ゼミナール発表

日時: 11月2日(火)(13:30-15:00)


会場: L1

司会:大竹助手
M1 青木 太一 情報科学センター
発表題目:論文紹介 P. Ferragina, and G. Manzini, "Opportunistic Data Structures with Applications," IEEE Symposium on Foundations of Computer Science, pp. 390-398 (2000).
発表概要:全文検索において、検索を高速化するために索引が用いられる。 索引を用いる場合の問題の一つに、索引サイズの大きさがある。 特に文字単位で索引をつくるSuffix Arrayなどではこの欠点が大きい。 本論文では文字単位の索引に圧縮を施しつつ、その圧縮によって検索時間があまり長くならない手法を提示している。 具体的には、Suffix arrayにBurrows-Wheeler変換を援用した圧縮を行い、 その圧縮索引の全体を復元することなく検索をかけることを可能としている。
 
M1 青木 匡志 情報コミュニケーション
発表題目:地上デジタルテレビ放送携帯受信機のためのantenna特性を制御するダイバーシチ
発表概要:地上デジタルテレビ放送携帯受信機では,受信性能を向上させるために空間ダイバーシチの適用が検討されている.しかし,携帯受信機では,その筐体およびアンテナの大きさが厳しく制限されているため,アンテナサイズおよびブランチ数を増加させることによる受信性能の向上には限界があった. 現在,その対策として,受信アンテナ素子近傍にサブアンテナを配置し,サブアンテナ負荷リアクタンスを制御することでダイバーシチ効果を得る技術の研究が盛んに進められるようになってきている. 本発表では,この技術に関する研究動向を報告し,次に,地上デジタルテレビ放送携帯受信機に適したダイバーシチアンテナについて提案する.
 
M1 秋永 知宏 ソフトウェア工学
発表題目:論文紹介"An Empirical Analysis of Linear Adaptation Techniques for Case-Based Prediction’ 5th International Conference on Case-Based Reasoning. pp231-245, Trondheim, Norway: Springer-Verlag, 2003."
発表概要:過去のプロジェクトのデータを利用して,現在のプロジェクトの工数を予測する手法の一つとしてCBRが挙げられる.従来のCBRは過去の類似プロジェクトを用いて現在のプロジェクトの試験工数を予測する手法である.しかし,過去のプロジェクトよりも大きなプロジェクトの工数予測が困難という問題点がある.そこで本論文ではCBRの改善方法として線形スケーリングを提案している.そして,従来の手法と提案手法で評価実験を行い,結果を比較して線形スケーリングの有効性を確かめている.最後に今後の方針について述べる.
 
M1 安藤 一道 情報コミュニケーション
発表題目:論文紹介"アレーアンテナを用いた伝搬路時変動補償による地上波デジタル放送の高速移動受信特性改善"
発表概要:地上波デジタル放送の伝送方式として、直交周波数分割多重(OFDM:Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式が採用されている。OFDMは、マルチキャリアの伝送方式であり、複数の狭帯域デジタル変調符号を直交する周波数により多重化し、全体として広帯域デジタル伝送を行う方式である。しかしながら、サブキャリア間隔が狭いために、移動受信において、ドップラースプレッドによる影響を非常に受けやすい。そこで、直線アレーアンテナを用いて空間的な内挿処理を行うことにより、受信信号が受けるドップラースプレッドによる時変動を取り除く高速時変動補償方式による地上波デジタル放送の高速移動受信特性改善に関する論文の紹介し、自己の研究との関係を述べる。
 
M1 安藤 史朗 システム制御・管理
発表題目:論文紹介 "Taxonomy Of Mitigation Strategies For Driver Distraction"
発表概要:ドライバーの注意力低下は、運転タスクからドライバーの注意がそれることが原因であり、衝突事故などの要因の一つとして考えられる。ドライバーの注意力低下を減少させるための様々な方法が提案され、それを実装した装置が自動車に搭載されている。しかしながら,これらの方法を整理する明確な定義や分類法は存在しない。紹介する論文では、ドライバーの注意力低下の軽減方法の分類法を提案している。また各カテゴリごとに関連文献を整理し、軽減方法を実装する上での、設計上のトレードオフについても述べている。最後に、自分の研究の方針について述べる。
 
M1 池田 俊史 像情報処理学
発表題目:論文紹介 "Paper Augmented Digital Documents"(CHI letters Vol. 5, 2003)
発表概要:閲覧のためのメディアとして,紙の文書とディジタル文書が挙げられる.これらはそれぞれが持つアフォーダンスで提供される利点により閲覧行動を支援している.しかし,ページをめくるという触覚的操作による利点は紙にはあるがディジタル文書にはない.一方ディジタル文書の利点である編集,保管という操作は紙では困難である.本発表では紙とディジタル文書の両方の利点を活かすことができるシステムPaper Augmented Digital Documents (PADDs)を紹介し,その構成を説明する.
 

