ゼミナール発表

10月2日(木)5限


会場:L1

司会: 横矢研,佐藤智和
藪上勝宏 小笠原司 横矢直和 松本吉央
発表題目:<題目>PCクラスタを用いた多視点画像に基づく手形状推定
発表概要:<概要> 本研究は、多視点画像に基づく手形状推定システムの高速化 をPCクラスタを用いて実現する手法の提案を行う. 現在の手形状推定システムは非接触で任意の手形状を推定できるものの インタフェースとして使用可能な推定速度に達していない. そのため,手を用いたインタフェースの実用化および,人間の全身など 多関節体の高速な形状推定への応用のためには,従来手法による推定 速度の向上が不可欠である. 本研究では,ビデオレートでの手形状推定を実現するために 処理システムにPCクラスタを採用し,その上で従来手法の 並列化方法とパイプライン化の方法についてそれぞれ提案を行う.
 
保坂茂利 千原國宏 横矢直和 眞鍋佳嗣
発表題目:<題目>仮想空間構築のための自然環境映像のレイヤーモデル化手法
発表概要:<概要>樹木や山などを含む自然環境をCGで写実的に表現する場合、テクスチャや形状が複雑なため精密なモデリングは容易ではない。そこで本研究では、仮想空間に実写に基づいた自然景観を立体的に提示するために、単眼ビデオカメラで撮影した自然環境の映像から距離情報を保持したレイヤー構造を生成する手法を提案する。
 
李実英 千原國宏 横矢直和 眞鍋佳嗣
発表題目:<題目>分光画像による物体表面の反射特性の計測
発表概要:<概要>歴史的文化財がディジタルコンテンツとして保存・公開するためには、物体の形状と表面質感の固有情報が最も重要である。またコンピュータグラフィックスにおいてリアルな物体が作成されるには正確なパラメータが必要となる。そこで本研究では、イメージ分光器を用いて光源を移動しながら物体を回転し、物体表面の各点の反射特性を正確に計測できるシステムが提案される。また得られた分光画像を用いて波長ごとに各点の反射成分が拡散反射成分と鏡面反射成分に分離され、各自の反射パラメータが推定される。
 
辻田美紀 千原國宏 横矢直和 眞鍋佳嗣
発表題目:<題目>背景パターンの変化を利用した透明物体の形状と屈折率の計測
発表概要:<概要>発表概要> 現在様々な実物体がCGで表現されているが 透明物体の形状を測定することは困難なため そのモデリング手法は確立されていない. そこで本研究では背景パターンの変化を利用して 透明物体の形状と屈折率の測定を行う. 具体的には,背景のパターンを変化させながら 透明物体を測定し,シルエットを用いて形状を 再現する.次に透明物体の大きさを求め パターンの変化,透明物体大きさと再現された 形状から光路を計算する.そしてその光路を元に 屈折率を求める.今回の発表では、 提案手法と処理過程、基礎実験について述べる。
 

会場:L2

司会: 渡邉研,蔵川圭、中西正樹
小林のぞみ 松本裕治 渡邉勝正 乾健太郎
発表題目: Web文書からの意見情報の抽出
発表概要: 近年,Web上に多数存在する掲示板などの文書から,意見情報を自動的に 収集する技術への関心が高まっている. このような意見情報の抽出には,評価を表す表現が重要な手がかりとなるが, 評価表現には「コクがある」「液晶がきれい」といった領域依存の表現が多数存在 するため,人手で書き尽くすことは困難である.そこで,評価対象表現, 属性表現,評価表現の共起を利用して,これら領域依存の表現を効率的に収集する ことを試みた.本発表では,収集実験の結果と,今後の方針について報告する.
 
