岡 徹也 ソフトウェア工学
発表題目:論文紹介"Rapid Software Development through Team Collocation"(IEEE Transactions on Software Engineering, Vol.28, NO.7, July 2002, pp.671-683)Stephanie D. Teasley, Lisa A. Covi, Member, IEEE Computer Society, M.S. Krishnan, Member, IEEE Computer Society, and Judith S. Olson
発表概要:高品質のソフトウェアをスケジュール通りに開発することは昔から強く要求されている。本論文では開発チームを一つの大きな部屋に集めコミュニケーションと協調作業を促進する事がソフトウェア開発にどれだけ大きな影響を及ぼすか調査し、観察・アンケート・インタビューを分析して生産性向上の要因を考察している。また、私見と今後の研究課題についても述べる。
 
M1 大橋 純 情報科学センター
発表題目:論文紹介"Pastry: Scalable, distributed object location and routing for large-scale peer-to-peer systems"(IFIP/ACM International Conference on Distributed Systems Platforms (Middleware), Heidelberg, Germany, pages 329-350, November, 2001)Antony Rowstron, Microsoft Research Ltd, and Peter Druschel, Rice University
発表概要:P2Pシステムのような大規模分散システム上での有効な資源検索の手法として、分散ハッシュテーブルを利用した検索アルゴリズムが注目を集めている。分散ハッシュテーブルを利用した検索は、従来のネットワーク中に検索メッセージをブロードキャストする方法に比べ、検索スピードやスケーラビリティーの面で優れている。本論文では、そういった検索アルゴリズムのひとつであるPastryに関する具体的なアルゴリズムの解説と、Java上の実装における実験結果について提示している。本発表ではこれらの内容を示すとともに、今後の私の研究方針について述べる。
 
M1 大八木 啓之 情報コミュニケーション
発表題目:論文紹介”マルチモード・マルチサービスソフトウェア無線通信システムのための適応マルチサンプリング処理法”電子情報通信学会論文誌 B Vol.J84-B No.7 pp.1187-1197 2001年 7月 澤井 亮 原田 博司 白井 宏 藤瀬 雅行
発表概要:一つの機器で複数の無線通信システムの同時処理を可能にするマルチモード・マルチサービスソフトウェア無線通信システムが提案されている。本論文では、このようなシステムを一つのシステムクロックを用いて省スペースに実現する方法として、稼働するシステムのシンボル(チップ)レートに応じてシステムクロックを決定し、その一つのシステムクロックをすべてのシステムに効率良く配分する適応マルチサンプリング処理法を紹介し、自己の研究との関係を述べる。
 
M1 大山 将史 言語設計学
発表題目:論文紹介"A Dynamic Instruction Set Computer"(IEEE Workshop on FPGAs for Custom Computing Machines.Napa.CA.April 19-21.1995.)Michael J.Wirthlin and Brad L.Hutchings, Dept. of Electrical and Computer Eng. Brigham Young University.Provo. UT 84602
発表概要:ソフトウェアの柔軟性とハードウェアの並列化高速処理能力を併せ持った、再構成可能なハードウェアというものが注目を浴びている。それは命令ごとに回路内部を変更して、ハードウェアという限られた資源を有効に利用かつ高度な処理を行えるという利点を持っている。さらに命令を実行中にも回路を変更できる、動的再構成を行うことにより処理能力を上げることができる。今回紹介する論文では命令を回路のモジュールとみなし、それを必要に応じてFPGA上で動的に入れ替えることにより構成を行い、機能的な集積度を上げている。また、私の今後の研究方針についても述べる。
 
M1 岡本 弘輝 情報コミュニケーション
発表題目:CIおよびClippingによるOFDM信号のPAPR削減
発表概要:地上波デジタル放送などに用いられているOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)技術は、複数のキャリアに情報を乗せて伝送するマルチキャリア伝送を行なっている。この方式はマルチキャリア伝送路において優れた誤り訂正能力を発揮するが、受信器側ではPAPR(Peak to Average Power Ratio)が高く、受信波形が歪んでしまうという問題がある。そこで本発表では、OFDM通信方式の一種であるCI/OFDM(Carrier Interferometry/OFDM)、PO-CI/OFDM(Pseudo Orthogonal Carrier Interferometry)方式を紹介し、ClippingによるPAPR削減方法について述べる。
 
M1 奥 健太 知能情報処理学
発表題目:個人的主観に基づく連想構造型生涯体験アルバムの構築
発表概要:現在,日常的に写真やビデオ,日記などにより個人の思い出の保存が行われている.近年,ユビキタス/ウェアラブルコンピューティングの時代を迎え,自己の生涯をすべて記録しようという,いわゆる「生涯体験記録」に関する研究が盛んであり,既に生涯体験記録データを収集するためのデバイスやメソッドに関して研究が進められている.しかし,収集されたデータは事後に活用されることではじめて意味のあるものとなる.そこで本研究では,収集されたデータから目的とするデータが効率よく検索されたり,閲覧されたりするためには,膨大な生涯体験記録データが「整理」されることが必要であると考え,「生涯体験アルバム」の構築を考える.本発表では,そのアルバムが持つべき構造や機能を示し,それをどのように構築するのか,またそれがどのように利用され,どのようなメリットがあるのかを示す.また,修士での目標,今後の予定について述べる.
 

