ゼミナール発表

10月3日(金)3限


会場:L1

司会: 杉本研,佐藤淳
原田淳 西谷紘一 杉本謙二 山下裕
発表題目:交差点の自動車事故におけるドライバーエラーの解析
発表概要:自動車事故による死者数は近年減少傾向にあるものの、事故発生件数そのものは増え続けている。車両相互による交通事故のうち、最も死亡事故件数の多いものは出会い頭事故であり、その原因のひとつがドライバーの認知・判断エラーである。そこで、本研究では、出会い頭事故につながるヒューマンエラーやヒヤリハット現象を認知情報レベルで解析し、出会い頭事故の防止につなげることを目的とする。本発表では、本研究用に開発したドライビングシミュレータの構成と、ドライビングシミュレータを用いて行った実験について報告する。
 
寺本英司 西谷紘一 杉本謙二 山下裕
発表題目:ロボットアームに対するマスタ・スレーブシステムの制御系設計の実装と検証
発表概要:オペレータがマスタシステムにより,離れた作業環境にあるスレーブシステム遠隔操作することをマスタ・スレーブシステムという.マスタ・スレーブシステムではスレーブをマスタに追従させるのだが,スレーブが周囲の作業対象物や障害物に接触している場合,それが不可能となってしまう.またマスタ,スレーブ間の通信に時間遅れが存在する場合,システムの不安定の原因となる.そこで,本研究ではこれらの状況を考慮したシステムをロボットアームを2機用いて実装し,システムの検証を行うことを目的とする.本発表では,マスタ・スレーブシステムの設計手順,実験環境を述べる.
 
山丈浩章 鹿野清宏 杉本謙二 猿渡洋
発表題目:<題目>高性能ハンズフリー音声認識を目指したTwo-Stageブラインド音源分離・残響抑圧(BSD)
発表概要:<概要> ハンズフリー音声認識において,主に問題となるのは干渉音の混入と残響による音声の歪である. 複数の音源が混在する環境下において,観測された信号のみから音源信号を分離抽出し,信号に畳み込まれた残響を抑圧する手法をブラインド音源分離・残響抑圧(BSD)と呼ぶ. 従来,独立成分分析(ICA)に基づくBSDが提案されているが,音声のような有色信号には適用困難であるという問題があった. 本研究ではMultiple-Input Multiple-Output (MIMO)システムをSIMOシステムに分解するブラインド音源分離とSIMOシステムにおけるブラインド残響抑圧によって構成されるTwo-Stageシステムにより,有色信号にも適用可能なBSDを実現する. 提案法の有効性を検証するため人工的な混合系における音源分離・残響抑圧実験を行い,本提案法の有効性を検証する.
 
橘達弘 伊藤実 杉本謙二 安本慶一
発表題目:解空間の地形を判断する組合せ最適化アルゴリズムの提案
発表概要:組合せ最適化問題を解くための手法として,遺伝的アルゴリズム(以降,GA)がある. GAの特長として,問題に応じて比較的容易にアルゴリズムを構築することができることが 挙げられる. しかし,短所として,他の最適化手法と比較して,計算量が大きいことが挙げられる.そこで ,計算効率を向上させるために,他の最適化手法(局所探索)と組み合わせた,ハイブリッド 型GAが提案されている. ハイブリッド型GAは,各個体の解探索の起点をGAが与え,その起点より,組合せた手法で解 探索を行なうものである. しかし,ハイブリッド型GAは,GAで与えられた解探索の起点は異なるが,同一局所解を局所 探索が導出することが知られている. そこで,この無駄な探索を省くために,解空間の地形を判断し,解探索を行なう階層型の組 合せ最適化アルゴリズムの提案を行ない,その能力の確認を行なう.
 

会場:L2

司会: 箱嶋研,北野健
谷本心 石井信 箱嶋敏雄 GatumBasu 川端猛
発表題目:Prediction of membrane-spanning regions of proteins
発表概要:Although membrane proteins play vital biological functions and represent about one third of the genome, primarily due to the inherent difficulty in crystallization, they constitute only about one percent of known protein structures. Theoretical prediction of membrane protein structure and topology is therefore crucial to understanding of structure and function of membrane proteins. In this work we focus on the prediction of the membrane spanning region of membrane proteins.

The available transmembrane helix prediction methods are of two kinds. The first uses hydrophobicity
profiles of amino acid sequence and the second is based on machine learning methods. Although the performance of machine learning methods are typically better, because of the inherent problem of correctly assigning membrane spanning regions in the learning set, often the predicted regions span far outside the membrane.

Using combined information from three-dimensional structure and residue hydrophobicity, we have assigned membrane-spanning regions for a set of proteins. Using this as the benchmark, we compare machine-learning and hydrophobicity-based prediction using an in-house program. Future work will focus on understanding the limitations and strengths of hydrophobicity-based methods.
 