徳永泰浩 松本裕治 渡邉勝正 乾健太郎
発表題目:チャット対話のリンク構造解析
発表概要:ネットワーク上に大量に存在し利用可能な言語データの一つにチャット対話データがある. 近年, 履歴からの情報抽出やコミュニケーション支援等, チャット対話を対象とした研究が増えてきている.しかし,チャット対話データを一般のテキストデータと同じように扱うことは難しい. わかち書きや輻輳といったチャット対話特有の現象のため, 「文境界」に相当する発言間の境界が明確でなく, 「ある発言に対する応答」のような意味的につながりを持つ発言同士が必ずしも隣接しているとは限らないからである. より高度な処理を行うためには,(1)「文」に相当する処理単位を定義するため, 発言間の境界を明確にする. (2)「ある発言に対する応答」のような発言間の意味的なつながりを判断し,話の流れを同定する. ことが必要である. そこで本研究では,(1)(2)の問題を, 対象発言とそれに先行する発言との間に(1)(2)の関連がある/ないの2値分類問題に置き換え, コーパスベースの機械学習を試みた.本発表では,同定実験の結果と,今後の方針について報告する.
 
上出将行 松本裕治 渡邉勝正 乾健太郎
発表題目:WEB上からの評価表現抽出
発表概要:WEB上には、ある製品に対する個人の印象や評価を下した文が多数存在する。これらの文は、消費者にとってはその製品を購入する際の参考になり、またメーカーにとっては自社製品がどのように評価されているかを知るのに有用な情報源となる。これらを人手で収集する場合には多くの文に目を通す必要があり、非常に煩雑であるが、それをコンピュータで自動収集するというのが本研究の目的である。先行研究では文型パターンを用いた抽出などあるが、本研究では学習器であるSVMとDecision Stumpsによる抽出を試みた。
 
川口徹 山本平一 小山正樹 岡田実
発表題目:室内における無線MIMOシステム容量の計測
発表概要:無線MIMO(Multiple-Input Multiple-Output)通信システムは複数の送受信アンテナを用いて同一周波数で複数の信号を並列伝送することによって周波数利用効率を大幅に高める方式である。しかし、伝搬路の状況によっては信号分離が困難となり、その結果、周波数利用効率の改善効果が制限されるという問題がある。特に、室内におけるMIMO伝搬路にはLOS(Line-Of-Sight)が存在し、このLOSが周波数利用効率の改善を阻害する可能性がある。そこで本研究では、室内無線MIMO通信システムの伝送速度をシミュレーション及び実験による計測を行ない周波数利用効率の改善効果を評価する。
 

会場:L3

司会: 石井研,作村勇一、大羽成征
新田実 小笠原直毅 石井信 金谷重彦
発表題目:<シロイヌナズナを中心としたトランスクリプトームとメタボロームの統合解析>
発表概要:<植物ゲノム配列決定の急速な進展に伴い、植物の転写発現情報および代謝物質の細胞内量についての情報は、近年、モデル植物(主にシロイヌナズナ)について蓄積されつつある。転写発現についての情報(トランスクリプトーム)は、ある遺伝子の異なる条件下における発現比により記述されることが多い。一方、代謝物質についての情報(メタボローム)からは、異なる条件下において細胞内に存在する物質の質量(分子量)および相対的な存在量が得られる。この遺伝子発現プロファイルと代謝プロファイルを統合して解析することにより、個々の遺伝子の発現変化が代謝にどのような影響を与えるかを細胞または組織全体として把握することが可能となり、このための解析法の開発が必要となる。 本研究のテーマは、シロイヌナズナにおける転写情報と代謝物質についての情報を統合して解析することにより、遺伝子発現変化と細胞内代謝変化の関係を解明することである。 シロイヌナズナの遺伝子発現プロファイルとしてはマクロアレイデータを、代謝物量プロファイルとしては精密マススペクトルデータを用いた。これら2種のデータは、葉および根について硫黄欠乏条件、窒素欠乏条件、硫黄窒素欠乏条件(水耕栽培)、硫黄欠乏条件、Oーアセチルセリン添加条件(プレート栽培)の5条件で一定期間栽培し、遺伝子発現量ならびに質量数ごとの細胞内量を測定したものである。10種の実験条件のいずれかにおいて統計的に有意な発現量変化を有した1154個の遺伝子の発現プロファイルを解析の対象として用いた。また質量値が得られた物質のうち、7種以上の実験条件において有意に量的変化が検出された669個の質量数に対する代謝プロファイルを解析の対象とした。 クラスター分析法により遺伝子発現プロファイルおよび代謝プロファイルに基づいて遺伝子・代謝物を分類することを検討した。ここでは自己組織化法を分析法として用いた。一次元の軸を20に設定し分析を行なった結果、遺伝子は20×16、代謝物は20×18の格子点上にそれぞれ分類された。そして、水耕栽培およびプレート栽培、ならびに葉および根において、固有に発現または量が増える遺伝子または代謝物群が分類 された領域を見出すことができた。 データそれぞれを平均0、標準偏差1に標準化することにより、発現プロファイルと代謝プロファイルを統合的に解析した。一次元の軸を20に設定したところ、遺伝子および代謝物は20×17の格子点に分類され、各々の実験条件において協調して発現または量が増える一群の遺伝子と代謝物の組を得ることができた。今後は、これらの遺伝子・代謝物群と代謝経路とを比較検討することにより、シロイヌナズナにおける遺伝子発現プロファイルと代謝物質プロファイルの関係を解明し、遺伝子の発現量の変化の代謝物質量に与える影響の統計的手法による解明を試みる。>
 