会場: L3

司会:久米助手
M1 小坂田 泰宏 システム制御・管理
発表題目:ヒューマノイド型ロボットの視点移動を考慮した目的地への移動法の検討
近年ZMP法をはじめとした歩行制御法の研究の進展により、ヒューマノイド型ロボットによる2足歩行が実現されている。それにともない、ヒューマノイド型ロボットによる、目的地に向けた自律的な歩行が課題となっている。そういった問題を考える際に、ヒューマノイド型ロボットの位置・姿勢制御とともに、視点の制御が重要となる。今回の発表では、"From Optic Flow to Laws of Control"というタイトルの論文を紹介する。この論文では、心理学的立場から人間の歩行時の視線の移動法の研究を行い、人間の歩行時の頭の向きを2次の微分方程式でモデル化を行っている。
 
M1 尾澤 章弘 情報基礎学
発表題目:論文紹介“Efficient Encoding of Low-Density Parity-Check Codes”,Tomas J. Richardson and Rudige L. Urbanke,IEEE Tras. Inform. Theory, vol.47, No.2,pp.638-656,Feb 2001.
発表概要:誤り訂正符号の一種であるLDPC符号は,任意の符号長,符号化率の符号を作成可能であること,長い符号長においてはシャノン限界に大変近い性能を発揮すること,さらに線形時間復号可能であること,など様々な利点を持つ.一方,従来の古典的な符号において,復号操作は符号長に対して指数時間かかり問題となっていたがLDPC符号においては符号化に掛かる時間が問題となってきている.そこで,本発表で符号化操作の効率化について述べた論文を紹介し,今後の予定を述べる.
 
M1 貝野 友美 音情報処理学
発表題目:NAM(Non-Audible-Murmur)音声認識を用いたマルチ発話様式に対応した音声インターフェイスの検討
発表概要:周囲の人に聞こえない小さなつぶやき声をNAMと呼ぶ。NAMマイクはつぶやき声の体内伝導音が採取可能である。NAM音声認識は、発話内容を他人に知られる心配がない、外部からの雑音に強い、などの利点が挙げられる。しかし、NAMの発声方法は通常の会話では使われないため、発声するのが難しい。さらに、発声方法に対する慣れは認識結果にも影響を及ぼしていると考えられる。これを改善するために、NAM、通常の発話など、どのような発声様式でも認識できるよう、音響モデルから検討する。
 
M1 開原 雄介 音情報処理学
発表題目:適応的緩和手法と温度補正を統合した仮想音場再現用逆フィルタの更新アルゴリズムの検討
発表概要:マルチチャネル音場再現システムでは、部屋の特性を打ち消す逆フィルタを用いて、任意の制御点で所望の音場を再現することができる。しかし伝達系の変動によって、雑音の拡大や再現音質の劣化が起こるという問題がある。この問題を解決する手法として、逆フィルタの不安定性を適応的に緩和する手法(On-Line Adaptive TSVD法)と、温度変化により変動した伝達関数を線形伸縮処理で補正する手法が個別に提案されている。前者は再現精度を犠牲にする代わりに、逆フィルタの不安定性を緩和し、特に逆フィルタが不安定になりやすい低域における誤差拡大を大幅に抑えることができる。それに対して後者は、従来の音場再現では温度変動による音速変化のために、制御が困難とされてきた高域の制御を、高精度に行うことを可能とする。しかし、変動の要因を温度に限定しているため、それ以外の変動に対しての効果は期待できない。そこで本研究では、これらの手法の最適な統合手法の構築を目指す。本発表では、様々な伝達系変動に対しOn-Line Adaptive TSVD法を適用した結果を示し、また今後の方針を述べる。
 
M1 笠藤 麻里 情報科学センター
発表題目:論文紹介 Michael A. Marsh, Member, IEEE, and Fred B. Schneider, Member, IEEE ``CODEX: A Robust and Secure Secret Distribution System'', IEEE TRANSACTION ON DEPENDABLE AND SECURE COMPUTING, VOL.1, NO.1, pp.34-47, JANUARY-MARCH 2004
発表概要:CODEXは認証されたクライアントによって行われる連続したアクセスのために、秘密を保存するシステムです。それはまた耐障害性と耐攻撃性の両方を兼ね備えた分散サービスを構築する比較的新しいアプローチについての一般的な考え方を探求するための媒体でもあります。CODEXのプロトコルについての説明に加えて、それらのパフォーマンスを測定する実験についても議論します。