神崎崇彰 小笠原直毅 箱嶋敏雄 川端猛
発表題目:枯草菌の染色体複製開始制御機構におけるYabAの機能解析
発表概要:枯草菌ゲノムライブラリーを用いた酵母2ハイブリッド法による解析で、 蛋白質YabAは染色体複製のイニシエーター蛋白質であるDnaAとDNA polymerase IIIの β-subunitである DnaNの双方と相互作用する蛋白質として同定された。YabAは、そ の 減少に伴い複製開始時期が早まり、逆に増加すると複製開始が遅れることから、 複製 開始を負に制御していると考えられている。また、DnaA、DnaNの一方と相互作 用を失 ったyabA変異株におけるYabA蛋白質の細胞内局在と染色体複製のフローサイ トメト リーの解析から、YabAとDnaA、YabAとDnaNどちらの相互作用も複製開始制御 において 重要であることが分かっている。これらのことから、YabAは複製開始前に 既に蓄積さ れている複製開始ポテンシャルを抑制し、複製が開始された後、DnaAを 不活化するこ とにより連続した複製開始を抑制するというモデルが考えられた。本 研究では細胞内 でのYabA複合体を単離し、ウエスタンブロッティングにより、枯草 菌細胞内でのYabA とDnaA、DnaNとの相互作用を初めて確認した。しかしDnaA全量に 対してYabAと相互作 用が検出されたDnaA量は予想されたものより少なく、DnaNにつ いても同様であった。 これらの結果から上記の、YabAのDnaA抑制モデルの妥当性を 議論し、染色体複製制御 機構におけるYabAの機能をより明確にしていきたい。
 
岡本康孝 石井信 諏訪牧子 箱嶋敏雄
発表題目:Gタンパク質共役型受容体におけるSNP解析
発表概要:ポストゲノムの流れの中で、重要な位置を占めているのが遺伝子多型解析であり、遺伝子多型の中でも特にSNP(Single Nucleotide Polymorphism:一塩基多型の略、スニップと呼ぶ)が注目されている。Gタンパク質共役型受容体(GPCR)は生体内での物質の情報伝達、コントロールなどに関わる重要なタンパク質である上、現在ある薬の半数近くがこのGPCRをターゲットとしていることもあり、網羅的にそのSNPを解析することは、疾患のメカニズム解明の観点から非常に意義深いことである。本研究では、ヒトGPCRに特化し、それらのSNPを網羅的に発見し、その特徴(SNPの種類、位置、数、構造領域別分布など)を解析した。
 

会場:L3

司会: 関研,高田喜朗
谷口司 山本平一 関浩之 岡田実
発表題目:<題目>直線アレーアンテナを用いた高速時変動補償における逐次型速度推定法の検討
発表概要:<概要> アレーアンテナを用いた地上波ディジタルテレビ放送の伝搬路時変動補償において、受信機の移動速度は、受信点を大地に対し静止させるために重要なパラメータとなる。また、これまでの研究においては、受信機でのシンボル判定点の平均2乗誤差を最小にするような最急降下法に基づく収束アルゴリズムにより移動速度を推定する方法が提案されていた。しかし、2つの復調系列が必要であり計算量が大きくなっていた。今回、復調系列を1つにし2OFDMシンボルで逐次処理することによって推定を行った。これによりハードウェアが削減され、また、従来とほとんどBERが劣化することなく動作することを確認したので報告する。
 
高木文博 渡邉勝正 関浩之 山下茂
発表題目:状態空間の分割を用いた量子探索ハードウェアシミュレータ
発表概要:近年、量子計算に関する研究が盛んになってきており、様々な理論が提案されている。しかしながら、それを実現する量子デバイスの開発は困難を極めている。 そこで、量子計算機システムの挙動を知るためのシミュレータをハードウェア上で実装する手法を提案する。 量子情報科学においては、計算機システムの状態として量子状態を用いるが、 量子探索は、このようなシステム上で探索問題を解くアルゴリズムである。本研究では、その動作をシミュレートするシステムの設計を行った。 また、量子計算の並列生からシミュレータには、その量子ビットのサイズに対して指数規模の資源が必要とされる。そこで、 状態空間を適切に分割して演算を行い、より広い探索空間に対応したシステムの設計方法を提案する。
 
村上ユミコ 渡邉勝正 関浩之 山下茂
発表題目:量子プッシュダウンオートマトンの受理能力について
発表概要: 新しい計算パラダイム"量子計算"が最近注目されている。 Shorが発表した「因数分解を多項式時間で実行する」量子アルゴリズムにより、 量子計算の能力は、ある種の計算においては古典より優れていることがわかった。 しかし、完全に古典計算よりも優れているかどうかはまだ不明な点が多く、 場合によっては古典より劣ることがある。 古典と量子の計算能力の本質的な差は何なのか、シンプルな計算モデル、 本研究ではプッシュダウンオートマトンを用いてその受理能力を比較した。
 
高橋慶 松本裕治 関浩之 乾健太郎
発表題目:日本語構文解析器の開発に伴う助詞の研究について
発表概要:構文解析器には統計的手法を用いたものが有名であるが、言語理論を取り入れ た形での解析器も存在する。言語理論を取り入れることによって、文法性については 正しいか間違いであるか微妙であるが、意味的には正しいと考えられる文や、コーパ ス中に発見困難かつ、解析困難な文に対しても対応できることが出来る。 私はそのような解析器の開発に伴い、文法部門を計算機と相性の良い HPSG を取り入 れた上で研究しており、その中でも機能語に焦点をあて進めている。 本発表ではその中で格助詞と取り立て助詞についてその語彙が持つ統語的、意味的特 性を連接という言語現象から分析し、それを HPSG に取り込む際にどのような制約、 素性が存在すればそれらについて記述が可能であるかというその過程について述べ る。そしてそのような下で連接現象がどのように説明されていくかということについ て述べ、最後にその手法に関して問題点を示し、今後の研究の進め方について述べ る。