西潟憲策 小笠原直毅 石井信 金谷重彦
発表題目:タンパク質間相互作用ネットワークの解析
発表概要: 現在、生物のメカニズムを解明するためのハイスループットかつラージスケールな実験技術が開発され、マイクロアレイによる発現解析やツー・ハイブリッドアッセイによるタンパク質間相互作用解析が進みつつある。本研究では、このようなタンパク質間相互作用データに分子生物学的情報(オペロン情報や遺伝子アノテーション情報)を加味し、‘機能単位’の予測ならびに機能未知タンパク質の機能推定を行った。
 
藤井信之 小笠原直毅 石井信 金谷重彦
発表題目:発現プロファイル及びゲノム配列情報に基づいたBacillus subtilisの転写発現ネットワークの構築
発表概要:ゲノムレベルでの遺伝子発現ネットワークの解明のためには、個々の遺伝子の発現を制御する因子を網羅する必要がある。制御される遺伝子の上流に存在する制御因子の被結合配列は、一般的に保存性が悪く、利用可能な既知の配列も少数である場合が多い。このような理由から、ゲノム配列のみから制御因子を列挙するのは正確性に欠ける。そこで、制御因子の欠損株のマイクロアレイ発現プロファイルを用い、制御因子の欠損に伴って発現が変動する遺伝子に注目することで、発現プロファイルと、配列情報の両方を用いた制御因子の特定を試みた。ここでは方法論のテストケースとして、既知情報の多いシグマ因子とプロモータ配列に関する結果を報告する。
 
小嶋亜耶 石井信 諏訪牧子 小笠原直毅 渡邊日出海
発表題目:Gタンパク質共役型受容体の機能に関わる保存領域の探索
発表概要: Gタンパク質共役型受容体(GPCR)は、基本的に同一な構造を持ちながら、極めて多数のリガンドと結合でき、シグナル伝達を行う点で興味深く、また多くの重篤な疾病の原因になるため、機能発現メカニズムの解明が重要な課題になっている。機能発現には幾つかの重要なアミノ酸がキーとなることは間違いないが、これらがサブファミリーやファミリー、さらに生物種にユニークなグループ同士内で何処まで保存しているかが判れば、GPCR全体に共通して保存される重要領域があぶり出せると考えた。この目的の達成にあたって今回の発表では142生物種のゲノムで網羅的にGPCR遺伝子を同定し、生物種間での機能の関係性について調べた。