会場: L2

司会:米田助手
M1 池部 実 情報科学センター
発表題目:論文紹介"Distributed Resource Discovery in Wide Area Grid Environments" (ICCS 2004, LNCS 3038, pp. 210-217, 2004)
発表概要:<概要>グリッドコンピューティングにおいて、多くの計算機資源を仮想化によりひとつのシステムとして見せ、より強力な処理能力を実現するための枠組みである。多数の計算機資源が確保されているグリッドコンピューティングにおいて資源を適切に探索する手法が必要になる。P2Pコンピューティングで用いられている資源探索手法をグリッドコンピューティングへの適用に関する論文を紹介し、自己の研究との関連と今後の研究方針について述べる。
 
M1 一色 昭寿 システム制御・管理
発表題目:動的に安定な歩容の生成に関する論文紹介
発表概要:2足ロボットの研究は, 凹凸のある地面での移動ができるため, 災害救助においても役立つと考えられ, 広く研究されている. ホンダのASIMOやソニーのQRIOに用いられているZMPによる歩行では, 大きな足首トルクを必要とするため, エネルギー効率が悪い. そこでZMPに代わる歩行生成が考えられている. 本発表では, ポアンカレマップを用いて漸近安定歩行の研究を行っている論文を紹介し, 最後に今後の研究予定について説明する.
 
M1 伊東 大輔 視覚情報メディア
発表題目:論文紹介"A real-time tracker for markerless augmented reality"(Proceedings of the ACM/IEEE Int.Symp. on Mixed and Augmented Reality, ISMAR'03)
発表概要:現在AR(拡張現実感)はリアルタイムアプリケーションとしての必要性が増している。シーンの対象物をトラッキングするためにはカメラと物体間の姿勢を計算する事が必要である。この姿勢の計算方法はVirtual Visual Servoing Approachにより考案される。その際、特徴量のロバストなトラッキングに対しては制御則にロバスト統計法の1つであるM推定を加えることにより向上させている。またリアルタイムに特徴量をトラッキングするためにMoving Edges Algorithmを用いている。結果においてオクルージョン、照明変化、ミストラッキングに対してロバストであることを示す。最後に自身の研究との関連と今後の研究方針について述べる。
 
M1 稲田 修一 応用システム科学
発表題目:論文紹介"制約を有する線形制御系に対する補償入力の設計"
発表概要:現実の制御対象には、入出力の上限など多くの制約が存在する。その制約を満たす方法の一つとして、系に補償入力を加えることにより、制御対象の入出力を変化させる方法が提案されている。本論文では、補償入力に対する制御入力と出力の関係を特異値,特異ベクトルの考え方を導入することにより導き、系の制約を満たす補償入力の構成法が示されている。最後に今後の研究方針について述べる。
 
M1 井上 照将 システム制御・管理
発表題目:論文紹介"Bilateral Control of Teleoperators with Time Delay"
発表概要:遠隔操作では操作者が遠く離れた環境に対しマスタスレーブマニピュレータを介して作業を行う.スレーブの接触力情報をマスタに反映することをバイラテラル制御と言い、それは作業能率を向上できる.しかし遠距離通信での大幅な時間遅れはバイラテラル制御装置を不安定にする.本論文では,機械と電気の類似性により通信部を評価し,時間遅れによる不安定性を克服する新しい制御則を紹介している.
 
M1 今田 貴基 像情報処理学
発表題目:論文紹介"The Conductor’s Jacket: a Testbed for Research on Gestural and Affective Expression"(Proceedings of the XII Colloquium on Musical Informatics, Italy)
発表概要:指揮の練習にはオーケストラが必要であり、必然的に指揮の持つ特徴自体が指揮者を目指す人にとって大きな壁となっている。そこでオーケストラが無くても最低限指揮において最も重要なポイントが練習できるような指揮法練習支援システムの実現を目指す。本発表では、指揮認識についての関連研究を概観し、数少ないプロフェッショナルユースの論文であり実際にプロの指揮者から様々なデータを採取したThe Conductor's Jacketについて取り上げる。最後に自分の研究との関連と今後の研究方針について述べる。
 

会場: L3

司会:齋藤助手
M1 岩永 一成 音情報処理学
発表題目:BTOS(Body Transmitted Ordinart Speech)から通常音声への変換
現在、耳の後ろで皮膚に密着させる事で筋肉に伝わる音を拾い、微小な音声でも収音する事ができるNAM(Non-Audible-Murmur)マイクの研究が進んでいる。 この利点として周囲に聞こえないように会話ができるプライバシー性の高さや雑音への耐久性が挙げられ、電話や医療機器への応用が期待されている。 一方で、このマイクより体内を伝導して収録される通常発話音声であるBTOSは音がこもりがちで聞きとりにくいという欠点がある。 そこで、この改善のために、STRAIGHT音声合成を利用したGMMに基づく声質変換法を用いて、BTOSから通常音声への変換を試みた。 本発表では、この声質変換法におけるDTW(時間軸伸縮マッチング)に注目して変換を行った結果と、今後の予定について述べる。
 
M1 浮ケ谷 敦生 知能情報処理学
発表題目:ロボットの金魚すくい技術習得.
発表概要:現在ロボットに伝統技能・技術を習得させようとする試みが行われている. 既存の研究では,触覚センサーなどで技術者の身体の圧力や位置を精密に測定し, 力加減などをロボットに教示している。 しかし例えば金魚すくいの様な技術には,手の動かし方の巧みさだけでなく,すくい易い金魚を選ぶ観察眼も重要である. こういった技術はセンサーで測定できない. そこで本研究では,ロボットに金魚すくいの観察眼を身に着けさせる方法を探り,人並みに金魚をすくえる"金魚すくいロボット"の実現を目指す. 発表では現在までの進捗状況と,関連研究の紹介,今後の予定について述べる.
 
M1 浦西 友樹 像情報処理学
発表題目:論文紹介``Rectified Catadioptric Stereo Sensors''(Proc. of IEEE Conf. on CVPR, 2000)
発表概要:複数の視点から物体を撮影して得られたカメラ画像の間で対応する点を探索し, 三角測量を適用して3次元形状を計測する手法がある. このカメラ画像に基づく手法は,対応点を画像全体から探索すると, 誤対応が増加し,計測精度の低下を招く. そこで,計測精度を上げるために, 対応点の存在する範囲を限定して探索するアルゴリズムが提案されている. 本発表では,あらかじめ対応点の位置が垂直方向において一致するように撮影することで, 対応点の存在する範囲を限定する手法を紹介し,自身の研究との関連を述べる.
 
M1 上野 秀剛 ソフトウェア工学
発表題目:論文紹介”Fault Localization With Nearest Neighbor Queries, 18th IEEE International Conference on Automated Software Engineering, page30-39, Oct. 2003”
発表概要:プログラム内のバグを発見する手法のひとつに入力値の境界テストがある.しかし境界テストには入力する値についての知識が必要であり,知識が得られないケースでは適用が困難という問題がある.そこで本研究では,入力に関する知識を必要としないバグ位置の特定手法を提案している.そして,3つのモデルで提案手法を用いた実験を行い有効性を確かめている.
 
M1 追立 真吾 音情報処理学
発表題目:オンライン音声認識のための実環境に頑健なケプストラム平均正規化法の検討
発表概要:オンライン音声認識には様々な分野への応用が期待されているが、実環境では、モデル学習時と異なる環境での認識や、雑音の入力など認識率低下の要因が存在する。環境の変化に対してロバスト性を高める手法として、長時間の音声データから音声特徴量(ケプストラム)の平均値を算出し、これを対象となる音声データから減算するケプストラム平均正規化法(CMN)が提案され、その有効性が認められ広く用いられている。しかし、オンライン音声認識では環境・話者・空間の特性が時々刻々と変化するがCMNは長時間の同一環境での音声データが必要であるため、環境が変化した後、すぐに認識を開始できない、さらに雑音の入力によって平均値に悪影響を及ぼす、などの問題が考えられる。このような問題に対して、混合正規分布モデルを用いた識別を行うことにより、音データを数種類のカテゴリに分けて、各カテゴリで音声特徴量の平均値をストックすることで、オンライン音声認識時にCMNの精度を高めることを検討している。これらの研究方針に加え、現在までの進捗状況を述べる。